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■開業つれづれ:34分は救急処置OK? 「救急隊は「処置」と「搬送」、どちらを優先すべきか―消防庁の搬送実態調査」



医療現場でも難しい

緊急気管挿管。



ときどき救急救命士が

必死にやった挿管が

食道に入っていたとか聞きます。





今回、もしもはっきりしたデータが出ていたら

まっさきに発表したであろう

”挿管したから救命率が上がった”、

というデータは

残念ながらないようです。









救急隊は「処置」と「搬送」、どちらを優先すべきか―消防庁の搬送実態調査

ロハスメディカル 熊田梨恵 (2010年2月16日 16:25)

http://lohasmedical.jp/news/2010/02/16162547.php

 総務省消防庁は16日、昨年末に国内で救急搬送された心肺停止状態の患者に関する実態調査の速報値を公表し、

救急隊の現場滞在時間と搬送一カ月後の生存率、社会復帰率についての相関図

を示した。

現場滞在時間が34分未満であれば一カ月後の社会復帰率に大きな差は見られない

として、同庁救急企画室の溝口達弘救急医療専門官は「一分でも早く搬送すればいいというものではなく、(搬送前の)処置の中身をきちんとしていくことも大事では」と述べ、医療界で言われる

「救急救命士の医療行為がなければもっと早く搬送でき、患者も助かる」

という"エピソード"に否定的な見解を示した。(熊田梨恵)

 消防庁は昨年12月、国内で救急搬送された心肺停止状態の患者について、搬送や受け入れに関する実態調査を行った。毎年実施している調査項目に追加して、救急隊の現場出発時間や照会回数、患者の救命処置に関する家族などからの要望などについても調べた。

 今回の調査は、医療界でよく言われる"エピソード"を"データ"化する狙いがある。たとえば、「都会で搬送に時間がかかるのは、救急救命士が医療行為を行っているからで、それがなければもっと早く搬送でき、患者も助かるのでは」と言う声がよく聞かれるが、賛否は分かれている。今度の調査では、従来の「病院収容時間」に加えて「現場出発時間」を調べるため、救急隊の「現場滞在時間」が分かる。

救急隊の救命処置内容や患者の転帰も調べる

ため、「処置」と「搬送」についての効率性を考えられる。
 
 消防庁は同日開いた救急搬送に関する有識者会議に、12月1日から14日の間に搬送された5020人に関する速報値を報告(左表)。搬送一カ月後の生存率は現場滞在時間が36分以上、社会復帰率は34分以上になるとそれぞれ0%となるものの、"エピソード"で言われるような、滞在時間の経過とともに社会復帰率や生存率が低下で推移していく様子を示すものではなかった。
  
 溝口専門官は会合中、「処置に40分以上費やすべきではないが、数分費やすのが絶対に悪いということではない、というデータ。ただ、その中で実際に何をやっているかということを見ないといけない。時間をかけて悪いということではない」と述べた。
 
 12月15日から31日までの間に搬送された患者のデータについて同庁は集計中としており、結果は来月開かれる有識者会議に報告される予定だ。






地域の中核病院の麻酔科の指導医と話をした時、



「本当に大事なのは気道確保。

プロの麻酔科でも難しいことのある挿管を

これぐらいのトレーニングでできるようになるんでしょうか。





…正直、通常の業務に加えて救急救命士の

トレーニングの受け入れまでやらなくてはいけないのですが、

酷使される現場の麻酔科の身になってほしいです」





とかなり愚痴っぽく言われていたのが印象的でした。




救急救命の重要性については

疑問は全くありません。




ただ、救急体制について

どのようにシステムを作り上げていくか、

どのような運用をするか

慎重に考えなくてはいけません。




>現場滞在時間が34分未満であれば一カ月後の社会復帰率に大きな差は見られない

というのは

なにかしら疑問を

感じずにはいられません。























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コメント

いいなあ救急救命士は、個人は訴訟対象にならなくてさぁw

>ときどき救急救命士が
必死にやった挿管が
食道に入っていたとか聞きます。

私は食道挿管でなかったの見たことないって聞きましたよw

NoTitle

現場で挿管する暇があるなら、地道に人工呼吸と胸骨圧迫を続けて、1分でも早く病院に送ることが大切なんじゃないですかね。挿管には時間がかかりますし、なかなかうまく行かないものですし、侵襲性が高いですし。挿管に手間取っているうちに患者さんの容体はどんどん悪くなります。

NoTitle

  ちょっと気になる記載を見つけたので、救急つながりで、スレ違い失礼します。
  救急の時間外受診の抑制に、追加料金の導入の話があります。 しかし、『行動経済学』(友野典男氏著、光文社新書)によると、グニ-ズィとラスティチーニが行った託児所における迎えの遅刻と罰金の導入に対する研究があるそうです。 ソレによると、罰金の導入によって遅刻が増えたそうです。 罰金を払うことで罪悪感が減少し、かえって遅刻するようになったと説明されているそうです。
  救急の現場でも、追加料金を導入することによって、かえって受診が増えるカモ? まァ、モトモト良心の呵責もない、トラブルの源泉となる問題受診者にとっては、あまり関係が無いかもしれませんが。

NoTitle

つい先日も食堂壮観されて運ばれてきたなぁ。すぐ入れ替えてあげて奇跡的に社会復帰したけど。麻酔科研修した医師だって、筋弛緩なしでは創刊できる人はそうそういないんだけどね・・・。ましてや救急隊員じゃあねぇ。ラリンゲルさえ「できませんでした」って言いながら搬入してくるんだから。
今は麻酔科研修必修でしたっけ?でも麻酔科ローテした後の研修医に救急当直で相関させてもまずできないんだよね。
バッグ換気だって実際は空気を逃がさないのは難しいんだけど、どんな顔の形でもマルチにFitするマスクの開発なんか今の企業技術なら可能だと思うんだけどな。

現実的には、どうなの

救命救急士単独では、医師ではないので、鎮静剤とか、筋弛緩剤とか使えない状態で、チアノーゼが起きて緊張がある、収縮してる気管支を開けるのか、疑問だ。


首を反らせるのも、一苦労するのではないか?


呼吸不全の原因の診断

気道閉塞とか、気道内圧上昇でマスク換気が効かないとかではない限り現場で挿管の意味ってないと思うのですが。

一度、出血性ショックに一生懸命挿管しようとしていて
受け入れ病院から「いいから早く運べ」って指示が出ているのに
結局現場に20分くらい居座ってたのを目撃したことがあります。

あとSpO2の原理もしらないで「SpO2が○○%だから酸素を~」とかレベル低すぎ。
まずそこから徹底して教育すべきじゃないのかなぁ。

ERでCPAの挿管多数。

>麻酔科研修した医師だって、筋弛緩なしでは創刊できる人はそうそういないんだけどね・・・。
CPAの挿管は、筋弛緩していてそんなに難しくはありません。(難しいのは、心停止しそうな生きている患者さんです。)ただし、死後硬直で口があかないヒトは、経口挿管難しいです。一度発見されてから1時間ほどぶる下がっていた若者を家族の希望もあって、救急隊が搬送してきたことがありましたが、マスク換気と心マだけして、死後硬直で口もあかないので、(kも7以上あったし)挿管しないまま蘇生中止しました。

CPAの蘇生でも挿管や人工呼吸よりも心マの重要性が増してきているように思います。
挿管実習にお金とマンパワーを投入すれば、社会復帰が増えるというのは、幻想だと思います。
私は、挿管実習しても、実際的な効果はないと思いますが、挿管というものを体験することで、知識の理解や応用や関連項目の理解が深まり、心停止する前に適切な施設に搬送する助けになれば、、と思い、挿管実習に協力しています。
救急隊にとって、本当に大事なのは、挿管できることよりも、状況判断と正しい診断、そして適切な施設選定だと思っています。

とっさの状況判断って

だれにとっても難しいと思う。

教科書や実習で学んで覚えることができることと、それを緊張感溢れる状況でできるのかは別のスキルだと思うときがあるんだよ。



隊員個人で判断できなければ、搬送先の医師に相談できればいいんだけど、脳が酸欠になりそうとか、どんどん出血してるとかいう場合そんなこと言ってられないから、ともかく処置るしかないのかもしれないし。


具体的なデータ集めや分析の前に、医師、消防、行政がどうしたらうまくいく仕組みができるか、コミュニケーションをとれればいいのだけど。


医療は単独で成り立つものじゃなくて、色んな流れの中にあるものだと考える。

そうすると、どっちか片一方が無理して頑張っても、全体で見て、いい達成感にはならないと思う。

挿管のグレードが救急と病院とでは違うとか?!

救急者での処置では挿管が小さく、搬送先救急病院では大きいので、急性期の処置に差があると救急医が言われていました。

2/20の事態でしたが、結果としては、救急車に搬送したときに 心肺停止 となっており、搬送先病院探しに約10分、搬送に約20分かかっていました。が、搬送先では、救急では挿管が小さいので。。。と説明されており「呼吸不全」に、しかし、死亡主因は「心筋梗塞」と判断されていました。

救急車で真の救急医療として、診断、処置、治療ができないと、夢物語で終わってしまう日本の救急医療だと痛感しました。

大きな人生課題です。

本当に

社会常識が無いんですね。『いいから運べって指示を…』って、別組織の方に言える事、聞いて違和感を感じないこと……。

政治家、医師、教師など『先生と言われるほどの馬鹿はなし』はホントなんですね。
お外で遊びなさい!なんかズレてるのがわかるかもよ。

さすが縦割り公務員w

>『いいから運べって指示を…』って、別組織の方に言える事、聞いて違和感を感じないこと……。

今後は病院に連れて来ずに、消防署内で最期まで面倒見て下さいねw
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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