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■風疹、麻疹、ムンプス(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)の医療機関検査

 




いま、大流行の風疹。

いろいろと病院にお問い合わせも多いかと思います。

でも、みなさんは

自信を持って検査や予防接種の追加を

行っていますか?



予防接種関連の検査について

カンニングペーパー的に

まとめてみました。







ネタ本は(1)の

予防接種に関するQ&A集(2012年版)です。








風疹: HI抗体価 (EIAでもOK。HIの方が安価)
 判断 1:16 以下の場合にワクチン接種が勧められています
 ×CF法→感度が低い



(P.100より抜粋)
 免疫の有無を調べるには,血液中の抗体価を調べる方法が一般的です。一般の医療機関で受けることができます。測定方法には多くの方法がありますが,補体結合反応法(CF法)は感度が低いため,この目的に使用することはできませんので,注意が必要です。

 風疹は,赤血球凝集抑制法(HI法)の感度が酵素免疫法(EIA法)と同等に高く,検査にかかる費用もHI法の方が安価であるため,わが国の臨床現場はこの方法での測定が多く利用されています。平成16(2004)年の厚生労働科学研究班(研究代表者:岡部信彦,分担研究者:平原史樹)による「風疹流行および先天性風疹症候群の発生抑制に関する緊急提言」では,HI 抗体価 1:16 以下の場合にワクチン接種が勧められています。日本環境感染学会のガイドラインでは,EIA 価 8.0 未満の場合(デンカ生研製キットを使用した場合)は,免疫を強化する目的でワクチンを受けておくことを勧めています(院内感染対策としてのワクチンガイドライン:http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content̲id=4)。
 麻疹の項に記載したのと同様で,EIA 価 8.0 以上になるまでワクチンを受け続けるという意味ではなく,1回のみのワクチン接種あるいは罹患した人で,EIA 価 8.0 未満の低い抗体価の人については,再度予防接種を受けて,免疫を強固にしておくという意味です。また,予防接種を受けた場合は,接種記録を保管しておくことが重要であり,その後の抗体検査を求めるものではありません。


麻疹: EIA 法(最も多い)、PA 法、NT法(理論上最も優れるが多数検査出来ない)
 判断 EIA価16.0未満でワクチン接種を勧めています
    PA 法1:128以下はワクチン接種を勧めています
    NT法陰性(1:4 未満)でワクチン接種が勧められます

 ×CF法→感度が低い
 ×HI法→感度が低い



(P.100より抜粋)
 免疫の有無を調べるには,血液中の抗体価を調べる方法が一般的です。一般の医療機関で受けることができます。測定方法には多くの方法がありますが,補体結合反応法(CF法)は感度が低いため,この目的に使用することはできませんので,注意が必要です。

 麻疹の場合,感度の高い酵素免疫法(EIA 法)で測定する場合が最も多いと思われますが,陰性あるいは判定保留(±:プラスマイナス)の場合,麻疹に対する免疫は十分とはいえず,ワクチン接種が強く勧められます。一方,EIA 法で陽性の場合,どの程度の EIA 価があれば,発症を予防できるかの基準がまだ明確に示されておらず,現在検討が進められています。日本環境感染学会では,医療従事者に対する基準であるため高い値に設定されていますが,EIA価16.0未満の場合(デンカ生研製キットを使用した場合)は,免疫を強化する目的でワクチンを受けておくことを勧めています(院内感染対策としてのワクチンガイドライン:http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content̲id=4)。なお,このガイドラインの記載は,EIA 価 16.0 以上になるまでワクチンを受け続けるという意味ではなく,1回のみのワクチン接種あるいは罹患した人で,EIA 価 16.0 未満の低い抗体価の人については,再度予防接種を受けて,免疫を強固にしておくという意味です。また,予防接種を受けた場合は,接種記録を保管しておくことが重要であり,その後の抗体検査を求めるものではありませんので,誤解がないように判断してください。同じく感度の高いゼラチン粒子凝集法(PA 法)で測定した場合,陰性(< 1:16)に加えて,陽性であっても 1:16,32,64 といった低い抗体価の場合は,麻疹の発症を完全に防ぐことが難しいと考えられます。このことから,PA 法であれば陰性(< 1:16)および二桁の抗体価の場合はワクチンを受けておくことが強く勧められます。また,中和抗体価との比較検討の結果から,1:128 であっても中和抗体陰性の場合が稀ながら認められるため,医療関係者を対象とした上記ガイドライン:http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content̲id=4では,1:128以下はワクチンを受けることを勧めています。中和法(NT法)は,免疫の有無を調べるためには,理論的に最も有効な方法ですが,多数の検体を一度に迅速に測定することができません。ただし,この方法で測定して陰性(1:4 未満)であった場合,ワクチン接種が勧められます。医療関係者を対象とした上記ガイドライン:http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content̲id=4 では,中和法で 1:4 の場合は,免疫を強化する目的でワクチンを受けておくことを勧めています。麻疹の場合,赤血球凝集抑制法(HI 法)は感度が高くないため,免疫の有無を調べる目的で使用すると多くの陰性者が発生します。
ただし,医療関係者など,感染を受けるリスクが高いと考えられる人の場合,この方法で陰性であれば,ワクチンを受けておくことも一つの方法です。


ムンプス(おたふくかぜ): NT法かEIA法(ムンプスIgG 抗体価測定)
 ×HI法→感度が低い



(P.132より抜粋)
 ムンプスウイルスに対する抗体を測定する方法として赤血球凝集抑制法(HI法),中和法(NT法),酵素抗体法(EIA法)があり,これらの方法でムンプスウイルスに対する抗体の有無を測定することができます。ただし,ムンプスの HI法は感度が低いという問題がありますので,この目的で測定する場合には,NT法かEIA法で検査を行う必要があります。
 また検査費用は若干高くなりますが,感度が高いことと,大量の検体測定に向いていることから,最近は EIA 法でのムンプスIgG 抗体価測定が広く用いられています。不確かな罹患の記憶や前回の接種から長期間経過している場合などで,免疫の有無の検査の後にワクチン接種を希望される場合もありますが,接種不適当者でなければ,抗体検査をせずにワクチンを接種するということは,問題がありません。


水痘: 免疫付着赤血球凝集法(IAHA 法),細胞膜抗原蛍光抗体法(FAMA 法),中和法(NT 法),酵素免疫法(EIA 法),水痘抗原による皮内テスト
 ×CF法→感度が低い



(P.137 Q2より抜粋)
 免疫があるかどうかを知るためには,検査で確かめることができます。検査の方法は,免疫付着赤血球凝集法(IAHA 法),細胞膜抗原蛍光抗体法(FAMA 法),中和法(NT 法),酵素免疫法(EIA 法)などによる抗体価の測定,水痘抗原による皮内テストなどです。補体結合法(CF 法)は感度が低く,このような目的(免疫の有無の確認)に用いてはいけません。ただし,どれも時間と費用がかかりますので,一般的には免疫を確かめることなく,ワクチンを接種しても差し支えありません。それによって副反応が強まるようなことはありません









「風疹の抗体調べたいんですけど」

とか言われたら

専門でない医師ほどドキドキしちゃいますよね。



自信を持って答えられるように

しておきましょう。




以上、ご参考になりましたら幸いです。

(1)
予防接種に関するQ&A集(2012年版)、出ました!
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-2020.html



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コメント

抗体検査の必然性

MMRVいずれも生ワクチンで、抗体保持者(非感受性者)に対してワクチン接種を行っても、実害が非常に少ないため、明らかな罹患歴がなければ、抗体検査をせずにワクチン接種をお勧めしております。

適齢女性でも妊娠していないことを確認して、接種可能です。
(妊娠がわからない、なら接種しない。ただしこの時点で検査して陰性だったとしても、どちらにしてもどうしようもない)

そういう意味で、抗体検査を頻用する必要はあまりないと思います。

同じ理由で、風疹ワクチン希望の成人に対しても、入手がいつになるかわからない風疹単独ワクチンよりもMRワクチン接種をお勧めしております。
まあ、今の接種希望者の年齢なら、麻疹罹患歴がなければかなりの確率で麻疹感受性者ですから、麻疹抗体をつけておいて損はないと考えます。

Seisanさん

いつも大変お世話になっております。
もう、おっしゃるとおりです。
検査をせずにワクチン、というのが正論です。
とくにMRを打つべき、というのは大賛成です。

でも、いろんな患者さんがいますよね。
「検査しなけりゃしょうがないな」
という時のための備忘録です。

今後ともよろしくお願いいたします。


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このコメントは管理人のみ閲覧できます

予防接種についてのご質問

予防接種についてのご質問にお答えしてみました。

http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-2209.html

いつも答えられるわけではありませんが、特別ね。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


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