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■福島大野事件 NHKはかなり偏りあり 「時論公論 「産科事故裁判からの問いかけ」」

ネタ元は

可愛さん
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-337.html#comment2254

です。ありがとうございます。






裁判の判決が出た

8月20日に報道された

NHK 解説委員室です。




かなり判決に対して

批判的な内容になっており、

ネット上でも

「NHKと毎日新聞”だけ”は

福島大野事件の判決を

かなり否定的にみているようだ」

と言われています。






天漢日乗さんの

「産科崩壊 女の敵は女」(1)

というタイトルに脱帽です(笑)。



絵がでかいんですが、

勘弁してください(笑)。





時論公論 「産科事故裁判からの問いかけ」

NHK 解説委員室 2008年08月20日 (水)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/10921.html

飯野奈津子解説委員

<イントロ>
こんばんは。ニュース解説時論公論です。今夜は、医療現場に大きな波紋を広げた、産科事故をめぐる裁判についてです。帝王切開の手術で無理な処置をして女性を死亡させたとして、刑事責任に問われた医師に、無罪判決が言い渡されました。この判決の意味と、裁判を通して見えてきた課題を考えます。



<事件の内容>
まず、この事故の内容です。
事故が起きたのは、福島県の県立大野病院です。2004年の12月、当時29歳だった女性が、帝王切開の手術を受け、赤ちゃんは無事生まれましたが、その後女性は大量に出血して、死亡しました。翌年の3月、県の委員会から、医療ミスがあったとする報告書が公表され、それをきっかけに警察の捜査が始まりました。そして、その翌年の2月、執刀した医師が、女性の胎盤を無理にはがし、大量の出血を引き起こして死亡させたなどとして業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕・起訴されたものです。

j080820_01.jpg



<注目された事件>
この事件が医療界に衝撃を与えたのは、治療における医師の判断そのものが過失に問われたからです。このため「明らかな過失がないのに、医師を逮捕するのは不当」だという抗議が全国の医療関係者から相次ぎました。そして、この事件以降、お産を扱う医療機関が減り、救急などの現場でも難しい医療を敬遠する動きに拍車がかかったといわれています。懸命に治療に当たっても、予想外で重大な結果になったら、犯罪者にされてしまうとうけとめられたからです。

<裁判の争点と判決>
果たして司法の場でこの事件が判断されるか、注目された裁判の内容です。
亡くなった女性は癒着胎盤という危険な状態でした。通常は、出産の際へその緒を引っ張ると胎盤が子宮から剥がれ落ちますが、この女性は、胎盤が子宮にくっついた状態だったということです。裁判の争点は大きく二つ。

▲ひとつは、癒着胎盤という危険な状態だと、手術の前に予測できたかどうかという点です。検察側は「事前の検査で予測できたはずだ」と主張。被告の医師側は、「きわめてまれな症例で予測できなかった。」と反論していました。

▲もうひとつが、手術を始めて癒着胎盤と分かってから、そのまま胎盤をはがす処置を続けたことが適切だったどうかです。検察側は「大量出血は予測できたはずで不適切。すぐに中止して子宮ごと摘出すべきだった」と主張しました。これに対して医師側は「最後まで胎盤をはがした方が、出血が止まりやすくなる。日本の医療水準に則した適切な処置だった」と反論しました。

判決では医師側の主張通り、手術前に予測するのは難しかったとした上で、処置を続けたことについても、大量出血の可能性は予測できたものの、当時としては医療水準に即したものだったとして、無罪判決を言い渡しました。


j080820_02_1.jpg

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<判決の評価>
今回の裁判は、投薬の量を間違えたり、カルテを改ざんするといったこれまでの医療事件と違って、どういった治療を選択するのかという、医師の裁量について、過失の有無を判断する珍しいケースです。その中で医師に刑事罰を科すのは、「ほとんどのの医師が行う、一般的な診療を怠った場合に限られる」という基準を示したのが、特徴です。

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つまり、臨床経験の多い複数の医師が、「自分であっても同じ処置をしたと思う」と証言したことが、無罪判決につながったといえるわけです。こうした基準が示されたことで、医療現場は結果が重大であっても、一般的な診療を行っていれば、刑事責任に問われることはないと受け止めています。これから検察が控訴するかどうか、わかりませんが、「無罪判決が出てほっとした」という声が聞こえてきます。

<事故の課題>
しかし、裁判で無罪判決が出たからといって、今回の事故に問題がなかったわけではありません。刑事責任を問うほどの過失がなかったとしても、遺族にとっては見過ごせない問題がありますし、医療界の反応にも納得できない部分があるからです。
その医療界からの反応。大きく二つあります。

▲ひとつは、「警察や検察の介入は、医療崩壊に拍車をかけるだけで、何の意味もない」というもの。

▲もうひとつが、「医師不足こそ問題で、個人の責任を問うべきでない」というものです。大野病院の産婦人科は、当時被告の医師1人だけで、地域のお産をすべて担わざるを得なかったからです。
しかし、今回亡くなった女性の遺族のには、そうした一般論だけでは片づけられない思いがあります。


j080820_03.jpg


▲ まず、警察や検察の問題です。捜査によって明らかになった事実もあって、遺族は警察や検察に感謝したいと話しています。手術が始まってから女性が亡くなるまでの間、病院からの説明は一切なく、その後も納得のいく説明がなかったからです。お産の場合、とりわけ家族の期待が大きく、いくら説明しても納得してもらえないという話を産科医からききます。その難しさもあるでしょうが、医療は不確実で専門性が高い分野だからこそ、医師の側が真摯に説明して、理解を得る努力が、必要ではないでしょうか。その努力を怠ったまま、警察の捜査を批判しても、納得は得られないと思います。

▲医師不足の問題についても、だから死を避けられなかったというのでなく、だからこそ、慎重に手術に臨んでほしかったというのが、遺族の思いです。
今回、執刀した医師は、手術の前に輸血や子宮摘出の可能性を遺族に説明しており、難しい手術であることは認識していたとみられます。それなのに、輸血血液も十分供給されず、一人しか医師がいない体制で、なぜ、手術に臨んだのか。手術の前に、大きな病院への転院や医師の応援要請を、関係者から助言されたのに断っていたことも、裁判の過程で明らかになりました。医師不足の中でも、医療機関が連携するなど、安全を確保する努力を重ねることが、医療側に求められているのだと思います。

<新たな仕組みの必要性と課題>
その上で、今回の事件を取材して改めて感じるのは、医師個人の責任を追及する刑事裁判には限界があるということです。事故の全容を解明して,再発防止につなげることはできませんし、遺族と医療者の間の溝がさらに深まったと感じるからです。双方が納得できる仕組みをどう作るのか。期待されるのが、政府内で検討されている第三者の立場で事故の原因を究明する新しい組織です。
具体的には、診療中の患者が死亡する事故が起きた場合、医療機関や遺族からの届出を受けて、医療の専門家を中心とする医療安全調査委員会がその原因を調べます。そして、問題があった場合は、調査結果を公表して、再発防止策を提言し、悪質なケースに限定して警察に通知します。警察も、委員会での専門的な判断を尊重するとしているので、独自の判断での捜査も減るとされています。

ところが、この仕組の鍵を握る調査委員会がしっかり機能するかまだわかりません。もしここで公正に原因究明をできなければ遺族はやはり警察に頼り、警察も動かざるをえないでしょう。この仕組みが機能するかどうかは、委員会の中心となる医療の専門家たちの対応にかかっているということです。

j080820_04.jpg



<まとめ>
今週初め、今回の事故で亡くなった女性の父親に会うことができました。帝王切開手術で生まれたお孫さんは今年3歳。上のお孫さんは7歳です。2人の孫のためにも、娘の死を無駄にせずに、二度と同じような事故が起きないよう、取り組みを進めてほしいと、静かに語っておられました。無罪判決は、刑事責任を問うほどの過失がなかったと判断したにすぎません。遺族の思いを受け止めて、今回の事件を教訓に、安心して医療を受けられる態勢を整えていくことが、何より必要なのだと思います。


投稿者:飯野 奈津子 | 投稿時間:23:53



こうして見ると、

完全な感情論爆発状態です(笑)。




なぜか

助産師さんの意見に重なるのは

私だけでしょうか?









なにより、

このNHKの論旨は

「大病院で

輸血が十分で

子宮全摘していれば

助かったかもしれない」

というのが前提ですが、

産科医療のこれから

には

「癒着胎盤で子宮摘出し、大病院であっても救命できなかった一例」

という症例の報告があり(2)、

万全の態勢であっても

救命が難しい症例であったことを

伺わせています。





まあ、

NHKの解説員に専門性を求めてはいけない

と言われたら

そこまでですが(笑)。









アメリカからかえってすぐに大野判決。

正直、

時差が抜けてません(笑)。

8月20日から

かなりきつかったです…。



(1)
天漢日乗
産科崩壊 女の敵は女
NHK飯野奈津子解説委員は「大野病院事件は『事故』」と明言 「極めてまれな病死」でも「医師に責任」という論調 NHK時事公論「産科事故判決の課題・刑事責任は問えるか」
@7/21→NHKのサイトに放送内容が載る
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/08/nhk_nhk721_471c.html


(2)
産科医療のこれから
癒着胎盤で子宮摘出し、大病院であっても救命できなかった一例
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/08/post-1341-65.html










関連記事

コメント

おつかれさまです(>▽<)!!

この論説はあまりにひどい。。。。
ま、どうでもいいんですけれどね!

8/20,判決当日の朝7時台のNHKニュースも,遺族の感情論を垂れ流すだけの酷い偏向っぷりでしたよ.
そして,記者コメントとして「事故の背景にある医師不足」などと,取って付けたような,それにしては的外れな一言で締めくくっていました.

彼らに「正しく報道して」とは言いません.
もう,「黙っていて欲しい」ということだけです.

このような感情的な論説を垂れ流すとはNHKも地に堕ちたものですね。この解説員さんは遺族からだけはなく、被告医師もしくは被告弁護団から話を聞いたのでしょうか。

遺族側は納得のいく説明がなかったとしきりに言われますが、亡くなった後にその場で話ができないほどの怒声を浴びせ、その後も医師を墓前に土下座をさせたりと随分と感情的な対応をされているようです。遺族の立場を考えると無理からぬことなので、その是非については言及しませんが、解説員は遺族が被告医師に土下座を求めるような心理状態において、冷静に話を聞き、納得ができるとお考えなのでしょうか。

この場合の遺族の言う納得のいく説明とは、第三者がみて誠実な態度で事実を包み隠さず告げることとは異なるように思います。

結果が悪かったのはすべて医師のせいであり、その償いとして遺族の要求は何でも無条件に受け入れるのが当たり前という感情が消えない限り、何度繰り返し真実を述べても、対応が十分でなかった点を謝罪してもおそらく納得はされないでしょう。

報復感情をもつ遺族にとって必要なのは、医学的な真実を告げられるよりも前に、死を冷静に受け入れるための宗教的カウンセリングのような機会を設けることのように思います。

論説の結論も的はずれで、この事例の不幸な結末は、警察の介入や医療事故防止委員会の設立で解消されるものではありません。なぜなら予想されたリスクへの準備を怠ったために生じた医療過誤ではなく、術前診断が困難で、仮に予想されていても救命できないこともありうる癒着胎盤という疾患だったために生じた結果だからです。専門医を豊富にそろえ、高度な設備を充実させ、24時間緊急手術も大量輸血もいつでも可能な要塞のような病院であれば、幾分救命の可能性が向上したかもしれませんが、それでも100%はありえないでしょう。また妊婦全員がそのような高度医療施設で出産できるわけありませんし、リスクの高い症例に限ってとしても、事前にリスクが診断できない疾患なら意味をなしません。

解説員がこの事例を、医師を刑事責任に問うて罰し、それをみた他の医師が気を引き締めれば「同じ過ち」は生じることがないとお考えならば、問題点が全く理解できておらず解説する資格はありません。

専門性もなければ、専門知識もないテレビ人のやった解説でしょう。
ま、飯野さんの的外れぶりは今に始まったことではないので。
また、やったという感じ。
知りもしないくせに、いい加減なこと言って、恥の上塗り、しただけ。
ま、どっちにしても彼女(飯野さん)程度のテレビ解説者の意見など、医療安全の議論には影響ないし、今後も彼女が勉強して背景を理解できるようになることはないでしょう。
そもそも、彼女の能力の問題ですから。
専門知識もなければ、勉強もしていない人が、一般人にわかるように正確に解説できないから、的外れのコメントになってしまうのです。

飯野さんも含めて、テレビ、新聞、いずれもきちんと専門知識を身につけて背景を理解していない人間が記事を書いたり、コメントを出しています。

しかし、ネットの発達で容赦なく専門家の突込みが即座に入って、コメントの内容が厳しく評価されるようになったのは良いことです。
解説者の能力も合わせて、評価されてしまいます。
彼女(飯野さん)、ダメ解説者に国家レベルで認定されてしまいましたね。

僻地の産科医先生いわく。
>この論説はあまりにひどい。。。。
>ま、どうでもいいんですけれどね!

おっしゃるとおり、飯野さんレベルの的外れの解説など、今後の動きに影響ないですから、どうでもよいことですね。
飯野さん、言えば言うほど、専門家から突っ込まれて、恥をさらすだけ。
それに気づかないとしたら、ただのバカ。

専門知識の欠如と勉強不足は、愚かな解説に結びつきます・・の好例。
またひとり、ダメ解説者が衆目に恥をさらしただけ。

あの三上藤花さまが、天漢日乗先生(女医さん)のブログで、きっちりと突っ込んでおられます。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/08/nhk_nhk721_471c.html#comments

「文章を読む限り飯野論説委員の主張には論理的な穴と実現不可能な世迷い言が含まれていると私は思います。」

手術前の説明

今回の報道に死亡した妊婦さんの冶実父のみがコメントしていることについて手術の説明の対象範囲について考え込んでしまいます。

帝王切開術前の説明は主に外来でなされますから、主治医と妊婦さんの間では何回もされていると思います。
リスクの説明と同時に、遠くのセンターへの転院などについても、話はでましたが、妊婦さん、夫と主治医の間で、出た結論が
①大野病院で手術してほしい。
②子宮摘出はしないでほしい。
だったのでしょう。

夫婦の同意のもと、手術を施行したが妊婦が死亡で子供のみが救命という残念な結果になりました。

死亡後に、実の父親が初めて主治医に会い今までの経過を含めた詳しい説明を聞いても、すべて言い分けにしか聞こえない。ということだったのでしょう。
実父にとっては、術前の説明を聞いていないから、そんなに危険なら遠くでも転院させたのに、とか金銭面なら言ってくれれば何とかしたのになどど、大野病院での手術を引き受けた主治医とそれに同意した夫(嫁ぎ先)に怒りが向ったのでしょう。

日常の診療行為での同意書では、夫婦の同意があれば十分とされます、遠くの親とか親戚は関係ありません。
親族に対する説明責任は、プライバシーもあるため本人と夫にあるのが当然だからです。ガンの告知や治療方針のときも同じです。
それまでの人間関係があらわになり、もめることも少なくありません。
そんなこと聞いていなかったなどどいう、後からの親族からのクレームもありますが、まず家族間で事前にしっかり話し合っていただきたいと思います。

報道等などから、遺族の家族関係の複雑さをみると、死亡後にはじめていろいろ聞かされて納得がいかないという状態から3年もの間抜け出せていない実父が気の毒でなりません。

NHK、400万円支払い謝罪/産科医報道訴訟で和解

NHK、400万円支払い謝罪/産科医報道訴訟で和解
四国新聞社 2008/08/22 18:17
http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20080822000352

 助産行為を資格がない看護師らにさせ、保健所などの指導を受けたという不正確な報道をされ、名誉を傷つけられたとして、愛知県豊明市の産婦人科医院院長がNHKに5500万円の損害賠償を求めた訴訟は22日、NHKが謝罪し、400万円を支払うことを条件に東京地裁(鹿子木康裁判長)で和解した。

 NHKは「今回の件を教訓に今後の取材、報道に生かす」としている。

 訴状によると、この産婦人科医院では、医師や助産師にしかできない妊婦の内診を看護師らにさせていたが、2003年10月以降は中止した。しかし、NHK名古屋放送局は05年1月25日の地方ニュースで、放送時点でも看護師らによる違法な内診が続いているかのように報じたため、患者が激減。年間所得は4000万円以上減った。

やっぱり

やっぱり医者の常識世間の非常識とはよくいったものですね。僕は外科医ですが、世間の考え方はこのNHKの様な考え方なのですよ。殆どの医者が考えていると言うことは、つまりは不正解であるという事実もまた受け止めねばなりません。僕はそう思いました。

子持ちししゃもさま。

>報道等などから、遺族の家族関係の複雑さをみると

判決前のマスコミの記事には、実の父のコメントしかない。
最終判決中の家族の描写にも実の父しか出てこない。
判決後の会見にも実の父しか出ていない。
県出した要望者も、実の父親の名前だけ。

亡くなったかたは婚家の名ではなく、実の父の姓に戻っている。
このとき生まれたお孫さんは、実の父(祖父)に引き取られている。
賠償金は病院から支払われたらしい?

・・・・実の父ばかりが前面に出て、肝心のご主人の姿や婚家の陰が見えないのは、なぜ?




>世間の考え方はこのNHKの様な考え方
>殆どの医者が考えていると言うことは、つまりは不正解

ではないですね。
医療側に理解のある一般人もいれば、知らないくせにずれたコメントする一般人もいる、
が正解では?
大まかであっても背景を知らなければ(理解できなければ)、NHKの解説者のようなボケたコメントになります。
医者でなくても、きちんと理解してくれて報道してくださるジャーナリストもいます。
そして、大まかな背景をわかりやすく説明するのも、プロの仕事かと。


大手のマスコミに背景の理解と解説が期待できない以上は、医療従事者が解説するしかない・・・ネットでね。
今回の件で、大手マスコミに、殆ど期待できないことが、よーーく判りました。


あくまで推測なのですが、亡くなられた妊婦さんのご主人は、最初の段階でもう納得されておられるのではないでしょうか。だからもめるつもりはなかった。
でも、妊婦さんの父が「そんな説明もなにも受けていない」(本来説明義務はない)とごねだして話がややこしくなったのでは?

世間の認識

まことさま。

「世間の認識がこうである」とおっしゃいますが、「世間の認識」をミスリードしているのはまさにこのようなマスコミだと考えています。
本来なら、安全・安心な医療を実現するためには医療者と一般の方の認識の差を縮めていくのが必要(たとえば、医療は万能ではなく、最善の手段を取っても救命できないことは沢山ある、などですね)なのに、マスコミが先頭に立って「結果が悪けりゃ医者がミスしたに違いない」という先入観で報道を繰り返しています。
そりゃ、こんな報道が続けば、一般の人の考え方もそうなってしまうのは当たり前です。
本来なら、「このような不幸な転機であったが、経過をみると医師にばかり責任があるとは思えない」といったちゃんとした分析に基づく記事があってもおかしくないのに、詳しい経過も知らずに「医療ミスがあった」という前提で報道するんですから、一般の人も「医者にかかって何かあったら、やっぱりミスがあったんだろう。ちょっとでも納得いかなかったらとにかくクレームをつけておかしいところを見つけなくちゃ」となるのは当たり前です。決してそうではないことはマスコミは一切報道してきませんでした。最近はわずかに変わってきたところも出始めましたが。

マスコミは常々「我々には世論をリードする能力と責任がある」みたいな発言をされています。まるでナチスドイツの宣伝省みたいな発言ですが、こんな考え方がすべての過ちの始まりのような気がしているのは私だけではないはずです。

もうひとこと

たとえばがんの患者さんを診療したとき、最初の診断から最後の治療に至るまで、全く何のミスもなく、完璧に最後まで医療の提供が終わる(転帰は別として)だなんてことは現実にはまずあり得ません。もちろん、それが患者さんに大きなマイナスを与えなければ問題にならない、というだけだと思います。
それこそ、採血が1回でできなかったとか、点滴が漏れたとか、感染症が起こって治療スケジュールがずれたとか、その患者さんの入院中に細かなトラブルは必ず起こっていると思います。
場合によってはそのせいで、もしかしたらうまくいっていたかもしれない治療がうまくいかずに不幸な結果になっている例もいっぱいあると思います。

でも、そういったことは「医療現場」ではどうしようもなく起こってしまう(医療者に責任がある、ないは別にして)トラブルをすべて「ミス」にしてしまうのは無理があるのではないでしょうか。

みの化する日本人

>納得のいく説明がなかったからです。
「病死です」 『納得できません』
「最善尽くしました」『納得できません』
「医療の限界です」『納得できません』
以下無限ループ。

>慎重に手術に臨んでほしかった
・・・で、慎重にやってダメだった時は
「即決しなかった医者が悪い」って言うんでしょうね。

遺族の発言が報じられるたびに、同情心が薄れてしまうばかりですね。
この遺族のかたの発言や言動に、むしろ嫌悪感が増してしまいます。
身内をなくされて、お気の毒な方ではありますが。
発言しているのは、特定の遺族一人のようですが、むしろ黙っていたほうが、第三者からも理解されるので、逆効果ではと思います。
こういう家族に病状や結果に対しての理解を求めるのは不可能だと思います。

NHKに抗議メールを送っておきました

とりあえず、NHKに抗議メールを送っておきました。
ムダかもしれませんが、とりあえずやれることをやってみました。

まことさん

まことさん=「工作員」に一票。

昨夜のフジテレビ

午後10時から「サキヨミ」という番組で、こんなアンケートをやっていました。
http://www.fujitv.co.jp/sakiyomi/index.html

「果たして医療は聖域か 増加する医療事故 警察の捜査は」
A:必要 B:不必要

設問に「果たして医療は聖域か」などという見出しを付けるところから、Aという回答を誘導しようという意図が見え見えですが、実際に番組が始まるとその傾向はもっと顕著に現れてきます。
コーナーの冒頭に、元検事の「医療問題に検察や警察が介入するなというのは、医療界の驕りである!」とのコメントを最初にドーンとぶちかますところから始まり(もうここで結果出てんじゃん…)、スタジオには5人のコメンテーターが登場。
Aの立場を取るのは、ご存知(自称)医療評論家・写真家の伊藤隼也氏とウェンツ君。
Bの立場は「女性の品格」著者の坂東眞理子氏と他二名(すみません、ほとんど何も話していなかったので名前は覚えていません)。
討論は伊藤(隼)氏と坂東氏を中心に進められていきましたが、なぜか事あるたびに司会の伊藤利尋アナは伊藤(隼)氏にばかりコメントを求めていました(同姓のよしみ?それとも…)。
で、その間画面下の方では視聴者の意見が字幕で紹介されていましたが、Bの意見は最初の方で数件出ただけで、後半はひたすらAばかり。
坂東氏が現在の医師の勤務環境の厳しさを訴え頑張って下さってはいましたが、かくして番組制作サイドの思惑通り(?)、結果はA 67% 、B 33%で幕を閉じましたとさ。めでたし、めでたし。

余談ですが、「この様な恣意的なアンケートのとり方は止めるべし!」と送信した私のコメントは、当然のことながら番組内で一切触れられることはありませんでした…。

でも、伊藤隼也さんも、「無条件で警察の介入を抑制するのは良くない」というだけで、今回のような例でも介入して当たり前、という論調ではなかったですね。
そういう意味ではスタジオでは「必要」「不必要」とはっきり区別できるものではない、という結論でしたね。
その温度差が若干ある程度で。

でも、最後のアナウンサーのまとめはだめだめでしたが。

業務上過失致死罪?

たとえばこの事件、マスコミは何故「逮捕、有罪にせよ!」と主張しないのだろうか?
過失で命が失われているのだが・・。

「車水没死で消防「後手」県警「不手際」…謝罪されても帰らず」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080825-OYT1T00761.htm?from=main1

伊藤隼也さんてもと、ポルノ写真家ですよね。職業で差別してはいけないと感じながらも、彼が、(医療問題で)強気な発言をするほど何かがっかりとした寂しい気持ちにさせられます。

テレビに出演し、カメラを向けられれば、何かコメントを言わなくちゃと張り切る人間がいます。自分たちだって緊張してそうなるかもしれません。

伊藤隼也もそうだったのでしょう。
世間から見下される職種ほど張り切りますねえ。

漫才師、似非芸人、政治力はない政治評論家ほど わかっているふりをして社会を語ります。

昔プロレス中継をしてたアナウンサーが今ではニュース番組で政治や医療を語ります。

職業に貴賎はあります。本人が勝手に自分を卑しい奴だと感じて居丈だけになってるだけです。劣等感の裏返しです。

まあ職業を聞いただけで女性は耳を貸しません。
黙っていたら余計に相手にされないから 喚くだけです。知識を蓄えれば理詰めで語りますが 出来ないから上に訴えて大きな声でしゃべるしかないのです。

NHK

皆さんの抗議が届いたのか、昨夕、NHKニュース?で先日の大野病院の仕切り直しのような内容をやっていました。みなさんがおっしゃるように先日の番組内容はあまりにもひどかったですからね。小生も受診料支払い契約を解除しようと思いました。今回の解説は社会部の記者さんでした。大野病院の件に関してはほとんど触れられずで不満ではありましたが、内容としてはほぼ(全部ではない!)納得できるものでした。NHKには一度吐いた言葉をもう一度咀嚼する能力は無いようでした。
《まことさん・・”医者”は自分のことを指す時、特に文字にする時には”医者”とせずに”医師”と必ず書くのですよ!誰が”医者”なんて卑下した言葉を自分から使うもんか!!!》

先生のコメントについて

 先生は飯野解説委員を無知だとかバカだとか言われていますが、先生の方がかなり無知でバカだと思います。
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中間管理職: このブログの管理人。
ID上、ブログではmedさんとも呼ばれてます。

某大学医学部を卒業
 ↓
医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
 ↓
大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
 ↓
さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


中間管理職 

Author:中間管理職 
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