2014/05/02
■シリーズ生命倫理学 第 6巻 生殖医療
長期休暇でなくてはあまり読めない本って
ありますよね。
今回のGWはどんな本を読みますか?
最近読んだ本では
こちらが大変興味深かったです。
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生殖医療 (シリーズ生命倫理学 第 6巻)
生殖医療は他分野とは比べものにならないくらい急速に展開してきた、そして今も発展しつつある領域である。そのため、医学・医療の進捗に対し、生命倫理をはじめとする社会的評価が後追いしている状況にある。本書は、生殖医学ならびに倫理学の個々の領域のリーダーである著者たちが、その最前線の現場、研究内容をアップ・ツー・-デイトに解説し、「倫理に基づく医学」か、それとも「医学に基づく倫理」かとの問いを突きつけることにより、今後の生殖医療の在り方を考えた。
目次
第1章 生殖補助医療の現状と展望
第2章 配偶子提供
第3章 代理出産の是非をめぐる問題
第4章 出自を知る権利
第5章 配偶子・受精卵・性腺 凍結保存
第6章 着床前診断
第7章 生殖医療の商業化
第8章 配偶子操作と命の選択
第9章 生殖医学研究
第10章 マザー・マシン
第11章 リプロダクティブヘルス/ライツ
第12章 生殖技術と新しい家族の形態
第13章 生殖補助医療と生命倫理
索引
1978年に
世界初の「試験管ベビー」が生まれてから
揺さぶり続けられている
生命倫理。
現在の生殖医療は
神様の領域に人間が踏み込んでいると
個人的には思います。
でも、
私個人はアデノウイルスやレトロウイルスの
遺伝子組換えとか、ばんばん実験でやっていましたので
科学否定派ではありません。
むしろ推進派ですが、
平行して生命倫理についても
十分に考えなくては
いけないと思っています。
第一章から
iPS細胞についても言及されておりますので、
なかなかにup to dateな本です。
近い将来、私たちはよりいっそう生命倫理について
考えなくてはいけなくなるでしょう。
そして、
考えることが出来る人間が
少なくなっていく可能性があります。
なぜなら、
クラークの三法則の第三法則にあるように、
充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない
というほど、
専門的な領域を
直感的に素人に説明することが
難しくなっています。
科学技術の利益とリスクのバランスを
専門家が考えなくてはいけません。
マスコミではよく素人が
専門家を壮絶に批判していますが、
聞くに堪えない議論であることもしばしばあります
(医療崩壊のときの議論がまさにそれ)。
私たちは
ある意味、専門家的孤独と戦わなくてはいけません。
一般的な人が直感的に感じる便利さに
警笛を鳴らす。
またはやみくもに危険である、
と感じることに対して理論的な助けをする。
まあ、
そんな偉そうなことを考えなくても
特に後半の新しい生殖医療の生命倫理的な問題は
現代社会の一つの大きな課題だと思います。
「2015年に施行されるICD-11では、「不妊は疾患」と定義されている」
P.238より
今後、
WHOは不妊を疾患と定義します。
疾患ですから治療対象になります。
これから人間はどこへ向かっていくのでしょうか。
どのような技術と
どのような精神を持って
未来へ向かっていくのでしょうか。
そして
我々医療関係者は
専門家としてどのような意見を持つべきなのでしょうか。
いろいろと
考えさせられた本でした。
ご参考になりましたら幸いです。
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