2011/08/09
■開業つれづれ:「薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳」「妊娠と薬」
最近、
妊娠や授乳と薬に関する本を
何冊かまとめ買いしました。
医師が
「いや、妊娠の薬については全部産婦人科に聞いてくれ」
というより、
「添付文章ではこう、薬の評価としてはこうなってます。
あとは担当の産婦人科の先生とも相談ですね」
というほうがずっといい感じ。
看護師さんや他のスタッフにも
信頼感アップすること間違いなしです
(多分ね)。
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虎の門病院”妊娠と薬相談外来”の本です。
2010年12月に新しい2版が
出ましたので買ってみました。
旧版もよく使っていました。
前の版が古くなっていましたので、
大変助かります。
中枢神経作動薬の項目では
結構、危険性のある薬多いですね。
難点はちょっと読みづらいことかもしれません。
学術的に正当なデータを載せているために
とくに一般の方にはちんぷんかんぷんで
「だから何?」
という事になってしまいそうです。
あとは
当然ですが、妊娠について特化していますので、
授乳については記載がありません。
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こちらはより見やすい本です。
各項目に
添付文章による記載と
データによるリスクの総合評価
が一覧になっているのが
とてもいい感じです。
妊娠と授乳が一つの表になっているのも
GOODです。
でも、「妊娠と薬」にくらべると
それぞれの薬について
総合評価が甘い気がします。
……しかし、日本の薬の
添付文章には
妊娠、授乳中は中止
というのが多いのが
よくわかります。
「妊娠と薬」では
「薬を間違って飲んでしまったんだけどどうしよう」
というときに答えるスタンスですが、
こちらの
「薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳」では
「じゃあ、妊娠中の治療は?」
というとき答えられるよう、
第3章●症例から学ぶ妊娠・授乳期の薬物治療
で限定的ではありますが、
妊娠や授乳期の薬物療法の
具体例も載っています。
他書では
添付文章をまるっきり無視した本も
あります。
しかし
薬物的には正しいのかもしれませんが、
日本での処方の責任としては
やはり添付文章でどのように記載されているかも
大いに気になるところです。
ほとんど副作用が報告されていないのに
妊娠時は中止
と日本の添付文章では記載ある薬を
処方しますか、どうしますか
という問題です。
以上の本は
妊婦さんや妊娠可能性がある方、
そして授乳中の方が
受診されたときに
とても参考になるかと思います。
私は頼りっぱなしです。
ご参考になりましたら幸いです。
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コメント
たまにはマジレス(汗
Medications and Mothers Milk: A Manual of Lactational Pharmacology
Thomas W., Ph.D. Hale
およそ2年おきに改訂されており、2010年の14版が最新です。授乳中のリスクをL1(Safest)~L5(Contraindicated)に分類して表記してあります。また、M/P比(Milk/Plasma ratio)等のパラメータの記載もありますので、児への薬物移行量を計算することも可能です。
もちろん、絶対禁忌の薬も少ないながらありますが、他科の先生方が想像される以上に、授乳可能な薬は多いものです。もし自信がなければ、どうか簡単に授乳中止しろ(気軽に仰いますが、これがどんなに大変なことか・・・)とは言わず、授乳に詳しい小児科医や産科医に確認するよう勧めてくださいますと幸いです。
母乳派の一小児科医の意見ですが、ご参考までに。
2011/08/09 23:34 by ててれけ URL 編集
昔のことですが
2011/08/10 13:11 by タカ派の麻酔科医 URL 編集