2009/08/27
■開業つれづれ:福島 大学産科はVBAC中止 「県立医大病院:帝王切開経験者の自然分娩受け入れ中止」
すでに福島では産科医療廃絶運動が
ここまで進んでおりました。
まあ裁判を起こされて
30分以内に帝王切開できなきゃ
裁判で負ける、
ということになったのですから、
医師がいない現状では
VBACは取りやめるしかないでしょう(1)。
ところが、
やったら免許取り上げ覚悟、
やめたら和解違反、
という状況になったようです。
さすが毎日、
>◇医療ミス訴訟、和解条件抵触も
一方的な書き方ですが、
こんな叩き方をしてるから
大学病院が機能停止してしまうのです。
県立医大病院:帝王切開経験者の自然分娩受け入れ中止 安全マニュアル作らず /福島
◇医療ミス訴訟、和解条件抵触も
毎日新聞 2009年8月26日 地方版
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20090826ddlk07040133000c.html
県立医大付属病院(福島市)で4月から、帝王切開経験者の自然分娩(ぶんべん)の受け付けをやめていたことが25日分かった。通常より子宮破裂などの危険が高い一方、産科医と婦人科医が計2人しかおらず、当直時の緊急の帝王切開ができないのが理由という。
この分娩では95年、同市の幕田美江さん(42)が同病院で子宮破裂を起こし、帝王切開で出産した次女は脳性まひを負い00年に死亡した。幕田さん夫婦は、同病院のミスとして損害賠償を求めて提訴。今年2月に仙台高裁で和解した。
条件にはインフォームドコンセントや、子宮破裂に速やかに対応できる体制を整えることなど再発防止マニュアルの作成が含まれた。結局作られず、同病院は「必要な医師の確保は当分先で、今は作る必要がないと判断した」と話した。
夫の智広さん(43)は「和解したのは、今後は安全性が得られると信じたから。対策の検討もなくやめるのは改善とは言わない」と話している。今後、同病院の決定が和解条件に抵触しないか確認するという。【神保圭作】
>和解したのは、今後は安全性が得られると信じたから。
…
今の医療では
”やめる”
という形でしか
安全を保つことはできません。
VBACの場合、
子宮破裂率が500~1000例に1例あるのですから
当然、福島の大学病院では
ある一定の確率で
訴訟になって敗訴する、
ということです。
やって失敗したら多額の訴訟、
しかも負け確定、
という条件下で
”ど根性で治療しろよ、それが医者だろ”
と言われたら
私は黙ってそんな現場から身を引きます。
リスクが高い症例は回避、
というのが
福島妊婦死亡事件からの
大きな教訓になってしまいました。
一連の裁判で医師が理解したのは、
福島で医療をするのはたいへん危険
日本で産科医をやるのはたいへん危険
さらには、
VBACをやるのは医師免許をかけてやる必要がある
しかし福島ではVBACをやめることもできない
つまり、
福島で産科医をやるのは裁判と医師免許を失う勇気が必要
ということです。
やってもやらなくても怒られる、
というのは
DVのような状況です。
福島の産科医の方々、
致命的なリスクが
忍び寄ってきているのを感じませんか?
(1)
■光と影 医療裁判は何を求めているのか? 「子宮破裂お産時に障害 病院側に7300万円支払い命令」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-152.html
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コメント
やめるの一択
産婦人科の閉鎖も検討して、ただ医師免許を取得するためだけの講座を開いて医師国家試験予備校状態にするのも一興かと思います。
2009/08/26 23:53 by ゆりあ URL 編集
No title
医大とはあまり関係のない私立の病院勤務ですが、やはり産婦人科医局はかなり人数が少ないみたいですね。分娩閉鎖してる病院が多いこと多いこと。これでは周産期死亡率が増加するのもしかたないと思います。
そしてその危険さに気づいていない県民の皆様・・・いい加減気づかないと、分娩できる場所がなくなりますよ。
2009/08/27 01:19 by 若手医師 URL 編集
No title
裁判の和解条件といったところで、マンパワーが確保できず体制がつくれない現時点では、美辞麗句を並べ立てた実行不能の机上の空論マニュアルを作成してロシアンルーレットのようなVBACを続けるよりも、帝王切開経験者の経膣分娩自体を行わないことが妊婦の安全を守る最善策と判断したのはきわめて常識的かつ現実的な対応で、普通に物事を考えられる人なら理解できることだと思いますが、いったい何が問題なんでしょうか。
2009/08/27 02:36 by しろふくろう URL 編集
No title
安全性が担保されたじゃないですか。VBACをやらない、ということで。最大の安全は医療を行わないことです。
そもそも、裁判を起こした時点でこのような事態になることを予想できなかったのですか?安全性の担保は一医療機関に頼むのではなく、国に頼むべきことです。もちろん、それをするためには多額の費用がかかりますが、その費用負担も利用者がされるのですよね。
2009/08/27 06:14 by 暇人28号 URL 編集
No title
じぁあ貴方が有効な対策を検討して下さい。要求するだけして、後はおまいらの仕事、と丸投げするのはただのワガママです。
貴方や貴方の親族一同が今から医学部に入学して産科医になれば、少しはマシになるでしょうけどね。
2009/08/27 08:20 by 風はば URL 編集
No title
より安全なお産を求めている「被害者」の希望に応じてるだけに見えるんですが、違いますかね。
それともこれだけの目にあってもまだVBACを強要し、それを実現するための体制を要求するのでしょうか。
最低限人的資源がそろわなければ、ガイドラインの策定すらできないと思うのは間違っているのでしょうかね。
いや、ガイドラインを作るだけならできますよ。もちろん。夢のようなガイドラインだけならね。「実現性のある」ガイドラインをつくれません、というだけで。
2009/08/27 11:31 by Seisan URL 編集
No title
日本では、そんな話はほとんど聞きませんねぇ…
2009/08/27 11:37 by Seisan URL 編集
夫さんへ
2009/08/27 16:26 by びの URL 編集
No title
子宮破裂に対応できる安全マニュアルを作るってこと自体が不可能なことには気づいていないんでしょうね。
2009/08/27 21:47 by 通りすがり URL 編集
No title
http://www.avance-lpc.com/medical/news/38.html
>(VBACは)子宮破裂を想定した厳格な危機管理体制が構築できて初めて、妊婦に提供されるべきもの
県立医大の対応はまさにこの主張に則ったものではありませんか。
一体何が不満だというのでしょう?
2009/08/28 01:02 by 耶馬苦痢陰弔 URL 編集
No title
でも、医師がこのような意見を述べると、また叩かれそうです。医師は少数派ですから、多数決では必ず負けますので、無力感を感じます。プロフェッショナルに対して、その技術や経験に敬意を払わずにバッシングを続けるのは、その業種以外の素人にとって何も得なことはないと思うのですが・・・。私は、自動車のことはよくわからないので、故障部位に関する自動車整備工の意見に「納得できない」とか「まるで私の車が悪いかのような無神経な物言いに傷ついた」とか怒ったりしませんけどね。ましてや、「交通事故にあったのはお前に何らかの故障が直せなかったからに違いなく、お前の整備ミスだ。今後は、毎回、二度と故障しないように整備するのでなければ、和解しない」なんて無理難題は言いません・・・。
2009/08/28 06:06 by 生涯いち医師 URL 編集
要求だけか…
>幕田さん夫妻は同日、医大に提出した意見書で
>「子宮破裂を想定した厳格な危機管理体制が構築できて初めて、
>妊婦に提供されるべきもの」と主張した。
>医者の本分は、適正な医療行為を責任をもって提供することだ
その為には多額の費用が必要ではないのでしょうか?
8500万円の半分でも医大に寄付したり
国や厚労省に対し、
『万全な医療体制をとれるように、国は1分娩あたり200万円の費用を出せ』
とでも言えば、非難されないのですがね…
2009/08/28 11:06 by うろうろドクター URL 編集
そもそもVBACの臨床的意義って何なんでしょうか?
生涯いち医師様、
>和解するとき、大学側の弁護士は何をしていたのでしょう。こんな和解内容を飲むことができるわけないのに和解してしまったことが、そもそも弁護過誤でした。つっぱねるべきでした。
裁判所の和解勧告突っ撥ねるともっとヒドイ「判決」を出されるらしいんですよねこれが…。
>故障部位に関する自動車整備工の意見に「納得できない」とか「まるで私の車が悪いかのような無神経な物言いに傷ついた」とか怒ったりしませんけどね。ましてや、「交通事故にあったのはお前に何らかの故障が直せなかったからに違いなく、お前の整備ミスだ。今後は、毎回、二度と故障しないように整備するのでなければ、和解しない」なんて無理難題は言いません・・・。
プロ患者サマにおかれては車と人の命を一緒にするな!ってのたまわれそうですね。アカの他人の命なんてアカの他人の車と同様、平等に価値なんかないんですが。
それはそうと車でも、上記のごとき無理難題をおっしゃる方は実在するらしいですよ。
2009/08/28 11:28 by 10年前にドロッポしました。 URL 編集
No title
もともと県は地裁で和解するつもりだったのを教授の一存で控訴したのでは?
2009/08/28 18:15 by 通りすがり URL 編集