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■こんな状況で医療安全調査委員会 できるの? 「佐賀県の司法解剖医不在が半年に、県警他県に依頼」

>法医学専門の大学教員が全くいないのは全国で佐賀県と愛媛県だけ。

えええ?

佐賀以外にも

法医学の人材がいない県があるんだ(笑)。




>九州では、法医学専門の大学教員が12人おり、内訳は福岡県が5人、長崎、鹿児島県が各2人、大分、熊本、宮崎県が各1人。

(笑)

九州全体でたった12人…。





司法解剖と

病理解剖、

行政解剖を

ごっちゃ混ぜにする気はありませんが、

法医学、病理学をはじめとする

基礎講座が人材的にも予算的にも

いかに虐げられているか

良く分かる数字です。










佐賀県の司法解剖医不在が半年に、県警他県に依頼

2008年6月18日 読売新聞
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/saga/20080618-OYS1T00215.htm

 佐賀大医学部法医学教室の教授が昨年末に退職し、県内で司法解剖ができない状態が続いている。日本法医学会によると、法医学専門の大学教員が全くいないのは全国で佐賀県と愛媛県だけ。県内の各捜査機関は、司法解剖を福岡県の九州大や福岡大などに依頼し、当座をしのいでいる。


 同学会によると、司法解剖を行うことができる解剖医は、医師である大学の教授や准教授、死体解剖保存法に基づく資格者らで、全国に約130人いる。ほとんどは大学教員という。九州では、法医学専門の大学教員が12人おり、内訳は福岡県が5人、長崎、鹿児島県が各2人、大分、熊本、宮崎県が各1人。

 県内では1970年以降、佐賀大医学部法医学教室の教授が4~9年ごとに解剖医を務めてきた。93年4月から1年8か月、引き継ぎがうまくいかずに空席になったが、それ以外は切れ目なく、4代にわたって県警や佐賀地検、唐津海上保安部などの依頼を受け、年間40~60件の司法解剖を行ってきた。


 2000年4月に着任した4代目の木林和彦教授は今年初め、東京女子医科大に移った。佐賀大は木林教授の退職前から後任を探しているが、まだ決まっていない。同大は「全国的に司法解剖ができる医師が少ないためだが、早く見つけたい」と説明している。


 県警捜査1課は「佐賀大に教授がいた時は事故や事件の現場に来てもらいやすく、警察官による検視で教科書通りでない所見が出た際にも相談しやすかった。地元に先生がいる安心感は大きい」と、後任の早期就任を期待している。


 佐賀県警から司法解剖を依頼されている福岡県内の解剖医は、福岡県警からの依頼も受けているため、土、日曜日、祝日の当番が月2~4日から4~6日に増えたという。ある解剖医は「佐賀の分も一生懸命やっているが、負担も増えており、早く見つかってほしい」と話している。


 司法解剖 死因の分からないケースのうち、検視で犯罪に巻き込まれた可能性があると判断された場合に、刑事訴訟法に基づき、捜査機関の依頼で解剖医が行う。裁判所の許可状が必要だが、遺族の承諾は不要。




医療安全調査委員会に

大量の案件が持ち込まれた場合、

これをどのように

維持していくのでしょう?



医療安全調査委員会の

大綱案には

解剖の項目が独立して載っており、

重きを置いている印象です。




医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案

http://obgy.typepad.jp/blog/2008/06/post-1341-36.html

第18 死体の解剖及び保存
1 地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、医療事故死亡者等の死体又は死胎を、原則として遺族の承諾を得て解剖することができる。

2 1の解剖は、刑事訴訟法による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。

3 1により医療事故死亡者等の死体又は死胎を解剖する場合においては、死体解剖保存法第19条にかかわらず、原則として遺族の承諾を得て、その死体又は死胎の一部を標本として保存することができる。






これを九州で12人しかいない

法医学関係者にやってもらうのか(笑)、

疲弊している

病理学の先生にやってもらうのか(笑)…。







国のお偉いさんの考えることは

やはり良く分かりません(笑)。














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コメント

法医の先生にやってもらいましょうや。

K先生のタイ~ホは、元はと言えば法医学会の出した浮世離れしたガイドラインに端を発していると仄聞しております。吐いた唾飲み込まんどけや。

 自分がいる県でも、法医学の教授が1人で、年間約100件の司法解剖を行っているそうです。

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16198.html
海堂尊先生が死因究明制度の試案について酷評しています。曰く、

「医療現場のモラルは、役所よりもはるかに高いと思っています。第三次試案で厚労省は、医療現場には「隠さない、逃げない、ごまかさない」ことが求められていると指摘していますが、そうであれば、まずは自分たちが不祥事を起こしたときに「隠さない、逃げない、ごまかさない」姿勢を見本として示していただきたい。自らを監視し懲罰する制度すらつくれない人たちが、先の見えない医療現場で悪戦苦闘する医療従事者を律しようとは笑止千万です。」

「わざわざ費用を掛けて医療安全調を新しくつくるのに、本当に必要な部分に費用を掛けないのでは、医療現場はさらに混乱します。それでもなお、第三次試案の形での制度創設を目指すのなら、責任者の名前を明示して、制度がうまく機能しなければ責任を取るべきです。」

いやー、いいこと言いますねえ。100%同感。

医療事故調査委員会を作る前に司法調査委員会を作って、過去の冤罪判決に関わった裁判官について第三者機関が評価してほしいです。それを断罪するかどうかはともかくとして、少なくとも大勢の目につくかたちで公表し、判断がどこでどう間違っていたのか、きちんと事後評価して白日の下にさらしてもらいたい。現状では忘却の彼方に葬り去られてしまっています。なぜか他人のミスをやたらとつつきたがるマスコミも、それについては言及しないですね。

病理医の兄と食事した時に、事故調とかで仕事大変になるんじゃないって聞いたら、「別にやれっこないから変わらないんじゃない?病理医いないんだもん。」ってあっさり言われちゃいました。
パブコメも出したけど、結局どんな試案が出ても実際には書類を受け取る係の人がいるだけで、書類を調査予定の棚にいれてそのままになるんでしょうね~。
脱力しました。(笑

「第18 死体の解剖及び保存」について

>1 原則として遺族の承諾を得て解剖することができる。

 死因究明をきちんと行うためには、遺族の同意がなくても解剖を行うことができるようにすべきと思います。


>2 刑事訴訟法による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。

 結局、医療安全調査委員会(仮称)ができたとしても、刑事捜査が優先されるということですね。

すごいですね。教室員教授一人、以上。
こんな大学がごろごろしてるんだ。

そういや後輩が、法医学を夢見てよその大学に転出したけど、どうなってるんでしょうねー(とーい目)

>すごいですね。教室員教授一人、以上。
>こんな大学がごろごろしてるんだ。

あ、これ麻酔科で教授一人、研修医一人のとこはありましたよね?
今はどうなってるんでしょ?
そういえば私大は主任教授以外にもヒラの教授というわけのわからないものがあるために、教授4人にヒラ医局員4人という息のつまりそうな医局も有ります。(笑
医大の定員増やして医者を増やすって誰が教育するんだろうって不思議に思います。
うちのダンナも辞める人がいるとその分の講義を押し付けられてるしポリクリや研修医はほったらかしにしてるみたいです。

病理や生化学教室とは普段お付き合いがありますが、法医学とはお付き合いありませんから 知りませんでした。

こりゃ過酷な勤務で 法医学の教授の自殺、逃散、あるいは教授公募での応募者ゼロになりかねません。

じゃなければ 調査書類が山積みになって解剖結果の調書が完成するのが数年ー10年以上になるでしょうね。

法医学教授の労働基準法無視の労働災害死、誰が法医解剖すんだろう?ドミノ倒しみたいに隣の県までばたばた倒れちゃったりして。

  癌治療の拠点病院作りとか、似たような構図の話が過去にも結構あったような・・・。 制度を作れば腕利きの専門医が湧いてくる、ハコモノを作れば利用者が現れる、本気で考えているのでしょうか?
  健康日本21でも、『せっかく制度を作ったのに、実行できない現場が悪い!』と吼えた県クラスのおエライさんがいたそうです。

  制度は作るコトに意義がある!?

法医学、病理学

某所に投稿した記事です。
法医の窮状は産科や小児科以上です。

解剖医育成 協力を要望…警察庁
2008年1月23日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080123-OYT8T00368.htm
>解剖医が全国で約130人しかいない現状があり、四国や九州では不在か1人という県も増えている。

法医学教室の現状
平成19年度法医学教室実態調査アンケートから
http://plaza.umin.ac.jp/legalmed/genjo2.htm
>大学法医学教室に所属する医師数(教員,大学院生)は,184名(平成19年12月現在)である。
警察関係にも若干法医学関連の医師がいます。それでも全数で約200名。その内解剖に関わっている医師が130名。
>20歳台(23~29歳)が15人,30歳台が55人,40歳台が64人,50歳台が36人,60歳台(65歳まで)が14人であった。
50歳以上が50名、あと10から15年でこの人たちは引退します。
>医師の減少も明らかで,全回答のあった61機関のうち医師が不在の機関は4機関で,医師が一人しかいない機関は16機関におよんだ。
>大学法医学教室に所属する医師の年齢分布は,20歳台が少なく,将来,法医学を担う人材の減少が危惧される。
足りないので病理医にも担当させるつもりらしいですが、こちらも厳しいです。生きている患者の分だけでアップアップです。おまけに学生教育の負担もかなり大きいです。
http://shahojsp.umin.jp/jittai.htm
病理医数は約2000名、そのうち900名以上は50歳以上。
平均年齢50歳以上。

日本では、年間1200万件の病理組織診断、1600万件の細胞診、
2万2千件の病理解剖が行われています。
http://jsp.umin.ac.jp/trainee/recruite.html
病理組織診断1人あたり6000件/年。
医学部教授は2000名中約200名、この人たちは教育も研究も責任とらなくてはいけません。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

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