2009/10/01
■開業つれづれ:「混合診療 適用拡大の流れを変えるな(10月1日付・読売社説)」
難しい問題をはらんでいますが、
混合診療解禁
となると、現在の歯科のような
悲惨な状況になる事が
目に見えています。
私個人的には
混合診療 解禁反対
の立場を取らせていただきます。
まっとうなのは
治療効果の認められた方法を
素早く保険適応することであり、
「混合診療禁止は適法」原告が逆転敗訴…高裁
2009年9月30日02時04分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090930-OYT1T00096.htm
健康保険が使える診療と保険外の診療を併用する「混合診療」を受けた場合、保険診療分を含む全額が患者負担になるのは不当だとして、神奈川県藤沢市のがん患者で団体職員の清郷伸人さん(62)が国を相手取り、保険を受ける権利があることの確認を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。
大谷禎男裁判長は「
混合診療は原則禁止
されており、
一定の要件を満たすもの以外、保険の給付は受けられない
」と述べ、受給権を認めた1審・東京地裁判決を取り消し、清郷さんの請求を棄却した。清郷さんは最高裁に上告する方針。
訴訟では、混合診療を禁止とする原則に法的根拠があるかどうかなどが争点となった。1審判決は「法律上、受給権がないとは解釈できない」との初判断を示したが、この日の判決は「健康保険法は、医療の質の確保という観点や財源面の制約から、保険受給の可否の区別を設けており、合理性が認められる」と指摘。「国民の生存権や財産権を侵害する」とした清郷さん側の憲法違反の主張も退け、制度は合憲と判断した。
清郷さんは判決後、記者会見し、「がんや難病の患者の命がさらに危機にさらされる判決で、原告として責任を感じる。どのような治療を受けるかの決定権は、医師と患者に与えられるべきだ。命ある限り戦う」と語気を強めた。
一方、長妻厚生労働相は「判決の具体的内容を十分把握したものではありませんが、国のこれまでの主張が認められたと考えています」との談話を出した。
混合診療 適用拡大の流れを変えるな(10月1日付・読売社説)
2009年10月1日01時04分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090930-OYT1T01280.htm
保険医療の在り方をめぐって司法判断が揺れている。
がん患者の男性が国を相手取り、「混合診療」を禁じている現状は不当だと訴えた裁判で、東京高裁は、男性の主張を認めた1審・東京地裁判決を取り消し、混合診療禁止は妥当との判断を示した。
混合診療とは、公的保険で認められた投薬や治療とともに、まだ保険が適用されていない治療法を併用することだ。
現行制度では、保険診療の範囲内なら患者の負担は原則3割で済むが、混合診療を行うと医療費全額が自己負担になってしまう。
提訴した男性は保険がきくインターフェロン療法に加え、保険外の新療法を希望した。併用するとインターフェロンまで全額自己負担になり、結果的に医療の選択肢が狭められるため、現行制度は不当だと訴えた。
共感する人は多いだろう。
ただ、厚生労働省が禁止措置をとってきたことには、それなりの理由がある。
混合診療を認めると、効果や安全性が疑わしい医療が横行しかねない。
不心得者の医師が、保険外の高価な検査や投薬を安易に行えば、患者の負担増を招く。
自由診療が主で保険診療が従になってしまうと、患者の経済力によって受ける医療の質に差が生じかねないとの議論もある。
混合診療を全面的に自由化することには反対論も多い。
だが、がんのように深刻な病気は、保険が認められた医療を尽くしても効果がなく、適用外の新しい薬や治療法に望みを託す場合が少なくない。
解禁を望む声に対して、厚労省も混合診療を例外的に認める制度を拡大してきた。
例えば、今でも新たな治療法を医療機関が届け出て「先進療法」に認められれば保険診療と併用できる。未承認薬も以前より早く、混合診療の適用を検討する仕組みができてはいる。
それでも審査のスピードが遅いなどの不満は残る。混合診療を、必要な場合には迅速に認める仕組みをさらに整備し、保険適用につなげていくべきだ。
今回の訴訟は最高裁に持ち込まれる見通しだ。だが裁判の行方にかかわらず、患者の要望に十分応え切れていない所は改善を進めていく必要があろう。
混合診療の適用拡大は、全面解禁論に背を押される形で進んできた。その流れを、高裁判決を口実に止めてはならない。
活性化自己リンパ球療法(LAK)に関しては
現時点でははっきりした治療効果は
認められておりません。
医療業界からしたらLAKは
眉つばもいいところ
であり、”LAK 病院”とかで
検索をかけていただけましたら
お分かりいただけるかと思います。
これが前提ですので
裁判所の主張も
合理的なものかと思います。
読売新聞をはじめとしたマスコミが
混合診療解禁を主張するのは
今に始まったことではありません。
混合診療を開始すると、
一般の治療の上に
自費治療という大きなハードルが加えられ、
「生きるも死ぬも金次第」
というアメリカ並みのタフな世界に変わります。
そもそも保険適応が縮小したら
国も医療費が減って喜ぶわけです。
その分、
患者の個人負担が莫大になりますから
ホテルのような大病院でお金持ちだけが
先進治療を行う、という医療体制になります。
企業側は50兆円市場とか100兆円市場とか言って
人の命で儲けようとしているわけです。
広告である新聞も当然企業寄りになって
「(個人で金をたっぷり払って)自由な治療ができる混合治療を勧めよう」=貧乏人は死ね
という理屈をどんどん広げて
混合診療解禁の方向を作ろうとしています。
まあ、さんざん
日本医療は無責任体制とか
医師に自由は必要ないとか
日本医療はすでに死んでいるとか
いろいろなことを言ってきた
読売新聞さんなので
また言っているか、
というかんじではあります(1-3)。
そろそろ
国民のための記事を書かないと
新聞社も
本当につぶれることになる気がします。
こちらがご本人のHPです。
http://www.kongoshinryo.net/index.html
(1)
■医療は“集団無責任体制” 「[解説]8病院拒否 妊婦死亡」 読売のすごく歪んだ解説(笑)
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-473.html
(2)
■読売新聞社説 ”医師の自由は改めるべき” ”医師を徴兵せよ” 「医療改革読売案 国民の不安を払拭する時だ 10月16日付・読売社説」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-414.html
(3)
■開業つれづれ:「医療保険制度の崩壊は「救える方法がない」」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-961.html
コメント
日本医療の未来はカローラです
愚民良識ある国民の皆様に、血反吐を吐きながら何とかクラウン程度は提供してきたのが今の日本の医療です。混合診療が解禁されると、お金持ちはフェラーリでもガルフストリームでも何でもござれになりますが、だからといって「はいはい貧乏人は自分で勝手に歩け歩け」とまではならないと思いますので、まあそんなに心配しなくていいと思うよ。
日本の医療者は性根が奴隷ですから、「これで勘弁してください」とか泣きながらカローラ程度は提供してくれるはずです♪ ま、ビッツかマーチ程度かもしれないけど、ママチャリの値段ならママチャリしか差し上げません、ってのは日本の医療人の奴隷根性に反しますからね。
2009/10/01 08:54 by ててれけ URL 編集
NoTitle
インターフェロンなどの保険診療が認められている領域は保険で診療を受け、保険で認められていない治療は全く別に診察+治療ということで別枠の会計をすればいいだけのような気がしますが、それを合算して混合しろ、というのはやはりおかしいと思います。
極端な話、保険診療を受ける病院と自由診療を受ける病院を別にしたら、こんな問題は生じないわけですから。今の健康保険制度上はね。
2009/10/01 09:51 by Seisan URL 編集
NoTitle
効果なくたって死人に口無し、詐欺療法の台詞ですな
2009/10/01 12:43 by こんた URL 編集
NoTitle
一方で、対GDP比の租税・社会保険料負担の割合が、ついに”アメリカを下回ってしまった”この国で、まともな社会保障が構築・維持できると考える事に、そもそも無理があるような気がしますよ。皆保険体制が維持できてること自体、誰かが過負荷に耐えてる歪な状況だろうと。
だから、混合診療には反対するけれど、一方で現状で保険適用のない治療を全て保険適用するなら、見合うだけの保険料負担(=値上)を受け入れる覚悟が必要だろうと。そんな訳で、「保険適用拡大&保険料負担削減&一切の増税反対」の3点セットを唱える一部の人たちにも、「混合診療超積極的賛成派」の人に対するのと同様の違和感を感じるのでふ。
2009/10/01 15:57 by 秘匿希望。 URL 編集
混合診療が歯科と同様になれば医療崩壊
2009/10/01 16:43 by 元外科医 URL 編集
NoTitle
多くの健康人が保険料を負担しているのですから勝手なことは許されないのです。
⇒ 御意。 公私の別は、ハッキリつけるべきですね。 個人の欲求、偽善の全てを公費で支えられるほど、この世は優しくできていないと感じる、今日この頃。
一般に、日本人は死亡の半年から一年前の期間に、生涯医療費のかなりの部分を使います。 どのような人に、ドコまでを公費で負担するか?、適応と費用負担は、費用対効果も含めてシビアに考えられるべきです。
『とりあえず、できることはフルコース。』? 一定条件では高額医療費の適応外とか(年齢や以前のADLなど)、今後必要になると考えています。 まァ、その議論を始めた『戦犯』は、ボコボコに叩かれまくって、次の選挙で落ちるでしょうし、医療の歴史に悪名を残すでしょうけれど・・・。
『本当の狂気は、理性以外が無くなった状態』とも言います。 そんな国が良いのかどうか? 旧い人間で、ソコまでドライになれなさそうな私は、アマイのかもしれません。
2009/10/01 18:51 by おだまき URL 編集
医療関係者ぢゃないけど。
”混合診療解禁論”には抵抗があるけど、”何でも保険適用論”にも負けず劣らず抵抗あるもの。「何でも行政が・・・と言うのは簡単だが、お金は天から降ってはこない」と、某TV番組で断言した厚労省経験者のその時の発言には、妙に納得したですもの。
2009/10/01 19:16 by 秘匿希望。 URL 編集