2009/01/24
■独法化した瞬間に即死? 「国立高度専門医療センター:6機関、借入金1700億円超す」
ナショナルセンター群って
医師を極限までこき使っていて、
それなのに赤字を垂れ流している
とは聞いていましたが…。
いつもなぜか立ち寄ってしまう
ロハス・メディカルさん。
いつも大変お世話になっております。
1月8日にはこんな記事が。
ナショナルセンター連携だそうです
http://lohasmedical.jp/blog/2009/01/post_1570.php#more
投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年01月08日 20:06
最近あまり触れてなかったCBニュースですが
今日はすごい話が出ています。
言われてみれば実に理にかなった話で
でも今までそんなことできるとは誰も思ってなかったんでしょう。
たぶん、まだまだ様々な分野に工夫の余地があるのでしょう。
勉強になりました。
”すごい話”というのは
こちら↓。
ナショナルセンターが麻酔科医を
連携して研修するシステムを作るそうです。
麻酔科医育成で国立病院が初の連携
1月8日19時29分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090108-00000006-cbn-soci
麻酔科の研修医に魅力ある研修プログラムを提供することで、教育内容の充実や麻酔科医不足の解消に役立てようと、国立がんセンターや国立循環器病センターなどの専門病院は、連携して麻酔科医の研修プログラムを始めることを決めた。国立病院が連携して研修医の育成に取り組むのは初めてで、2010年度の開始を目指す。最初は国立がんセンターの研修医から始める。国立がんセンター中央病院の土屋了介病院長は、「それぞれの病院が特徴ある症例を持っている。これを生かして、麻酔科を志す多くの若い医師たちが来たいと思うような教育体制をつくりたい」と話しており、こうした動きが地域に波及することで、専門病院が連携して若手医師を育てる体制ができることにも期待を寄せている。(熊田梨恵)
ナショナルセンターによる連携研修プログラムは、後期研修を国立がんセンターで受けることを選択した麻酔科医が、検査や診断などの総合的な知識、気管挿管などの手技や読影などの基本的なオリエンテーションを受けた後、各センターを回って研修を受けるイメージだ。これまで、チーフレジデントが病院を回ったり、個人の人脈による病院間の往来などはあったが、後期研修医に対して体制を整えた研修を提供するのは国内でも初めてになる。
連携研修への参加を予定している国立病院は、現時点で4病院。国立がんセンターは多くの手術を経験することができ、緩和ケアやペインコントロールなどもある。国立循環器病センターは心臓麻酔、国立成育医療センターは小児麻酔が多く、国立国際医療センターは救急患者が多いために緊急手術が多いといった特徴がある。こうした各病院の特徴に応じたプログラムを今後検討していく予定だ。
例えば、国立がんセンターに入った研修医が、1年目に基本的な研修を受け、2年目には実際の手術などを経験していく。その後、3年目には半年ずつ国際医療センターと循環器病センターに行ったり、後半の3か月間にそれぞれ成育医療センターと国際医療センターに行ったりするなど、各研修医の希望に応じて柔軟に設定できるようにする。土屋院長は、「こうして各センターが連携すると、さまざまなコースが用意され、若い医師に魅力的なプログラムを提供できる。皆からうらやましがられるようなプログラムにしたい」と話している。また、国立病院がこうした全国的な取り組みを始めることで、各地域内でも専門病院群が連携して医師を育てていくモデルケースになるとした。
国立循環器病センターの友池仁暢院長は、「麻酔科医がぎりぎりの人数で動いている中、皆が協力していくことが必要なので、一つのいい方向だと思う。ただ、現場は医師不足の状況なので、今の麻酔科にトレーニングするだけの時間的余裕があるかという問題などもある。後期研修でセンターに入って来る方たちは、心臓麻酔をやりたいという高いモチベーションのある方たち。そういう若い医師たちに教えていく体制をどう整えていけるかを考えていく必要がある」と語る。
■背景にがんセンター麻酔部門の充実
この連携研修プログラムは、昨年10月に新たにがんセンター中央病院の麻酔部門の責任者に就任した宮下徹也氏の考案だ。がんセンター中央病院は、昨年春に常勤の麻酔科医が10人から半減したために手術件数を減らして対応していたが、宮下氏の就任や非常勤医の確保など日本麻酔科学会からの応援もあって、現在は以前の手術件数にまでほぼ戻っており、麻酔部門の体制整備が進んでいる。宮下氏は、「米国で一流の医師たちが集まって若い医師を育てる体制を見てきたので、日本でも何かできないかと考えていた。今は麻酔科医の質が問われている。がんセンターは、ただ人を集めるのではなく、良いプログラムをつくることで、野心のある若手医師たちを育てていくといいと思う。質の良い麻酔科医を育てることで、もっと人が集まると思う」と語る。また、土屋院長は「(宮下氏は)現場の改善だけでなく、若い医師の養成についてもしっかりと考えられている。レジデントには、こうして教える側が熱意を持っていくことが大切」と話している。
へー、と思っていたら、
いきなりこれ。
すべてを吹き飛ばすようなネタ。
(…すみません、今までのは全部前振りです)
ナショナルセンター、終了ってお話です。
今が2009年で、
1700億円の赤字をしょって
2010年には独立法人化、って
根本的に何か間違っていませんか?
だって、骨太の方針で決めた
国の1年間の社会保障費削減が
2200億円です。
厚労省が1700億円、
ナショナルセンターに
突っ込んだら、
日本医療自体が飛ぶような
金額ってことです。
国立高度専門医療センター:6機関、借入金1700億円超す
毎日新聞 2009年1月23日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20090123ddm001040022000c.html
10年度に独立行政法人に移行する国立がんセンターなど厚生労働省所管の国立高度専門医療センター6機関(8病院)の借入金残高が計1700億円を超えることが22日、厚労省の試算で分かった。大半の病院で経常支出が経常収入を上回り、国の十分な支援がなければ経営そのものや、医療の質の低下などが懸念される。
国立高度専門医療センターは、がんや循環器、子どもの疾患などの先進医療を担う。独法化は、研究成果の実用化推進や優秀な人材確保などのため、昨年12月に成立した法律で決まった。この過程で厚労省が初めてセンターごとに借入金を試算した。
資料によると、借入金残高は、国立がんセンターが583億円と最多。国立国際医療センターの357億円、国立成育医療センターの343億円--と続き、計1732億円に達した。経常支出に対する経常収入の割合(収支率)は07年度現在、国立がんセンターの中央病院と東病院が100%をやや超えたが、他はそれ以下で、自由に使える財源は乏しい。
中央病院など比較的最近できた病院は、民間に比べ、1床当たりの建設費が約1億円と約3倍高い。厚労省は「借入金は建物や医療機器の整備に充てた。高機能病院のため建設費が高くなり、借入金が膨らんだ。独法化後も運営に支障がないよう財政当局と調整し対処する」としている。【河内敏康】
◇上昌広東京大医科学研究所特任准教授(医療ガバナンス論)の話
独法化すれば、各センターは独立採算を取らなければならず、これだけ大きな借入金の返済はまず不可能。一般病院にはない、がんなど特定疾患の高度な専門治療を行う目的があり、経営困難から不採算部門を切り捨てるようなことがあってはならない。ここまで放置した国の運営責任も重い。対応策を講じるべきだ。
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■国立高度専門医療センターの借入金残高(10年度見込み)と収支率(07年度)
センター名 (所在地) 借入金残高(円) 収支率(%)
がんセンター (東京都中央区) 583億 中央病院 108.3・東病院 100.1
国際医療センター (東京都新宿区) 357億 戸山病院 91.0
成育医療センター (東京都世田谷区)343億 85.7
循環器病センター (大阪府吹田市) 279億 99.7
精神・神経センター(東京都小平市) 111億 旧武蔵病院 88.7・旧国府台病院 77.7
長寿医療センター (愛知県大府市) 59億 82.6
…厚労省、バカすぎ。
自分で決めた料金体制で、
ナショナルセンターが
「超赤字軍団」になり、
お荷物集団になりました。
そして、
切り捨て御免の「独立法人化」。
めんどくさくなっちゃったんでしょうね、
厚労省も。
でも、1700億円の赤字って
独立法人化した瞬間に
終了するんじゃないのでしょうか?
…誰よ、
独立法人化するなんて決めたの?
「赤字が解消できない病院は
すべからく統廃合か縮小してもらう」
とか総務省は言ってましたが、
ナショナルセンター群という
「とんでもない落ちこぼれ集団」
が日本の医療をけん引しているという
皮肉な現象をどうするつもりなんでしょう?
癌研の13億もの粉飾決算(1)が
まるで児戯にも似た
微笑ましいものに見えてきます。
このままなら
ナショナルセンターは、
独立法人化して、
生まれたとたんに
呼吸できなくて即死という、
サーファクタントゼロ状態にも似た
悲惨な末路をたどるでしょう。
(1)
■「「癌研」13億4000万円の粉飾決算、融資確保目的で」 でも癌研は無罪放免
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-598.html
コメント
患者は彷徨う事になるのか…(呆)
2009/01/24 08:36 by 通りすがり URL 編集
天下り先としておいしくないところは、「国の方針=行政改革」をしてるポーズ作りの材料にされるんでしょう。
え?先端医療?いいんですよ、もう。
日本政府は「世界一の医療」という金メダルをもらった時点で満足しちゃったんですから。
2009/01/24 08:45 by Seisan URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2009/01/24 10:07 by 編集
2009/01/24 10:47 by URL 編集
医療界が天下り先でないから全く保護されない
なるほど
天下りにならないから病院認定機構のような社会のゴミをつくり弱っている病院からお金を吸いつくそうとするんですね
あれは認定のための視察を一回受けるだけで数百万以上のお金を病院側から払います
まるでやくざのおしぼり納入商売みたいなもんです
日本の医療はもうすべて壊れてしまえ
毎日そう思います
2009/01/24 12:29 by 昔は志高かった 今はない URL 編集
早い段階で医師会や各種医療系団体に天下りをある程度受け入れていればいまの医師いじめはもうすこしましになってたはずでしょうがね。
おおむね昔の医師のエリート意識vs官僚のエリート意識というあたりがポイントかと。
2009/01/24 13:02 by Seisan URL 編集
これも、医者の給料が高いから!
今の医療報酬では、もはや医療は出来ませんということで。
まだ分からないのでしょうね。
けど、またマスコミは、病院が赤字なのは、
医者などの給料が高いからなどと報道するのでしょうか。
「独立法人化」わくわくです。
2009/01/24 13:31 by ドロッポ医 URL 編集
> 大半の病院で経常支出が経常収入を上回り、
赤字だ黒字だといいますが、自由市場を回っているお金を自力で稼ぎ取ってくる民間企業と異なり、病院の収入の多くは国が決めた額を国から一方的に「支給」されるもので、つまり収入の元は税金(社会保障費)です。ここに民間企業のような経営の理屈を当てはめること自体がナンセンスだと思います。
現状の逆を考えて、仮に大病院全部が真っ黒黒の経営だったら褒めてもらえるのでしょうか?社会保障費を食いすぎだと診療報酬を削られるのが落ちでしょう(余った分は国民に還元せずによそで無駄遣い、でしょうが)。では逆に今のように赤字状態だったらどうするべきか。黒字の逆を考えれば誰にでもわかることで、診療報酬を上げるべきなのです。国民皆保険制度を謳い文句に全国民からお金を巻き上げて管理している以上、そうするのが国の責任のはずです。本質的に、経営の問題ではなく社会保障の問題でしょう。
にもかかわらず、国は国民の怒りの矛先が医師や医療機関に向かうように情報操作しつつ、責任を医療機関に押しつけて自らの責任を放棄しようとしています。本来国民が怒るべき相手は、社会保障費として集めたお金を無計画に勝手に使って国庫を空っぽにした国なのではないでしょうか。
(数年前まではどうしてマスコミがそういう報道をしないのかと思っていましたが、今ではそれがマスコミなのだと私も理解できるようになりました)
2009/01/24 16:42 by 暴利医 URL 編集
2兆円のたった8%ですけど
2009/01/24 20:39 by 元外科医 URL 編集
そのあたりをちゃんとしないと、独法化しようが、移譲民営化しようが、それこそ診療報酬を大幅増額しようが黒字転換は難しいでしょうね。
2009/01/25 12:39 by Seisan URL 編集
ここに就職決まった看護学生です
でも給料いいのは医師だけであって、看護師の新卒の基本給は18万ちょっとです。休みは確かに取れますが安すぎだと思います。
2009/10/03 22:30 by ぴーこ URL 編集