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■開業つれづれ:「クローズアップ2010:診療報酬改定 配分議論、決裂含み」




”4000円上げるから頑張ってね”

と言われていたのに、

財布を開けたら、700円しかなかった、

というお話。






10年間、

ずーと引き下げられ続けていた

診療報酬。






0.19%、

700億なんてすずめの涙でも

新聞で連日報道されるぐらいですから、

どれほどインパクトがあった事やら。




JALは8000億かけて

つぶして再生ですから、

国民生活に直結した医療が10年ぶりに

700億アップなんて

どれだけさげすまされているか

よくわかります。









医療の立て直しには程遠い金額で、

何をするつもりでしょうか。












クローズアップ2010:診療報酬改定 配分議論、決裂含み 

<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>


毎日新聞 2010年1月12日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100112ddm003010116000c.html

 09年末、総枠で0・19%増と10年ぶりのプラス改定が決まった診療報酬を巡って、厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台に13日から具体的な点数配分の議論が始まる。鳩山政権は医師不足など疲弊する地域医療の再生策として「病院勤務医の待遇改善」を挙げており、2月中旬の決着に向け、病院より診療所(開業医)に手厚く配分されている「再診料」の見直しが最大の焦点となる。【吉田啓志】

 ◇病院の再診料増やせ--診療側
 ◇開業医側削り財源に--厚労省
 ◇呉越同舟の統一案
 中医協は12月16日、2回目以降の診察にかかる再診料を統一することで合意した。

 現在、再診料は病院(200床未満)600円に対し、診療所710円と開業医に厚い。ただ、中医協で医師ら診療側委員と、保険料を負担する経済界ら支払い側委員が統一で合意できたのは、単価の決定を先送りしたためだ。今後、診療所の金額を引き下げるのか、病院をアップするのか、それとも双方の中間でそろえるか--で混乱するのは避けられず、中医協会長の遠藤久夫・学習院大教授は「いわば呉越同舟。どちらを上げる、下げるで、今後決裂する可能性はある」と言う。

 こうした状況に医療提供側の鼻息は荒い。

 「まずは病院の再診料を診療所の水準に近づけるべきだ」。

6日の年頭会見で、開業医を中心とする日本医師会(日医)の中川俊男常任理事はそう語り、病院の再診料アップによる段階的統一を主張した。

 しかし、厚労省はそうは考えていない。再診料の10円増で医療費は100億円弱膨らむ。診療所の再診料引き下げによって財源を生み、病院側の収入に充てることは避けられないとみている。

 ただ、日医は徹底抗戦の構えだ。また昨年、長妻昭厚労相は中医協から日医の代表委員を外したものの、代わりに新たな開業医の委員も就任しており、大幅な再診料引き下げには反対するとみられる。さらに、病院側にも「私たちも将来開業するかもしれない。勤務医と開業医の分断を狙う政府の策に乗るべきではない」(40歳代の勤務医)といった冷静な声は多く、政府側の思惑通り「650円程度での統一」(厚労省幹部)に落着させられるかは不透明だ。

 ◇外来加算でも違い

 このほか、医療関係者は「外来管理加算」(520円)の扱いにも熱い視線を注ぐ。

 同加算は、再診に訪れた患者が傷の手当てといった「処置」などを受けず、問診だけだった場合などに上乗せされる。

 処置の機会が少ない内科医などの救済策という説もあるが、負担を求められる患者には分かりづらいのも事実。このため08年度改定では、問診が5分超でなければ加算を認めない「5分ルール」が導入された。

 外来管理加算は開業医の主要な収入源だ。5分ルール導入時、

厚労省は医療機関全体の減収を年間約240億円と試算

していたが、全国保険医団体連合会は

「1200億円の収入減になった」

と主張する。医師の不満を受け、診療側、支払い側とも10年度改定で5分ルールを廃止する方向では一致している。

 しかし、これも双方の思惑は食い違う。診療側は、時間要件のない

従来通りの加算

を認めさせる腹なのに対し、支払い側や厚労省は5分ルールをなくした上で、

加算の縮小や制度自体の廃止

も視野に入れている。議論が始まれば、双方が衝突するのは確実だ。

 ◇勤務医、待遇改善保証なく

 開業医205万円、病院勤務医123万円--。

 金額は09年6月の医療経済実態調査に基づき、財務省が示した平均的な月収だ。

 診療報酬は1%増で約3400億円の医療費がかかる。そこで同省や中医協の支払い側委員は、診療報酬総枠の伸びを抑えながら勤務医の待遇改善を実現する策として、開業医の取り分を削って勤務医に回すことを狙った。「開業医の収入は勤務医の1・7倍」と示し、「開業医はもうけすぎ」と印象付けようとしたのだ。

 これに日医などは猛反発し(1)開業医の収入には設備投資費なども含まれる(2)勤務医の平均年齢43・4歳に対し開業医は59・4歳--と反論した。それでも財源難は動かし難く、結局診療報酬は0・19%増にとどまった。

 勤務医は救急、産科、小児科を中心に過酷な労働ぶりが指摘される。せめて収入増を図らないと一層医師不足を招く、というのが政府の考えだ。

 しかし財源はない。09年末、新政権は中医協の頭越しに

約4000億円を救急分野などの入院費に注ぐことを決めた

が、

0・19%増では約700億円

の財源しか生じない。勤務医対策は主に薬価削減でひねり出すことにしたものの、それでも足りず、診療報酬のどこを削って病院に回すかが次の焦点となった。

 開業医の再診料引き下げや、外来管理加算の縮小はそうした中から浮上した。それでもどこまで実現できるかは微妙だ。また、診療報酬は経営者に支払われる。病院の収入が増えても、増収分を勤務医の給料に充てる保証はない。厚労省は介護職員の賃金増を目指し、

09年度の介護報酬改定で3%アップを実現

したが、報酬が施設の長に支払われることもあり、

大きな効果は上がっていない。

==============

 ■10年度診療報酬改定で検討されている主な項目

・病院、診療所の再診料統一

・外来管理加算の見直し

・入院費包括払い(医療費定額制)移行病院への加算の一部廃止と新設

・後発医薬品の採用割合が20%以上の病院に入院基本料の加算

・医師に、患者が後発医薬品を選択しやすくする対応を求める努力義務規定の新設

・手術の適正評価

・医療と介護の機能分化と連携強化

・後発医薬品のない新薬の価格を維持するための加算新設









勤務医 vs 開業医

にならないのは

一部の先生を除いて

いずれは開業を視野に入れているから。




だって、

院長の椅子は病院に一つしかないですし、

各科の部長といっても

看護師は看護部管轄で、

部下の医師は数名から多くて7,8人。



お役所の係長みたいなものです。


…いや、そう言ってしまえば

大学教授も係長か課長ぐらいの

権限しかないかも。

だって、教授だって

ひどい教室は部下(医師)が5人以下

という教室もざらにあります。





>◇勤務医、待遇改善保証なく

とか書かれていますが、

再診料を減らしたら

「開業医、待遇保証なく」

とか将来言われると思いますが、

壊滅的な打撃を受ける可能性があります。












逆に勤務医として囲い込まれるかも、

という政治不安がつよくなり

”これ以上悪くなる前に一刻も早く開業しなくちゃ”

という、最前線の中堅どころの離脱という

勤務医の崩壊

が今後目立つかもしれません。









問題点は、

厚労省もマスコミも

”研究ばっかりやっていないで臨床をやる医師が一番”

という理想の医師像を出している点にあります。







そしたら、

医師も感謝されるのは好きですから、

患者さんの声を敏感に感じて、

”大学より一般の病院に勤務したい”

ということになるわけです。

実際にそういう流れを作っています。






その次は、

”一般の大きな病院より小さな町の診療所で尽くしたい”

という発想になるのは難しいことではありません。

だって、

そこに医師としての理想像があるわけですから。





よく特集してますよね。

新聞でも。

医師として5年目の先生が

へき地に残ってウン十年。

山間部の患者さんに

何時間かけて在宅診療、

とか。








医師はどんどん研究から離れ、

理系の最優秀学生だった医師が

組織から離れ、

中央から離れ、

竹林の賢人がごとく

へき地に拡散していくわけです。







そしてそこに、

”開業医の締め付け”

というわけです。

当然、在宅診療も1人のために

何時間もかけられなくなって

数をこなさなくちゃいけなくなりますし、

バンバン外来も患者さんを診ないと

赤字になってつぶれます。





実際に、半農半医という

先生もいたようですが、

すでに

壊滅的な打撃を受けて

いるようです。





「家庭医をいっぱい作るが、開業医としては採算割れぎりぎりラインを目指す」

というのが国の方針、

マスコミの希望のようですから

日本の医療は

すぐにワーキングプア医師で

あふれかえるようになるでしょう。























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コメント

NoTitle

つい先日、レセプトの電子化という名目で開業医への事実上の負担増を図ったばかりであることはもう忘れてるんですね。

まあ、一部の医療機関にのみ早い者勝ちで補助金を播いたようですが、リース不可という条件下でレセコンの数分の一のみの費用を補助したところで、メンテナンス代で1年で消えてしまう、ということを知っているとは思えません。

本当に今の日本医療の再生を望むのなら、医療費の増額は避けれないでしょう。医療費の増額を避けたいのなら、相当なレベルの診療制限が必要です。

本来なら後者をするべきなんですがね。「安易な受診を止めてください」って。
外来受診回数を2割減らすことができたら、もちろん医療費は何千億単位で削減できるでしょう。その分、診療報酬を少し増やして、現実の削減範囲を医療費総額がマイナスの範囲である程度圧縮する。

そうすることなしに、「心配、不安があったらバンバン受診してOK。救急も時間外もどんどん受診してください。万が一があったら医者が悪いんだろうから、どんどん責任を追及すべき」という方向で世論形成をしている以上、現場の疲弊と医療費の増大はどうあがいても避けれないと思います。

まず、政府・マスコミがちゃんとした医療を受けるための流れを世論形成することが、医療費の削減につながるのだと、なぜわからないんでしょうね。

NoTitle

連投スマソ

アメリカ人から見たら、日本の医療従事者は「まるで修道僧のようだ。ここまで自己犠牲・奉仕の精神で頑張っているなんて、アメリカではありえない」

ということだそうですが、分かってますかね?
この感想は、決して病院勤務医に対してだけのものではないです。開業医の状況もすべて見た上の感想です。

いつも言ってますが、

>アメリカ人から見たら、日本の医療従事者は「まるで修道僧のようだ。ここまで自己犠牲・奉仕の精神で頑張っているなんて、アメリカではありえない」

そんな事やってたから愚民やマスゴミが図にのったんですよ…。

NoTitle

場違いとは分かっていますが、今、あちこちで情報を流しています。
今回の1月の国会で、小沢一郎は在日外国人参政権を認める法案を提出し可決させる予定です。
予算案を通したのち、緊急議題として通すと言われています。
これが通れば、医療崩壊どころではありません。
在日外国人(朝鮮人)による日本支配の完成です。地方選挙権といっても、国政と切れるものではありません
ましてやこれが通れば次は、彼らは国政選挙権の請求と被選挙権の請求をすると思われます(講演会などの発言から)
同時に、在日外国人(朝鮮人)に公務員の懲戒免職請求権なども同時に認めるとのことです
次の世代は完全に朝鮮人にひょる支配下にはいってしまいます。この法案が通れば、在日朝鮮人の数の増大も言われています。
少しでも多くの情報を広めて民主党の暴走を抑えましょう

国つ神 と 天つ神

ヤンゴトナキ お方も
半島から 降臨なされたんでしょうから、、、
歴史は何度でも 繰り返しますわね。

NoTitle

  個人的に、公私の別はシッカリつけるべきだと考えています。
  親族や友人など、『私』の部分は、(相手を選んだ上で、お互いに)譲歩するのは必要ですし、場合によってはコチラが出血大サービスもしてみせないと、信用などされません。 しかし、マスを相手に仕事をするのは、私は『公』の部分であると考えています。 本来不特定多数である相手に、安易な譲歩は禁物です。 相手が何をするか分からない上に、自主的に譲った部分を取り返すのは困難です。 『公』である仕事上の相手に、公私の別をシッカリ認識せずに、『私』の部分と同様の感覚でいい顔を繰り返していると、自分と同業主の首を絞めます。
  一番言いたいことは、相手をよく考えて振舞わなければならないと言う点です。 少なくとも、医療者側が譲って努力したことに感謝も無く、当然のように『おかわり』を要求してくる様な相手は、初めから警戒しておかなければなりません。 医療の提供者と、受けての間には、利害の不一致な部分があることは、超えることの出来ない現実です。 予後の改善という共通の利益に対して、お互い協力関係を築ければ、それ以上のことは無いのですが・・・。

おだまきさんの書き込みは、在◎人と日本人の関係にも当てはまります。日本人はどこまで譲歩するのか?

今生きている世代が、彼らに何もしてないにも関わらず彼らは要求し続ける

強ミノ注射

例えば、うちのクリニックに週に2、3回強ミノ注射のために来院されている方がいます。1回当りの診療費は1710円です。
外来管理加算と再診料が減額されると1300円~くらいになるでしょう。そうしたら人手不足を理由にお断りして大きな病院に行ってもらうしかありません。少し前に針刺し事故などもあってもうやってられないという感じです。
リスクに対する価格設定がされていない現在の保険制度は壊れて当然と思います。





NoTitle

>09年度の介護報酬改定で3%アップを実現

>したが、報酬が施設の長に支払われる

これをみてぞくっとしました。
介護の世界はビジネス、したがってこういうものはばら撒きに近いものになります。
介護の現場は薄給で働いて痩せていて、その多くを束ねる幹部だけが太るという、時代錯誤の構図です。
ここに「施設の長に支払われるお金」が流れても、状況は変わらないでしょう。
こういうものを削ってほしかったのに、必要なものを削りまくって。。。→事業仕分け

私は社会保障費はほかを削ってでも上げるべきだと思うんですが、財務省は数字ばかりを見ているのでしょうか。

23:13の名無しさま

介護はビジネスにはなりませんよ。施設長に入る=経費人件費建物修繕費の赤字補填です。介護の世界も 報酬は決まっているので(有料は違うと思いますが)間違っても施設責任者が潤うことはありません。それどころか どれほど持ち出しで経営しているか。報酬が低すぎるのです。事業仕分けは 国会議員の給料をするべきでした。たった2日で満額130万ですよ。おかしいです。

さらに23:13の名無しさま

>報酬が施設のに支払われる
これを言葉どおりに受け取るの人が居るということは、診療報酬を医者の報酬だとするマスコミの印象操作は有効なんだと改めて思い知らされ、大きな落胆を覚えます。いくら言ってもマスコミは学習しませんから、やはり介護報酬とか診療報酬とか言う名称は止めて、単に介護費用、医療費用などに名称を改めるべきでしょうね。「医療機関に支払われる医療費用の改定は・・・」とか言うように。
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某大学医学部を卒業
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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
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