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■開業つれづれ:救急搬送はどこへ行く?「救急搬送の基準作成に遅れ 中部9県はゼロ、1都5県のみ」


救急搬送のルールを決めろ、

という画一的な消防庁のお取決め。



ホッと胸をなでおろしているのは

救急隊。


いままでは搬送先を見つけられない救急隊の責任。

しかし今後は、この文章の通りにすれば

自分たちのせいではなく、

断った病院側の責任です。





とんでもないことになるのは

取決めを受けた基幹病院。









救急搬送の基準作成に遅れ 中部9県はゼロ、1都5県のみ


中日新聞 2010年3月18日 朝刊

http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010031802000133.html

 消防庁

などが各都道府県に求めていた

救急搬送時の基準作り

が遅れ、

本年度中に完成するのは多くても1都5県

にとどまることが、同庁の調べで分かった。中部地方は1県も含まれていない。同庁は19日に開く全国担当課長会議で先行する東京都の事例などを紹介し、作成を急ぐよう促す。

 基準作りは、2008年に東京都で脳内出血した妊婦が多くの病院に受け入れを断られ死亡した事案を受け、昨年10月施行の改正消防法で義務づけられた。

傷病者の状況に応じて医療機関を分類する基準

や、

搬送先の医療機関のリスト

搬送する医療機関を選定する基準

など7項目を明文化し、迅速で適切な救急搬送につなげるよう求めている。

 明確な期限は設けていなかったものの、同庁は各都道府県とも本年度中に完成させると想定していた。だが同庁などの調査では完成するのは東京都と鹿児島県だけで、完成の可能性があるところも4県にとどまっている。

 愛知県は設置が義務づけられた基準作りのための協議会すら開いていない。同県の担当者は「いつまでにという期限が示されていないので急がなかった」と話した。各県の担当者からは「半年で作れというのは厳しい」との声が数多く漏れた。

 消防庁の担当者は「調査や調整に時間がかかる事情も分かるが、命を守る大切な基準。遅くとも改正法施行から1年になる今秋までには、完成させてほしい」と話している。







つまりは予想通り

搬送できない消防庁の責任を

現場の病院の責任になすりつける法律ができた、

ということです。




ルールができる基幹病院は

たまったものではありません。






3回以上受け入れ拒否1万3千件 重症患者救急搬送

47NEWS 2010/03/18 21:14 【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031801000585.html


 総務省消防庁は18日、重症患者の救急搬送をめぐり、医療機関から3回以上受け入れを拒否されたケースが2009年の1年間で1万3164件(3・2%)だったとする調査結果を公表した。08年より1568件減ったものの、3年連続で1万件を大きく上回る深刻な状況。拒否の理由は「処置困難」が最も多く、次いで「手術中・患者対応中」「ベッド満床」「専門外」などだった。

 消防庁は「医療機関が多い大都市部でも、ほかに適した治療が可能な病院があるなどとして、負担の大きい救急患者を拒みがちだ」と指摘。

昨年10月施行の改正消防法



「受け入れ拒否が一定回数に達したら基幹病院に搬送する」

といった

ルール作りを都道府県に義務付け

ており、早期の取り組みを促す方針だ。

 09年の重症患者の救急搬送は約41万1021件。このうち最初の照会で受け入れ先が見つかったのは約34万8233件で84・7%に上ったが、10回以上拒否されたケースも677件(0・2%)あった。

 東京で39回拒否されたのは、

呼吸器系の病気

で自宅で動けなくなった60代の女性。

精神疾患もある

と伝えたところ、「専門外」などと次々に断られたという。









日本の医療はモザイク模様で、

全国均一になっているわけではありません。



大きな病院が乱立している大都市もあれば、

基幹病院が一つ二つ、あとはクリニックという地方都市、

診療所、クリニックだけがあるへき地、

それすらない無医村、

とさまざまです。



>「受け入れ拒否が一定回数に達したら基幹病院に搬送する」

>といった

>ルール作りを都道府県に義務付け

そして、

>7項目を明文化



なんて

画一的に出来るはずがありません。

同一の県内でも

一律に決めることは難しいのではないでしょうか。





そもそも

現場が燃え尽きるような「医療崩壊だ!!」

と言っているのに、

現場にはなんの手助けもせずに

紙を一枚出して、

「これからはこのルールでやってもらう。法律だ」

と通達が来るわけです。





そこにはこう書かれています。

>「受け入れ拒否が一定回数に達したら基幹病院に搬送する」




…バカか、おまえは。

基幹病院に援軍も送らずに

何を言っているんだ。





結局は、

消防庁が搬送できない自分の責任を

病院になすりつけるだけの

法律です。





こんな責任回避の法律ばかりで

現場に責任をなすりつけているから

医療は壊れてしまうのです(2)。





まあ、

福島みたく罰則まで検討

という(1)

悪魔の住む土地

にはさらになにかすごい力が働いているんでしょう。

意に反すると銃殺される北の大地か、

基地外としか思えません。






ここの議論を見ていると

とても

改正消防法

ではありません。






お上、文系脳の

改悪消防法

がまたまた現場を苦しめるわけです。














(1)”改悪”消防法

■開業つれづれ:とある医学の超DQN法 「救急搬送:ルール策定へ 県が受入協議会の初会合 /福島」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1239.html


■「救急搬送先のリスト作成 自民、消防法改正案を了承」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-786.html



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コメント

NoTitle

実はこれのポイントは、送るべき現場の消防隊にとっても足かせになる可能性が高い事でしょうね。

とにかく送りこんでおしまい、ならいいんですが、結局転送となると、救急隊にとっては二度手間、三度手間になる。
ちゅーか、まさしく文句がつけ様のない「たらい回し」になる。

そんなことなら、現場で搬送先を探した方が結局早かったなんてことになる可能性が高い。

私としては改正消防法でなく「合法的たらい回し消防法」と名付けてあげたいと思います。

記事の一部分に対してですが

精神疾患もちの方の救急は本当に困ります。
ひとつは一般病院じゃ向精神薬なんて常備してないですから。

で、もう一つは精神疾患は問診も大きな部分を占めるわけで
「精神療法加算」とやらが効いてなんとかペイするわけですが
救急外来にはその加算がない。
だから精神科疾患をみてたら多くの他の患者は診られないわ、報酬は雀の涙だわ
受け入れ先病院もなかなか見つからない。
(かかりつけに連絡したら「その方は入院で問題を起こされたので当方では入院できません」だと!)
へたしたら暴れてベッドや扉なんかを壊され
あげくの果てには転倒して賠償、なんて可能性もあり
地雷も地雷、当然手は挙げたくないでしょう。

精神科がちゃんと考えて精神疾患持ち専用の救命センターを設立するか
救急外来は問診の加算額を異常なくらいに高くするかしないと「精神疾患持ち」の受け入れ先はどんどんなくなりますよ。


地域に対して何の補償もないまま、地域に負担をかけてしまっている自立支援法」とやらの弊害ですな。

救急丸

客を積めば積むほど赤字が増すうえに
燃料切れでエンジン停止

客の暴言と激務に耐えきれずに
乗務員の大半は下船

ならばと 航海士が手漕ぎを始めるも
漕ぎ方が悪いと客から訴えられる始末

この船も もうじき 幽霊船ですわん

名台詞シリーズ

敗戦が続くと、作戦本部では空想が現実に取って代わる。

あるアニメ映画より

医療現場は敗戦だし
ぴったし!だに
終戦はまだかな?

楽しみだに

敗戦で死ぬのは兵士じゃなくて
市民だよwww
関東軍をみても解かるだろ。
真っ先に逃げるのは兵隊さんだよ。
まあ 死なないように頑張って逃げてねwww

NoTitle

  受け入れは『拒否』ではなくて『不能だと通知』。 表題からして、現場の窮状が分かっていないか、悪意ある誘導か、どっちもか。
  精神科関係の救急は、何度かイタイ思いをした記憶があります。 『かかりつけ』と自殺未遂で搬送⇒意識が戻って病棟で大暴れ、はマダましな方、危うく(以下自主規制)。 きちんと対応できる体制を整えるのが先、ソレなしに『受け入れろ!』と言われたって、ねェ。

名無しさんが、なんか書いていますが、国語能力なし のバカさらけ出していますね
名台詞を噛みしめてみたら?

どこも手一杯なんだね。

様々な搬送先病院の断る理由→「手一杯ベッドも一杯、てこずる患者に、手間かけられない」。

適切なタイミングで、本当に処置の必要な人たちが、入院するということが、難しくなってきてる、我が国の医療事情は、変。

医療が必要な人達のニーズに、現場のキャパがあってないっす。

精神疾患→暴れると困る→暴れたいのは、現場のオレ達ですか?

病院のバックヤードで、段ボール箱を、ぎったぎったに、踏んだり叩いたり、踏みつけたりするしかないよね。

おすすめは、大塚生理食塩水1リットルボトル10本入りの、箱ぐらいが、後始末も楽かと。



救急車は、本当に大変な人達だけにして上げて、精神疾患の人達は、ちゃんとかかれる所を確保して、身内が連れていくしかないでしょうね。


救急車を安易にみんな使いすぎているのも、原因の一つかもね。

そこへん、国もメタボ検診より、リテラシーの教育してないとやばいよね。

マスコミは、世論操作するならそういうふうにすればいいのに~~~~~~~~っと、med先生のブログの中心で叫んでいいですか?

ちょっと訂正

>救急車は、本当に大変な人達だけにして上げて、精神疾患の人達は、ちゃんとかかれる所を確保して、身内が連れていくしかないでしょうね。

>>救急車は、本当に大変な人達でも有料にしてあげて、精神疾患の人たちは、ちゃんとかかれる所を制限(≒予め決定)しておいて、身内が連れていくしかないでしょうね。

NoTitle

「窓口負担」が、診察を受けて病院を出る前に済ませる会計のことをさすのであれば、アメリカで「窓口負担」は無料なことは珍しくないでしょう。

数週間後に医療保険会社から多額の請求書が届いてから支払いになりますので。

数年前にアメリカの民間医療保険に加入していたときには、総額XXXドル、保険会社の負担分XXドルを差し引いたXXXドルの請求があったように思います。医療機関への支払いではなく、保険会社が立て替えて支払った金額なので、保険会社への借金になります。支払わないと訴訟になるとしっかり書かれていたような覚えがあります。

NoTitle

誤爆でした。

他の記事へのコメントです。

# Drは休息と(*^_^*) さま

>病院のバックヤードで、段ボール箱を、ぎったぎったに、踏んだり叩いたり、踏みつけたりするしかないよね。

公立病院勤務時代、あまりに腹が立ったので病院の裏に放置されていた古い机や椅子を手当たりしだい投げつけたことがあります。後始末なんて考えていたらストレス解消にはなりませんwww

Rex殿

多分それは、ワタクシのやったことの、拡大解釈ということで。

病院の場合、バックヤードが広い→放置してある机などがある。

在宅の場合→ベランダ→そこで暴れる規模的には、段ボール箱がちょうど良かった。


在宅もストレス溜まっとります。

たまには暴れないとやっとれません。

さあて、、

おらも 
ブツカリ稽古でも するべ

先輩、それでは、

おもいっきし胸を借りるずら。

どどどどどど、ばしばしばしばしっ。

ばしばしばしばしばしばし


はぁぁぁ~。



オメェは、ステルベンずら。

いい推すだ

きいた だよ
 
  おらは もう ゲシュトールベンずら

別ネタですが

カミコアニ

横溝正史の小説を連想させる
おどろおどろしい世界ですね。
山猿の猿芝居は いずれ
化けの皮が剥がされます。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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