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■開業つれづれ:「【帝京大院内感染】警視庁、業務上過失致死容疑で捜査へ」





感染症対策をきちんとしていないと

業務上過失致死

になるというありがたいお話。




インフェクション(感染)コントロール

において

問題なのは組織力です。



個々のドクターに

責任をなすりつけて

業務上過失致死という

罪をかぶせるのは

全くお門違いなのですが、

きっと警察はわからないでしょうね、

そんなこと。





インフェクションコントロールドクターになったら

逆に業務上過失致死に問われ、

責任を背負うことになったら

だれも感染症対策をしなくなります。





日本の感染症対策は

世界に

逆行することになるでしょう。







【帝京大院内感染】警視庁、業務上過失致死容疑で捜査へ


産経ニュース 2010.9.4 01:45

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100904/crm1009040145003-n1.htm



 帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)で抗菌薬に耐性を持つ細菌「多剤耐性アシネトバクター」(MRAB)に患者46人が感染し、9人が感染の疑いで死亡した問題で、警視庁は3日、安全管理に問題があった疑いがあるとみて、

業務上過失致死容疑を視野に医師らから事情を聴く

方針を固めた。






帝京大病院9人死亡 感染、把握後も拡大

「報告を」外部委の指摘放置



2010年9月4日 読売新聞

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=30320

 世界的に感染が懸念されている多剤耐性の細菌「アシネトバクター」による感染の疑いで9人が死亡した帝京大病院。同病院は3日、9人の死亡との因果関係を調査していることを明らかにしたうえで、国や都に報告していなかったことを謝罪した。

 感染症例が相次いで確認されたのは今年4~5月。調査委員会の外部委員からの指摘を受けながらも、重大な院内感染の事実が3か月以上も公表されなかったことに、識者からは批判の声も出ている。

 「もう少し早く相談すべきだった」

 3日午後4時に始まった同大学本部棟での記者会見で、森田茂穂(しげほ)院長らは終始、厳しい表情を崩さず、そう謝罪した。

 初めて感染者が出たとみられる昨年8月以降も毎月、感染者が増加し、今年4月には9人の感染が判明するなどしていた。しかし、森田院長が事態を把握したのは、今年5月の連休後だったという。

 この直後、同病院では、同院長を含む「感染制御委員会」を開催し、一時的な新規入院の制限などを行ったものの、5月に7人、6月も6人の感染者が相次いだ。


 このため、7月に開催した調査委員会の外部委員から、「公的機関」への報告を促されたが、同病院が厚生労働省と都に報告を行ったのは9月2日だった。

 事態を把握してから、3か月以上もかかったことについて、「感染させなくてもいい患者を感染させてしまった」などと述べた。

 また、同病院側は会見で、ほかの病院に転院させた2人のうち1人について、当初転院先の病院に感染の事実を伝えていないことも明らかにした。

 報道陣からは、「院外に出さないようにするべきだったのでは」などの質問が飛んだが、「その通りです」などと答えるだけで、苦渋の表情を浮かべていた。

 森田院長は1時間を超える会見の最後に、「このような事態を未然に防げなかったことに対して、心からおわびを申し上げます。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、遺族の皆様に改めてお悔やみ申し上げます」と謝罪した後に、深々と頭を下げた。

 同病院に入院中の兄が今回、アシネトバクターに感染したという東京都内の会社員男性(51)は、「感染が広がる前に、対策が打てなかったのか」と憤りを隠さなかった。男性の兄は今年夏に心臓の手術を受けたが、その後、アシネトバクターへの感染が伝えられたという。







帝京大病院「感染防止体制が弱い」 8月に国・都が指摘

asahi.com 2010年9月4日15時2分

http://www.asahi.com/health/news/TKY201009040135.html

 帝京大医学部付属病院(東京都板橋区)で発生した多剤耐性の細菌アシネトバクターによる院内感染問題で、国と東京都が8月の定期検査時に同病院に院内感染の防止体制を強化するよう指摘していたことが明らかになった。都は感染が46人に上った原因について「体制が弱く、結果として防ぎきれなかった可能性がある」としている。検査時に、今回の院内感染についての報告は病院側から特になかった。

 今回の問題について警視庁は業務上過失致死の疑いも視野に週明けにも病院関係者から事情を聴く方針だ。

 都や国によると、国は8月4日、高度な医療を行う「特定機能病院」に対する定期検査を実施。都も独自の検査のため同行した。その際、同規模の病院よりも

帝京大病院の感染防止対策に専従する人数が少なかった

ため、体制を強化するよう求めたという。このときまでに、同病院では感染との因果関係が否定できない患者の死亡が7人あった。さらに、この指摘以降でも、8月中に2人が亡くなっている。

 また、院内の調査委員会でも7月末に、「感染制御部スタッフの専従人員の拡充」を指摘されていたという。

 同病院のベッド数は1154床。定期検査時は、同病院の

院内感染防止対策の専従職員は、看護師1人のみ

だった。ほかには、

医師1人が専任

だった。

 都医療安全課の田中敦子課長は「同規模の病院であれば、多いところで専従職員を3人おいている病院もある」と話した。厚生労働省の担当者も「この規模の病院で院内感染対策の専任医師が1人というのは少ない。対策に力を入れている同規模の病院では、感染対策に携わる医師が5、6人いるところもある」と指摘する。

 また、同じ規模の特定機能病院の中には、感染管理の専従職員として、複数の認定看護師を配置しているところもある。日本看護協会が認定する資格だ。同協会のウェブサイトによると、帝京大病院には、感染管理の認定看護師は配置されていない。

 帝京大病院は院内感染を公表した3日の記者会見で「抜本的な改革が必要だが、人員的にぎりぎりの状態でやっている」と説明した。

 一方、広島大病院感染症科の大毛宏喜教授は「検査部で薬剤耐性傾向の菌が出たら、その情報をすぐに感染対策者に上げてもらうシステムを作っておくことが大切」と指摘する。

 帝京大病院の場合、多剤耐性菌への感染者が20人ぐらい出て、4~5人が死亡する今年2月になるまで、感染制御部に報告がなかった。

 同病院は4日、今回とは別の多剤耐性緑膿(りょくのう)菌による感染で1人が死亡した疑いがあることを認めた。(小坪遊、岡雄一郎)






横浜市衛生研究所によると(1)、

福岡大学でも

多剤耐性アシネトバクター感染症が

報告されているようです。




これは最初の患者さんが

韓国で集中治療された患者さんが

そのまま救命救急センターの集中治療室へ入院した

ことによるもののようです(2)。






まあ、どんなことも起源が韓国、

というお国柄ですから

多剤耐性アシネトバクターも

「ウリジナル」(オリジナル+ウリ(我々))

なわけです。

変なものよこしやがって。





それはさておき、

インフェクションコントロールが

どこが責任を持つのでしょう?




基本的には

組織全体です。

個人個人ができることには

限界があります。



もちろん、

チームにトレーニングは必要ですが、

大病院のような大きな組織で

だれもコントロールする人がいない状況で

医師が責任を取るとすれば

インフェクションコントロール自体が

ハイリスク職ということになってしまいます。




責められるべきは現場個人ではなく

組織、つまり

感染症に対応していない

お偉方が

一番に責められるべきです。







医師として

一番安全なのは

大病院にいないことなんですが…。









(1)
横浜市衛生研究所 横浜市感染症情報センター
アシネトバクター感染症について
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/acinetobacter1.html

福岡大学病院 病院長内藤正俊・感染対策室、「福岡大学病院における多剤耐性アシネトバクター感染事例に関する概要と対応(報告)」、平成21 年 1 月23 日。

(2)
高田徹「韓国からの持ち込み例を端緒とした多剤耐性Acinetobacter baumannii によるアウトブレイク事例」病原微生物検出情報(IASR)2010年7月号, Vol. 31, p. 197-198.













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コメント

酷い世論誘導

「病院にいれば必ず良くなる」って考えが根本にあるんでしょうね。
で、「院内感染なんて絶対に許せない」って。

大学病院になれば重症患者も多くなって、易感染患者も多いので
普通は問題にならない毒性の菌が問題になるって記事では全然触れてないし。
大体、多剤耐性菌なんて市井に一杯居るけど、健常者には感染起こさないから問題になってないだけで。

こんなんで罪を問われるなら、初診時に全員各種培養提出、
多剤耐性菌が検出されようものなら、
「出入り禁止」どころか受診者が病院に訴えられたりしてね。

「集中治療をすれば治癒可能性が●%ありますが、
院内感染を起こす可能性があるので、入院適応ありません。ご自宅でお看取りされてください。」って
防衛医療はじまるかも。

多剤耐性アシネトバクターもウリジナルか

なんでも自分がオリジナル、と言ってきかないかの国ですから、こんなものまでオリジナル、しかも多剤耐性アシネトバクターは証拠が珍しくあるということで、なんだかね。

院内感染発生時報告書

院内感染や多剤耐性菌発生時の報告書類が報告しなければならないとわかっていても日常業務に差し障りあるほど煩雑で、報告の意欲がそがれるようなものだったんじゃあないかと邪推していますが、いかがなものでしょうかね。

あっと、こんなことしてないで書類書かなきゃ。

保険診療の壁

>初診時に培養検査
 DPCだと、入院時に培養検査を出すのは費用がかかるのでだめ。
 外来で検査すると、保険病名では不適当(術前にMRSA疑いとかいう病名をつけちゃだめ)。
 感染症を発生してから(発生を疑ってから)検査し、耐性菌が見つかると、業務上過失です。
 No culture No infection No error

NoTitle

開業医のくせにこっそりICD資格を持ってたりしますが、絶対に公開しません(笑)


日本の司法制度の最大の問題として、全ての罪で「個人」を追及するというものがあります。
この場合でも、ICDの責任が問われて、業務上過失致死罪はICDが悪いことになります(あるいは更に管理者も連帯責任でしょうが)。

おかしいだろ、それ。

NoTitle

帝京大学病院、新規入院と救急車の受け入れ停止を発表したようですね。

まあまあ

医療の萎縮は我々の大切な患者さんにとって不利益で困ったものです。ところで
司法警察が介入して、正しい判断をしてくれれば、マスゴミ対策にはなるでしょう。
本当はそれではよくないのですが、そのくらい民度も低く、マスゴミはよく分かっていないのです。あえて警察官が現れて、「調べたけれど何にもなかったよ」と言ってもらえると、少しマスコミ(マスゴミではない)は納得するでしょう。それでも噛み付くマスゴミは、警察に文句を言うかもしれません。
しかし警察も、たちの悪いチンピラのようなマスゴミの、恫喝・嫌がらせ・因縁から、善良な医療機関やその従業員を守る義務はあるでしょう。
司法警察が大野病院のときみたいに、逃亡の懼れも証拠隠滅の懼れもない医師を、取調べのために逮捕するという、マスゴミ受けを狙ったパフォーマンスさえしなければ、かえってOKな気がします。あのときのように、専門家の意見を無視して間違えれば、その警察が恥をかくだけですから。
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でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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