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■臨床論文の危機 中国にも抜かれた 「臨床医学論文数、日本18位に転落」

オリンピックと一緒で、

お金をかけないと

順位も上がらない、

ど根性だけでは

どうしようもない、ということです。





日本の臨床研究は

大学にいる医師の

”ど根性”だけで

支えられていました。





それが崩壊しようとしています。




なにせ、

「医師の研究時間は仕事時間ではない」

と、厚労省が宣言するぐらいですから(1)、

まったく臨床研究を

ないがしろにしているのが

国の方針のようです。







臨床論文が全く出ない状況で、

臨床のレヴェルだけをあげることなんか

不可能です。






企業が開発費を出さずに

レヴェルをあげることができないのと

一緒です(笑)。





しかし、

日本では

「臨床レヴェルは

世界最高を24時間提供しないと

医療裁判では負ける」

が、

「医療費は先進国最低、

医療論文数もどんどん減少」

という状況になっています。





自分がやっていることの

意味が分かっていないとしか

思えません…。









臨床医学論文数、日本18位に転落

2008年8月28日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080828-OYT8T00204.htm

 臨床医学分野の日本の研究論文数は、ここ5年間は18位まで落ち込み、中国にも追い抜かれていることが、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所の高鳥登志郎・主任研究員の調査で明らかになった。

 英国の「ランセット」など著名な臨床医学誌3誌に掲載された論文数を国別に調べた結果、1993~97年と98~2002年の日本の論文数は、いずれも12位につけていた。しかし、03~07年では74本と18位に落ち込み、中国(15位)などにも追い抜かれた。

 一方、米国の「ネイチャー・メディシン」など基礎医学分野の主要3誌の論文数は、日本は98~02年、03~07年とも、米国、ドイツに次いで3位を維持している。




オリジナルを探してみました。

日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所
http://www.jpma.or.jp/opir/news/index.html

の中にある一番新しいニュースです。

政策研ニュース No.25 (PDF形式です)
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-25.pdf


このP.18からの

わが国における臨床医学研究の現状と国際比較
医薬産業政策研究所主任研究員高鳥登志郎……18

が今回の引用のようです。




表を抜粋させていただきました。





2003-2007 基礎医学論文

1 米国2674
2 ドイツ442
3 日本369
4 イギリス314
5 フランス269
6 カナダ204
7 スイス166
8 イタリア155
9 オランダ127
10 オーストラリア120
11 スウェーデン85
12 オーストリア67
13 中国53
14 スペイン53
15 ベルギー49
16 イスラエル47
17 スコットランド47
18 韓国39
19 デンマーク28
20 フィンランド20
21 ブラジル19
22 ノルウェー19
23 台湾16
24 アイルランド14
25 シンガポール14




2003-2007 臨床医学論文

1 米国2677
2 イギリス873
3 カナダ462
4 ドイツ343
5 フランス300
6 オランダ294
7 イタリア279
8 オーストラリア260
9 スイス252
10 ベルギー177
11 スウェーデン166
12 スコットランド145
13 スペイン141
14 デンマーク135
15 中国102
16 ノルウェー86
17 フィンランド79
18 日本74
19 ブラジル67
20 ニュージーランド67
21 南アフリカ61
22 ポーランド60
23 オーストリア57
24 イスラエル51
25 インド47






いまは現状を維持している

基礎医学研究論文も

いずれは

崩壊するのではないでしょうか?





法医学や病理学、

解剖学などから

その兆候は十分に見て取れます。




すでに

法医学は全国的に崩壊していますし、

(都道府県に1名の法医学の医師すら確保できていない)

今後

「医療安全調査委員会」

なんか、絶対にできないような

状況です(笑)。











(1)
「研究・待機は労働時間ではない」 柳沢強制労働大臣 平成19年3月6日参議院予算委員会
http://ameblo.jp/med/entry-10027419160.html











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コメント

基礎研究も同じ

そのとおりですね。
いままで日本の基礎研究を支えてきたおおきな柱のひとつは医師が基礎講座に大学院生として勉強にいって活発に研究をしていたからです。ところが、いまや若いひとたちは研究なんてして博士号をとっても、なんのメリットもないと言います。いづれ、基礎研究も衰退していくことは間違いないでしょう。このように日本国の医学や医療の知的水準をを著しく低下させる原因をつくっているのは、若いひとたちがそのような価値観をもつように誘導した厚生労働省をはじめとした日本政府であることを忘れてはなりません。

本来臨床研究ってのはものすごく、お金と人員がかかるもの。
昔は、お金のない教室でも保険診療に隠れて少しずつデータを集めていたね。ICなんてなにそれ?って時代。それが良いはずはないけども。そうやって地道に臨床研究を進めていた。

世の流れで最近は流石にそういった事ができなくなった。最近自分が関わる研究は、製薬会社絡みばかり、要するにヒモ付き。
もともと、日本では臨床研究に関わる患者さんにメリットはあまりないんだもの。しかも、フリーアクセス。臨床研究の話を持ち出しても、普通拒否、もしくは来なくなっちゃう。

お金、人員のない教室ではもう臨床研究は無理でしょ。

もうひとこと

ちなみに18位でも立派なものと思います。
英文で書くというストレスもありますが、

臨床論文数上位の国は
医療費の対GDP支出、人口あたり医師数において殆どが日本より上位の国ですから。
臨床論文を医師の職務と位置づけた場合、そうそう上位に食い込めるはずもない。

例外は隣国ですね。

露骨すぎてワロタ

働きやすい病院を!医師の勤務環境改善の取組を支援
周産期、小児、救急医療の医師確保に向けて
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/08/20i8s500.htm

東京都庁の公式HPです。
お、いいこといってんじゃん、と思ったら…

※国、独立行政法人国立病院機構、都及び財団法人東京都保健医療公社が設置する病院は除く
※国、独立行政法人国立病院機構、都及び財団法人東京都保健医療公社が設置する病院は除く
※国、独立行政法人国立病院機構、都及び財団法人東京都保健医療公社が設置する病院は除く

つまり、「都内の国公立病院勤務医の勤務環境を改善する気はありません」という宣言ですね。
ますますこれらの病院からの逃散が進みそうです。

これからが本番

スーパーローテート1年生が今5年目。昔ならそろそろ大学院生となる頃です。臨床系大学院崩壊はこれからが本番です。基礎系はMD以外が大学院に入っているところはもう少し生き残る気がします。

勉強すればするほど損する社会

医師の処遇が悪くなるばかりの今、大学院は時間とカネの無駄、と考える医学生が増えています。専門医さえ取れればいいという考え方が主流になってきています。

そもそも、我が国の大学院政策は、教員の雇用を守るために学生から学費を集めているだけで、大学院での先進的な研究には国は全然興味がないのです。医師免許など食べていける資格を持っている院生はともかく、そういう資格のない院生は、卒業後は路頭に迷うだけですから、院に進学することは自殺行為である、という考え方が大学生の間に広がっています。

勉強すればするほど損する社会です。

考えてみれば 以前は博士号は公立病院の部長や医長就任に必須でしたが 最近はそれもなくなりました。

専門医と同じで博士号を取得したからといって 処遇や診療報酬が上がるわけでもないのです。

結局4年間大学院に行ったところで便利な無給医あつかいです。臨床医が基礎実験をやったところで臨床のスキルも却って忘れてしまいます。大学院生個人が臨床研究を試みても4年という限られた期間の研究が英文雑誌に掲載されるほど甘くはありません。
ならば大学院入学を執拗に勧められる大学病院よりも臨床の実力がつく病院を選ぶのはごく自然です。

逆に基礎研究は日進月歩で 次々と研究機器を購入できないと論文になりません。昔は免疫染色だけ、PCRだけで論文はacceptされましたが、今はもう無理です。

国家単位で研究助成を増やさない限り 先行き真っ暗です。

それに、いまどき患者が重症化して死亡してしまった症例報告なんて、どこで誰が訴訟のネタにしてくれるかわかりませんからね。そういうレポートの積み重ねが臨床を進歩させてきたと思いますが。

単純に考えて、「うまくいった症例報告」はされるが「うまくいかなかった症例報告」ができなくなってしまうので、半減することでしょう。
現実には、「論文を書く暇もない」状況になるので、もっと少なくなりますね。

ミスやうまくいかなかった事は、情報共有の名の下、強制申告させて徹底的に調査・責任を取らせる方向になっているのに、それに夢中になって、うまくいったことの情報共有はやりにくくしてしまっていることになぜ気がつかないんでしょうね。

医療関係者から批判の「5分ルール」、中医協が調査へ

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080830-OYT1T00548.htm

 厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が、医師が外来患者の問診や身体診察、指導などを5分以上行うと診療報酬を上乗せできる「5分ルール」について、調査を実施することになった。

 医療関係者から「医療機関の収入減につながる」などの批判が出ていることを踏まえたものだ。10月から調査を始め、来年1月にも調査結果を公表する。医療機関への影響を見極めたうえで、ルールの見直しも検討する。

 「5分ルール」は今年4月の診療報酬改定で、診療所と中小病院の外来の再診料に導入された。「3時間待ち・3分診療」などといわれる患者の不満を解消し、「患者を懇切丁寧に診察してもらう」との狙いがあった。診察時間が5分未満だと、「外来管理加算」(520円)という診療報酬が支払われず、5分以上だと支払われる。

 しかし、医療関係団体から、「不要なのに無意味に長く診察し、診療報酬をもらう医師が出てくる」「一日に診察できる患者の数が不当に制限される」などの批判が相次いでいる。

 調査は医療機関と患者を対象に実施する。医療機関については一日当たりの患者数や診療時間、患者への説明内容などを調べる。患者に対しては、医師の説明内容への理解度と満足度などを聞くことにしている。

(2008年8月30日20時31分 読売新聞)
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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