fc2ブログ

■開業つれづれ:「患者振り分けなど対応 平塚新型インフル医療訓練」

現場では

とても難しい判断を迫られています。





一般の方の理解が

大切なのですが、

なかなかそこまで行っていないのが現状です。






患者振り分けなど対応 平塚新型インフル医療訓練

東京新聞 2009年9月27日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20090927/CK2009092702000059.html



 重症化する恐れのある新型インフルエンザ患者の医療対応訓練が二十六日、平塚市の市休日・夜間急患診療所などで実施された。

 新型インフルエンザ感染が拡大する中、基礎疾患を持つ人などが重症化する事例が相次ぎ、県内でも死亡例が出ている。

 こうした中、同市と同市医師会、県平塚保健福祉事務所が合同で企画。約七十人が参加した。

 訓練は、新型インフルエンザ感染が疑われ、重症化リスクの高い計六人の患者が診察を受けたとの想定で実施。医師は患者を病院搬送するか否かなどの振り分け(トリアージ)に当たった。

 妊婦が発熱やのどの痛みなどを訴えたケースでは、医師が簡易検査を実施してインフルエンザA型陽性と診断。さらに、呼吸の状況が悪いことなどから入院治療が必要と判断し、救急車で近くの平塚市民病院に搬送した。病院でも患者受け入れ訓練を展開した。

 また、

父親がインフルエンザに感染し、


発熱症状が出たというゼロ歳女児


の事例では、

簡易検査で陰性

となったが、医師が母親役の女性に

「検査は万能ではなく、感染の疑いは強い」

と説明し、

抗インフルエンザ薬を処方

した。会場には多くの視察者も詰め掛け、医師と患者役とのやりとりを熱心に見学していた。 (中山高志)









新型インフルエンザ迅速キットの

陽性率は良くて70%、

おおむね50-60%というところが

真相のようです(1)。






つまりは、

半分近い症例が検査でも

陽性を示さない可能性があるということです。





それに加えてマスコミが流布したおかげで

一般の方々がもつ


「タミフルに対する極度な警戒感」


には強力なものがあります。






インフルエンザ迅速キットが陰性で、

発熱39度、

リレンザを使えない年齢なので

タミフル処方を勧める、

なんて場合は

とんでもない長時間の説明が必要になります。





母親 「タミフルは安全なんですか」

「検査で陰性なのにタミフルを使う必要があるのですか」






マスコミのタミフル報道からしたら

ごもっともな反応なのですが(3)、

今回の新型インフルに関しては

「疑わしきは投与」

というのが鉄則です(2)。





これがリレンザだったら

全然話はスムーズです。





マスコミは全く責任をとりませんが、

このような現場の混乱は

マスコミが演出しているところも

十分にあるのです。





「新型インフルエンザの患者さんで病院はごった返してます!!」

という絵がほしいのでしょうが、

実際に診察を行っている医師が

一人一人、丁寧に説明しても

タミフルに対する不信感は

ぬぐいようがありません。






世界的に素晴らしい成果を上げている

日本の新型インフルエンザ治療。

それが

まったく実感できないでいるのは

それを認識できず、

医療を悪者としか報道できない

マスコミの能力の限界にある気がします。






>「検査は万能ではなく、感染の疑いは強い」

>と説明し、

>抗インフルエンザ薬を処方


という医師の判断を

理解してもらえるようになるには

どのくらい時間がかかることでしょう?













(1)
日本感染症学会緊急提言
「一般医療機関における
新型インフルエンザへの対応について」(第2版)
http://www.kansensho.or.jp/news/090914soiv_teigen2.html

(5)蔓延拡大期の診断のあり方を考えておくべきです
 わが国では10年ほど前から気道検体等に含まれるインフルエンザウイルスの特異抗原を臨床の場で迅速に診断するキットが普及しています。抗インフルエンザ薬の使用と同様に日本における経験が世界で一番豊富です。しかし、感度と特異度はまだ万全とは言えず、発症初期や後期では偽陰性になりがちであることを銘記しておく必要があります。特に、今回のS-OIVでは感度が良好とは言えず、各地からの報告では50~60%の陽性率にとどまるようであり、CDCも検体中のウイルス量が少ないときは40~70%の陽性率にとどまると報告しています9)。
(以下略)


(2)
■開業つれづれ:日本感染症学会緊急提言 「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」(第2版)
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1087.html


(3)
■やはり…。あの大騒ぎはなんだったんだ? 「タミフル 異常行動「関係なし」 10代への処方禁止見直しも」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-260.html


■嵐の後 「タミフルと異常行動、因果関係見られず 厚労省」 かなり小さい記事ですね(笑)
http://ameblo.jp/med/entry-10052469706.html















関連記事

コメント

NoTitle

母親 「タミフルは安全なんですか」
「検査で陰性なのにタミフルを使う必要があるのですか」
⇒ 経済の方面で、リスクの認知の話を読んだことがあります。 人間という生き物は、1%程度とかだと『可能性が低い』と感じ、0.01%など更に可能性が低くなると、『0%じゃない』、と感じるそうです。
  包み隠さず、稀なリスクを含めた丁寧な説明。 りっぱん厚意ですが、私は納得してもらうのは、きわめて難しいと思っています。 
  基本的な情報のマスへの伝達は、個人の医療者ではなく、医療者の団体が代表して訴えるか、政府の仕事でしょう。 ソレを全部個人が自己のリスクで行っているから(そして、ソレを美徳とするような風潮)、いつまで経っても事態が改善しないのでは?

NoTitle

りっぱん厚意
⇒ 立派な行為
  先の投稿に、誤りがありました。
  謹んで訂正させていただきます。 スミマセン。

ハンガリーの医大に通う韓国人留学生

【万物相】ハンガリーの医大に通う韓国人留学生
http://www.chosunonline.com/news/20090927000005

全然関係ない記事ですが、興味深いのでご紹介します。

日本における新型インフルエンザ患者の致死率は、約0.002%

既出でしたら御容赦を

>日本における新型インフルエンザ患者の致死率は、約0.002%
季節性インフルの致死率(0.05~0.1%)
>世界各国の把握されている感染者数に対する死亡者数は、多くの国で0.5~1%程度
>。「国民皆保険による医療アクセスの良さと、
アクセス先であるクリニックや病院の医療従事者の献身的な努力のたまものである」
>世界中から日本の対応が賞賛されるであろう

でも
国民とマスゴミは認めないでしょうね

日本における新型インフルエンザ患者の致死率は、約0.002%
http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/349.html

http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-265.html
医療ガバナンス学会より


NoTitle

それ以前に、1歳未満のタミフル投与って原則禁忌になったままだったと思うんですが、投与してよくなったんですか?
10歳代はなし崩しにOKになったようですが。

内科医とか小児科医に生まれなくて本当によかったw

>それ以前に、1歳未満のタミフル投与って原則禁忌になったままだったと思うんですが、投与してよくなったんですか?

昔っからカマワンのでわ?もちろん先生が全責任を持つという前提でですがw。言うまでもありませんが投与せずにインフルエンザで死んだ場合も勿論全部先生の責任ですからよろしこww

NoTitle

女は腐女子に生まれるのではない。腐女子になるのだw
非公開コメント

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

ブログ内検索

プロフィール




中間管理職: このブログの管理人。
ID上、ブログではmedさんとも呼ばれてます。

某大学医学部を卒業
 ↓
医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
 ↓
大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
 ↓
さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


中間管理職 

Author:中間管理職 
↑「勤務医 開業つれづれ日記・2携帯版」はこちらから。

おすすめ開業関連本

クリックするとAmazonに飛びます。

クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説 2017 vol.7: 必修問題


クエスチョン・バンク CBT 2017 vol.5: 最新復元問題


医師国家試験のためのレビューブック 小児科 2017-2018


小児がん診療ガイドライン 2016年版


もっともっとねころんで読める抗菌薬: やさしい抗菌薬入門書3


ねころんで読める抗菌薬: やさしい抗菌薬入門書


診療所経営の教科書〈院長が知っておくべき数値と事例〉


感染症レジデントマニュアル 第2版


40のしまった! 事例に学ぶ 診療所開業ガイドブック (NHCスタートアップシリーズ)


開業医・医療法人のための医療税務と節税対策Q&A


開業医・医療法人…すべてのドクターのための節税対策パーフェクトマニュアル


開業医・医療法人…すべてのドクターのための税務調査対策パーフェクト・マニュアル


医院の財産 承継&相続パーフェクト・マニュアル


よくわかり、すぐ使える成功するための「医院開業」ハンドブック―コンサルタントが教える「My Clinic」のつくり方


トラブルにならない 社員の正しい辞めさせ方・給料の下げ方


ねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書


もっとねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書2


もっともっとねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書3

おすすめ医学書

FC2カウンター

いつもご訪問、ありがとうございます。2009年5月7日からの累計アクセス数です。

FC2オンラインカウンター

現在の閲覧者数:
いつもありがとうございます。現在、アクセスしている方の数です。

Amazon人気商品

月別アーカイブ

カレンダー

11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -