2008/04/09
■「「医療費の窓口負担『ゼロの会』」が初の学習会」 医療リテラシーについて
理路整然。結構、好きな考え方です。
ただ、主流になるかどうかは不明ですが…(笑)。
ぜひ、2つめの記事も
読んでください。
こちらに「ゼロの会」の
主旨が書かれています。
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「医療費の窓口負担『ゼロの会』」が初の学習会
更新:2008/04/08 19:25 キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15469.html;jsessionid=854B12B61D4D462766F2C1EC17633AE9
医療費の窓口負担をなくし、必要とする医療を国民がいつでも受けられるようにしようと、神奈川県内の医師らがつくった「医療費の窓口負担『ゼロの会』」が4月19日午後3時から、横浜市の神奈川県保険医協会で初の学習懇談会を開く。医療関係者に加え、一般の市民も交えた懇談会で、「ゼロの会」は「市民と一緒に医療と医療費の在り方を考えられるような場にしたい」として、参加者を募集している。
「ゼロの会」は昨年1月、同協会が呼び掛け団体となって発足した。映画監督の山田洋次氏や作家の早乙女勝元氏、女優の朝丘雪路氏、ジャーナリストの大谷昭宏氏ら著名人を含む約1万人が賛同を表明。50を超える患者団体なども賛同している。
「ゼロの会」では「保険料を払っているにもかかわらず、病気になると窓口で3割の負担を求められる。この保険料プラス窓口負担で、医療費全体の約半分を患者(国民)が負担しているが、公費は全体の約4分の1にすぎない」と指摘。その上で、「公費も国民が納めた税金であり、患者は税や保険料という形で既に医療費を負担している。これに窓口負担を合わせると“三重の負担”をしていることになる」と強調、窓口で医療費を負担すること自体が矛盾だとしている。
「ゼロの会」によると、英国、イタリア、オランダ、オーストリア、ギリシャ、スペイン、ドイツ、デンマーク、ベルギーなどのヨーロッパ諸国やカナダなどでは、受診時の患者負担は原則無料となっている。
学習懇談会では、同協会副理事長で「ゼロの会」担当責任者の池川明氏が講師を務め、会の目的や活動内容などを紹介。それを受けて、医療費の負担や財源の在り方について話し合うことにしている。
「ゼロの会」では「窓口負担ゼロに賛成という人だけでなく、それが本当に可能なのかと疑問を感じる人も含め、多くの医療関係者や市民と意見交換したい」と呼び掛けている。
参加無料。問い合わせ・申し込みは「ゼロの会」事務局、電話045(453)2411へ。
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「日本でも、窓口負担『ゼロ』は可能」(新春インタビュー5の4)
更新:2007/12/28 17:39 キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=13829&freeWordSave=1
2008年新春インタビュー4
「日本でも、窓口負担『ゼロ』は可能」
医療費の窓口負担「ゼロの会」担当責任者・池川明さん(池川クリニック院長)
昨年1月、神奈川県保険医協会が事務局を務める医療費の窓口負担「ゼロの会」が生まれた。医療機関の窓口負担は、2003年に健保本人、06年からは高齢者も所得によって3割になった。この負担増に伴い、受診抑制や治療中断が生じて重症化等を招く中、「重すぎる窓口負担を解消し、国民(患者)が必要な治療を受けられるようにしよう」と、神奈川県内の医師らが立ち上がった。「ゼロの会」には、映画監督の山田洋次氏ら20人を超える各界の著名人が賛同を寄せるなど、誕生から1年で大きな広がりを見せている。「ゼロの会」について、責任者の池川明さんに聞いた。(山田 利和)
■受診時の負担「世界からは矛盾」
-日本でも、かつて窓口負担はゼロだったのですね。
「そうなのです。日本では1961年に『国民皆保険制度』が創設され、健保本人の10割給付(患者負担ゼロ割)が始まり、84年までは健保本人の窓口負担はゼロでした。日本の医療制度は憲法25条の『生存権保障』によるもので、生存に必要なものを保障することが原則です。このため、お金の給付ではなく、治療や薬そのものを給付する『現物給付』となっています。だから当初、健保本人はゼロ割負担(窓口負担ゼロ)だったのです」
-それが、今では3割になっていますが。
「国民皆保険制度は創設後、より良い医療を提供しようという医療運動で徐々に改善され、73年の老人医療無料化など、給付内容は充実していきました。ところが、この流れは『臨調行革路線』で一転し、84年に健保法の1割負担が導入されました。さらに、『構造改革路線』で97年に健保2割負担、03年には健保・国保が入院・通院ともに3割負担となり、昨年10月からは高齢者の一定割合も3割負担になっています。『医療改革』の名のもとで、実に国民の85%が3割負担になってしまいました。過重な負担により、治療中断や受診の手控えが生じて重症化するといった問題が起きています」
-この間の負担増が激しく、いつの間にか「負担は当たり前」ともいえるような状況になっています。
「『財源がない』という理由で、国が低医療費政策を進めていることが原因です。しかし、『窓口負担は本当に当たり前なのか』と問うてみると、ヨーロッパ諸国やカナダ、オーストラリアなどでは、受診時の患者負担は原則無料なのです。病気や怪我に備えて、保険料を支払っているからで、『受診時の負担は当然』という今の日本の考え方が、世界の多くの国々からみれば、逆に矛盾した話になるのですよ」
■税金等の使途「国に要求しよう」
-日本では医療というと、いつも財源の話が先にきてしまいますが。
「それが問題です。現在、総医療費は約31.5兆円で、このうち国民は保険料9兆円と窓口負担5兆円の計14兆円、約45%を負担しています。国は財政難を強調しますが、日本の医療費水準は経済規模に比べて極めて低く、OECD(経済協力開発機構)30か国で22位に過ぎません。それだけ医療費を切り詰めていることになり、世界の常識からはおかしい。医療の進歩と高齢化に応じた経済力に見合う医療費を確保することが不可欠です」
-そのための財源はあると。
「そうです。日本では税金や保険料が医療に使われる割合も約40%と先進国で最低です。私たち国民は、窓口負担だけではなく、保険料を払っています。もともと税金も納めており、この何割かが国から医療に回される仕組みです。財源は、私たちが納めた税金や保険料で成り立っているのですから、『払ったお金(財源)を、こういうふうに使ってほしい』と、国に要求していいと思うのです。税金や保険料が医療や福祉に還元されるように、国の無駄遣いも見直すべきです」
-では、窓口負担の5兆円はどのように捻出するのですか。
「国と、バブル期の2倍近い経常利益を上げながら税負担は減っている大企業(資本金10億円以上)に応分の負担をしてもらうべきです。なぜかというと、保険料を徴収する国には医療保障の法的責任があり、多くの労働力を使って大きな利益を上げている大企業ほど生活や労働環境、社会保障を引き受ける責任があるからです。こうしたことも、先進国では当たり前となっていることなのです」
-窓口負担をゼロにすると、受診率が上がり、医療費が膨らむという指摘がありますが。
「患者さんの負担を増やして受診を抑制したからといって、医療費全体は安くなりません。というのは、国民医療費の75%は高額な費用を要する病気が占めていて、25%の患者さんで掛かっています。残りの25%が大半の75%の患者さんに使われている医療費のため、患者負担を増やした受診抑制では、この数%の医療費が抑制されるだけです。むしろ、受診を我慢して病気が重症化する方が、結果的に医療費は高くつくことになります。早期受診・早期治療こそ、医療費を抑える効果的な方法ではないでしょうか」
-では、負担ゼロに向け、具体的にはどのように取り組んでいきますか。
「医療機関などで手軽に渡せて『ゼロの会』を知ってもらうためのリーフレットを作成しました。これを用いて、さまざまな場所や機会を利用し、会の活動に理解を得る活動を進めています。そして、神奈川だけではなく、各地にゼロの会を立ち上げられたらという考えも持っています。まず何よりも、医療制度を変えるには、国民の圧倒的な支持が必要です。1千万人を目標にしているのですが、今年は本格的に賛同や署名を広げていく方針です。そして、実現に向けて、政府や関係機関に積極的に働きかけていくことにしています」
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最近、「リテラシー」という
言葉を良く考えます。
きっかけは橘玲氏の
著書で書かれている
「金融リテラシー」という単語です(1)。
リテラシー【literacy】
1 読み書き能力。
2 コンピューターについての知識および利用能力。
3 情報機器を利用し、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力。情報リテラシー。
[ 大辞泉 提供:JapanKnowledge ]
金融の場合は、
「金融リテラシー」がない人間
(言い方を変えると、金融無知)
の方が
「カモねぎ」になり、上手くいただかれてしまう。
つまりは、”上客”なわけです。
しかし、医療のリテラシーがない方、
「医療リテラシー」のない方は
共通言語がないにもかかわらず
主義主張を全く変えず、
「クレーマー」として恐れられています。
医療者側からしたら、「モンスター」なわけです。
単語が通じないけど、自分の我だけは通してくる、
時には暴言、暴力に訴える。
実際に、国やマスコミは
国民の「医療リテラシー」を下げて、
医療と国民を対立させることで
医療崩壊や医療費削減を
狙っているのではないでしょうか?
「医療リテラシー」がない方に対する医療は
まるでヤクザに物を売っているような感じで、
ものすごく恐くて、恐る恐る行わなくてはいけません。
国も、
色々な医療にいろいろな制約をかけてきて、
「ホントは、この治療がベストだけど、
医療費や医療裁判やクレームや
色々なことを考えると
やらない方が安全だな…」
そう思って、萎縮医療になっています。
「医療リテラシー」に依存しない、
つまりは、医療者側が
患者さんに対して常にベストを尽くせるような、
そしてベストを尽くことが一番いい、
そんな当たり前の医療環境が
いま求められています。
つまりは、
日本医療にはあまりに制約が多すぎて、
やる気もなくなっています。
「ゼロの会」の
主旨が当然のこととして
国民が思って活動してくれたら
本当にいいことだと思いますが、
きっと「色々な勢力の思惑」が
横槍を入れてくることでしょう。
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(1)
■「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」 橘 玲
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-60.html
コメント
安易な小児医療助成制度と同様に
夜間救急を含めたコンビニ受診を促進すると考えています
どうせ負担を軽減するなら、公費を窓口負担ではなく、保険料の個人負担分軽減へ回すべきだと考えます。そうすれば、国保滞納なども減少するのではないでしょうか。
2008/04/09 08:31 by こんた URL 編集
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/238.htm
2008/04/09 08:58 by 暇人28号 URL 編集
その方が国民医療費の抑制にはいいと思うんだが。
大体、年間医療費30兆円を超したと政府は大騒ぎしてるけど、政府が税金でまかなっているのは10兆円弱しかないでしょうに。それなら、「国は国民の医療に10兆円も出して大変なんです」とチャンと言えばいいのに、まるで30兆円国が出してるかのような誤解を与える言い方をするからなぁ。
2008/04/09 10:54 by Seisan URL 編集
税金を払っているから 子供の給食費は払う必要がないと強弁する両親の理屈にそっくりです。
2008/04/09 12:06 by Bugsy URL 編集
負担がなくなった分は?
ゼロと言いましたが、窓口負担が無くなれば受診患者数の増加も予想されますから、3割どころか4割か5割の削減が必要かもしれません。
なんと言っても大基本の「医療費は削減するものである」の姿勢は変わっていないのですから、窓口負担ゼロのツケは間違い無く医療機関に全部回されます。
2008/04/09 12:45 by Yosyan URL 編集
>こんたさん
小児医療に関してはおっしゃるとおりです。
ただ、医療費の問題として、大きな考え方としては窓口負担が増えることが、「病院は値上げしている」という大きな誤解につながっているものと思います。
実際の医師が少ない現状では、何らかのアクセス制限をするしかないと思いますが、大きな視点で「ゼロの会」の主旨は賛同できる、というのが今回の私の意見です。
上手く書けずすみません。
今後ともよろしくお願いいたします!!
2008/04/09 12:46 by 中間管理職 URL 編集
結果、医療関係者の負担増、国民医療費の増加かと。
2008/04/09 13:02 by ijika URL 編集
>中間管理職さま
拙ブログでも数回取り上げましたが
ゼロの会は以前から気にくわなかったので
つい反応してしまいました^^;
とくにこのアピール文なんて...
http://www.iiiryou.com/zero/cat74/post.html
特に中間管理職さまを批判する意図は有りませんので
気にされないでください(文章がキツイのは性格ということで御容赦を^^;)
2008/04/09 13:14 by こんた URL 編集
ゼロは医療リテラシーを下げるか
私は、中途半端な窓口負担が、患者の「金払ってんだぞ」という気持ちを根源として、救急外来への安易な受診などの権利意識を高めている面もあると感じています。また、保険料は払えても自己負担分が払えずに医療機関を受診できない人を見てきましたから、保険料払っている上に更に窓口負担というは、国による保険金の取り逃げ、サギ行為にひとしいように感じます。介護保険でも同じ構図です。
2008/04/10 16:20 by 一筆啓上 URL 編集
特定疾患、生保などの窓口負担の無い、もしくは低い方々から
"私はお金がかからないからどんどん検査して欲しい"
と言われた事はありませんか?
また、外来に初診でやってきた方から
"健診をして欲しい(保険診療で)"
と要求された事はありませんか?
窓口負担がなくなり、そういう方が確実に増加するだろうと想像すると私は気が重くなります。
2008/04/10 17:49 by こんた URL 編集
>こんた さま
また、窓口負担をゼロにすると、そういう人が増えるというのは、実際はどうなるかわからない。少なくとも、そういう事例が最近増えてきたことは、窓口負担が増えたという事象とは相反する現象です。
2008/04/10 21:42 by 一筆啓上 URL 編集
それから、確かにそういう人に出会うと「はーっ」とため息が出ますね。我々にはそのような人たちのあやまった保険診療への理解を修正していく義務もあるということなんでしょうか。気が重いですが。
2008/04/10 21:49 by 一筆啓上 URL 編集
>一筆啓上 さま
仰ることの前半はよくわかっております。
その一握りの方々が医療従事者を疲弊させている現状はご理解頂けると思います。私も負担軽減に反対しているわけではありません。
私の考えとしては
保険料の個人負担分を軽減。
がメインです。
あと、拙ブログには書きましたが
高額医療費の限度額を引き下げる。
といった対応が望ましいと思っています。
例えば、保険料の個人負担分を半額にして、高額医療費限度額も同額にしてしまうと、実質、窓口負担はゼロと同じになります。医療を受けなかった方にとっては、個人負担減の措置となり得ます。さらに、保険料の個人負担減によって無保険者も減少するでしょう。
後半に関しましてはおそらく勤務施設、環境の差もあるでしょうから^^; 意見は差し控えさせて頂きます。
2008/04/10 22:29 by こんた URL 編集
>一筆啓上 さま
>我々にはそのような人たちのあやまった保険診療への理解を修正していく義務もあるということなんでしょうか。
本来、こういったことは役所とマスコミの務めだと思いますが、私は、患者さんにいちいち説明しています。
最近はメタボが流行っているため、全く関係ない疾患の方が
"何故メタボの項目を採血してないのか!"
と怒り出すこともあります。
溜息が出ます。
2008/04/10 22:48 by こんた URL 編集