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■”東(墨東)と西(杏林)については決壊” 「杏林大病院など脳出血の妊婦受け入れ拒否、意識不明の状態に」

中途半端な返答をするのは

一番いけません。



どうして、

産科医療の先生方は、

「医師が数名しかいないので

どんな状況の患者さんであろうと、

受け入れられない場合があります」

と、はっきり言わないのでしょう?




>「(かかりつけ病院からは)受け入れを待てる状態だと言われた。緊急性があると分かっていれば受け入れた」

なんて書かれると、

「受け入れられるのに

受け入れなかった」

と思われるだけです。






それこそ

身を削って産科医療を行っているのに、

「不可能」と

言いたくなくて

そのような言い方になるのは

本当に理解できるのですが…。







すでに、

産科医療に携わる

ほとんどの医師が

”過労死認定基準以上”の

労働をしていることになります。






このうえ、

さらなる過重労働を

引き受けられるのですか?








「何をどう言われても

不可能なものは不可能です」

と言う勇気が

必要なのではないでしょうか?





マスコミも

ずっとこんな書き方をしていたら、

最後に残った産科医療の

貴重な人材を

どぶに捨てるように

使い捨てることになります。









杏林大病院など脳出血の妊婦受け入れ拒否、意識不明の状態に

2008年11月5日11時59分 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081105-OYT1T00342.htm

 脳出血を起こした東京都調布市内の妊婦(32)が今年9月、杏林大病院(東京都三鷹市)など、少なくとも6病院から受け入れを断られていたことが5日、分かった。

 最終的に都立墨東病院(墨田区)に搬送され、子供は無事に生まれたが、妊婦は意識不明の状態が続いているという。

 杏林大病院は妊婦や胎児の緊急治療に対応する「総合周産期母子医療センター」。先月4日には、江東区内の妊婦が8病院から受け入れを拒否され、脳出血の手術の3日後に死亡している。

 都や調布市内のかかりつけ病院などによると、妊婦は9月22日午後、出産のために入院し、23日午前0時ごろから嘔吐(おうと)や右半身が動かなくなるなどの症状が出始めた。午前3時ごろ、当直医から連絡を受けた院長が診察し、脳疾患の疑いがあると判断、杏林大病院に電話で受け入れを依頼した。

 杏林大病院は総合周産期母子医療センターに指定されており、「産科医を24時間体制で2人以上確保することが望ましい」とする都の基準を満たしていたが、産科の当直医2人が帝王切開の手術中だったことから受け入れを拒否。このため、かかりつけ病院と杏林大病院で、都内の5病院に受け入れを要請をしたが、いずれも拒否された。

 午前6時ごろになって、ようやく約25キロ離れた墨東病院での受け入れが決まり、妊婦が同病院に到着したのは午前7時過ぎだった。

 かかりつけ病院側は、「脳疾患の疑いがあり、杏林大病院に緊急性は伝えた」としているが、杏林大病院は「(かかりつけ病院からは)受け入れを待てる状態だと言われた。緊急性があると分かっていれば受け入れた」と述べるなど、主張が食い違っている。







拠点・杏林大も7割拒否 知事、開業医の当直協力要請

2008年11月6日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20081106-OYT8T00086.htm

 脳出血を起こした調布市内の妊婦(32)が今年9月、杏林大病院(三鷹市)など6病院に受け入れを断られ、意識不明の重体となった問題は、多摩地区の産科医療の窮状を浮き彫りにした。重症妊婦らの緊急治療を行う「総合周産期母子医療センター」は、23区に8か所あるのに対し、多摩地区は、杏林大病院の1か所しかない。お産や治療が集中するため、同病院は母体搬送の受け入れを約70%も断っていた。

 杏林大病院は5日午前に記者会見を開いた。産婦人科の岩下光利教授は、12床ある「母体・胎児集中治療室(MFICU)」について、「ベッド不足が非常に深刻」としたうえで、「切迫早産などの母体搬送の依頼の約70%について、受け入れ出来ない状態だ」と現状を明らかにした。

 都内では先月、脳出血を起こした江東区内の妊婦が都立墨東病院(墨田区)でいったん受け入れを断られ、出産3日後に死亡する問題が起きている。墨東病院も同センターに指定されているが、岩下教授は「墨東は千葉から、杏林は山梨からも患者が運ばれてくる。東京は地域別に総合周産期センターが守りに当たっているが、東(墨東)と西(杏林)については決壊したに等しい」と訴えた。

 都福祉保健局によると、2007年の多摩地区の分娩(ぶんべん)数は3万4726件。産婦人科医は261人(06年)で、7・5人の医師で1000件の分娩に対応していることになり、区部(14・4人)のほぼ倍の負担になる計算だ。

 調布市内の妊婦が受け入れを断られたのも、病院側の多忙さが理由だった。都立府中病院(府中市)は「1人当直の産科医が分娩対応中で、受け入れが困難だった」とし、武蔵野赤十字病院(武蔵野市)は「帝王切開の手術直後で、患者の術後管理もあって断らざるを得なかった」としている。

 石原知事は5日、都医師会の鈴木聰男会長と面会し、都立病院の産科医不足を解消するため、地域の開業医に当直勤務を手伝ってもらう新制度への協力を要請した。鈴木会長は報道陣に、「できるだけのことを進めていきたい」と語った。








誰かを悪人に

仕立て上げなくてはいけないマスコミ。




今の状況では

残念ながら産科医師が

血祭りに上げられています。





天然記念物なみに重要な彼らを

どうして

マスコミはネタとして

打ち殺すような真似をするのでしょう?





このような報道で

どんどん現場の医療が崩壊しています。






さらに、マスコミが報道しているように

「拠点病院には、複数人の産科医の当直が必要」

なんてことになれば、

今でも少ない産科医が

さらに過重労働に引きずり込まれることでしょう。






っていうか、

不可能です。




でも

簡単な算数もできずに

感情論むき出しで

やるんでしょうね…。







そもそも”徴兵”される、

開業医の先生は

自分の病院をほったらかしで

救急をやるんでしょうか?





産科開業医が

表舞台に引きずり出されて

血祭りにあげられるのが

目に浮かびます。






産科医の先生が医師会経由で

”徴兵”されるなら、

医師会脱退すら

助長されるかもしれません。






…マスコミがこれを

「正論」と言うのなら、

「自分の仕事を投げ出して、

月に何日か強制奉仕活動をする」

ことを

マスコミの社員にも義務付けるべきです。





>”東(墨東)と西(杏林)については決壊”




…新たな崩壊の始まりです。
















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コメント

優柔不断

意図的に編集されているのかもしれませんが
ここのところ搬送病院と受け入れ病院の意見の食い違いが
マスコミの格好の餌食になっています。
お互いに足の引っ張り合いを望んでいるとは思いませんが
何故こうなってしまうのでしょう。
受け入れ依頼を断った病院はハッキリと
『受け入れする余裕はありませんでした』
と言うべきです。
『初めからそう言ってくれれば受け入れた』の言い訳を聞くと我々医療者だって、
『だったら受け入れしてあげればよかったじゃんか!』
と感じてしまいますからね。

結局その優柔不断な態度が一般人からの医者たたきにつながるのです。

ダメなものはダメ!とはっきりと言うべきです。
それをしないからなかなか理解されないのですよ!!

今回の受け入れできなかった側のコメント、アホですね。わたしならこんな事いう上司の元では働きたくありません。
奈良県立医大附属病院長のように”こんだけ働いてたんだから無理でした”と事実を示すだけでよかったのです。
”東(墨東)と西(杏林)については決壊”
北と南は大丈夫とでも思ってるのでしょうか?

アホですな

私は超ハード周産期センターでも僻地病院でも勤務経験があります。受け入れる側の苦悩も、送る側の焦りもよくよく理解できます。

この件、当事者ではありませんので想像でしかありませんけど・・・結局、受け入れることができなかったわけでしょう?院内で緊急が続けばどうにもこうにも受け入れられませんよ。院内発生の緊急事態を放っておいて母体搬送を受けろとでも?
どーしてトップは「どうひっくり返しても無理でした。以上!」と言えないのでしょう。事実だったらはっきり公言すればいいだけのことです。もはや、できないことは絶対にできないんです。
「緊急性を感じられなかった」なんて、もしそうだとしてもどーでもいいことです。記者会見でこんな脇の甘い発言をするからつけこまれるんです。私もこんな上司の下で働くのはごめんです。

私も会見を見て「あーあ」と思いました。あんなふうに言わなければならない方の気持ちはわかります。でも あの言葉の裏にある真実がわかるのは医療従事者だけでしょうね。なんか 切なくなりました。これでまた みのもんたが吠えますね。何にも知らないくせに全てわかった顔して吠えるのが目に浮かびます。その前に今夜の古館さんかな。

…言ってほしんですね?判りました。

>どうして、産科医療の先生方は、「医師が数名しかいないのでどんな状況の患者さんであろうと、受け入れられない場合があります」と、はっきり言わないのでしょう?

産科医だからさっ。

それは...

>どうして、産科医療の先生方は、「医師が数名しかいないのでどんな状況の患者さんであろうと、受け入れられない場合があります」と、はっきり言わないのでしょう?

当たり前すぎて言うまでもないと思っているのです。

都立大塚病院「産科救急拠点」へ

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19050.html;jsessionid=3C5CA7523E7DAC59E67D441A34966AB9
救急搬送された妊婦が、「総合周産期母子医療センター」に指定されている東京都立墨東病院(墨田区)ほか計8病院に受け入れられず、死亡したことなどを受け、都は11月7日までに、都立大塚病院(豊島区)を新たに同センターに指定する方針を固めた。指定は2009年度中になる見込みで、指定されれば、都立病院としては墨東病院に次いで2施設目となる。


各個撃破されそうですなぁ

言ってほしいんですね

>どうして、産科医療の先生方は、「医師が数名しかいないのでどんな状況の患者さんであろうと、受け入れられない場合があります」と、はっきり言わないのでしょう?

馬鹿みたいにお人よしだからです。

今日のテレビニュースで

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3990867.html

 「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」(二階俊博経産相)

らしいです。

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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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