2012/10/09
「山中・京大教授にノーベル賞…iPS細胞作製」 閉じたページを開く技術
山中教授、
ノーベル賞受賞おめでとうございます。
山中・京大教授にノーベル賞…iPS細胞作製
2012年10月8日20時38分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121008-OYT1T00570.htm
スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル生理学・医学賞を、様々な種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を作製した京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)と英国のジョン・ガードン博士(79)に贈ると発表した。
体の細胞を人為的な操作で受精卵のような発生初期の状態に戻すことができることを実証し、再生医療や難病の研究に新たな可能性を開いた点が高く評価された。山中教授は、マウスのiPS細胞作製を報告した2006年8月の論文発表からわずか6年での受賞となった。
日本のノーベル賞受賞者は、10年の根岸英一・米パデュー大学特別教授、鈴木章・北海道大学名誉教授(化学賞)に続いて19人目。生理学・医学賞は1987年の利根川進博士以来、25年ぶり2人目。
授賞式は同賞の創設者アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日、ストックホルムで開かれる。賞金の800万クローナ(約9500万円)は2人の受賞者で分ける。
◆山中伸弥(やまなか・しんや)=1962年9月4日生まれ。大阪府出身。神戸大医学部卒。大阪市立大助手、奈良先端科学技術大学院大助教授、教授を経て、2004年10月から京都大教授。10年4月から同大iPS細胞研究所長。07年から米グラッドストーン研究所上席研究員も務める。
授賞理由は「体細胞のリプログラミング(初期化)による多能性獲得の発見」。
人の身体は、60兆個もの細胞でできている。これらすべての細胞は、たった一つの受精卵が分裂と変化を繰り返してできる。脳や皮膚、内臓などにいったん変化した細胞(体細胞)は通常、元に戻ったり、他の細胞に変化したりしない。
山中教授は2006年、マウスを使った実験で、わずか4種類の遺伝子を細胞に入れるだけの簡単な方法で、皮膚の細胞を受精卵に近い状態まで若返らせること(リプログラミング)に成功し、この常識を覆した。07年には、人間のiPS細胞の作製にも成功したと発表した。
iPS細胞は、全身のあらゆる細胞に変化できる「多能性」があり、ほぼ無限に増やすこともできる。患者の体の細胞から作ったiPS細胞を使い、これまで根本的な治療法のなかったパーキンソン病や脊髄損傷の治療に道が開ける可能性がある。
また、難病の患者からiPS細胞を作れば、発症の仕組みの解明や治療法の開発にもつながるなど、幅広い分野で応用が期待されている。
共同受賞のガードン博士は、オタマジャクシの細胞の核を、核を除去した卵子に移植することで、同じ遺伝子をもつオタマジャクシを誕生させた。成熟した動物の体細胞にも、潜在的にすべての細胞に変化する能力が残っていることを示し、iPS細胞作製への道を開いた。
山中教授と共同研究をしていて
iPS細胞の研究で有名な
慶応大学の岡野先生の
お話を聞いたことがあります。
岡野先生はiPS細胞から
神経を分化させた先生として
有名です。
岡野先生は
「山中先生はよくこういう話をされます」、
という前置きでiPS細胞について説明されました。
以下、管理人の記憶で書いていきます。
人間の遺伝子は約3万(注)あります。
そのうち発現しているのが約1万。
残り2万は発現されていません。
つまりは最初にDNAという
3万ページの設計図の本があって、
分化すると2万ページがのり付けされて
1万ページでやりくりしています。
それぞれの細胞によって
どの1万ページが開いているか決まっています。
つまりは
皮膚細胞の開いている1万ページと
神経細胞の開いている1万ページは
違うのです。
iPS細胞とは
自分の細胞に4つの遺伝子を加えることで、
こののり付けされたページを開いて、
3万ページの設計図をオープンにする事が出来る、
という技術なのです。
管理人注:
多分、ヒトの遺伝子が3万というのは
わかりやすくする方便で、
現時点ではヒトの遺伝子は
3万より少ないといわれている。
ということなんですね。
ES細胞は受精卵、
卵子と精子が合体して
まさに分裂しようとしているところなので
こちらも3万ページ開けますが、
卵子と精子ですから、
新しい人間、赤ちゃんになる細胞です。
赤ちゃんになるはずの
ES細胞をいじったらまずいでしょ、
というのが倫理的問題です。
さらには
卵子と精子で出来てくるのは
自分とは別の人間です。
ES細胞ではあっても自分とは別のヒト。
治療に使おうとしたら
当然拒絶反応が起きてしまいます。
これが技術的な問題です。
自分の細胞を用いる事が出来る
iPS細胞は
まさに革命的な発見だったと思います。
初期化とは
のり付けされた遺伝子のページを
もう一度開く技術、
ということです。
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コメント
No title
これが、アメリカで、とかになってしまうと、すぐに特許で縛りつけて、研究だけでも高額なパテント料を要求する、そして、その成果も要求する、成果としての治療なんて、金持ちにしか受けられない、なんてことになっていたに違いありません。
研究・臨床に役立つように、非常に低廉でパテントを広く公開・利用するために特許を取得する。この発想は欧米中には全くないでしょう。
日本人だからこそ、といえるかも。
このことこそがもしかしたらノーベル賞に相当するかもしれません。
2012/10/09 10:47 by Seisan URL 編集