2009/08/17
■開業つれづれ:「新型インフル国内初の死者、57歳の慢性腎不全患者」
ネタ元は暴利医さん
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1013.html#comment7486
です。
いつも大変お世話になっております。
ついに新型インフルで
死者が出ました。
死亡までの詳細を
医療関係者としては
聞きたいところです。
慢性腎不全の透析患者さんで
心筋梗塞、手術歴あり
という方ですから
インフルエンザからSepsis
という展開だったのでしょう。
新型インフル国内初の死者、57歳の慢性腎不全患者
2009年8月15日16時23分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090815-00000634-yom-soci
厚生労働省と沖縄県は15日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)に感染した患者が、国内で初めて死亡したと発表した。
亡くなったのは、沖縄県宜野湾市の無職男性(57)で、慢性腎不全のため透析治療を受けており、のどの痛みやせきなどの症状を訴え、12日から沖縄市内の病院に入院していた。男性に渡航歴はなく、感染経路は不明。入院直前にインフルエンザの治療薬タミフルを投与されており、沖縄県はタミフルに対して耐性を持つウイルスだったかどうか調べる。
厚労省は「ウイルスが強毒化したわけではない」とし、慢性疾患の人や妊婦、乳幼児は重症化の危険性が高いとして注意を呼びかけている。発表によると、男性の死因は肺炎による敗血症性ショック死。慢性腎不全などで免疫力が低下し、新型インフルエンザが重症化したとみられる。
男性に、せきなどの症状が出始めたのは9日から。10日に発熱し、同日、透析を受けた病院で簡易検査を受けたが陰性だった。12日の透析の際、熱が39度まで上がり、再検査でA型の陽性反応が出たため、この病院でタミフルを投与された後、沖縄市内の総合病院に入院。15日午前1時半頃に心肺停止状態となり、5時間半後に死亡確認された。
同病院は死亡後、保健所に「新型インフルエンザの可能性がある」と連絡。遺伝子検査で、同日午後4時頃、感染が確認された。男性は両親と3人暮らしで、8年前に心筋梗塞(こうそく)で手術した経験があるほか、慢性腎不全のため通院して透析を受けていた。家族の感染は確認されていないという。
新型の国内感染者は、先月24日に5000人を超えたが、厚労省が同日、調査対象を集団感染や重症者などに絞ったため、感染者の総数は把握できていない。 最終更新:8月15日21時18分
この秋から
一段と厳しさを増す
新型インフルエンザ対策。
すでに大流行の兆しがありますが、
クラスターサーベイランスという
手法にのっとって
日本ではすでに集団発生が疑われるもののみを
精密検査することになっています。
こちらが公表基準。
平成21年7月24日
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局
新型インフルエンザ(A/H1N1)に係る今後のサーベイランス体制について
http://www.mhlw.go.jp/za/0804/a106/a106-01.pdf
第2
本事務連絡においては、第2に掲げるサーベイランスにおいて、感染症サーベイランスシステム(NESID)等により、厚生労働省への適時の報告を求めているところであるが、感染の急激な拡大や重症化、病原性の変化等について、より迅速な情報収集や対応が必要となる場合があることから、円滑な対応を図るため、次に掲げる事象を把握した都道府県、保健所設置市又は特別区の本庁は、厚生労働省に、電話で速やかな連絡を行うこととする。なお、当該連絡を受けた場合、最初の数例については、厚生労働省と地方自治体の連携のもと、公表を行うものとする。
(1) インフルエンザ様症状を呈する患者の集団発生について、50人を超える規模のものを把握した場合
(2) 医療機関において、入院患者又は職員で、インフルエンザ様症状を呈する患者の10人以上の集団発生を把握した場合
(3) 社会福祉施設等において、入所者、利用者又は職員等で、インフルエンザ様症状を有する患者の10人以上の集団発生を把握した場合
(4) 新型インフルエンザ(A/H1N1)の入院患者が、入院中に人工呼吸器を使用したこと、急性脳症を発症していること又は集中治療室に入室していることを把握した場合
(5) 入院の有無にかかわらず、新型インフルエンザ(A/H1N1)と診断された患者が死亡した場合又は死亡した者について確認検査により新型インフルエンザ(A/H1N1)と判明した場合
(6) 新型インフルエンザウイルスの遺伝子分析等により、抗原性の変化や薬剤耐性等を確認した場合
(7) その他、公衆衛生上、迅速な情報収集や対応が必要と思われる場合
医療現場にあって、
同じ学校のインフルエンザの方が
いっぺんに受診するなら分かるでしょうが、
ばらばらのタイミングで
ばらばらの病院に受診されたら
到底集団発生かどうかなど
分かるものではありません。
最初に
一人一人の診断をつけて
それをもとに集団感染が発生している、
それを報告しろ、
というのなら分かりますが、
一人一人の診断をつけずに
集団発生が怪しいときのみ
診断をつけて報告しろ
というのは無理な話です。
合併症のある患者さんに
死者が出た以上、
今後も同じようなケースが出てくる可能性が
十分にあります。
あまりにも難しい判断を
現場に押し付けている様子ですが、
これも仕方ないことなのでしょうか?
マスコミの皆様には
省令改正で
医療機関は新型インフルの
全例報告の義務はなくなった、
ということは理解してほしいものです。
集団発生のみ報告の義務があります。
何かの機会で、
”この病院では
新型インフル1例の発生がありましたが
報告はされておりませんでした”
とか、
マスコミはやりそうで怖いです。
コメント
No title
それにより、学校が把握して、集団発生ということであれば検査ができますので。
もちろん学校がちゃんと対応するかどうかは別の話なのですが、ウチが関与しているところには、一応夏休み前に話を通してはいます(幼稚園・小学校だけなんですけど)。
いまのところ、集団の恐れがある(複数患者が認められる)のはウチの近辺ではないようです。
2009/08/17 10:00 by Seisan URL 編集