勤務医 開業つれづれ日記・2

勤務医から個人医院を開業しました。僻地医療、医療崩壊で悪化するQOMLの中、僻地勤務や医療崩壊、救急医療、医療制度をつれづれに書いております。いつも周りにいる皆さんに感謝、感謝で頑張っています。

Entry

■産科的僻地、札幌 「7病院拒否、未熟児死亡=自宅で出産後、昨年11月−札幌」

ネタ元は

おだまきさん、

http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-520.html#comment3844

です。

いつも大変お世話になっております。






産科的僻地、札幌(笑)。




札幌では産科医の先生方が

「このままじゃ産科救急はつぶれちゃいます。

どうにかしてください」

と札幌市に言ったら、

「年間100万円以上出せるか、ボケ」

と言われて

産科救急崩壊(1)。






まあ、いつかは

こんな日が来るとは思っていましたが、

昨年11月のネタの

掘り起こし記事なんですね。





せめて、

産科救急をどうするか

札幌市が議論をしていたときに

ネタ出せばいいのに…。






もう

「産科医療には金出しません。

電話対応だけします。」

ということが決まってからの

病院の個人攻撃。







自宅出産の27週、1300gの未熟児。

どんだけ小さいか

想像しないで

記事を書いているのではないでしょうか?




これを救命できて当然、

できないのは

医療の問題と決めてかかるのは

いささか無理があるような気がします。






7病院拒否、未熟児死亡=自宅で出産後、昨年11月−札幌

12月2日12時21分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081202-00000080-jij-soci

 札幌市内の女性が昨年11月に自宅で出産した未熟児が、7病院に受け入れを拒否され、新生児集中治療室(NICU)のない病院に搬送された後に死亡していたことが2日、分かった。同市病院局の野崎清史経営管理部長は同日午前、記者団に「誠に残念だ。大変申し訳ない」と語った。

 札幌市によると、女性は昨年11月15日深夜に自宅で未熟児を出産し、119番で母子とも救急車で運ばれた。女性は同市の掛かり付け病院に運ばれたが、医師が未熟児は治療できないと判断し、同市消防局指令情報センターが受け入れ先を探した。

 北大病院や市立札幌病院、道立子ども総合医療・療育センターなどNICUを有する5カ所を含めた7病院に「満床」「当直医が治療中」などを理由に断られた。通報から約1時間半後、NICUを備えていない同市手稲区の手稲渓仁会病院に運ばれたが、未熟児は搬送中に心肺停止状態に陥った。

 市立札幌病院が16日、受け入れ可能な状態となり、容体を照会したが、手稲渓仁会病院側は「動かせる状態にない」と回答。未熟児はその後に死亡したという。 




早産男児、7病院拒否 10日後死亡 札幌で昨年11月

北海道新聞 2008/12/02 07:16

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/132472.html


 札幌市内の三十歳代の女性が自宅で早産した未熟児が昨年十一月、七病院に「満床」などを理由に受け入れを断られ、一時間半後に新生児集中治療室(NICU)のない市内の病院に搬送され十日後に死亡していたことが一日、分かった。道内で医療体制が最も整備されているはずの札幌で、生まれてくる未熟児の生命が危機にさらされている現実が明らかになった。

 専門医はNICU不足を指摘する一方「未熟児はすぐに低体温、低酸素状態となる。もっと早くNICUで治療できていれば助かったはずだ」としている。

 未熟児は搬送当初は呼吸をしていたものの病院に着いたときには心肺停止に陥っていた。リスクの高い新生児を引き受ける道央圏で唯一の「総合周産期母子医療センター」である市立札幌病院も受け入れを断っていた。

 市などによると、女性は昨年十一月十五日午後十時半ごろ、北区の自宅で腹痛を覚え、妊娠二十七週で一三〇〇グラムの男児を出産。119番通報で男児は救急車で運ばれた。

 市立札幌病院救命救急センターの医師がドクターカーで駆けつけて二十八分後にこの救急車に同乗し、車内で応急処置にあたった。

 女性のかかりつけの医院は重篤な患者を受け入れる施設が整っていなかったため、救急隊が未熟児の状態を確認した直後から消防局指令情報センター(中央区)が電話で受け入れ先病院を探した。

 情報センターは市立札幌病院、北大や札幌医大、道立子ども総合医療・療育センター、民間の総合病院三病院に「NICUが満床」などと次々と断られた。この中にはNICUがない病院もあったが「治療は無理」と断られたという。

 三番目に依頼を受けた市立札幌病院によると、同院のNICUも満床だった上、当直医が「別の患者の治療中で手が離せない」と断ったという。最終的にNICUのない手稲区内の病院が受け入れたが、病院着は翌日午前零時八分。通報から一時間半が経過し、未熟児は心肺停止となっていた。女性は別の救急車で産科のある病院に搬送され、無事だった。

 市立札幌病院は翌日、未熟児の受け入れを申し出たが、この病院から「動かせる状態ではない」と言われたという。市立札幌病院の服部司新生児科部長は「あってはならないケースと認識している。無理をしてでも当日に受け入れるべきだった」と対応の不備を認めている。







偏った報道では定評のある

北海道新聞は

相変わらず医師叩きに

奔走しています。




一誌だけ飛びぬけて

厳しい記事になっています。







ヲイヲイ…

>無理をしてでも当日に受け入れるべきだった



こんなこと言わずに、

さっくりと

「限界を超えていましたので

受け入れられるはずがありません」

と言えばいいのに…。





札幌は

”札幌の道立高 「胸触られた」120人苦情 女生徒 内科検診終了できず”(2)

みたいなこともありましたから、



”札幌の医療僻地化は

どんだけだよ”、

という気がします。







北の大地の医療ネタは

寒すぎて

凍えてしまいそうです。








(1)
■札幌市は産科救急にかける金はないらしい 「札幌の産科重症救急 医会、輪番制9月撤退 市と決裂」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-286.html

■札幌の産科の夜は深く… 「救急医療:産婦人科医会、札幌市の改善提案を拒否 当番体制の辞退も /北海道」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-277.html

■さらば札幌 産科二次救急消滅へ 「重症救急撤退を通告 札幌市産婦人科医会」
http://ameblo.jp/med/entry-10075985719.html

■北海道新聞社説 「産科救急問題 患者置き去りでは困る」
http://ameblo.jp/med/entry-10076274995.html




(2)
■札幌の道立高 「胸触られた」120人苦情 女生徒 内科検診終了できず
http://ameblo.jp/med/entry-10038485605.html

*Comment

Corpus Hippocraticum 

中間管理職先生、昨日はご訪問ありがとうございました♪

道新には、ある有名な医事問題の報道でお電話したことがあります。
ホェホェ泣きながら(←得意だな)お医者たん頑張ってるのにひどいーと訴えると、その時の記事は道新の記者さんでなく共同通信の配信記事だとの事でしたが…。

ヒポクラテスの誓いの直訳にある、結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる…の文言は専門外は専門医に任せるという意味という解釈でいます。専門医がいない、また満床や、処置中ならば、受け入れは不可能である、勿論患者さんの為に…そう捉えます。
人手が増えるシステム作りが肝要だと思います。
  • posted by エビ 
  • URL 
  • 2008.12/03 09:37分 
  • [Edit]

朝のワイドショー 

ちら見したら小倉○昭が「新生児治療のベッドっていくらかかるんですかね。高いんでしょうが…」と的外れな事言ったら、さすがの医療コメンテーター伊藤○也氏も「ベッドじゃなくて新生児を診れるお医者さんがいないんです。ベッドを増やしても医師も看護師も絶対数が足りてないんです」と言ってました。
昨日のニュースゼロによると自治医科大学は6床の24時間NICUを作ろうとしたけど、産科20人、小児科20人と言う必要な医師数を揃えられずベッドはあるけど稼動できない状態だそうです。ちなみに現状の医師数は産科9人、小児科4人だそうです。
  • posted by 通りすがり 
  • URL 
  • 2008.12/03 10:04分 
  • [Edit]

 

重症新生児を中心とするNICUだけでなく、そこまで悪くないが、入院管理を必要とする(33-4週以降の未熟児など)新生児を対象とした準NICUを指定する、なんて話もあるようです(だからと言って医師が少なくて済むわけではないように思うんですがね)。
NICUなんて、3次救命センター以上に労働集約現場ですから、専任医師が7-8人いれば、(労働基準法を無視すれば)NICUは回せますが、いまどき新生児科医(小児科医に非ず)7-8人なんてそろえてる病院は日本全国を探しても10件程度じゃないかな?
ほとんどは小児科と兼任で当直を回しているはずです。
ただ、NICUの要件として、当直(あるいは交代勤務)はNICU専任でないといけなくなっており、NICU当直が一般の小児科当直を手伝っちゃいけないんですよね。だから小児科全体の当直としては2列になっちゃう。だから労基法をある程度遵守して当直を組もうとすると、小児科医20人(新生児科と区別してません)が必要になる。

ちなみに、DPC病院ではNICUは大赤字です。いつまで入院が必要かわからない(定量化できない)ですからね。で、NICUを持ってるほどの病院はもうすでにほとんどDPC化してる・・・
出来高払いだと、NICU認定施設なら、入院1日7000点くらい付きますので、それなりに儲かるはずなんですけどねぇ。
  • posted by Seisan 
  • URL 
  • 2008.12/03 10:57分 
  • [Edit]

 

伊藤隼哉氏、ちゃんと調べてきているおかげか、最近の言動はだいぶ普通になりました。現実というものを理解しているんでしょうか。というより、周りがどんどん下品になってきているから相対的にスタンスがこちらよりになったのかもしれませんね。
  • posted by Seisan 
  • URL 
  • 2008.12/03 11:54分 
  • [Edit]

 

ちなみにフルスケールのNICU病床1床当たりの設備費は新車のフェラーリ1台分くらいです。>小倉さん
  • posted by Seisan 
  • URL 
  • 2008.12/03 11:56分 
  • [Edit]

 

伊藤さんには昔、(自称)医療ジャーナリストと紹介され、嫌悪感しか湧きませんでしたが、ググッてからは、以前、お世話になった写真家と知り、今は感謝の感情さえ湧いてきますw

取材をして、現場医師の実情も理解できているようですので、仲の良かったある市民団体との間はこじれているんじゃないですかね、人ごとながら心配です。
  • posted by Hekichin 
  • URL 
  • 2008.12/03 19:19分 
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3000万円くらいですか>NICU
CTやMRIや病院の床に比べれば遥かに安いですね。設備費に限ればの話ですが。
  • posted by 泥曰 
  • URL 
  • 2008.12/03 20:03分 
  • [Edit]

 

伊藤隼也氏でした。お名前を間違えてしまい、申し訳ありませんでした。
  • posted by Seisan 
  • URL 
  • 2008.12/03 20:23分 
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もっと早くNICUで治療できていれば助かったはずだ
を太字にされたのはさすが慧眼と存じます。
どこの専門医がそんなことを言うものですか。
医師の名前を出してないところを見るとこの発言は道新の捏造ではないかと疑っております。
小児科専門医(かつインチキ新生児科医)からしてみれば27週の児が出生直後に心肺停止状態になるのは当たり前、自宅で分娩した時点であきらめてください。
いそいでNICUに運んだところで手遅れでしょう。「もっと早くNICUで・・・」が生後0分からという意味なら理解できますが。
救急車に引っ張り出されたDrもお気の毒です。1300グラムの児に挿管なんてしたこと無いでしょうに。ていうか2.5ミリの気管内チューブなんて救急車においてあるのかね。
  • posted by 小児科19年目 
  • URL 
  • 2008.12/03 21:03分 
  • [Edit]

赤ちゃんの挿管 

普通の乳児はしたことがありますが、1300gのベビーの挿管なんてしたことありません。大体チュ−ブが無いでしょ。血管確保も無理そう。

やはり、普通の一次救急では救命できませんね。

 

>小児科19年目 さま
いや、TV取材で今回の件で受け入れ不能であった施設の先生が仰ってるんですよ。
”妊娠二十七週で一三〇〇グラムなら、NICUに入っていたら助かった(救命出来た)可能性が高い”
という内容の発言を。

でも流石に「自宅で出産しても」ということはないですよね。「もっと早く」とは、施設で出産して、即座にNICUに収容されていればという意味でしょう。
マスコミに都合の良い部分だけオンエアーされたと思いたいですが。
  • posted by こんた 
  • URL 
  • 2008.12/03 21:43分 
  • [Edit]

 

>こんた さま
テレビでの発言は見逃しておりましたが、全くおっしゃるとおりと思います。実際目の前で生まれたなら死なすわけにはいかんケースです。
でも墜落分娩にまで責任もてないですよ。どんな管理されてたかもわからないのに「助かったはず」というのはあまりに無責任な発言ですね。
  • posted by 小児科19年目 
  • URL 
  • 2008.12/03 22:02分 
  • [Edit]

 

たとえ22・23週の蘇生に慣れた奴隷新生児科医でも、自宅墜落産で吸引も酸素もアンビューも挿管チューブも薬剤も何も無く保温すらまともに出来ない環境で27週1300gを蘇生汁と言われたってムリポでしょうよ。

「もっと早くNICUで治療できていれば助かったはずだ」の大前提として物凄く高いハードルがあるわけですが、それをさも、NICUに運びさえすれば助かる(マスゴミ的には多分インタクトサバイバル)様に書くとは道新さすがですw
  • posted by ててれけ 
  • URL 
  • 2008.12/04 09:28分 
  • [Edit]

札幌市長 

2chで見つけました。
http://www.zenkoubun.jp/print/geijyutu/art20/P04-09.pdf
>私は、弁護士として医療事故にずっと携わっていました。患者さんの弁護をして、お医者さんを相手に医療訴訟をたくさん起こして25 年やってきたんです。
>1 万6 千人いる小学校6年生に全員札幌交響楽団の本格的な演奏を聴いてもらう事業です。経費は3500万円くらい。
>厳しい財政でも芸術文化を大事に

…こういう人ね。
芸術文化が大事なのは分かるけど、もう少し医療にも目を向けてもらえないものでしょうか?
「お医者さんを相手に医療訴訟をたくさん起こす」だけじゃなく…無理か。
  • posted by 耶馬苦痢陰弔 
  • URL 
  • 2008.12/04 16:31分 
  • [Edit]

札幌の市長はアホです。 

札幌の産科2次救急を2000万円をケチったために崩壊させ、中央バスというバスに移管したバス路線の赤字補填(3億)が出来ないと喧嘩別れして、他のバス会社に頼んだら10億以上かかるといわれ、市民の批判にさらされた挙句、違約金(推定1億)を支払い、結局中央バスに3億払うことに決定。この違約金の2-3割で札幌の産科2次救急は維持できたのに・・・。
しかも、話には続きがあり、市に損害を与えたのに、減給1ヶ月(10%)でお咎め終了。
自分には非常に甘いあほ市長です。

この人が市長である限り札幌の2次救急問題は永遠に解決しません。
  • posted by ある医師 
  • URL 
  • 2008.12/04 19:41分 
  • [Edit]

本人にも 

はっきり言います!
批判を承知で言います!!
産科医療に携わっているものって…
受け入れ拒否ではなく受け入れ不可能です””
受診していなかった患者に問題があります!!
お産は、こわい!自分で責任を持って、胎児の命を守るべきです!!
  • posted by あや 
  • URL 
  • 2009.02/09 00:11分 
  • [Edit]

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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない空間

というフルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず(笑)。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊し…
 ↓
開業、借金は天文学的数字に…(爆)


今は開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴(笑)と、かな〜り個人的な趣味(笑)のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


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