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■開業つれづれ:「中医協人事で、全国紙が一斉に社説」




みなさま、情報いろいろありがとうございます(1)。

ネタ元は耶馬苦痢陰弔さんです。




各紙に中医協人事の対する

社説が載っております。



CBさんがうまくまとめておりますので

こちらを取り上げさせていただきます。







”報復人事”と

”論功行賞”であるのは

だれの目から見ても明らかです。



それにしても

論旨が破たんしている社説を載せているのは

なぜなんでしょう?




(朝日)

>「実際には、病院経営を助けるために開業医の再診料を引き下げられるかが問われるのではないか」

???

なんでこんな文章になるんでしょう?

開業医の再診料を引き下げると

病院経営が改善する?


そうではなくて、

激安医療の”病院再診料を引き上げる”

というのが

解決策の一つではないでしょうか?




なんで開業医の再診料を引き下げたら

病院が喜ぶのか

まったくわかりません。










中医協人事で、全国紙が一斉に社説


更新:2009/10/28 14:35   キャリアブレイン

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24957.html


 日本医師会(日医)執行部の推薦枠がなくなった中央社会保険医療協議会(中医協)の人事について、全国紙朝刊は10月28日、一斉に社説を掲載した。「(医療機関の診療報酬増額の)公約実現に向けて一歩を踏み出した」(朝日)、「政権交代を改めて印象づける人事」(毎日)など、長妻昭厚生労働相の決断を評価する論調が多かった一方、先の衆院選で民主党支持に回った茨城県医師会の理事らを新委員に起用したことから、「論功行賞」(日経、産経)とならないようクギを刺す主張も見られた。中医協人事をめぐって、全国紙が一斉に社説を掲載するのは極めて異例だ。



■「開業医の再診料引き下げが問われる」―朝日

 日医の影響力を排除した今回の人事について、朝日は「(次期報酬改定で)地域の医療を支える病院に大胆に上積みすることが期待される」と意義を強調。日医が自民党政権下で強い力を持ち続けてきた結果、「開業医に比べて病院の再診料は低く抑えられてきた」と主張した。また、長妻厚労相が診療報酬全体を増やす意向を示していることに関して、勤務医と開業医の双方の財源確保に疑問を投げ掛けた上で、

「実際には、病院経営を助けるために開業医の再診料を引き下げられるかが問われるのではないか」

と指摘した。

■日医は「自民による族議員政治のシンボル的存在」―毎日

 長年、自民党支持だった日医が報酬改定に影響力を持ってきたことから、毎日は「(日医が)自民党による族議員政治のシンボル的存在」とし、「政権交代を改めて印象づける人事」と評価。そして、今回の人事を「表向きの理由は病院勤務医の待遇改善」と位置付けた。
 また、前回の報酬改定が日医の抵抗で「中途半端な改定に終わった」として、「民主党は来年度の診療報酬改定に向け、

日医の影響力の排除を図った

といわれる」と指摘。次期改定について、勤務医や産科、小児科などに対する手厚い報酬へ向けた論議を求めた。
 毎日は一方、「(新委員が)それぞれの団体の権益の主張に徹するのでは、日医に代わる圧力団体が登場するだけ」と、利害関係者が診療報酬を決める中医協の在り方に疑問を投げ掛けた。

■医師会幹部の新委員、「適任かの判断は早計」―日経

 今回の人事に関して、日経は「患者の立場を第一に議論する中医協に再生させてほしい」と長妻厚労相に要望。また、日医執行部については、「開業医の利益を重視する傾向が強いといわれる」とし、そのため報酬改定で勤務医への評価が行われていなかったと指摘した。
 新委員に選ばれた京都府医師会幹部と茨城県医師会理事について、日経は「適任かどうかを判断するのは早計だ」と主張。さらに、来年春の日医会長選に同県医師会長が出馬表明している点に触れ、「仮に当選すれば政権党の支持基盤という日医の機能は変わらない可能性が強い」と危機感を示した。

■「開業医全体の報酬枠に切り込むことが必要」―読売

 今回の中医協人事について、読売は「政権交代と日医の中の路線対立が連動した」とした上で、「多くの国民にとって日医内部の主導権争いは重要でない」と切り捨てた。その上で、「新しい陣容の中医協が、開業医の利益を優先してきた診療報酬体系を改革できるかどうかだ」と問題提起した。
 次期報酬改定については、「過酷な救急医療や産科、小児科といった分野の病院勤務医に、思い切って報酬を配分しなければならない」と主張する一方、勤務医と開業医の双方の報酬を引き上げることが財政上難しいことから、地域医療に従事する開業医への報酬を約束した上で

「開業医全体の報酬枠に切り込むことが必要になるだろう」

とした。
 また、医師会幹部の新委員に期待感を示した上で、日医執行部については、「開業医中心の圧力団体から脱皮を図る時ではないか」と、今後の変革を求めた。

■日医枠ゼロ、「粗雑な印象を免れない」―産経

 産経は、鳩山内閣が勤務医の待遇改善を図る方針を示していることから、「改革の意思を示すものといえなくもない」としながらも、

「日医の全員を一度に外すやり方は、あまりにも図式的で粗雑な印象を免れない」

と指摘。病院と診療所の「病診連携」を「地域医療の基本」とした上で、

「勤務医と開業医の対立をあおるような事態となれば、迷惑を被るのは患者であることを忘れてはならない」

と、患者である国民目線の議論の必要性を訴えた。






(読売)

>「開業医全体の報酬枠に切り込むことが必要になるだろう」

すでに開業医の3割が赤字になっていますが、

さらに赤字の開業医を増やして

地域医療から撤退しろと?






つい最近まで

”医療費は高すぎて削るに限る!”

と誤った主張をして

医療崩壊を導いたのと

まったく同じ展開をしようというのでしょうか?







経験値が上がらないというか

マスコミに学習機能が付いていないというのは

本当に致命的な欠陥です。











(産経)

>「勤務医と開業医の対立をあおるような事態となれば、迷惑を被るのは患者であることを忘れてはならない」

が一番まともなことを言っているのには

驚きました。

これも時代なんですね。







(1)

コメント欄より

http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1144.html#comment8401

各紙社説
一斉にこのネタを取り上げていますね。
朝日
http://www.asahi.com/paper/editorial20091028.html?ref=any
読売
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091027-OYT1T01290.htm
毎日
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091028k0000m070146000c.html
日経
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091027AS1K2700727102009.html
産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091028/plc0910280311003-n1.htm

普段は主張が異なることの多い朝日と読売が同じ様なことを言い、あれほど日医を毛嫌いしていた産経が割とまともなことを書いているのが面白かったです。

posted by 耶馬苦痢陰弔 URL 2009.10/28 10:46分 [Edit]



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コメント

NoTitle

厚労大臣をはじめ、マスコミの皆様も揃って厚労省官僚の洗脳にうまくはまったということですね。
少なくとも「勤務医に比べて開業医は楽してウハウハ」というおとぎ話を信じている点で、洗脳は完了しているようです。

社員の給料を決めるのに、労働組合の代表が入るのはおかしい
公務員の給料を決めるのに人事院が決めるのはおかしい

こう言っているのに等しいということに気が付いているのかな?

ぶっちゃけ、普通の勤務医は診療報酬に対する関心は非常に薄いと思います。
(少なくとも私は開業するまで全然知りませんでした)
経営陣や医事課は別でしょうが。

そして、「保険診療を主としている診療所」の平均可処分所得は既に勤務医を下回るというデータも(厚労省もマスコミもスルーしてますが)あります。

このまま、「楽してウハウハ」な開業医を締め付けて、病院に手厚くする、というおとぎ話で国民の皆様はいいのでしょうか。厚労省はもちろんそれを目指し、開業医つぶし>借金を背負わせての医師強制配置を狙っています。今までのすべての主張がそこにつながって整合性を持っているように見えます。

そして、低収入化した業界には決して優秀な人材は入ってきません。

でも、ホントに最近の私のコメント、疑心暗鬼に満ちたマイナス思考なものばかりですね…(^_^;)
もうちょっと明るいコメントを書きたいですぅ

狙うは人材再配分

今までの日本では、理系の最優秀層はこぞって医学部めざしていたわけです。
おかげで、日本人の平均寿命は世界一を争うようになった。
しかし、高齢化が数々の問題を生んでいるのも事実。

そこで、優秀な人材を医学以外に回そうというのが官僚の戦略。
ついでに医療費が減らせればそれに超したことはない。

>低収入化した業界には決して優秀な人材は入ってきません。

そんなことは百も承知というか確信犯でやってます。

NoTitle

 同一のテーマに対する各紙の社説を比較するというとても面白い現象がおきたのですね。

 それにしても、各紙とも首尾一貫した主張を繰り広げてもらいたいものです。昨日と今日では主張する方向があさっての方向になっているのなんてのは論外です。(ネットでは、ばればれです。)
 
 国外から見たらきっとこんな感想がでるでしょう。
 
 Are you sure?

 これ以上医療費を削れといっている時点ですでに ??? ですが。

民主党国会議員に告ぐ

小泉政権と郵便局・郵便局員との関係は、鳩山政権と病院・医師との関係と同じです。国民の生活が苦しいのは誰それのせいだ、と敵をでっち上げ、何が何でもその敵の責任にしてバッシングすることによって、国民の不満を政党・政治家からそらせるという手法です。マスコミがまんまとそういう稚拙で姑息な策略にはまって、政党・政治家と一緒になって仮想の敵をバッシングして国民を煽動しているのを見ると、マスコミは小泉ブームから何の教訓も得ていないことが分かります。

増税を否定する一方で、各種の給付を拡充するという民主党の政策は、最初から破綻しています。それにもかかわらず、官僚が無駄遣いしているせいだ、医師の業界団体のせいだ、と責任転嫁して、正義を気取っているのが鳩山由紀夫以下の民主党国会議員です。

民主党の国会議員におかれては、まずは国会議員の定数を半減し、給与を半減してほしいものです。国会議員の給与も政党助成金も国民の税金ですからね。

半減、、甘くない?

資質を疑う輩がほとんどですから
選挙の他に国家試験を課したらいかが?
まず、、漢字の試験とか。。。

このタイミングで

開業医の年収2522万円 病院勤務医の1・7倍
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009103001000187.html

毎度おなじみの大本営発表ですw

NoTitle

で、勤務医と開業医の平均年齢はどうなんでしょうね。
それと、ちゃんと読むと「個人立の一般診療所の収支差額からは、開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる」って書いてあるんですよね。
要するに、開設時の借金の返済などがここに含まれるということですよ。
そういう年齢条件と職業環境、補償などの差を無視して話をされてもとても困る、というのは相変わらず華麗にスルーですね。

まるで、大企業の「60歳の役員」と「40歳の平社員」の年収に格差があるのはおかしいと言ってるようなもの。
もっと言うと、40歳のサラリーマンと、60歳の人が経営する個人経営中小企業の収益に(あくまで経営者の可処分所得ではないことに注目。さらには借金の有無を無視して)1.7倍の差がある、と比較しているという事実は無視ですね。

NoTitle

当然開業医には、美容形成など自由診療専門の医師が含まれています。保険診療の枠内で比較しないと、あまり意味はないと思います。

ともあれ、日本医師会が「会員の4割以上は勤務医だから、日本医師会は医師全体の代表だ」と主張したところで、実際に意思決定に関与できる代議員のほとんどは開業医なので、ぜんぜん説得力はありません。しかもその開業医代議員も、臨床の前線から退いた高齢者ばかりです。

高齢者開業医が医師全体の代表を気取っているのが日本医師会であって、このことについては特に勤務医の間で批判が強いですね。日本医師会が一般の医師の支持を取り戻したいなら、抜本的な組織の改革が必要です。

民主党に冷たくあしらわれたのをいい機会にして、思い切って改革してはどうでしょうか。
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フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


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でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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