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■開業つれづれ:「視点・論点 「新型インフルエンザ対策」」

再三、

”積極的にリレンザ、タミフルを処方して

新型インフルエンザに対応すべき”

という意見を当ブログでは

述べさせてもらっています(1)。




新型インフルエンザの

WHOの治療ガイドラインに対する

考え方の違いだと思いますが、

十分にタミフル、リレンザがない地域のための治療と

日本のように医療が充実している地域の治療とは

区別して考えるべきだと思います。





あまりに抗生剤による耐性菌の功罪が大きすぎて

”抗ウイルス薬を使ったら耐性化するのでは”

という懸念があるかもしれませんが、

タミフル、リレンザを積極的に使用することが

患者さんのメリットになると管理人は考えています。






NHKの視点・論点から

引用させていただきます。











2009年09月08日 (火)

視点・論点 「新型インフルエンザ対策」


神奈川県警友会けいゆう病院 小児科部長 菅谷 憲夫


http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/27454.html#more


WHO、世界保健機構は、2009年6月に新型インフルエンザ大流行を宣言し、その後、世界的に流行が拡大しています。厚労省では、これから起きる本格的な流行、

第1波で、国民の20%、約2500万人が発病

し、

その1.5%、38万人が入院、

そのうち3-4万人が重症化すると予測

しています。数年後には、全国民が罹患発病するのが新型インフルエンザの本質であり、第1波での2千万から4千万人の患者発生を避けることはできません。第1波は10月には始まると思います。もう時間は余りありませんが、38万人もの患者の入院が可能かどうか、数万人の重症患者に人工呼吸器などの集中治療が出来るのかどうか、非常に厳しい状況です。よく聞かれるのがいつまで続くかと言うことですが、これは、本格的に患者数が増加してから、6週間か8週間ぐらい続きます。ですから今の感じですと、9月の終わりか、10月初めから大流行となり、11月中には終了すると予測されます。



これからの第1波を考えるときには、

ニューヨークでの状況を日本国民はしっかりと見ておく必要

があります。ニューヨーク市の本格的な流行は、今年の5月中旬から始まり6月末までの6週間の経過でした。909人の入院があり、そのうち、225人、25%までが集中治療室で治療を受け、124人、14%が人工呼吸器を装着し、47人の方(5.0%)が死亡しました。ニューヨーク市の状況を見ると、

入院患者は、高率に集中治療室に収容され、かなり重症

であったことがわかります。

到底、弱毒とは言えません。

もし、これが東京で起きていたら、入院もできないし、人工呼吸器も足りないし、大変なパニックになっていたと思います。入院患者には慢性病を持っていた人が多く見られました。問題は、何らリスクのない健康な子どもと大人の入院も21%に見られたことです。最近では、WHOの報告によると、重症患者の40%が、リスクのない健康人といわれています。

私は、アメリカのインフルエンザ専門家から、「ニューヨークに起きたことは、東京でも起こる」と何回も警告されました。それは、今、日本で流行っているウイルスとニューヨークで大きな被害を起こしたウイルスは全く同じものだからです。なぜ日本では、ニューヨークのようなひどい状況にならなかったのでしょうか。それは、

日本では

ほとんどの人が、きちんと

タミフルやリレンザなど、ノイラミニダーゼ阻害薬の治療を受けている

からです。

一方、多くのニューヨーク市民は治療を受けていなかった

のです。

8月にWHOから新型インフルエンザの治療ガイドラインが発表

されました。ガイドラインの作成には私も参加しましたが、この中で、最も重要な点は、今回の新型インフルエンザ流行に際して、

ノイラミニダーゼ阻害薬の役割

は、

重症化を防ぎ、死亡を防止する、さらに入院を減らす

ことにあると、明確に述べられていることです。季節性インフルエンザで良く言われている、タミフルを飲むと、熱が早く下がるとか、早く仕事に復帰できるというレベルの話ではないのです。肺炎を防ぎ、重症化を防止することが目的ですから、タミフルやリレンザの治療は大変に重要なのです。新型インフルエンザは、決して家で寝て治す病気ではありません。

呼吸困難を訴える肺炎や脳症など、重症患者は全例をタミフルで治療することが決められました。ハイリスク群では、重症度に関係なく、タミフルまたはリレンザによる治療が勧告されています。WHOでのハイリスク群は、新生児、乳児を含む5歳未満の小児、妊婦、65歳以上の高齢者、あとは呼吸器疾患、心臓疾患、糖尿病など慢性病の患者です。世界で多数の死亡が報告されている妊婦と、今まで投与が避けられてきた新生児、乳児に対して、ノイラミニダーゼ阻害薬による治療を確実に実施することが日本での課題となると思われます。

一方、軽症の健康な人では、必ずしも抗ウイルス薬による治療は必要ないとされています。これは、世界の多くの国では、健康な人まで治療するだけのノイラミニダーゼ阻害薬の備蓄がないのです。例えば、タイは、国民の1%を治療する備蓄しかありません。健康な大人と子どもを治療することは不可能なのです。

WHOの委員会では、健康な大人、子どもを含めて、すべての新型インフルエンザ患者の治療が必要であることに意見が一致

しています。

日本は

国民の50%近くを治療できるノイラミニダーゼ阻害薬を備蓄していますから、当然、

患者全員の治療をすべきです。


WHOのガイドラインでは、ノイラミニダーゼ阻害薬の早期投与を強調し、新型インフルエンザの疑いがあれば、すぐに、治療を開始するように勧告しています。これは、鳥のH5N1インフルエンザ流行で、タミフルを48時間以内に開始すると、60%以上の死亡率のはずだったH5N1の患者が、重症化せず死亡例も出ないことがわかったからです。これは最近のエジプトでの経験ですが、H5N1でもタミフルは、発熱期間を短くするどころか、命を救う薬であることが分かってきたのです。

新型インフルエンザワクチンは、日本でも製造が開始されましたが、鶏卵での増殖が悪く、実際には、この秋の第1波流行には間に合わないと思います。年内ではなく、年度内の来年の3月末までに1500万人分が供給予定と聞いています。

新型ワクチン

の安全性は問題ないと思いますが、

どの程度効果があるかは不明です。

特に低年齢の子どもでは、かなり効果は低下すると考えられます。

ワクチンの緊急輸入ということも話題となりましたが、新型インフルエンザに対して

ワクチンの効果は高いものではなく、決して「切り札」ではありません。

大部分の人には、今年の秋に新型インフルエンザワクチンを接種するチャンスはないと思いますが、別に悲観したり心配する必要はありません。第1波の流行では、タミフルかリレンザの治療を受けることの方が、はるかに重要です。

インフルエンザ疑いの患者には迅速診断を行い、

タミフルあるいはリレンザで治療するという、

日本で確立した世界に誇るインフルエンザ診療を徹底して実施することが新型インフルエンザの最善の対策

であると思います。それさえ出来れば、ニューヨークのような被害は出ないと考えられます。

実際に、日本の重症例の発生数は、世界で最も少なくなっています。

日本の最大の問題点は、入院体制、特に、集中治療室や、人工呼吸器が、不足している点です。入院体制については、何年も前からの準備が必要だったはずですが、この点は、完全に遅れています。10月になれば、入院が必要な患者が最低でも20万人以上出てきますが、果たして入院が出来るかどうか、さらに、集中治療が必要な重症患者はどうするのか、これらの問題の解決は、本当に急務です。各地域で、至急準備を整える必要があります。







タミフル、リレンザの耐性化は

薬剤の使用によって起きるものではなく、

ウイルスの突然変異によっておこるものです。




以前のウイルスのタミフル耐性型も

海外から流入したものであり、

大量にタミフルを使用している日本で

初めに発生したのではありません。






一方、タミフルによる予防投与に関しては

今回の新型インフルエンザの耐性化に関係している

可能性があり(2)、

むやみにタミフルによる予防投与は

行わない方がいいと思われます。






だからと言って患者さんには

タミフルそのものの投与を

躊躇してはいけないと思っています。









通常、

インフルエンザが突然変異で

タミフル耐性を獲得しても

人から人へは伝染力が弱いことが多いと

されています。







加熱するマスコミ報道に対しては

正確な知識を得て

判断することが一番大事だと思います。






なにより

情報があふれており

正確な情報が得られずらいのが

問題ではあります。





プライベートメディアである

ブログで

ちょっとずつ自分の考えを発信できたらいいな

と考えております。




ご参考になりましたら幸いです。










(1)
■開業つれづれ:日本感染症学会緊急提言 「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」(第2版)
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1087.html


(2)

タミフル予防投与は控えて 耐性ウイルス生む原因に

2009年9月26日14時30分
http://www.asahi.com/national/update/0926/TKY200909260039.html


 世界保健機関(WHO)は25日、抗ウイルス薬タミフルが効きにくい耐性の新型インフルエンザウイルスが、世界で28株報告されたと発表した。耐性ウイルスが生まれる原因に予防投与を挙げ、原則として控えるよう勧告した。

 世界で1万株以上の新型インフルウイルスが分析され、28株がタミフル耐性だった。そのうち予防投与された人からが12株と多かった。

 予防投与は、感染者と濃厚に接触した人の発症を防ぐため、症状がなくてもタミフルをのむ方法。耐性が生じやすくなる可能性があるが、理由ははっきりしていない。WHOは「予防投与に代わり、注意深く観察し、症状が出たらただちに抗ウイルス薬を投与するように」としている。

 WHOは、耐性ウイルスの発生が疑われたら、タミフルの使用をすぐにやめ、別の抗ウイルス薬リレンザに切り替えることも勧告した。

 厚生労働省は、秋の大流行に備えて作成している運用指針の改正案で、特に理由がない限り予防投与は推奨しないとしている。ただし、基礎疾患を持つ人には医師の判断で実施できるとしている。




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コメント

NoTitle

ノイラミニターゼ阻害薬に対する耐性獲得は使用頻度によるものではない、というご意見は激しく同意です。

ちゃんとタミフルを使用し、ウイルス増殖抑制をしっかりと行えば、耐性化は起きないはずなのです。
しかも、それによって明らかに重症化を抑制することができる。

抗生剤でも、しっかり殺菌が終了するまで使わないから耐性化がおこるという意見もあります。
たとえば、溶連菌なんかは、症状が落ち着いても十分な期間の抗生剤を投与するため、耐性を獲得しにくい(実際には耐性溶連菌も出てきておりますが)のでは、という考えもあります。

日本は、インフルエンザ治療にちゃんとノイラミニターゼ阻害薬が保険適用を受けており、積極的に使っていることが、逆に耐性ウイルス出現を抑制している、というのはかなり真実に近いのではないでしょうか。
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今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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