2008/04/24
■硫化水素自殺で考える報道の問題点 WHOの声明に学ぶ自殺報道の在り方
報道は何を学んでいるのでしょう?時々思います。
医療は常に学び、
フィードバックすることを
使命としています。
しかし、
報道は同じ過ちを
ぐるぐる繰り返しているようにしか
見えません…。
最近、大きく報道されている
「硫化水素自殺」
について。
まずは、今日も報道されていた
中学生による自殺が疑われる
事件をとりあげます。
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集合住宅で硫化水素自殺? 中学生死亡、住民70人診察
asahi.com 2008年04月24日01時33分
http://www.asahi.com/national/update/0424/OSK200804230111.html
23日午後7時45分ごろ、高知県香南市香我美町徳王子の市営住宅「ハピネスかがみ」(5階建て)の住民から「卵が腐ったようなにおいがする」と110番通報があった。県警機動隊員が3階の一室に入ったところ、浴室に若い女性が倒れており、その場で死亡を確認した。
県警や消防などによると、硫化水素自殺の可能性がある。市営住宅の住民約20人が頭痛などを訴えて救急車などで病院に運ばれ、うち1人は重症という。ほかに住民約50人が医療機関で診察を受けた。また、約70人が近くの体育館に避難した。
県警の調べでは、亡くなったのはその部屋に住む女子中学生で、母親と2人暮らし。当時、母親は仕事で外出していたという。
市営住宅5階に住む女性(25)によると、自宅に来ていた姉が帰宅する際、異臭がすると訴えた。一緒に3階に下りると、一室のポストに「毒ガス発生中。扉に触らず警察に通報して下さい」と赤いフェルトペンで書かれた紙が挟んであった。110番すると同時に、その部屋に住む母親に連絡。駆けつけた母親らと玄関を開けたところ、強い刺激臭がしていて浴室に娘が倒れていたという。部屋から出た途端、姉は倒れ、救急車で運ばれた。重症だが、意識は戻っているという。
現場は高知空港から東に約6キロ。図書館や体育館などが立ち並ぶ一角で、市営住宅は2棟が隣接して立っている。
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いつも、
自殺報道のあとは
自殺が相次ぎます。
練炭自殺もそうですし、
アイドルの後追い自殺も
そうです。
WHOが自殺報道に対する
声明を出しております。
なるほど…。
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硫化水素自殺で考える報道の問題点 WHOの声明に学ぶ自殺報道の在り方
Japan Medicine 2008.4.23
http://www.japan-medicine.com/shiten/shiten1.html
2月ごろから、家庭用洗剤などを混ぜて硫化水素を発生させ、自殺を図る事件が続いている。自殺を図った人が、インターネットの自殺サイトから自殺方法の詳細な情報を得ていたことや、硫化水素で家族や近隣住民まで被害が広がった例があったことなど事件の特異性の高さから、メディアが一斉に報じた。特に今月初旬には、連日のように一般紙の硫化水素自殺報道が続いた。
報道が過熱したこともあり、政府レベルの会議でも、自殺報道の在り方について意見が交わされている。「報道各社に自殺報道に関する社内ガイドラインを策定してもらうべきだ」「報道の自由があり、ガイドラインの策定は難しい。むしろ、記者にWHOの『自殺予防の手引き』を周知させ、継続的にメディアと対話していくべきだ」といった具合に、さまざまな意見が出されている状況だ。
◎ 自殺方法の報道は禁忌
メディアは報道の在り方を一歩間違うと、潜在的に自殺の危険性を抱えている人を自殺に踏み切らせてしまう可能性がある。
歴史的には、ドイツの詩人ゲーテが1774年に発表した小説「若きウェルテルの悩み」のケースが有名だ。この小説の中で、主人公はかなわぬ恋に絶望し、ピストル自殺する。この本が出版された後、多くの若者が同じ方法で自殺した。これが、メディアと自殺の関係を表す最も古い事例だと言われている。
このほかにも、メディアと自殺の関係性を示す事例としては、アイドルなど著名人の自殺後に後追い自殺するケースが挙げられる。また、自殺方法を詳しく掲載したり、自殺しやすい特定の場所を報道したりすることも、自殺へのアクセスを高めてしまう危険性が高い。練炭自殺の報道などがこの代表例だ。
自殺報道の在り方については、世界保健機関(WHO)が2000年に声明を発表している。メディアがさらなる自殺を呼び起こさないようにするため、報道してはいけないことや、逆に積極的に協力できることなどを列挙している。この声明の日本語訳がいくつか作成されており、インターネットで誰でも閲覧できる。
WHOの「自殺予防の手引き」に記されている代表的な点を紹介しよう。まず、配慮すべき点としては、
<1>著名人の自殺には注意深く対応し、自殺手段、自殺現場の写真、遺書などを公表しない
<2>センセーショナルに報道しない
<3>自殺方法の詳細や、ツールの入手方法などの記述は避ける
<4>特定の自殺場所(橋、がけ、高い建物、鉄道など)の報道を控える
<5>自殺の原因を単純化して報道しない
―などが挙げられる。
逆に、自殺予防の観点でメディアが協力できることも指摘している。
<6>自殺未遂者に身体的な後遺症が出る可能性があることを掲載する
<7>公共施設や民間サービスなど相談可能な施設の連絡先を掲載する
<8>自殺の前兆となる危険信号を報じる
<9>うつ病などの精神疾患と自殺が関係していることや、うつ病が治療可能な病気であることを伝える
<10>報道の際に保健専門家と密接に連動する
―といった具合だ。
◎ 自殺サイトを目立たせる結果に
さて、一般紙の報道を読むと、全体的には周囲の住民が巻き添えになり、後遺症が出る可能性があることに警鐘を鳴らす内容が多い。この点からは、WHOの声明に対する配慮が感じられる。
ただ、硫化水素という新手の自殺方法が特徴であるため、新聞社によっては、硫化水素の致死量や、使用した薬剤の量など、詳しい情報を記載してしまったところもあった。この点は、もっと報道内容を吟味する必要があったのではないか。
また、短期間に硫化水素自殺の報道が相次いだことで、注目度が高まり、結果的に市販の洗剤で自殺できることや、自殺サイトにその方法が書かれていることを世に知らしめてしまった。2月中旬以降、インターネットを監視している民間団体などが対応に当たっているが、掲示板などによる情報の拡散を防ぎきれないのが現状だ。
自殺のリスクを高めないように配慮しつつ、適切に報道するにはどうしたら良いか。メディアはもっと自問自答しなければならない。(佐下橋 良宜)
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で、もって、
こんな記事を読んだら
きっと自殺するような人が
減るんだろうな、
という記事(笑)↓。
いやはや、
直球過ぎてすごいですが…。
ネタ元は
産科医療のこれから
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/04/422-33f1.html
です。いつもありがとうございます。
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失恋男飛び降りて半身不随の重傷・・・今は大後悔
エクスプロア広州 2008年4月20日
http://www2.explore.ne.jp/news/article.php?id=8908&r=gz
昨日午後3時40分ころ、広深高速東莞虎門樹田涵泂口付近で23歳の男性が橋の上から飛び降り重傷を負った事件の詳細を南方都市報が報じている。
飛び降りる前の青年の行動を見ていた近くの焼き芋売りの夫婦の話。
「若者はずっと携帯をかけていた。ずいぶん長い時間、とても悲しげな様子だった」おりからの大雨で全身ずぶ濡の青年は20分あまり話し続けると突然橋の上から高速道路に飛び降りた。
飛び降りて高速道路上で動けなくなった青年に寄り添った目撃者陳氏の話。
「彼のそばに行くと、左手はひどい骨折で、ズボンしか身につけていなかった。右足も変形しているのが見て分かったが、右手に持った携帯でまだ電話していた。彼は崔木周と名乗り、心変わりした恋人にもう一度会ってほしくて、満身創痍なのに彼女の宿舎に電話をかけ続けた。青年は私に携帯を渡し、自分が彼女のために飛び降りたのは本当だと証明してくれと頼んだ。私は青年の気持ちを彼女に伝えたが、彼女は信じないばかりか、からかうような口調で、じゃあ今とても痛いんじゃない?煩わしいからもう電話してこないで!と言った」
陳氏はすぐ救急車を呼ぼうとしたが、彼女が来たときに自分がいないと意味がないと言って青年が通報させなかった。しかし、他の目撃者が120(救急)通報し青年はすぐに病院に搬送された。
左手と右足のひどい骨折の他、脊椎を損傷して神経系を圧迫損壊しており、青年は半身不随になるかもしれないという。
「ただ彼女に会いたかった。こんなに拒絶されるなんて思いもよらなかった」彼女と喧嘩したあと、崔木周は自殺するつもりで飛び降りたが、今は飛び降りたことを大変後悔しているという。
元恋人は記者からの電話でも崔木周が飛び降りたことを全く信じず
「もし彼が飛び降りたとしても私とは全く関係ない」と強調している。
・・・毎日のように高いところから衆人環視の中、飛び降り自殺する人の記事が出ています。最近は見出しに「また飛び降り」とよく書かれています。深刻な社会現象になりつつあるのでしょうか。
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…中国でも自殺報道が
多いのでしょうか?
かの地では、
「飛び降り」が多いような書き方ではあります。
なにより
自殺は問題の解決ではありません。
死ぬことで楽になる、
死ぬことで問題が解決する、
そんなはずはありません。
自殺報道も
より”進化”しなくては
いけない時期に来ているのではないでしょうか?
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コメント
奴隷医の頃、
ちなみにゲーテは、 1749年生まれですが、1807年にはクリスティアーネ・ヘルツリープ(Christiane Friederike Wilhelmine Herzlieb,1789-1865)という18歳の娘に恋をし、82まで生きてます。「若き~」を真に受けて自殺したヤツこそいい面の皮ですねw。
以下チラシの裏。
昨日大雨の中釣りに行って、首尾よくボウズだったのはまあいつもの事wですが帰ってきたら車がパンクしてました。JAF呼んでタイヤ交換して帰ってきたらウチの前にパトやら救急車が…なんでも近所の人が自殺したらしい。魔女の婆さんの呪いだ!
2008/04/24 11:50 by 10年前にドロッポしました。 URL 編集
2008/04/25 11:55 by 日本人 URL 編集