2009/07/09
■開業つれづれ: 日本手技療法協会 「不正請求の実態の記事」
ネタ元は東京日和@元勤務医の日々
不正がはびこる業界は記事になりにくい?
http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/1115852/
です。
いつも大変お世話になっております。
日本手技療法協会
不正請求の実態の記事一覧
http://www.e-shugi.jp/contents/list.do?cn=111
…読んでいて、吐き気がしました。
「ここまでなら請求できる」 はもう通用しない (前編)
不正請求の実態2
http://www.e-shugi.jp/contents/38/0
不正を行った柔道整復師が新聞報道されると、まるですべての柔整師が不正を働いているようにみられてしまいます。残念なことです。
S院長とT院長は、実際にこの不正請求で処分を受けた柔整師です。
今回、そのときの生々しい様子を聞くことができました。
不正を行った柔道整復師が新聞報道されると、まるですべての柔整師が不正を働いているようにみられてしまいます。残念なことです。このようなことが続くと社会的な評価も下がってしまいます。
S院長とT院長は、実際にこの不正請求で処分を受けた柔整師です。S院長は数千万円の返還請求と1年間の療養費取り扱い停止処分を受けました。T院長は1200万円の返還請求と資格停止5年間の行政処分を受けたのです。
今回、そのときの生々しい様子を聞くことができました。
◇ ◇ ◇
● 弟子の不祥事が発端に~S院長の体験
当時千葉県の船橋市で接骨院を開業していたS氏のもとから独立して開業した、元スタッフが引き起こした不正受給が発端でした。
元スタッフは借金返済のために、来院してもいない患者の家族を施術したと偽り請求し、不正に受給していたのです。
5人家族のうちの主婦1人が来ていただけなのに5人全員来たことにしていました。患者の保険証をコピーしていたので、生年月日などを記入し架空の請求をしていました。その家の娘さんは海外留学していたので、健保組合からの問い合わせで発覚したのです。
保険者が調査したら、あっちもこっちも出てきました。
S氏はこうした所業について、ここまでなら、弟子の不祥事と言って苦笑いで済んだのですが、この元スタッフは言い逃れ(のつもり)のため、すべてはS氏から指導を受けたことだと言い放ったのです。
もちろんS氏はそんな指導はしていません。
けれども、当時S氏の接骨院には1日に250人もの患者が来ており、レセプトも月1000枚以上が出ていました。資格者5人と受付などアルバイト4~5人でやっていましたが、
「叩けば埃が出る」ことも事実でした。
◇ ◇ ◇
はじめは千葉県の社会保険事務局からの指導でした。指導を受けたら多少証拠があると言うことで、監査を受けました。ここで、大きな団体に所属していれば県の保険部の人と団体の役員が立会いの下で集団指導ということになったのでしょうが、S氏は個人請求でした。
審査ははじめ抜き打ちで行われます。電話等で聞いてきてそこで引っかかると、郵便で問い合わせが来ます。それが著しくたまってくると個別指導の対象となります。
レセプトが1000枚以上もあると槍玉にあがります。そのうち300枚くらいが国保でした。「国保はそれほど厳しくないが、社会保険が厳しかった」(S氏)。
分院も1日150人くらいの患者が来ていましたが「そっちもやられた」のだそうです。
「患者には、電気、手技をする前にローリングなど行い、3工程あったので待ち時間はあまり感じなかったはず。3工程やって触る時間が少なくても患者は納得し、満足して繰り返し来る結果250人の患者が来るのだから患者からのクレームはないはずだ」こう高をくくっていたS氏でした。
監査では初検料の計上だとか同じ部位での逓減の問題など調査されました。
しかも90%が長期だったのです。その結果、差額を返還請求され、その額は積もり積もって数千万円になってしまいました。さらにあとから、行政処分として療養費の取り扱い1年停止が来ました。
「努力して技術を磨いて、診療の工夫をして患者を増やしたつもりだったが、すべて水の泡となってしまった」。
一般的には、開業して5年以内に指導を受けます。ただ東京のような都市部ではどんどん新規開業が増えていくので、どうしても目立つところから行われます。
S氏は請求団体についても次のように話しています。
「請求団体等にしても、ただ来たレセプトをチェックして右から左へと出すのではなく、逓減のところ間違っていないか、記入漏れはないか、近接部位は大丈夫なかなど、突っ込まれる前に請求団体内部で十分な審査を行った上で提出してくれたり、保険者からの問い合わせに関しても理論武装しているところがよいだろう。」
◇ ◇ ◇
近年、保険者からの再審査請求が増加しているといいます。各県とも、保険者からの再審査請求が増加傾向にあり、その対応には保険者自身が苦慮しているということです。
柔整師の療養の給付に係る審査については、従前から審査委員会の改善が要望されています。厚生省(現厚労省)からも、柔整師審査会の改善を図ろうと平成11年10月20日付で「医師及び柔道整復師に係る療養費制度に精通した者」を学識経験者として参加させ、審査は厳重に行い、不正が発覚した場合の罰則や指導、監査も盛り込んだ通知が都道府県知事宛送達されました。
医師会などからは整形外科医の参加が要望されています。
(不正請求の実態2 (後編)へつづく)
「ここまでなら請求できる」 はもう通用しない (後編)
不正請求の実態2
http://www.e-shugi.jp/contents/39/0
● 5年間の資格停止に ~T院長らの指導の体験記
一般的に指導を受けるときは、通知されてから実際の指導日まで約2週間です。実際に指導を受けたことのある柔整師T氏をはじめ4~5人の柔整師の話を元にできるだけ忠実に再現してみました。
ある日、社会保険事務局からの指導・監査の呼び出し状が来ました。社会保険事務局6名、呼び出されたT氏とT氏側立会人1名が同行しました。
当日指定された会場へ行くと、会場に入る前に指導対象期間の施術録(カルテ)の事前提出を求められました。
はじめに、指導担当官から「カルテはだれが入力しているのですか」と聞かれました。すかさずT氏が「私が全て入力しています」と答えると、「先生の判断でしているのですね」と担当官が念を押してきます。
「そうです」と答えると担当官は「ということは不正があるとすれば先生ご自身以外、考えられないということですね」と予め責任の所在を明確にしてきます。これには「はい」と答える以外にありません…。
以下、担当者と柔整師T院長との間に次のようなやりとりが行われたのです!!
◇ ◇ ◇
<実録!これが指導だ>
■ 指導から監査へ
担当者 「カルテ入力は、まとめてするのですか、毎日するのですか」
柔整師 「そのときによって違います」
担当者 「今回提出の12月から5月までのカルテのうち5月だけカルテの裏面が手書・鉛筆書きなのはどうしてですか。鉛筆の部分だけ後で付け足したのではないですか。
決まりごとではないですがカルテに鉛筆書きはダメです。疑われてもしょうがないじゃないですか」
柔整師 「……」
× × ×
担当者 「患者さんへ請求部位の説明をしていますか」
柔整師 「みなさんへ、しております」
担当者 「このAさんは頚部は施術されていないと言っているのですが、どうしてですか。」
担当者 「もう一度言いますが患者さんへ内容説明(請求部位)を伝えていますか」
柔整師 「……」
担当者 「他の人に内容説明を委任していることはないですか」
× × ×
担当者 「複数月にまたがる場合、保険証の確認はしていますか」
柔整師 「必ずしております」
担当者 「今回、クレームのあった患者は昨年9月に社保をやめているのにも関わらず2月に請求があったと言っているんです。患者さんも迷惑してるんです。
先生、先はど保険証確認しているといったじゃありませんか。確認しているのにどうしてこうなるのですか」
柔整師 「……」
× × ×
担当者 「一部負担金を先生の所は減免していますが、これはルール違反ではありませんか。一部負担金を安くして後は社会保険料からもらうということですよ。カルテの一部負担金の一桁目が四捨五入になっておりませんね。
これは請求団体が悪いのではなく先生の方で訂正しなければいけないのではないですか」
柔整師 「……」
× × ×
担当者 「初検料はいくらとっているのですか」
柔整師 「○○○円です」
担当者 「それは減免です。ルールがありますよね」
× × ×
担当者 「来院簿はないのですか」
柔整師 「ありません」
× × ×
担当者 「こちらの患者さんをご存知ですか。1回しか来ていないから記憶にないですか。負傷原因なんか聞いているのですか。実はこの患者さんは労災申請しているんです。労災に出していたら一部負担金はもらえませんよ。労災の方、こんな負傷原因になりますか。労災を受けたその夜に台所で負傷しているなんてありえないのではないですか。
もっと具体的に言うと首の施術は受けてないと言ってますよ。やっていない部位をやってると記載しているのが問題なんです。」
× × ×
担当者 「この方は記憶にありますか。7日間来ていることになっていますが、患者さんは3日間だと言ってます。なぜ覚えているかというと来院時に大学ノートに記載した記憶があると言ってます。先生、先ほど来院簿はないと言ったじゃないですか。さっきの答えは嘘ですか、本当に来院簿はないんですか」
柔整師 「来院簿は、その日のうちに破棄してます」
担当者 「正直に言ったほうが良いですよ先生。この患者さんは残りの4日間は出張中で来院は物理的に無理ですよ。先生はこうして7回と書いてる。来ていないのになぜカルテにあるのですか」
柔整師 「間違いでした」
担当者 「どうして聞違えるんですか。仮に入力ミスとしたら回数が入力ミスで増えたと事前に訂正できるのではないですか。先生、心に隙間があってちょっと足しちゃったんじゃないですか」
柔整師 「勘違いして書き間違えたんです」
担当者 「何人ぐらい間違えたのですか」
柔整師 「……」
担当者 「間違ったというよりは、分かっていてやっているんじゃないですか。それに12月は30日、31日以外お休みはないのですか」
柔整師 「……」
担当者 「まして、患者さんから聞いている範囲では、施術する先生がその日ごとに違うと言っていますが柔道整復師は先生だけですよね。電気あてるだけ、マッサージ感覚できている患者さんも保険請求していませんか」
柔整師 「していません」
担当者 「先生、他にも情報があるんですよ。こちらには」
柔整師 「……」
担当者 「25日間来ている人は本当に来ているのですか。先生が指示してませんか。それとも付け足しているのですか。」
柔整師 「……」
担当者 「負傷原因など作っておられませんか」
柔整師 「……」
担当者 「先生、改ざんしてらっしゃいますね。正直なところ、指導ではなくそれ以上になっていますので昨年1年間の自主点検をして下さい。したがって今日の指導はいったん中止し、指導から監査に変更します。
1カ月の猶予を与えますから保険者別、被保険者名別、受診者別、月別、本当の施術内容と虚偽内容を一覧にして提出してください。返還請求の材料とさせていただきます。そしてそれを見て今後の検討材料とします。本日はご苦労様でした」
◇ ◇ ◇
● 保険者からの再審査要求は増加
以上のようなやりとりから見ると、指導監査の中では気をつけなければならないポイントがあることに気付きます。
要約すると次のようになります。
1.患者さんが来院してから、そのレセプトを提出するまでの流れを説明できるか。
2.領収証は発行しているか。領収証はレシート形式か、手書きか。自由診療と保険診療を合算したものか。施術ごとに発行しているか。まとめて発行しているか。
3.カルテ入力は誰が行い、まとめて書くのか毎日行うのか。また訂正ができる状態か。
4.レセプトの発行時期はいつか。作成者は誰か。レセコンは使用するか。
5.患者さんの署名はいつ、記入してもらっているか。その際、自署と代理署名はどちらが多いか。長期のときは必ず月初めに署名させているか。
6.患者さんへ必ず請求部位の説明をしているか。
7.複数月にまたがる場合、保険証の確認はしているか。
8.一部負担金の減免はないか。
9.日計表の手順を説明できるか。
10.来院簿の有無。
柔整師の療養費をめぐる審査等は今後ますます厳しくなっていくでしょう。また今後、包括化などについての議論も行われるでしょう。
しかし、現状で不正請求は違法行為です。「ここまでだったら請求出来る」 「みんなやっているから」 などの単純な理由でこの違法行為を行う人がいるとするなら、いずれ大きな反動が返ってきます。
かつて医科の請求額に比べ柔道整復師の請求は圧倒的に少ないなどという理由で審査が甘かった各保険者も、これまでのように右から左へと療養費を支払う時代はもう終わったのです。
なにか根本的なことが
すべて間違っているというか、
こんな低いレヴェルが
この業界の水準なのか、
読んでいて吐き気がするような内容です。
患者から苦情のある治療院は徹底的に調べられる!?不正請求の実態1
http://www.e-shugi.jp/contents/37/0
近年、悪質な不正請求は詐欺事件にまで及ぶケースも少なくありません。
この不正請求の実態に詳しくて、接骨院を何件か経営している知り合いの柔整師A氏に、現在の実態や対応などの話を聞きました。
よく、不正請求について耳にします。
治療院では、患者ごとに1カ月の施術代のうち、患者の自己負担を差し引いた部分を療養費として公的医療保険機関に請求します。
これを審査支払機関が審査して、過剰請求と査定した場合、医療保険機関はその分を減額したうえで治療院に支払います。この請求の仕方にアヤシイものがあると聞きます。
過剰請求には日数及び負傷個所の水増しと架空請求などがありますが、近年、悪質な不正請求は詐欺事件にまで及ぶケースも少なくありません。収入が少ないからといって不正請求を行なうとはとんでもないことです。
この不正請求の実態に詳しくて、接骨院を何件か経営している知り合いの柔整師A氏に、現在の実態や対応などの話を聞きました。
◇ ◇ ◇
―― 不正請求というと少しくらいは大丈夫だという人がいるけど、実際にはどうなの?
柔整師A氏 不正な請求には「水増し請求」と「架空請求」なんかあるね。悪質なのが架空請求。
例えば、
10回来た患者さんを12回来たことにするなんてことはまだ可愛いもの
で、
1回しか来院していないのに25回来たことにする
とか、接骨院に通っている(ことになっている)患者が、実は近くの整形外科病院に通っていたとか、1カ月のうちに片方の接骨院に20回、もう1軒の分院の方へ20回通うなんてヘンでしょ?
そんなことがある種当たり前のようになってしまっていた過去があった。
最近、特に社会保険庁の調べがきつくなってるようだけど。よくチェックされるのは「患者が極端に多いところ」だとか「レセプトの枚数が多いところ」だね。
国保連がうるさいのは、アンケートを出したときにどうも話がおかしいと。結果、その書類を国保から社会保険庁に全部ゆだねる。そこから審査が始まる。で、「どうも、そこの接骨院はおかしい。呼び出しをしよう」となるんだ。確固たる証拠を掴んだ上で呼び出すから呼び出されたらもう駄目だと思った方がいいね。
● 「生活が苦しいので…」は通用しない。
―― 指導や監査などはどうやって行なわれてるの?
柔整師A氏 最初は指導。東京都の場合は、厚生労働省からではなく社会保険庁から来るよ。指導というのは、まず聞きたいことがあるっていってくる。そこで、架空請求ということを本人が認めれば、そこから監査にはいる。それで、水増し、架空請求した理由を聞かれるという感じかな。
ここが大事なところだけど、「生活が苦しいので不正請求した」などという人が多い。面白いことにそういう先生方は、毎月にこれだけなければ生活ができないと決めている。
例えば本来は毎月200万円なければ生活できないとして、「今月は100万円しかないから仕方なくやった」ととかね。
こういった生活のレベルの言い訳というのは、特に分院・多店舗展開しているところに多いようだね。やはり、売上げが左右するためかな。
どうしても患者さんの数字ではなく、レセプトの数字しか見ない経営者が多いんだ。すると当然 "多い" "少ない"なんて考え方になってしまう。
ある先生が指導で社会保険庁に行った時、「これが本当の数字だが、これでは生活ができない」って言ったら、担当官は一言。
「じゃ、全ての財産を潰したらどうですか」。厳しいようだけどこれが現実。自分でまいた種とはいえ、監査などになるととても惨めだよ。
カルテを書いていない先生も結構いる。だから、1カ月前に呼び出されて、カルテを全然出せなかったり、3分の1しか出てなかったりする。
社会保険庁は施術内容を見るわけじゃない。毎月出しているカルテしか見ないから、カルテをどれだけちゃんと作成しているかということが大事なんだ。
カルテと請求が合致していれば、そこで今度は意識的に出したのか出さないのか、もし間違って出したのならば、これは返すべきだね。
カルテがめちゃめちゃな場合、監査にすぐ入る。監査というのは、たとえば、そこの治療院1回休みにして何人かが見に行くなんていう生易しいもんじゃないよ。
任意で社会保険庁に行く。要するに「1日休んで、こっちに来て」といわれるもので、あちらの言うとおりに全部調べていく。
● 「売上げ300万円以上」は要注意
―― 一般の企業でいうと売り上げがある基準までいくと税務署に目を付けられはじめるけど、療養費にもそういう傾向はあるの?
柔整師A氏 規模にもよるけど、院長1人で、受付と助手1人だったとしたら1件の接骨院で150万円が精一杯ではないかな。
それが、1日の患者数を50人、60人と考えるからおかしくなっていく。結局、400万円とか500万円を目指して不正が先行してくる。300万円の売り上げを出すなとは言わないけど、やっぱり300万円出すなら施術の事実に基づかなきゃ。
ある院長は、社会保険庁の担当官に「カルテを整理しなさい」とはっきりと言われた。また「これからは300万円以上の請求のところは徹底的に調べますよ」とも言われた。どこの治療院でも叩けば埃が出ると考えているのかどうかは知らないけど、大なり小なり気まずいところも出てくる。
これは、私見だけど人を5~6人使って300万円を稼ぐところは、保険だけじゃ将来的には難しいんじゃないかな。人を減らして保険収入を半分くらい、あとは自由診療を増やしていくとかの工夫が必要だと思うよ。
● 個人請求の人はたいへん
―― いずれかの請求団体やどこかの会に所属しているのと、個人請求者ではどこかで違いがあるの?
柔整師A氏 社会保険庁が指導を行なう際、会に入っていれば所属の会に問い合わせをするね。個人の場合、直接手紙や電話で通告を出す。呼び出される人に通告を出すのは、まず部位が多すぎるのではないかとか、もう一度改めてくれませんかとか。
団体加入の場合、その団体がある程度指導してくれるけど、水増し請求をして、最後(再度)通告しても。あまり直らないようだと、会だってさじを投げる。会では指導できないから、どうぞ社会保険庁で調査してくださいってなる。
いずれにしても不正請求は結局は犯罪だからね。団体の方は内容的にだいたいわかっているところもあるから。中には一緒に行って対応してくれるところもあるね。
最近個人請求の先生が多いんで、そのへんのところで言うと、保険の請求事務に関しては学校での教育がないね。接骨院や会で覚えるしかないんだよ。
最近、中には卒業のときに教える学校もあるみたいだけど、表面的なもののようだね。本当は卒業生に対して講習会を開いてあげるべきだと思う。
● 整形外科と上手に連携を
―― 患者からのクレームが発端となって不正請求がバレる事があるようだけど、クレームはそんなに多いの?
柔整師A氏 まず、クレームで一番多いのは、
「治療に来たのに余計に痛くなった」。
施術の技術が未熟な先生が、なにか勘違いしてカイロや整体などを行なうケースによく見受けられる。他に多い苦情というと、「混んでいる」ということかな。
治療院のトイレのタオルが汚く不衛生だというクレームに端を発して、保健所から、連絡が来たなんていうこともあった。最も院内の清潔感への配慮などはいわば常識だと思うんだけどね…。
―― 治療以前の問題というわけだね。
柔整師A氏 接骨院に来た患者さんが、思うように治らなかった場合、あとはどこに行くかというと、整形外科しかない。で、整形外科からは当然、クレームがつく。特に整形外科の多くの先生は、接骨院に対して、あまり良く思っていない。
私は捻挫にしても骨折にしても、自分のところではまずやらないね。近くの整形外科に紹介してるよ。でも患者さんは必ず戻って来るから、まず問題はないな。
―― そういう意味では、患者のためにも整形外科など他との連携というのは必要だろうね。
柔整師A氏 整形外科に電話して、接骨院からの紹介状を持って行ってもらう。そういう正しい手順を踏むことで、患者さんの苦情が減ることは目に見えているよ。やはり無理な治療をすると弊害がある。
「捻挫かどうかわからないのに、固定をしてしまった」なども聞いたことがあるね。整形で診てもらって、時には薬で抑えることも必要なんだ。それをなまじ、接骨院の方で何でもかんでも治してしまおうとすると、無理が生じてしまう。
各接骨院は、患者さんに必ず紹介状を書いて持って行ってもらうことさ。中には「どこでもいいから医者に行きな」などと言うとんでもない人もいる。
医師は、大学病院の教育の一環として、送り返してもらったら、必ず挨拶状を出すというのを学校で教えているけど、ある先生が紹介された10人の患者を送り返しても「2名しかお礼の返事が来なかった」と言っていたよ。
何気ない心遣いから良好なコミュニケーションが生れるのにね。
なにか柔整業界では、患者を送ったら、もう戻ってこないと考えているようなところもあるね。私のところでは捻挫かどうか分からない場合、患者さんを車で整形外科に送り届けているよ。そうすると、レントゲン・フィルムも見せてもらえるしね。
これは、大変参考になる。若い人たちにとっても勉強にもなるし、その信頼関係が大切なんだ。こうなるには時間がかかるけど、これが大事。それがなかなかできないんだなぁ。
● 患者とのコミュニケーションを
―― 患者さんとのコミュニケーションが密だと、クレームは少ないものなの?
柔整師A氏 少ないね。どういうことかというと、例えば、時間をたっぷりとって施術するとか、普通以上にやってあげたりすると、患者さんはここの接骨院は良くやってくれたということで、些細なことに対しては文句をいわないでくれる。
多くの接骨院が不正請求を行なっているなんてことはないと思うけど、つまらないところでクレームをつけられないようにしたいよね。だからこそ、社会保険庁や厚生労働省にしても、その姿勢というところまで見るのかもしれないね。
● 刑事事件にまで及ぶことも
―― 悪質なケースというとどんなものがあるの?
柔整師A氏 「来ていない」のに「来ていた」というのも酷いが、もっとすごいのは、
もう亡くなっている人も3カ月も通院していた
など、怒りを通り越して笑っちゃう例もあった。
それから、自分の家族を1年間ずっと診ていた、なんてね。自分の家族である
小学生の子どもを毎月20回、2年間続けていた。
それはどう考えてもおかしいでしょ。
あとは交通事故で、40歳、38歳、12歳、10歳の4人家族を半年間も引っぱったとか。しかも毎日来たと。どう考えてもおかしいよね。私の接骨院じゃ1カ月でおしまいになるよ。「そんなひどいなら病院に入院させたほうがいい」ってことだからね。
患者のカルテを見て、
「入院期間中なのに、なんであなたのところに歩いて通っているんですか」
などと指摘されると、さすがに黙り込むでしょ。
そういうのが、数十枚も出てくると、もうどうしようもないよね。2年分出しなさいとなるわけだ。1回、2回の間違いならわかるけど意図的でしかも悪質だととられても仕方がないよ。
● 不正受給者はもちろん返還
―― そういう先生たちは、通ると思ってやっているのかな。
柔整師A氏 通るかどうかってよりも、売上げしか頭にないんだよ。
不正請求工作で何に走るかというと、部位とか、回数を水増すというのが多い。だから患者さんにアンケートを出してみると、「そんなに怪我していない」とか、結構出てくる。
ただ本当に行っていて、中には半年前のことをよく覚えていないって人もいるね。けど、5回行ったか6回行ったかは覚えていなくても、1回行ったかどうかは覚えているよ。
ましてや1回を25回で出す人とか15回で出す人などがいる。
それが、もう1年くらい続くと麻痺してきちゃうからね。やがてそれが常識になってしまうんで、感覚的におかしくなっちゃう。
―― 意図的にではなく、うっかりミスということはないの?
柔整師A氏 まさかすでに「死んでいる人間」を施術して、「うっかり」とは言えないよ。不正請求というのはわかっているのにやるというのが多いってことだ。
このまま、専門学校がたくさんできて、数が増えて受給の問題と絡んで不正請求する人が同じ比率でいたら、大変なことになるよ。
100人のうち、多かれ少なかれ不正請求をやったことがあるひとはどれくらいいるのかな。
「人数の割には金額があわない」とか「何でこんな数字出るのか」とか、どうみたって、120万円しかいかないはずなのに、200万円ある、とかね。
一番大事なことは、これから社会情勢的にも厳しくなる。そうすると、患者が減るのは当然だから、数字が減ってくるというのが普通。なのに、毎年毎年、増えるというのはどんなものかなと…。
―― 最後に一言。
柔整師A氏 いまや接骨院の過剰時代に突入している。そうするとどこかで、しめつけしなければいけなくなる。厳しくなってもいままで通りの請求でやるとなったら、3分の1の治療院は潰れてしまうかもしれないね。
いつか、接骨院もマルメ方式になったり、新たな展開が待ち受けていると思うけど、不正請求というんじゃなくて、自分のやった仕事をきちんと評価されるようレセプト管理はきちんと行ないたい。万が一のときではもう遅いのだから。
医療機関では
来てもいない患者さんを
来ているように請求するだけで
完全アウト
という印象ですが、
こちらの業界では
日常茶飯事なのでしょうか?
>10回来た患者さんを12回来たことにするなんてことはまだ可愛いもの
>1回しか来院していないのに25回来たことにする
>もう亡くなっている人も3カ月も通院していた
…
強烈なめまいを覚えます。
医療費の効率化を叫ぶのなら、
まずそれ以前に
不正を無くす
ということが大事なのではないでしょうか。
この業界はいろいろと深い闇があって
批判すると
”圧力をかけられる”
”つぶされる”
という噂もいろいろあります。
…
ある日、突然、
うちのブログがなくなっていたら
そうだと思ってください(笑)。
でも、
このような業界が温存され、
一方では
医療費がどんどん削減されてる状況を
皆さんはどのようにお考えでしょう?
HPの他の記事も
基本的な部分が間違っている気がします。
●当然、不正をしてはいけない
●嘘をついてはいけない
●お金をごまかしてはいけない
そんな当たり前のことが
できない業界のようです。
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ハラキリロマン
おもしろき こともなき世を おもしろく
柔道整復師は医療保険制度に巣食う寄生虫
http://harakiriroman.blog26.fc2.com/blog-entry-515.html
コメント
No title
うちの近所にも、開業医の整形外科の先生よりでっかい自社ビルをたてている柔整の先生が何人もいらっしゃいます。
2009/07/11 15:07 by 麻酔科医 URL 編集