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■司法解剖の遅い開示が医療訴訟の一因 法医学学会で報告

実際に法医学の人員は

極端に少なく、

とても大変な状況です。




地方では検案のみが

行われることも多く、

誤診率の高さが問題になっています。






でもね、このタイミングで

新聞が大きく取上げるのは

何だか色々な”意図”を

感じてしまいます…。





まずは読売新聞から。

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法医学会 死因究明見直し提言案 異状死解剖2倍に

2008年4月24日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080424-OYT8T00470.htm

 解剖率の低さなどが問題になっている死因究明制度について、日本法医学会(理事長・中園一郎長崎大教授)は、見直しに向けた提言素案をまとめた。

 異状死の解剖率を少なくとも現状の倍の20%に引き上げることや遺体のコンピューター断層撮影法(CT)の導入などを求めている。12月に国に提言する。学会が制度見直しの具体的な方向性を示すのは初めてで、国の制度見直し論議に影響を与えそうだ。

 学会は、法医学専門の唯一の学術団体で、会員は警察官、開業医らを含めて約1200人。提言素案は24日から長崎市で開催中の学会総会で会員に説明した。

 素案では、年間15万体以上ある死因不明の異状死のうち9割が、専門知識の不十分な警察官や警察医を務める開業医らが遺体の表面を見たり、触診したりする検視・検案だけで死因が決められていると指摘。

 一方、専門知識がある解剖医は全国に約130人しかおらず、現状の年間約1万5000体の解剖が限界としている。

 素案は、検視・検案について法医学の専門研修を受けた検視官の増員と一般警察官や医師に対する研修の充実を求めている。解剖前にCTなどで体内を調べる「Ai(エーアイ)」の導入も提案している。

 解剖については、解剖医を300人に増やし、年間3万体実施したいとする。将来的には、警察内部に独立した検視担当部署、各都道府県に国が運営する解剖の専門機関を置く必要があるとしている。

[解説]解剖医不足対応は急務
 異状死はこの10年で1・5倍に急増。一方、約130人しかいない解剖医は今後15%以上も減るという。解剖を担ってきた国公立大学が法人化で採算性を重視し、法医学教室に冷たくなってきたためだ。そんな中、大相撲・時津風部屋の力士急死事件や新型インフルエンザへの警戒で、死因究明の大事さが認識され始めた。

 今回の提言素案を実施した場合、関係省庁と大学が協力すれば、施設整備費や人件費など当初54億円の投資で済むという。

 死因究明をおろそかにすると、犯罪や新型インフルエンザなどの感染症が見逃され、国民が後々大きなツケを払わされることになりかねない。制度の見直しは急務だ。(地方部 小川翼)


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次にタイトルの

朝日新聞です。

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司法解剖の遅い開示が医療訴訟の一因 法医学学会で報告

asahi.com 2008年04月27日10時25分
http://www.asahi.com/national/update/0426/OSK200804260078.html

 医療ミスの疑いがあると、捜査目的で司法解剖が行われるが、6割以上の遺族では結果を知るまでに2年以上かかり、その情報開示の遅れから医療訴訟につながっていることが、東京大大学院の伊藤貴子特別研究員(法医学)らの調査で明らかになった。長崎市で開かれた日本法医学会で発表された。

 司法解剖は、犯罪捜査を目的に検察庁や警察が依頼する。原則として捜査が終わるまで解剖結果は遺族に示されない。伊藤研究員らは、医療事故を扱う全国弁護団組織などの協力を得て248遺族にアンケートを送り、89遺族から回答を得た。26遺族が司法解剖を、20遺族は病院側による病理解剖を経験していた。

 集計によると、解剖結果を知るまでの期間は、司法解剖では、2~4年が54%、4年以上が8%を占め、半年以内にすべての遺族が結果を知った病理解剖に比べて開示までの長さが際だっていた。

 その間に、過失の有無を知りたいと強く望む遺族が次第に増え、解剖結果の説明を求めて警察への開示要求や弁護士相談などを試みていた。また解剖経験遺族の54%が「死因について納得できる説明があれば訴訟をしなかった」と答えるなど、開示の遅れが不信を招き、医療訴訟が増える原因となっていた。

 調査を指導した吉田謙一教授は「司法解剖の結果を早く開示することは、類似事故の再発予防など社会的にも極めて重要なのに、貴重な情報が医療現場に還元されずに埋もれ、紛争を促進する結果さえ招いている」としている。(林義則)

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ちなみに”解剖”と言っても

司法解剖

行政解剖

病理解剖


があります。




それぞれ、


司法解剖: 
犯罪性のある死体もしくはその疑いのある死体の死因などを究明するために行われる解剖。

行政解剖: 
刑事訴訟法以外の法律に基づいて監察医が行う解剖のこと。

(主に死因の判明しない犯罪性のない異状死体に対して、死因の究明を目的として行われる。検視または検案によって犯罪性があると認められた場合は、刑事訴訟法に基づいて司法解剖となる)


病理解剖: 
病気で亡くなったヒトを対象にして、臨床診断の妥当性、治療の効果の判定、直接死因の解明、続発性の合併症や偶発病変の発見などを目的に系統的な解剖を行うこと。

(以上、ウィキペディアより)

を指します。




司法解剖は基本的に

各地方の大学の法医学教室が

担当しており、

例外的に東京では監察医も

行っているようです。




つまりは、

●司法解剖をやるような法医学の医師がものすごく少ない。

●しかも、事件性のある事なので、24時間休みなし。

●警察、検察の捜査や裁判を前提にしている

●報告は遺族に対して、というよりお役所仕事に耐えられるものが必要

という状況になっています。



ようは、

異状死体は大量にあって、

法医学はすでにてんてこ舞いです。





さらに”医療事故調”なんて

医療現場の死因の特定が

法医学の仕事になった日には、

その日のうちに

終了

となってしまうわけです(笑)。



で、

ここでも”利にさとい”方はいらっしゃるようで(笑)、

あの「チームバチスタ」海堂 尊先生は

非常にお怒りです。


2008.04.21【海堂ニュース! 14】学会上層部と官僚の癒着による学術業績剽窃事件
http://tkj.jp/kaidou/news01.html#anchor07



いろいろと業界の裏はあるようで(笑)、

●法医学のスーパースキルを持った医師は少ないし、すぐには育たない
 ↓
●放射線科の医師は比較的多くいるし、日本はCT,MRIは一杯ある
 ↓
●Ai(オートプシーイメージング)で死体をCT、MRIなどでスクリーニングして死因を推定することは日本の文化的にも受け入れやすい

ここまでが、海堂 尊先生の主張です。

んで、ここからおかしくなります(笑)。
 ↓
●こりゃおいしい!と思った「病理学会理事長」と「東大病理学教授」が横から手を出して、研究費をせしめた
 ↓
●しかも、先行している千葉大学には雀の涙の研究費
 ↓
●千葉大では設備もシステムも構築済み。
 ↓
●でも、東大では設備もシステムもないから、レンタルCT検診車をつかってまで、多額の研究費を使う予定
 ↓
●「…これって、”東大による研究の横取り”ですよね」というのが海堂 尊先生の主張


しかも!

この千葉大学の研究の横取りしたと言われている

「病理学会理事長」と「東大病理学教授」(笑)が

「医療事故調」のパブコメ作成などを行っている方で、

今後の方向を左右する人材なワケです。




色々な利益が渦巻き始めた

「医療事故調」

「Ai」





大学の独立法人化で、

”予算がつかない”

”義理でやっている”

法医学、病理解剖などは

国がつぶす方針

だと現場では受け止められていました(笑)。




だって、

本当に必要ならお役所がやればいいわけです。




大学を”営利企業”に落として、

赤字に叩き込むような補助金カットを行って、

付属病院以外に収入がない大学は

多くの文系、理系の学部を背負って

四苦八苦しています。




>一方、約130人しかいない解剖医は今後15%以上も減るという。

まあ、それは国策ですから…。

いまさら、って感じです。




今後、日本医療が

一流であった土台をなしていた

基礎医学分野もどこへ向かうのでしょうか?




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海堂 尊先生のメガヒット。ご存知、映画かもされました。

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で、こちらがAiを紹介している「死因不明社会」です。

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うちの海堂 尊先生関連記事です。

■海堂 尊 「死因不明社会」 ブルーバックス 「チーム・バチスタの栄光」 
http://ameblo.jp/med/entry-10060857329.html

■映画「チーム・バチスタの栄光」 本日公開
http://ameblo.jp/med/entry-10071328981.html


ご参考にしてください。



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お医者さんではないですが,両方よみました~^^.
日本の医療は心配なことが多いですね.
これからもお仕事&ブログがんばってください~.
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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

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