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■「医療・介護の崩壊防ぐには正確な実態の開示が必要」「わが国の場合、高齢化度の高さに対する給付水準の低さは異常に近い」



社会保障国民会議がすすめる

「社会保障の推計」。





年齢別の人口変化は

はるか前から予想されていましたが、

今になってあわてていろいろな問題に

取り組もうとすることは

滑稽にすら見えます。





「医師の最大増員計画」と

極めてアンバランスな

「医療費抑制方針」。





つまりは、

「医師をコマとして大量に育成するが、

国は金は出さない。

医師も歯科医師同様に

ワーキングプアになるべき」

というのが国の方針のようです。






これから10年間、

大量生産された医師が

どのような学生生活や

医師の研修を送るか

目に浮かびます。






大学医学部には増員分の金は出されず、

大学教員は指導をあきらめ、

国家試験を通すだけの”予備校”になり、

地方の基幹病院には指導医の姿もない。





国民感情を意識して、

「ほんの少しだけ増額された医療費」



それ以上に増員された大勢の医師が

先を争って奪い合うような

殺伐とした現場になることでしょう…。










医療・介護の崩壊防ぐには正確な実態の開示が必要――大森彌・東京大学名誉教授-

東洋経済 08/09/27 | 16:30

http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/fba5df2ea7b8e48f7eb2009fc2e200f4/

――首相の辞任で、社会保障再生の取り組みへの悪影響が懸念されます。

 社会保障に関しては、未曾有の少子高齢社会への対応という、誰が総理大臣であっても、決して否定できない中長期的な課題が存在しています。その課題にどう取り組むのかについては、国民の賛同が得られなければならない。福田総理の下に設置された社会保障国民会議(以下、国民会議)では、医療・介護の機能強化のために、そのあるべき姿を描きつつ、今後必要な財源総額の推計作業に着手しようとしていました。そのさなかに、総理が突然辞任の意思を表明したのです。

 辞任表明翌々日の9月3日に国民会議が開催されました。その場で総理からは、「10月中旬くらいまでに、最終報告をまとめてもらいたい。医療・介護の費用の将来推計については、今後の社会保障の将来像を考えるうえで必須のデータとなるもの」との発言がありました。

 これを聞いて少し安堵しました。間もなく総理が交代しますが、国民会議は閣議決定で設けられていますので、次の総理がその閣議決定を廃止するとおっしゃらないかぎり、作業を続行して取りまとめたものを次期総理に出せるそうです。9月末から10月上旬にかけて推計の取りまとめを行ったうえで、最終報告書を提出することになります。

 こうした流れを踏まえると、総理の交代はそれほど大きなダメージにはならないのではないかと思います。どなたが総理になられても、社会保障問題については真剣に取り組まないかぎり、国民の信頼と支持を失いかねない。そのくらい重大な政策課題なのです。

――推計とおっしゃられましたが、これは、国民が安心できる医療や介護の体制を整備するために、どれだけおカネが必要かをシミュレーションするということですね。具体的には、何を念頭に推計作業を行うのでしょうか。

 基本的なポイントは、医療・介護の需要と供給の変化を見定め、単価の伸び(経済成長・医療技術革新・サービスの質など)を掛け算することです。その際に望ましい政策介入のあり方を考えることになります。

 供給体制については、相当の劣化が起きていることを重視する。たとえば、医師や介護職の不足が起きている。必要な供給体制をどのくらいのレベルに見込むかということが大きな要素になります。

 供給体制の面では大きな変更がありました。6月に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2008」(以下、「骨太の方針08」)では、厚生労働省事務当局がこれまで認めなかった医師不足の事実を政府が公式にて認め、医学部の定員を「過去最大程度まで増員する」とともに、「今後の必要な医師養成について検討する」と明記されました。大きな転換です。

 介護では人材の確保のために、介護報酬の引き上げ、言い換えると介護職員の労働条件をどれくらい引き上げるべきかが焦点になります。

 需要面については、医療・介護サービスがどこでどれだけ伸びていくかを、推計しなければならない。

 今までの議論で判明していることは、医療費の伸びは経済成長率と高い相関関係があることです。そのほかに、75歳以上の高齢者がどれだけ増えるとか、平均寿命がどれだけ延びるかといったことも考えなければならない。しかし、医療需要の推計では、それらの要素では説明できない「残差」がある。それは、医療機器や新薬の開発など医療技術の発達に伴う医療費の増加です。

――救急医療や産科・小児科の立て直しに必要な額も試算に加えるのですか。

 はい。現在、救急医療の崩壊が起きています。また、急性期病院への資源の投入が非常に手薄になっており、病院医療の現場はひどいありさまです。先進国の中で、急性期病院で産科と小児科、麻酔科の医師がいない国など考えられない。少なくとも、早急に足元から直さないといけない。ここを何とかするために、救急医療や急性期病院のあるべき姿を描く。現在以上の医師や看護師が必要になる。その一方で、病床数や入院日数を減らしていく。急性期後のリハビリテーション病院はどのくらい整備が必要か、療養病床はどうなるのかといったことも試算の前提となります。また、介護施設や居住系施設をどう整備していくかも念頭に置かなければならない。全体の方向としては、できるだけ在宅医療や在宅ケア確立に向かって、「選択と集中」の改革を行っていくという道筋となるのではないでしょうか。 

――医療については、06年の医療制度改革の中心に、「医療費適正化」が据えられました。これは、医療費の抑制をベースにしたものですが、06年改革の抜本的な見直しにつながるのでしょうか。

 06年改革は、社会保障制度の持続可能性をより重視しました。それと同時に、社会保障機能の充実強化が重要な課題となっています。先ほど述べましたが、医師不足問題については、「骨太の方針08」で方針が転換となりました。しかし、大学で養成した医師が、医療現場で活躍し始めるのは、8年とか10年先です。当分の間は、医師、看護師などの専門職の役割分担の見直しが必要でしょう。また、医療・看護の必要度が違う患者が混在することを前提にした診療報酬の決め方も、見直す必要があるのではないでしょうか。

――医療や介護の機能強化に、どれくらいの追加財源が必要ですか。

 はっきりした額は、試算してみなければわかりませんが、医療・介護費は自然体でも伸びていきます。財政の基礎的収支(プライマリーバランス)の黒字化のために、毎年度、社会保障費の2200億円の削減が求められていますが、これは自然に増えていく分を切れということです。今後、75歳以上の高齢者の増加に伴い医療・介護費の増大は避けがたい。介護では、在宅介護のシステムが確立しうまく機能すれば、施設・療養病床依存が強い今より経費はかからなくても済むかもしれない。全体としては、今の見通し(下グラフでの「04~06年改革実施」の場合)よりも増えるということは間違いないでしょう。
わが国の場合、高齢化度の高さに対する給付水準の低さは異常に近い。

――財源確保の必要性を、国民はどう認識していますか。

 イザというときの安心を確保するためには、自然増を含め、これくらいのおカネが必要ですよ、と言った途端に、その財源をどこから調達するかが問題になる。一般論としては、社会保険方式を採っているからといって保険料を限りなく上げることはできない。しかも、他の政策分野の歳出削減で捻出できるかどうか。もしできないとすると、税負担のあり方を議論せざるをえない。ところが、世論調査を見ても、国民は増税を簡単に認めてくれそうにありません。

 内閣府政府広報室が7月から8月にかけて実施した「社会保障に関する特別世論調査」(下図参照)からは、社会保障に対する国民の複雑な意識が浮かび上がってきます。社会保障への不満が非常に強い一方で、「給付水準を保つために、ある程度の負担の増加はやむをえない」という人が4割います。しかしこれは、社会保障費が自然に増える部分についての負担増を表しています。「給付水準を保つ」といっても、機能強化に伴う大幅な負担増はやむをえないと言っているのではないのです。国民の意識は分裂した状態にあるといえます。

 国民の多くは、医療や介護を充実してほしいと思っており、ある程度の負担増も構わないと考えているでしょう。しかし、社会保障制度の担い手である国の行政機関には非常に強い不信感を抱いている。社会保険庁問題は本当に大きなダメージです。それが政権政党への不信につながっている。国民は、簡単に新たな負担増を認めないでしょう。

――このジレンマを克服するには何が必要でしょうか。

 国民に実態をきちんとわかりやすく説明し、国民の健全な常識に訴えるほかありません。たとえば、このところ低所得者対策が話題になりますが、保険料の軽減や高額医療・高額介護合算制度の創設など、低所得者の負担の免除・軽減策は相当にきめ細かくやっているのですが、縦割り行政の迷路の中で極めてわかりにくい。病気になったり、要介護状態になったとき、家計全体でどのくらいの負担に耐えられるのか、負担の上限を再設計すべきです。健全な常識といえば、医師の過酷な労働の実態を知るようになった住民が、現場の医師を守るための活動を起こし始めているのは注目すべきです。

――財源については、どこまで踏み込んで提言を行う考えですか。

 必要な財源を保険料の引き上げで吸収するには限度がある。国税のさらなる投入が必要になるかもしれない。しかし、国民会議は増税を目的にやっているわけではない。最終的に、国民に対し負担増をお願いするのは国会と政党です。

 問題は、社会保障が国民生活の安心の根幹にかかわっているだけに、それが劣化しているということは、民主政治のレジティマシー(正統性)が減衰するということです。このことを国政にたずさわる政治家はもっと深刻に受け止めるべきです。


(岡田広行 撮影:吉野純治、谷川真紀子 =週刊東洋経済)

おおもり・わたる
1940年生まれ。東京大学教授、千葉大学教授を歴任。社会保障国民会議委員として、医療・介護・福祉分野の提言取りまとめの責任者を務める。

(インタビューは9月上旬に行われました)






>わが国の場合、高齢化度の高さに対する給付水準の低さは異常に近い。


現場では

”信じられないほどの努力”

で、医療現場を支えていました。




しかし、

これにたいして

国民も、地方自治体も、

救急患者を搬送する消防署も

「医師叩き」「医療叩き」

という姿勢でのぞみました。





マスコミは

医師の

断罪を続けました。




あれほどの情熱と努力で

支えてきたものは

何だったんでしょう?





そうして、

現場の医師の士気は萎え、

日本医療は崩壊しました。






国際比較をすれば、

医療関係者が

過去にどれだけの

努力をしていたのか

簡単にわかるはずです。





少ない医療費に対して

国際的にも

極めて高い医療の結果、治療成績。





それを

ぼろぼろになるまで

叩き潰した国とマスコミは

いまから何を計算し、

何をうち立てようというのでしょう?











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コメント

NoTitle

国は過去「介護」という領域を放置してきました。そして、それを「医療」にやらせていた現実があります。そのため、介護領域をカバーすべく日本は入院ベッドを増やしてきました。
そのため、ベッド数の割に少ない医師数でも何とか管理ができました。でも、その弊害は本来「介護」であるべきものを「医療」の扱いにしてきたせいで高コストになってしまったことでしょう。
そこで国は「介護」に関する公的な補助をして、「医療」にかかるコストを下げようとして介護保険を創設し、さらに「在宅」にすることにより、施設維持に必要な費用を削減しようとしましたが、介護は医療以上に人手が必要な領域であるのにかかわらず、供給される資金は非常に少なかったため、結局国民負担も「入院させてもらっていた方が安いし、なにより家族が楽ができる」という状態になってしまいました。しかし、今度は国がマスコミを使ってそういった入院を「社会的入院」となじり、入院させるべきベッドを減らし、入院における診療報酬を大胆に削減することにより「医療費」の圧縮を図り、「介護」でカバーできそうな高齢者を無理やり病院から追い出そうとしています。その一方で、介護の現場は施設を増やすこともできず、自宅介護に本来必要な公費負担もつぎ込まず、そのせいで介護は典型的な不人気産業となり、「就職しても先がない」と回避される職種になってしまいました。そして、高齢者は「退院したくても誰にも介護してもらえないから退院できない・させれない」という状態になり、病院のベッドを埋め、本来入院が必要な急性期患者の受け入れができなくなってしまいました。

結局、「医療」を削るために「介護」を分離しようとしたけど、介護産業を育成するための金を渋ったため、介護産業は育たず、現場は崩壊しようとしている、私の理解はこうなのですが、間違っていますでしょうか。
本来なら介護を十分な成長産業にすることで、労働者を吸収させ、失業率の低下も図れるはずなのですが、相変わらず国は「土建業」に労働者が吸収されるシステムを大量の税金を注ぎ込んで維持しています。なぜその方向転換をしようとしないのでしょうか。

NoTitle

Seisan サマ
  私も同じ認識を持っています。
  日本の医療は、介護や社会保障など、医療以外が負うべき分野を幅広く負わされる形で形成された、或いは現場が頑張ってカバーしすぎたと考えています。
  戦争に例えるならば、戦線を拡大しすぎて、以前から『攻勢限界』をも越えてしまっていた。 そして、医療者の献身を前提としてムリヤリ維持していた。 現場の悲鳴や危惧を黙殺しながら。
  医療費削減と研修医制度、資本と人員の補給を断たれたことにより、全戦線の負担が更に増加し、また現場を支えていた士気もマスゴミやDQNに削り取られた。
  日本の医療は、本来持続可能な程度まで戻ろうとしている。 医療『崩壊』は、医療の『正常化』の過程で、戦線の縮小と再構築を模索する過程である。
  現状は『敗走』ですらなく、DQNや訴訟や現場での暴行に過労死など、既に『残敵掃討戦』の段階に至っている。 今の状況下では、縮小していく戦線の中で、下手に頑張ると敵中に孤立し、戦略なき未来なき消耗の挙句に玉砕するしかなくなる。 古来、退きながら戦うことは最も難しいとされている。 もはや、現場で踏みとどまって頑張る選択肢自体が、自動的に『殿』志願、しかも『死に残り』志願に繋がりかねない。
  私は、そのように考えています。

NoTitle

ほとんどサイパンかテニアン、ガダルカナル状態ですね。
装備も失い、補給もなく、援護してくれる味方もない。

ある意味、医療がすべてを引き受けてしまって、介護や福祉などの領域まで引き受けちゃった医療側の甘さもあるのでしょうか。
それゆえに国は真面目に介護福祉を整備してこなかった。そうとも言えるのかもしれません。だからと言って整備してこなかった国の甘さは国家の運営者として重罪だと思いますが。

介護福祉を整備(補給線を再編成する)して、受皿(再編休養と装備改編、支援部隊の確保)をちゃんとしない限り今の混乱と崩壊はとどまるところを知らないでしょうね。
第一線部隊を増やせとはあえて言いません。ちゃんとした補給と砲兵や航空援護などの支援部隊をくださいませ。

NoTitle

 今年度のGDPは前年比マイナスが予想されます。さらに今後5-10年回復しない可能性もあります。つまり支援部隊はいつまでたってもこない可能性が高い。まさにサイパンかテニアン、ガダルカナル状態です。平成20年8月は原爆投下は一応ありませんでしたが、数ヶ月から数年遅れの原爆はありえます。それでも医療以外では日本はまだましとも言えます。
 ところで以下によれば、平均寿命は日本82.3、韓国77.9、キューバ77.7、中国72.5、ベトナム73.7です。したがって日本の医療がどんなに崩壊しても平均寿命は高々5-10年短くなるだけともいえます。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1620.html
 5-10年寿命を延ばすために30兆円プラスアルファ負担するか、中国、ベトナム並で我慢するかは国民=患者の選択です。国債を発行して貧乏な若者からお金を巻き上げよう、医師がボランティアで働けばいいなんてのはもう無理です。日本の医療はどんな制度になったとしてもコストパフォーマンス世界一を提供するだけの能力はあるのですが。
 今まで医師だけの責任にして国が隠し通してきたことを暴いただけでも、舛添の功績は大きいと感じています。再建はできないかもしれませんが。

NoTitle

日本の平均寿命の延長は、老人が死ななくなったことよりも(それだけでなく)、マスコミや一部市民団体の皆様が喜んで叩きまくってこられました「周産期死亡率」の爆発的向上が寄与しています。
いま、産科が崩壊の危機にひんしています(というより崩壊途上)が、昭和20-30年代の医療に逆戻りしたら、あっという間に平均寿命なんて下がります。
そうしたら、「医者は何をしてやがる」「患者を大事にしないからこんなことになるんだ」とさらに叩かれるのも必定でしょう。

しかし、今までの出生数に比べての圧倒的な戦力不足の下でいまだに世界一の周産期死亡率を維持し続けている産科の先生の努力には頭が下がります。

でも

そろそろ産科医の努力も限界なのではないでしょうか。破局の時は近いと思います。

NoTitle

破局のときは近い、というよりはすでに過ぎたのではないでしょうか?まだ見えてないだけで。

NoTitle

  産婦人科医の先生方の努力には、私もひたすら感服しています。
  産婦人科の破局に関して、どこかで産婦人科専門医の年齢構成を見たことがあります。 残念ながら、今は検索して見つけられませんでした。 高齢化が著しく、放置すると5~10年程度で大量定年になります。 若手の大量参入も望むべくない今、起爆スイッチの入った時限爆弾を抱えている状態ともいえます。
  残念ながら、日本が世界に冠たる周産期治療を達成していた時代は、構造上、遠からず終焉を迎えるでしょう。 もし維持されたならば、本当に超人です。

産科医ほど人にとって国にとっても不可欠な科はないように思われますが常に高リスクと隣合わせでなり手がないというのも必然と拝察されます。
産科医を少子化対策の柱の支柱に例えれば、一般人は支柱が少ない建物に住んでいる状態、設計図から支柱がない状態で建築しようというところでしょうか。

これは現場の努力という問題ではなく、
大本の発注側が無理なコストダウンと設計図と労働環境を強いている構造的な歪みが、条件が揃うと負担とリスクが集中的に現れるように思われます。
歪みの集中によるロシアンルーレット状態の負担を回避する対策が自己責任に任されるとするのは上の方の責任回避システムの発動と表裏一体にも思われます。

医師のリスクをフォローし回避することを抜きには産科医不足を解消することはできないはずですが…。

国のシステムというのは一般人から見ると非常に不可解です。

年代別産科医師数

おだまき様のおっしゃられた内容ですが、

http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=348

日医総研のワーキングペーパー「産科医療の将来に向けての調査研究」の11頁あたりから載っていました。産婦人科・産科では男性医師の高齢化、女性医師の割合の増加が生じており、お産のための夜間当直、緊急手術対応などが近い将来にはマンパワー的に困難になる様相を呈しています。

2004年で男性医師の平均年齢51歳、40代~60代の医師が現場の中心となって支えていたわけで、既にそれらの人たちは調査時から4歳年とっています。
あと5年もすれば体力的にこれまでのような連日の当直、36時間以上の連続労働には耐えられない年齢となりますから、女性医師を頭数としてだけではなく、フルに戦力として働ける環境を整備するなど根本的にシステム構築を変えなければ産科医療が成り立たなくなるのは確実で、改革したシステムが安定して機能するまでの10年くらいは、従来の産科医療水準からかなり後退することを覚悟せねばならないでしょう。

さらに言えるのはこれは産科のみではなく、同じシステム構造でこれまで現場の医療を支えてきて、小児科、産科の後を追って崩壊しつつある救急医療、外科手術にもいえることであり、医師に著効を示す不老長寿薬でも開発されない限り近いうちに同じ理由で医療水準の後退が起こるでしょう。

NoTitle

しろふくろう サマ
  まことに有難うございます。 そこに載っていたのですね。
  今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。
     おだまき 拝

自分たちで壊しといて...

産経新聞は毎日新聞と並んで産科医師殲滅作戦を遂行中なんですけどねぇ。今さらなに書いてんだか。
--------------------------------------------
産科勤務の環境 「1年前より悪化」が半数
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080930/bdy0809300831002-n1.htm
日本産科婦人科学会の意識調査によると、ほぼ半数が1年前より勤務状況が悪化したと回答した。「医師不足が改善されていない」「周囲の施設が減り、残った施設の負担が増加している」などの理由が多く挙がったという。
 調査は7月に実施。対象は医大生の卒後研修を実施している約750病院。産婦人科の責任者の医師に回答を求めた。332病院が回答し、回答率44%。
 産婦人科全体の状況について1年前と比べてどう感じるかを問うと、「悪くなっている」「少し悪くなっている」が合わせて47%。「良くなっている」「少し良くなっている」の計18%を大きく上回った。
 学会で医療提供体制の検討委員長を務める北里大医学部の海野信也教授は「全体状況が改善する段階には来ていない。研修医らの参入を促す方策を推進する必要がある」としている。

NoTitle

しかし、社会保障国民会議だなんて名前、やめてくれないですかね。どう考えても社会保障「経営者」会議だろう。
社会保障を会社経営者の立場からみる。
ミーンナ鼻薬が効いてて、ある程度のことは言うが、企業の社会保障費の負担増加(ヨーロッパ諸国では法人税を下げる代わりにこちらを増やしていますね)なんておくびにも出さない。

Hekichin様、

個人的には、
>「良くなっている」「少し良くなっている」の計18%
の親の顔が見たいですねw。本人の顔でもいいけどww 。

逆張りらしい...です

実はうちで面倒をみた産婦人科希望の研修医曰く
「これ以上悪くなることはないだろうから逆張りですよwww」
な~んて、お気楽特攻志願兵になってます。

まぁ確かに国が直接産科医師に手当支給なんて報道も
ありますからね~500円くらいでしょうがw

ウチの親父(73)みたい…

Hekichin様、
>「これ以上悪くなることはないだろうから逆張りですよwww」 な~んて、お気楽特攻志願兵になってます。

ウチの親父も、「今20歳なら絶対産科医になる!」と申してはいますがねえ。希少性こそ最大の武器、と…。
一理はあると思うのですが人生賭けてそんな大博打はちょっと…。

逆張りは危険ですね

Hekichin さま
>「これ以上悪くなることはないだろうから逆張りですよwww」 な~んて、お気楽特攻志願兵になってます。

若い人が相場に例えて人生を考えているのならば、相場の格言を教えてあげてください。「落ちてくるナイフを掴むな」、です。

底を打ったことを確認してから買いにいかないと、だいたい落ちる速度がさらに増して大けがをします。相場であれば、急落中は「買い」ではなく、「売り」のチャンスというのがセオリーというもの。どうしても「買い」にいくなら、せめてオプション等でリスクヘッジしておかないと。
(この場合なら、リスクヘッジはあらかじめ決めた期限内での他科転向脱出路の事前確保かな。ロスカットラインは、事前に決めておかないとダメです。渦中では冷静な判断ができない。言うは易く行うは難し、の典型ですが)

NoTitle

不人気科の先生は、授業中に「人気がない科を選んだほうが、将来、報われる」みたいなことをよく言いますし、学生の中にも、それに洗脳されている人がいます。男なのに、産婦人科しか考えていない人とか。産婦人科医が男だというだけでセクハラになる時世をまったく読めていないようです。患者が求めているのは女の産婦人科医です。

NoTitle

私が医者になった時はまだ医療界全体に余裕があったので、周りの反対を押し切って小児科医になっても、その後も大変とは言え現状おおむね社会に大事にしてもらっています。
小児科はあくまで内科系なので、その辺がリスクヘッジになっており、今でも一定の志願者が現われています。収入の面でも、当直バイトなどは、内科医師などに比べてもかなりいいと思います。しかし、産婦人科は、ねぇ…(笑)
最終的には「婦人科」のみになってお産をしない、というのがリスクヘッジになりうるかとは思いますが、同じ地雷原でもサバンナで手探りすればよけることも可能な地雷原か、ジャングルで探る間もなく踏んでしまう地雷原(しかも隠れて襲ってくる猛獣あり)を進むかの違いに感じてしまいます。
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中間管理職: このブログの管理人。
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某大学医学部を卒業
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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


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