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■救急への最後通牒 「消防庁、救急搬送先リスト策定 受け入れ拒否で法改正へ」

消防庁は自己責任回避に躍起です。




なぜなら、

「搬送できないって、消防が悪いんでない?」

という素朴な疑問に

現時点では答えられないからです。





”法改正”という記事タイトルが

速効消えているのも

何かの意図があるのでしょうか?

(現時点では下記タイトルではありません)







消防庁、救急搬送先リスト策定 受け入れ拒否で法改正へ

2009/02/05 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020501000709.html

 医療機関による救急搬送患者の受け入れ拒否問題の改善に向け、総務省消防庁は5日開かれた有識者検討会で、 患者の容体に応じた搬送先の医療機関リストなどを盛り込んだ「搬送・受け入れ基準」の策定を都道府県に義務付ける方針を示し、 了承された。9日の消防審議会答申を経て、今国会への消防法改正案の提出を目指す。

 搬送先リストをあらかじめ定めておくことで、救命救急センターなど一部医療機関への急患の集中を分散させ、 「たらい回し」などの発生を抑制すると同時に、増加傾向が続く搬送時間の短縮にもつなげる。

 搬送先リストには、例えば

(1)心肺停止状態なら救命救急センター
(2)重症の脳疾患はA病院
(3)軽症の心疾患はB病院

-など、 症状の種類と程度に応じた具体的な医療機関名を載せる。このほか搬送・受け入れ基準で、救急隊員が現場で患者の症状を確認し、 リストの中から搬送先を選ぶ際のルールなどを決めておく。





今回の法改正では

「病院受け入れリスト」をつくり

上から順番に対応させるのと、

それ以外に

「病院に搬送責任をなすりつける」

ということが言われております(1)。





これでやっと消防庁は

合法的に

「搬送リストに従わず、搬送協力もしなかった病院が悪い。

これは法律で決められている」

と胸を張って、

声を大にして言えるわけです。





…現場医師の仕事は

消防の代わりに病院を探す分だけ

手間が増えるだけですが。






救急関連医師は大至急撤退しないと

今後は医師と病院が

”合法的に「たらい回し犯人」”

にされます。




国がルールを作り、

それに”違反”する可能性があるのなら、

それに逆らってはいけません。





人道的に正しくても

法的に悪人にされることはよくあることです。




消防庁は

なんら支援なしに搬送を含めた全責任を背負っていくか、

働く場所を変えるか、

という選択を突きつけてきているのです。







ここに至って救急分野では

大学教授まで逃散を始めています(2)。

医師の逃散は、

ガンジーの「非暴力・不服従」にも似た、

(ただし指導者のいない)

ささやかな抵抗運動なのかもしれません。








(1)
■インパール作戦開始 「患者受け入れ ルール義務化へ」 救急医への最後通牒
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-561.html


患者受け入れ ルール義務化へ

NHK 2008年12月26日 4時32分
http://www3.nhk.or.jp/news/t10013251181000.html

救急患者が医療機関から受け入れを断られるケースが相次いでいることを受けて、国は消防法を改正し、あらかじめ搬送先の優先順位を決めておくなど都道府県ごとに受け入れのルール作りを義務づける方針を固めました。

ことし10月、東京で妊娠した女性が脳内出血を起こし8つの医療機関に受け入れを断られて死亡するなど、救急患者が受け入れを断られるケースが各地で相次いでいますが、現在の消防法では、消防と医療機関の連携や患者受け入れの方法は定められておらず、責任の所在が明確になっていません。

このため国は消防法を改正し、消防や医療関係者が参加する協議会を都道府県ごとに設置して患者受け入れのルール作りを義務づける方針を固めました。

ルールはそれぞれの地域の実情にあったものを作ることが求められ、例えば搬送時間を短縮するためあらかじめ搬送する医療機関の優先順位をつけておくことや、ベッドが空いていなくても1日だけでも責任を持って受け入れる医療機関を決めておくことなどが想定されています。

また、東京で妊娠した女性が死亡したケースでは女性の容態が医療機関にきちんと伝わっていなかったことから、救急隊が報告する項目を統一化することが検討されています。

総務省消防庁などは、こうした内容を盛り込んだ消防法の改正案を来年の通常国会に提出することにしています。



(2)
■鳥取、島根で救急部教授が逃散 「鳥大医学部付属病院 4月以降救急専属医不在に」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-626.html

■続報 鳥取医大 3次救急崩壊 「専門医4人 全員退職へ」 「救急医を時間外の番人としか思っていない」「プライドを踏みにじられるような状況」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-627.html

関連記事

コメント

消防庁の責任回避のために行われ、
しかも法的に救急病院を叩くことができるようにして、
救急担当医師の精神的な負担を増加させる法整備ですが、
各医師会はなぜ黙っているのでしょうね?
あ、そうか。経営者、病院長も基本的に「救急車断るな!」だし、
断ったら、現場の責任にするだけですね。。。orz
搬送受け入れ→受け入れた病院で対応困難→再搬送先探し
→搬送前・搬送中に死亡→訴訟→当日対応当直医敗訴
→最悪の場合医師生命終了。。。こんな感じ?

また毎日か!

http://mainichi.jp/area/saitama/news/20090206ddlk11070295000c.html
まさか、聞かれてもいないのに自分の職業を言ったり、名詞を得意げに渡したりしていないよね!

銚子市長をリコール、総合病院休止問題で市民団体

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090206-OYT1T00517.htm?from=main4

 千葉県銚子市の市立総合病院を休止したのは選挙公約に反するとして、市民グループ「『何とかしよう銚子市政』市民の会」(茂木薫代表)は6日、2万3405人分の有効署名を添えて市選管に岡野俊昭市長(62)の解職請求(リコール)を行った。

 署名数は解職請求に必要な法定署名数を約3100人分上回っており、岡野市長の解職の是非を問う住民投票は、早ければ3月中にも実施される見通し。有効投票の過半数が賛成すれば、岡野市長は解職される。

 岡野市長は「リコールは市政の混乱と停滞を招く。銚子市の将来にとって決してプラスになることはない」とのコメントを出した。

 岡野市長は約5800人分の署名について、同一筆跡などの疑いあり、無効として、異議を申し出たが、銚子市選管は5日、58人分を除き、有効と認めた。

(2009年2月6日12時44分 読売新聞)

>また毎日か!

マスコミ記者は、他人の悪口で金を稼いでいるからこそ、それを脅しに使うのです。記者を満足させないとニュースでバッシングするぞ、と。歪んだ特権意識です。こういう思い上がりがあるからこそ、一人の医師は沢山の患者を抱えていて、記者だけを優遇して長い時間をかけて特別サーヴィスをするわけにはいかない、ということが記者には理解できないのですよ。医師が記者にたいして行っている濃厚サーヴィスを、他の患者にも平等に行えば、医療は完全に崩壊します。マスコミ記者という、素人にして、他人の悪口で金を稼いでいて、特権意識が肥大している職業の人は、本当に困った存在だと思います。

職場選択すればいいだけ

私のような使えね~医師はそんなリストに載るような高レベルな病院には勤務できません。適材適所を自ら実践するのみです。
え、強制配置?能力が無いって分かってて配置するなら、なんかあったときは道連れにしてやんよ。

救急の受け入れと医療訴訟、労基法(医師の過労問題)は表裏の関係です。後者を解決せずにする施策などすぐに潰れるのは目に見えています。

賠償金、ん億円のトンデモ訴訟の撲滅と、病院の労働基準法を遵守させることが先です。

救急破壊アフターバーナー

でしょうか。法的に救急患者受け入れ義務が生じるなら返上する医療機関が激増する悪寒が、、

義務ねえ・・ってことはベッドがなくても専門医がいなくてもってことよね・・だったら 結果が悪くても訴訟しないとか 労働基準法で医師を守ってよ。このままじゃ 救急医師は全員いなくなるよ。この国おかしいよ。

現実を見詰めないとこういう事になりますね。

http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000000902040009

> ベッドが空いていなくても1日だけでも責任を持って受け入れる医療機関を決めておく

ベッドが空いていない=マンパワーを含め余力がない=責任を持って請け負える状態ではない、という意味なのに、その状態の施設に法的責任を負わせようという根本的に矛盾した主張。

この際問題解決なんかどうでもいい、とにかく誰かに責任を押しつけちゃえ、自分達が責任を負うのだけは絶対に阻止、法律なんてそのためにあるんだぁ!、という「総務省消防庁」の役人根性がプンプンにおっていますね。なんとも露骨だこと。しかもこういう時の行動は実に迅速。逃げる側も迅速にやらないと負けますね。

こんなこと言ったところで、「うちは責任が持てないのでできません」とみんな言いだして、結局どこにも決まらないんじゃない?
あ、一部の現場から遠く離れた管理者(某タブロイド紙OBとか)が勝手に受ける手筈がととのってるのか。
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フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
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