2009/09/28
■開業つれづれ:「出産直後のカンガルーケア 新生児の呼吸停止など16例」
何でもかんでも「カンガルーケア」
というのは慎むべき、ということです。
出産直後のカンガルーケア 新生児の呼吸停止など16例
asahi.com 2009年9月28日8時19分
http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY200909280004.html
生まれた直後から赤ちゃんを母親の胸に抱かせる「カンガルーケア」(KC)
を実施したところ、
新生児の呼吸が止まるなどしたケースが全国で16例
あったことが、27日に東京都内で開かれた日本母乳哺育(ほいく)学会学術集会で報告された。その後も増えているといい、報告者の渡部晋一・倉敷中央病院総合周産期母子医療センター長は、赤ちゃんの状態をきちんと観察するなどの実施基準を明確にすべきだと注意喚起した。
KCは、母乳育児促進に有用とされ、広く行われている。新生児医療の専門医のグループが昨年全国205の病院を調査。
16例のうち1人が死亡、4人が植物状態という。
渡部センター長はうち3例について説明。KC中に赤ちゃんの呼吸が止まるなどしているところを発見されたが、いずれも赤ちゃんの状態が観察されておらず、事前説明も母親には行われていなかったという。「KCは推進したい。だが、どう実施するかだ」と話した。
長野県立こども病院の中村友彦・総合周産期母子医療センター長も
「(正常出産でも)出生直後は呼吸循環状況が危機的な状況となる可能性が高いことを認識して実施すべきだ」
と強調した。
今年の
第11回 カンガルーケアミーティング
http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/hama/guide/kcm/index.html
では、ガイドラインとともに
ヒヤリ・ハットの集計結果も
公表されています。
第11回 カンガルーケアミーティング
アンケート集計結果 ヒヤリハット経験
カンガルーケアミーティング アンケートコメント集計結果
(これまでにカンガルーケア中にヒヤリハットとした経験について)
http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/hama/guide/kcm/pdf/kmc6_near_miss.pdf
PDF形式
分娩後、冷感増強、呼吸状態悪化
分娩台の上で児をおなかにのせてつるっとすべりそうになった
分娩代の上で母が出産の疲労でうまく児に手を添えられず母の胸の上から落ちそうになった事例あり
KC中に児が動いてしまい姿勢が不安定になってしまった
KC前にアプネアを頻発しKCできるかどうか判断に困ってしまった
38度を超える高体温になった(2例)
他施設の満期産児の急変例2例のその後にかかわったことあり、スタッフが離
れた間に呼吸停止だったらしい
点滴中の針が抜けそうになった、回復しにくいアプネアがある
挿管者のテープがはがれかけ、計画外抜管になりそうになった
N-DPAP装着中の児のm呼吸発作
お母さんが抱っこしてくれているが、ナート処置中だと児を落とさないか心配
アプネア
KC中に酸素飽和度が低下し回復が遅れた、その場に居合わせた母親はその
後ずっと不安を抱えてしまっていた
移動の時
計画外抜管になりそうになった、移動時の児のストレス
児の顔が母の胸にぴったりくっつき呼吸がうまくできなかった。
カラー悪化に気づきすぐなかせて回復した。
実施中の酸素飽和度の低下
アプネアによる呼吸数、酸素飽和度の低下
呼吸器装着児のKC時の激しい体動
KC中にアプネアを起こした例
酸素飽和度低下時にうまく抱けず頚部屈曲してしまった例、母より「怖いからしばらくKCやらなくてよいです」と言われた例
移動時のVS変動(心拍数低下)
呼吸状態
KCを中止するかどうかの判断基準が統一されてないため、無呼吸が起こった際にスタッフの対応がそれぞれで違い親が傷ついたことがあった
KC中の酸素飽和度の低下
児が予想外に動いてきちんとした体位でなくなってしまった
KC中チアノーゼが増強しすぐ対処した、1回のみ。
KC中、看護師が離れた際に児が泣いておちつかず親が対応できなくて、児と接する自信を失った
顔の向きを途中で変えようとする
KC中に酸素飽和度が低下した
挿管中の児が啼泣、体動が著名となった
児が動いて頭部がずり落ち頚部が屈曲していたり、横向きに近い抱き方になっていることがある
アラームが名ってお母さんがビックリし怖がった
呼吸管理中、母子ともに入眠し、事故抜管がおきそうになった
無呼吸、酸素飽和度、心拍数ともに低下した例、母が希望すればややハイリスクな児でも医師と共に付き添う、ある程度予測していても実際に生じるとヒヤリ
呼吸障害
挿管中の児、呼吸器の水がおちた
チアノーゼがよくくならない、啼泣が弱いときはすぐ処置開始している
児の体動で点滴の刺入部の固定が不安定になった
KC中に刺激を要するアプネアが生じた
カラーが悪くなった20歳代看護師
KC中の心拍数、酸素飽和度低下
スクリーンで囲ってKCをしていた時徐脈になった
KC中に徐脈、酸素飽和度低下
KC中、KC後、アプネアが頻発した
抜管しそうになった
転落の可能性
KC中のアプネア
KC中に酸素飽和度が頻回に低下した
挿管児のKC
同僚の看護師がかかわっていた例で、KC後挿管チューブが抜け母がKCを怖がってしまったことがあった
事故抜管、無呼吸
無呼吸発作で心拍数、酸素飽和度が下がってしまった時
KC中、全身チアノーゼを生じた例
児の転落、保温不足
体位の乱れによりN-DPAPがずれて酸素飽和度低下
酸素吹流しでKCをしていたがアプネアが出てバギングをした。母親に申し訳ない気持ちでした。
呼吸器装着中の酸素飽和度低下
無呼吸発作
落ちそうな姿勢になっていた
無呼吸発作、計画外抜管N-CPAP中の児、31週頃のKC中に無呼吸発作を生じ心拍数、酸素飽和度の戻りが悪かった。すぐに保育器に戻しマスク&バックで回復
呼吸状態が悪くなっていった
心拍数、酸素飽和度の低下
酸素飽和度の低下
KC後に計画外抜管があった
低体温
KC中に児の全身の色が悪くなった
経膣分娩後のKC15分の後、酸素飽和度低下、呼吸状態悪化し、酸素投与、保温にて改善
ちなみに
アプネア(apnea)は無呼吸を意味します。
ナートは縫合です。
出産に関しては何事も
極端に走ってしまう傾向がありますが、
妊婦の方々においても
十分にいろいろなこと(良い点や危険性を含めて)を
ご理解していただきたいものです。
コメント
NoTitle
経験だけで物事を判断するから医師が何を言っても聞かないし。
2009/09/29 08:50 by 小児科11年目 URL 編集
こんた
全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児(※注1)には、まず母子同室を行った上で、出来る限り24時間継続した(※注2)カンガルーケアをすることが薦められる。〔推奨グレードA〕*
推奨グレードAですから、どんな立派な多くの論文、科学的根拠に基づいているのかと思いきや...
http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/hama/guide/kcm/under/kcm_e01.htm
24時間継続して行うカンガルーケアの安全性と有効性
ー>新生児死亡率の高い国から発表された3件の研究の1362人分のデータが分析の対象
実施対象の検討
ー>実施対象について比較した信頼性の高い科学的根拠は見つかりませんでした。
実施時間の検討
ー>実施時間について比較した信頼性の高い科学的根拠は見つかりませんでした。
◆科学的根拠のまとめ
全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児に対して24時間継続して実施するカンガルーケアは、安全性、有効性ともに科学的根拠が認められました。ただしこれらの根拠は新生児死亡率の高い国から報告されたものであり、新生児死亡率の低い国からの信頼性の高い科学的根拠はありませんでした。
◆科学的根拠から推奨へ
全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児に対して24時間継続して実施するカンガルーケアは、科学的根拠も認められ、その国の新生児死亡率が高いか低いかを問わず可能な限り実施されることが望まれます。
この流れよく判りません。人の命をあずかっているという意識が乏しいとしか思えないのですが。
2009/09/29 11:31 by 結論ありき URL 編集
NoTitle
2009/09/29 11:32 by こんた URL 編集
こんたさまへ
2009/09/29 23:19 by REX URL 編集