fc2ブログ

■開業つれづれ: 病院にさら地以上の価値はない 「正念場迎える200床規模の中小病院」


どんどん病院の淘汰が始まっています。

あまりデータでは出てきませんが、

有床診療所なんかは規模的に

一番大変な状況なのではないでしょうか。




私の知り合いも

お産を扱う有床診療所を閉鎖して

引退されたのですが、

大変なのは医療施設自体が

コンクリート製なので1千万円以上の

解体費がかかるとのこと。




自宅も併設で、

ほとんど後半生のすべてをかけてきた施設が

”価値なし”

買い取り価格は”さら地-解体費用”

という状況に頭を抱えています。





もうすでに

”医療施設は不良資産”

という時代に突入しています。






正念場迎える200床規模の中小病院


更新:2009/05/30 10:00   キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/22262.html



【第63回】アキよしかわさん(グローバルヘルス・コンサルティング米国会長)

 病院同士のベンチマークを駆使したコンサルティングの先駆けとして知られるグローバルヘルス・コンサルティングのアキよしかわ米国会長は、200床クラスの中小病院が今後、生き残りを図るのはかなり厳しい状況だとみる。より大規模な病院が地域に台頭する一方、患者と共に実力ある医師を引き付けられるだけの魅力を引き出すのは至難の業だ。優秀な人材の確保・教育に的確なマーケティング戦略、ブランド力の醸成…。課題山積の中小病院に、果たして活路は?(兼松昭夫)



―特に200床規模の中小病院にとって、厳しい時代になりつつあるとお考えになるのはなぜでしょうか。

 急性期病院の支払い方式に、DPCが広がりつつある点が一つです。400-500床クラスの比較的大規模な有力病院があり、その周辺を200床クラスの中小病院が取り巻く地域があったとします。平均在院日数に縛りがない出来高による支払い制度では、有力病院はいつも満床で、患者さんを受け入れることはできなかったわけです。
 ところが、DPCに移行すると、これらの有力病院でも、在院日数が減少して空きベッドが生じ、より多くの患者さんを受け入れ、回転率を上げる方向にインセンティブが働きます。これによって、有力病院に患者さんが集中する可能性があるのです。DPCは中小病院にも広がっているので、中小病院だけが集まった地域でも、一番人気、二番人気の病院に患者さんが集中し始めると思います。
 医師不足のあおりから、大学の医局による医師の引き揚げも社会問題になっています。医師が一人減ると、病院では年2億円程度の売り上げ減少につながるといわれます。患者と医師が同時にいなくなれば、病院のダメージはより大きくなります。

■病院の身売りも困難に

―そうした状況は既に起こっているとお考えでしょうか。

 現実になりつつあります。これら以外に、優秀な人材の不在も、特に民間病院にとって深刻な問題です。200床規模の病院の中には、カリスマ性のあるリーダーが手腕を発揮してかじ取りしてきたケースがたくさんあります。けれどもこうしたワンマン経営は、出来高制だからこそできたことであって、よりシビアな経営感覚が求められるDPCの環境下では難しいでしょう。経営面のかじ取りを担う人材の育成が急務です。DPCデータは、経営資源の効率化や自院の現状分析など、いろいろなことに活用できます。こうしたデータ活用の重要性に気付く人材が増える組織は育ちます。そのためのカギは、リーダーがこうした人材に重要性を見いだせるかどうか。カリスマ理事長をイエスマンが取り囲み、優秀な人材を育ててこなかった病院には、越えることが難しいハードルです。

―要は、優秀な人材がいるかどうかということでしょうか。

 そういう側面もあります。けれども、周辺の有力病院に患者さんを取られてしまっては、優秀な人材がいくらいても淘汰(とうた)は避けられません。
 実際、かつては日本全国に1万以上あった病院は、近年では毎年50施設ほどずつ減少し、現在は9000を割り込みました。自治体病院改革も進んでいます。自治体病院の中には、地域の評判が悪いケースもかなりあります。毎年税金を負担してそんな病院を残すくらいなら、車で隣町に通うことを選択する人もいるはずです。病院が今後、どこまで減るのかは分かりませんが、こうした動きは加速するでしょう。

―民間病院の売却も進んでいます。

 確かにそうです。ただ、ここにも問題があります。これまでは地域ごとの病床数が規制される中、建物が古かったり、医療に対する地元での評判がいまいちだったりしても、その病院が持つ許可病床に既得権益としての価値がありました。しかし、病床の削減が進むこれからは、病床規制自体に意味がなくなります。そうなると、病院が持つ許可病床の価値も失われます。やがては病院を売ろうとしても、買い手がいなくなるでしょう。病院経営には、医療機器などへの多額の投資が伴います。大きな負債を抱えているオーナーは今後、非常に厳しい立場に追いやられるかもしれません。
 大手病院グループの中には、10年以上前からこうした状況に気付いているところもあります。病院買収を持ち掛けても、
「貴殿の病院に価値はない。さら地にして持ってこい」
と。

■二極化する中小病院、急性期での生存率は15%

―急性期として生き残れる病院とそうでない病院には、どのような差があるのでしょうか。

 DPCは、これまで急性期病院にとって「選択肢」でしたが、これからは「踏み絵」です。急性期に残るのであれば、DPCを選択せざるを得ません。そしてDPCの環境下で生き残るには、優秀なドクターや経営感覚にたけた事務系の職員をどれだけ集められるかがカギになります。
 後方支援病院になると、運営は楽です。しかし、後方支援病院には優秀な外科医などは必要ないので、いったんこちらに移行すると、自然とこうした人材は集まらなくなる。これまで何となく急性期を手掛けてきた中小病院は、やがて急性期か後方支援かのいずれかに二極化するでしょう。
 今後、400床以上の病院がダウンサイジングし、200床規模に新規参入するケースも増えると思います。こうした病院には、人材層や集患力にいわば「のりしろ」があります。これに対し、200床規模の病院はこれ以上ダウンサイジングのしようがないし、そもそも数が多過ぎます。わたしは、DPCの中で10年後まで生き残れるのは、100ある中小病院のうち15病院程度だとみています。

―中小病院がその15施設に残るには、どうすればいいでしょうか。

 優秀な人材を集めるだけでなく、病床の回転率も上げなければなりません。それには、外科系であれば手術の症例数を確保し、内科系であれば地域住民の支持を獲得し、地域でダントツの集患力を持つためのブランド戦略が求められます。こうした戦略を中小病院が単独で展開するのは難しいけれど、複数の病院がそれぞれの強みを出し合ってネットワークをつくれば、有力病院に対抗できる可能性があります。今後は、こうした組織化された病院集団も現れるかもしれません。

―アキさんは、医療スタッフの働き方も変わる可能性があるとおっしゃっています。

 米国で女性の社会進出が進んだ背景の一つには、「フレックスタイム」の普及があります。子どもがある程度成長したとしても、女性は家庭の中で母親としての役割を引き続き果たさなくてはなりません。そのため米国の病院では、例えば勤務時間を月-木の午前9時-午後3時までに設定し、金、土、日曜をお休みにするような形態が認められています。全米で最も優秀な病院の一つとされるミネソタ州の「メイヨークリニック」では、ナースの9割以上がこうしたフレックスタイムを適用しています。
 近い将来、日本でもこうしたフレキシブルな勤務形態が普及する可能性があると考えています。そうしないと優秀な女性が活躍できませんし、病床削減が進む中、病床規模や需要に見合った人件費を維持することが難しいという事情もあります。







幸か不幸か、

DPCの立ち上げに

なんと3病院にかかわったことがあります

(とほほ…)。




ひとつは大学病院。

いきなり、”DPCはじめます”

なんて言い始めて

めちゃくちゃなシステムで始まりました。

あの時のスタッフへの負荷に対しては

まったく賃金が払われませんでしたけど。





そして、民間病院と半官半民病院です。




とても姿勢の差が表れていて、

大変勉強になりました。





いずれにせよ、

先進国の中でも

際立って医療費を抑制している日本は

今後、さらにローコストの医療を目指しているわけですから、

どうやっても

医療を受けられない人が増える方向になるでしょう。

あるいは医療の品質を下げるか。






日本人は何を望んでいるのでしょう?


この国では

国民もマスコミも

なにも考えていないうちに

続々と病院がつぶれて行っているのだけは

確かなのです。
















関連記事

コメント

そして、一般国民は「医者の給料を下げれば医療費は下がる」と本気で思っています。
病院経営にも参画していますが、医者の給料なんて医療費の高々10%程度。そこをいじっても鼻血も出ません。

政府の基本方針として、国民皆保険である以上、受けた医療のコストは払わなければいけないですから、医療を受けられないようにする方向に誘導しているのでしょう。
具体的には、中小病院を立ちいかなくしてどんどんつぶしていき、医師を中核病院に集約、開業医もつぶしていき、地方僻地病院に吹っ飛ばす。
現在の国家方針は、中小病院は生き残ったとしても、つぶれるまで押さえつけられるようです。
現状では、中小の病院では診療報酬をどういじっても現場の医師に反映されるほど病院収入は上がらず、現実には大病院だけが救われるメカニズムになってますしね。そのうえで開業医も締め付けて、奴隷勤務医から逃げ出せないように、そして、開業したやつも借金漬けで辞めるように仕向けて、タコ部屋に売り飛ばす。

まあ、政府・財界ともに、非常にはっきりしたビジョンを持っているように見えますね。

「一般国民に現在のレベルの医療は不要」

この一言に尽きると思います。

ローコスト・・・・

ローコスト・・・ホロコーストの間違えだろう!

正直な所、医師の給料を下げれば医療費は下がるって本気で思ってる人がどれくらいいるんでしょうね。
かなり多かったらやばいですね。
仕事をしている人なら売上には人件費以上に経費が占めてるってわかってそうですが・・・
そうじゃないならこの国の浮上はもうありませんね。合掌。

スピカさま
具体的な数字はないでしょうね。しかし、公的病院でよくクレーマー氏がいう「だれの金から給料がでとるんじゃ。わしらの税金から給料がでているんだろ。」という言葉に含まれるのは、人件費が医療費の大半だろうと思っているからではないかと想像します。たしかに人件費は公的病院では%は高いですけれど。

人件費に占める医師給与の割合は、公立病院のほうが明らかに低いです。
医師給与は民間>>公立ですから。
なのに、人件費比率が民間<<公立なのは、誰の人件費に消えているんでしょうねぇ…
よーく考えてみてください。

Seisanさま
補足ありがとうございます。
医師給与<助手給与なんて嘘だ!と信じてやまない人達はたくさんいると思います。かれらには釈迦の耳に説法です。教祖の教義から抜けられないのと同じです。

念仏だ。馬鹿なワタシv-40

以前、
大学からもらう給与が300万程度で暮らしていけない
って話を患者さんにしたら

そんなにもらってるのに何が不満だ?
みたいな反応をされた
月300だって思ってるんだろうねぇ

いや たぶん

馬の耳に念仏だと・・・

月給1000万円

外国の先生と会話する時のジョークですよね。
日本の大学の教授が年収を「10万ドルなんだよっ」mとこぼしたら、
向こうは、当然月給だとおもって、「そんなに悪くないじゃないか」と。

以前、K沢医大に仕事でいったんですが、スタッフと学生とで、駐車場が別れているんですが、停めてある車のグレードが、全然違うのにびっくりです。


>駐車場が別れている
一種の人種隔離政策ですか?

学生用の駐車場なんて準備している大学がいまさらあるのか?
患者とスタッフを分ける、というのは聞いたことがあるけど、学生は建前上は自動車通学禁止だろう、普通。

お返事どうもです。
いあ~、誰の税金でったってそんなあなた・・・
医師だって納税してるんじゃぁ。
もちろんそんな言うクレーマーよりずっと(笑)てなもんでしょう。
それにあなたの治療にも生活にも税金投入されてますよ!って言い返したらどんな顔するんかしら。

>学生用の駐車場なんて準備している大学がいまさらあるのか?
いやいや、seisanさん。数年前、脱局ついでに住んだことない「北の大地」とやらに住んでみようと思っていってみましたよ。極北医大。
いわゆる学生ガレージが学生にもあったようでしたがね。車がないと学校にも来られません。
「広大な北の大地で医学を学んでみないか」がウリですから→基礎は、指導層は…そんなん知らんわ

 ホントにあったらしい、お話

娘 『お父さん、会って欲しい人がいるの』
父 『相手は学生? 何処の学生や?』
恋人 『某私立医学部の学生です』
父 『まま、玄関での立ち話もなんですンで、どうぞ中へ』

父 『学生やと、結婚後に何処に住むつもりや』
恋人 『俺の親が、マンション買ってくれると言ってます』
父 『おーい、お母さん、下りモノの玉露を持ってきて』

父 『で、生活はどうするツモリや』
恋人 『親が、お手伝いさんを雇うといってますケド』
父 『どうぞ、娘をもらってやって下さいませ!』

恋人帰宅後 『流石は、我が娘、GJ!』

K沢医大の学生は金持ちのはずです

K沢医大は、学生はお金持ちですが(親が金持ち。じゃないと、多分入れません)、そこで働いている医師は、K沢医大卒とは限らなくて、同じ石川県にある国立大のK沢大学医学部卒業------K沢大学医学部のどっかの科に入局------教授戦に巻き込まれて、民族大移動でK沢医大の医局へとらばーゆ、というケースが多いです。だから、医師の多くは学生よりはるかに貧乏な筈ですよ。学生の時、部活のOBに寄付金もらいに伺ったことが何度もありますが、少なくとも、車のランクは圧倒的に、学生が上でした。当時有名だったので、学生用の駐車場をついでに見物して、目の保養をしましたもん。
非公開コメント

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

ブログ内検索

プロフィール




中間管理職: このブログの管理人。
ID上、ブログではmedさんとも呼ばれてます。

某大学医学部を卒業
 ↓
医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
 ↓
大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
 ↓
さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


中間管理職 

Author:中間管理職 
↑「勤務医 開業つれづれ日記・2携帯版」はこちらから。

おすすめ開業関連本

クリックするとAmazonに飛びます。

クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説 2017 vol.7: 必修問題


クエスチョン・バンク CBT 2017 vol.5: 最新復元問題


医師国家試験のためのレビューブック 小児科 2017-2018


小児がん診療ガイドライン 2016年版


もっともっとねころんで読める抗菌薬: やさしい抗菌薬入門書3


ねころんで読める抗菌薬: やさしい抗菌薬入門書


診療所経営の教科書〈院長が知っておくべき数値と事例〉


感染症レジデントマニュアル 第2版


40のしまった! 事例に学ぶ 診療所開業ガイドブック (NHCスタートアップシリーズ)


開業医・医療法人のための医療税務と節税対策Q&A


開業医・医療法人…すべてのドクターのための節税対策パーフェクトマニュアル


開業医・医療法人…すべてのドクターのための税務調査対策パーフェクト・マニュアル


医院の財産 承継&相続パーフェクト・マニュアル


よくわかり、すぐ使える成功するための「医院開業」ハンドブック―コンサルタントが教える「My Clinic」のつくり方


トラブルにならない 社員の正しい辞めさせ方・給料の下げ方


ねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書


もっとねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書2


もっともっとねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書3

おすすめ医学書

FC2カウンター

いつもご訪問、ありがとうございます。2009年5月7日からの累計アクセス数です。

FC2オンラインカウンター

現在の閲覧者数:
いつもありがとうございます。現在、アクセスしている方の数です。

Amazon人気商品

月別アーカイブ

カレンダー

11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -