2008/04/14
■iPS細胞:基本技術出願済み…バイエル先行で京大見解
iPS細胞の研究競争に急にバイエルが参入…。それも、
京大やウィスコンシン大に先駆け、
すでに先行して特許を
提出していたとの事です。
これで、
iPS細胞の研究競争の行方も
混沌としてきました…。
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iPS細胞:基本技術出願済み…バイエル先行で京大見解
毎日新聞 2008年4月11日 21時13分(最終更新 4月11日 23時40分)
http://mainichi.jp/select/science/news/20080412k0000m040094000c.html
ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、バイエル薬品の研究グループが京都大の山中伸弥教授より先に作成し、作成技術に関する特許も出願済みとみられることに関し、京大は11日、マウスのiPS細胞作成後の05年に山中教授が出願した特許が、ヒトのiPS細胞作成でも基本となる技術を含むため、大きな問題は生じないとの見解を示した。
仮に同社など民間企業が基本技術以外で特許を取得しても、高額な特許料設定は困難だとみているという。特許料が高額になればiPS細胞で治療を受ける患者の負担が増すと心配されている。
会見した松本紘・京大副学長は、山中教授が特許出願済みの技術は、iPS細胞の作成に関連する多くの技術のうち、ヒトの細胞作成にも必要不可欠な基本部分だとの見方を強調した。そして、個人や企業が単独で関連技術すべての特許を押さえるのは無理だが、基本部分以外で特許を取得した企業も、作成の際は京大側の意向を無視できず「法外な特許料にはしづらいだろう」と述べた。ただ特許審査の結果次第で、ヒト細胞作成には山中教授の特許が適用されない可能性もあるという。
京大iPS細胞研究センターの中畑龍俊副センター長は「山中教授は、普通の細胞を(さまざまな細胞に変化できる)未分化の細胞に戻す部分の特許を取得している。そこが一番大事だ」と話した。【野田武】
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つづいて、
翌12日には
このような記事も載っています。
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クローズアップ2008:ヒトiPS、バイエル先行 特許の行方、混とん
毎日新聞 2008年4月12日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20080412ddm002040096000c.html
バイエル薬品(大阪市)の研究チームが、京都大の山中伸弥教授らより早くヒトiPS細胞を作成していたことが明らかになった11日、京大は緊急の記者会見を開くなど対応に追われた。最先端医療をめぐり世界中の研究者や企業が激しい競争を繰り広げ、特許権の獲得争いも激化している実態が浮き彫りになった。今後、どこが特許を取得するのかは混とんとしているが、その行方は将来の再生医療や治療への応用にも影響を与えそうだ。
◇早い者勝ち、裁量次第
「一喜一憂しない」。ヒトiPS細胞作成に、バイエル薬品が京大より先行していたとの毎日新聞報道を受けた11日夕の緊急会見。松本紘・京大副学長はこう語り、「iPS細胞に関する最初の特許出願は山中教授だ。データはマウスだったが、iPS細胞全体にかかわるものと認識している」と強調した。
山中教授らは06年8月、マウスiPS細胞作成の論文を発表。それに先立つ05年12月に特許を申請した。出願した発明の名称は「核初期化因子」だった。「(皮膚など)分化した細胞を(さまざまな細胞に変化できる)未分化の状態に戻すというiPS細胞の本質に関するもので、これがすべての始まり」(松本副学長)だからだ。一方で松本副学長は「データはマウスなので、データに縛られるのか(分化した細胞を未分化に戻すという)研究の本質に縛られるのかは、知財当局の判断だろう」とも述べ特許の行方に懸念も示した。
現在、ヒトで特許を得る可能性が明らかなのは、山中教授らのほか米ウィスコンシン大、バイエル薬品の各チームだ。企業の場合、論文では研究成果を発表しないことが多く、3チーム以外にも研究を進めている企業があるかもしれない。
バイエル薬品の広報担当は「バイエル薬品としては特許は出願していない。ただ、(独にある親会社の)バイエル社が出願している可能性はある。出願が確認できたとしても、公開前なので内容を開示できるかどうかは分からない」と話す。
特許は基本的に早い者勝ちだ。さらに、特許をどこまで認めるかは各国の裁量となる。
例えば、ヒトを対象とした医療行為は日欧では特許対象にならない。また、98年に作成に成功したヒトES細胞(胚(はい)性幹細胞)技術について、欧州は受精卵を壊して作るという倫理的問題から特許を認めなかった。だが、米国にはそうした制限はなく、広い範囲で認められる傾向にある。【田中泰義、朝日弘行】
◇海外機関取得なら、利用料巨額に?
ヒトiPS細胞に関する特許の行方は、医療への応用などにどんな影響を与えるのか。
京都大でも、ウィスコンシン大やバイエルなど海外の研究機関、企業が取得しても、日本国内で与えられる権利に基本的な違いはない。特許権者は自前で産業化してもいいし、特定の第三者と契約を結んでもいい。特許料も自由に決めることができる。
京大が特許権を取った場合はどうか。
「大学は公的機関としての性格が強い。おのずと特許料は低くなるのではないか」「税金で開発した技術なので、国内では特許料を取らないという選択肢もある」。複数の弁理士は、こう推測する。
しかし、海外の研究機関や企業が特許を得た場合、利用する企業や機関は莫大(ばくだい)な特許料の支払いを迫られかねない。
米国は、政府の資金で得た特許でも、研究者個人や大学が特許権を得ることができる法律を、80年に作った。それによって米国の大学が04年に得た特許収入は約1498億円に上る。利益は、研究を推進し、特許出願を増やす原動力となる。98~03年に日米欧中韓に出願された幹細胞関連技術特許の半数以上は米国のものだ。日本も99年に同様の立法をしたが、大学が04年に得た特許料は約5億4000万円しかない。
多くの特許出願を手がける津国特許事務所の津国肇所長は「国が特許戦略を誤れば、国民は大きな損をする可能性がある」と指摘する。【奥野敦史】
◇重要論文、立て続けに
研究競争激化は、関連論文の掲載状況からもうかがえる。山中教授らのマウスiPS細胞作成発表から1年3カ月後の07年11月、米ウィスコンシン大がヒトiPS細胞作成を論文で発表した。山中教授らと同時だった。ただ、投稿日はウィスコンシン大の方が、本家の京大より20日間早い。その後、約1カ月間に、作成方法の改良や、病気のマウスの治療への応用など重要な論文が4本立て続けに出た。4本中3本は米国のグループの発表だ。
田中秀穂・京都大客員教授(知的財産経営学)は「マウスでは山中教授が独走していたが、昨年11月以降は他のチームも追いついてきた。特許に関しても、今後公開される出願内容を見ないと、日本がトップにいるかどうかは誰にも分からない」と話した。【須田桃子】
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欧米に負けっぱなしの
特許競争で、
今回も国が対応を誤れば、
莫大な損失を被ることになるでしょう。
今後の行く末が気になります。
コメント
アメリカは先発明主義だし。
それ以前に、アメリカに大きな声で「これは我々の技術だ!」と言われたとき、日本の関連官庁はまず抵抗できないでしょう。そして、アメリカでアメリカ人の陪審員の評決で「日本の特許無効。金払え乙」という判決を下されて、その判決を元に日本国内でも好き放題するというこの20年のアメリカ特許ビジネスと同様にやられたい放題になることでしょう。
それが分かってるから、ウィスコンシンにしたところでとにかく「ヒト」のペーパーを出してきてる。
2008/04/14 10:47 by Seisan URL 編集
2008/04/14 17:30 by demian URL 編集