2012/12/21
「戦国の貧乏天皇」渡邊 大門
寒くなってきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。寒いと外に出るのは億劫になりがち。個人的には読書が楽しい季節です。あれ?読書は年がら年中ですか?マンガは部屋に山積みですか?まあ、御同輩ですね。ということで、大変面白い本を見つけてしまいました。「戦国の貧乏天皇」です。
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私は日本史は高校時代に全く勉強しませんでしたので、完全に趣味だけの知識なのですが、これは大変に盲点を突いた書籍でした。しっかり勉強なさった方々にはそうではないかもしれませんが、戦国時代の天皇って言えます?私には大変失礼ながら初めて聞くお名前ばかりでした。
この本では、後花園天皇、後土御門天皇、後柏原天皇、後奈良天皇の四代の天皇について、特に金銭的な問題が詳述されています。
混乱の度を増す戦乱の世の中。そしてどんどん貧乏になっていく天皇家。皇位を継承できても即位の儀式は貧乏で出来なかったり、皇位を譲りたいのにお金がかかるからなかなかやめられなくて愚痴ばっかりとか、本当に大変そうです。
後土御門天皇は一度ならず、繰り返し「天皇を辞めたい」と言い、崩御されてからも四十三日間も葬儀が出来ず、遺骸が放置されてしまいました。後柏原天皇は即位式を二十一年間も行うことが出来ず、まさに執念で即位式を執り行います。そのとき、すでに五十八歳になられていたのでした。三十七歳で皇位を継承したのですから、まさに粘りに粘り、金策の限りを尽くした即位式だったようです。後奈良天皇は大変学問に熱心に取り組んでいたようですが、武士に官位を売って生き延びます。そして崩御されてから最長記録の七十日もの間、遺骸が放置されるということになってしまいます。
それにも関わらず、それぞれの天皇はその時代に応じて懸命にその役目を果たそうとします。しかし、伝統ある天皇としての果たそうとするからこそ、新しい時流に乗れず古い慣習にとらわれて、ますます困窮を深めていきます。頑張ろうとすればするほど、「慣習からこうしては行けません」「今までの歴史からこうすべきです」というしがらみに縛られまくってしまいます。歴史や伝統の呪縛をほどくと、それは天皇の存在価値を揺るがすことになるのですからどうしようもありません。
戦争や凶作が続いているので民衆のために年号を変えたい(改元)、と天皇が思っても、お金がなかったり、改元の知識を持った人材が地方に疎開して不足していたり、武士側の協力が得られなかったりと上手く行きません。荘園も地元の武士に奪われて年貢が納められなくなります。お金で官位を得たい武士もぞろぞろ出てきます。トラブルが起きるたびに垣間見えるのが人間臭い天皇の苦悩です。
面白そうなタイトルを見かけて書店で衝動買いしましたが、読み始めたら中身も大変面白く、ほとんど徹夜で読み切りました。
私が暖かい部屋でぬくぬくとしながら、戦国時代の天皇の苦労を読んでいるというのは大変申し訳なく思います。思いますけど、正直言って本当にメシウマというか他人の不幸は蜜の味で、「こりゃ大変だ」と思いながらも天皇がどんな運命を辿ったのか、ページをめくる手が止まりませんでした。
現代に生きているって本当にありがたいことだと思った次第です。年末年始の読書のご参考になりましたら幸いです。
(なお、本文中に不適切な表現がありましたらお詫び致します。なにせ、天皇関係の文章って書いたことがありません。アサヒみたいに天皇陛下に対して敬語ゼロとかいうつもりは全くありません。単に敬語その他での問題がありましたら管理人の文章技量が追いついていないだけです)
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