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■開業つれづれ:「マニフェスト点検「医療」」 2009年衆院選

マニフェスト検証。

どの政党が

どのようなことを言っているのでしょう?




医療に限定して

検討したいと思います。









マニフェスト点検「医療」…自民・民主の内容

2009年8月9日01時53分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090809-OYT1T00178.htm


 自民党は、後期高齢者医療制度について、現行の枠組みは維持しながら「抜本的な改善・見直しを行う」と公約した。

 75歳以上の現役会社員の被用者保険の継続加入など年齢のみによる区分を見直す。低所得者には負担軽減の措置をとる。

 診療報酬の「来年度プラス改定を行う」と明言、今年度実施した医学部定員の増員は継続する。「これまでにない思い切った補正予算」を組み、地域医療の整備に充てる。

 介護サービスでは、特別養護老人ホームや老人保健施設など約16万人分を向こう3年で整備する目標を掲げた。介護報酬は3%増とし、職員の処遇改善に努める事業者には、職員1人当たり月1・5万円の給料アップに見合う助成を行う。




 民主党は、後期高齢者医療制度の廃止を明言した。廃止により増大する国民健康保険(国保)の財政負担は国の支援で補う。将来的には、会社員らが加入する被用者保険と国保を段階的に統合する。当面の国の負担として8500億円程度を見込んでいる。

 医師不足対策には約9000億円を見込む。医師養成数の増加目標を現状の1・5倍と設定した。医療者側の過失の有無にかかわらず補償が受けられる無過失補償制度を、出産以外の医療事故全般に拡大した公的制度の設立も盛り込んだ。

 離職者が後を絶たない介護労働者の処遇を改善するためには、認定事業者への介護報酬を加算し、1人当たりの賃金を月4万円引き上げるとしている。






マニフェスト点検「医療」…公明・共産・社民など


2009年8月9日01時53分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090809-OYT1T00181.htm


 公明党は、1か月の医療費自己負担額の上限を定めた高額療養費制度の見直しを重要施策に位置づける。

 自己負担限度額を引き下げ、慢性疾患や難病患者の負担軽減を図る。後期高齢者医療制度は維持するが、低所得者への保険料軽減を継続し、75歳以上現役会社員の被用者保険への継続加入を認めるなど見直しを行う。救急医療体制の確立も打ち出し、将来的には、24時間すべての患者を受け入れるER型救命救急センターを全国400か所に整備するのを目標としている。



 共産党は、後期高齢者医療制度の廃止とともに、75歳以上の高齢者と就学前の子どもの医療費を無料化する政策を掲げる。国保の国庫負担を引き上げる一方、国民負担は1人当たり1万円引き下げる。医師確保のため医学部定員を1・5倍に増やし、看護師も200万人体制に拡充して医療崩壊の打開を図る。介護報酬を5%アップし、それとは別に介護労働者の賃金を月3万円以上引き上げる支援を行うという。



 社民党も、後期高齢者医療制度の廃止を主張する。医師数を増やし、看護師、介護職員の増員や待遇改善を行うとしたほか、地域医療を担う総合医の育成にも言及した。医療保険や介護保険の国庫負担割合を引き上げ、保険料や利用料の国民負担を軽減する政策も掲げている。療養病床の削減計画は中止を公約した。



 国民新党は、医療費引き上げのほか、いわゆる老々介護家庭への月5万~10万円の現金支給、介護労働者の給与30%増を訴える。

 みんなの党は、後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化を公約。救急、周産期、外科などの医師の待遇改善を目指す。

 改革クラブは、医師派遣の仕組みをつくり勤務医の過重労働を緩和し、医師養成数の増加とともに自衛隊医師の活用を検討する。

 新党日本は、後期高齢者医療制度の廃止とともに、75歳以上の医療費無料化を主張している。





(自民党)

>診療報酬の「来年度プラス改定を行う」と明言、今年度実施した医学部定員の増員は継続する。

>「これまでにない思い切った補正予算」を組み、地域医療の整備に充てる。


と言いますが、

今までに自民党が

医療に対して

やってきたことはこんな感じ。





主な社会保障費抑制策

02年度
・高齢者医療費の窓口負担引き上げ
・診療報酬2.7%引下げ

03年度
・介護報酬2.3%減
・失業手当の支給水準引下げ

04年度
・診療報酬1%引下げ
・生活保護の老齢加算の段階的廃止

05年度
・介護保険施設入所者の食住費自己負担化

06年度
・高齢者の医療費自己負担増
・診療報酬3.16%引下げ

07年度
・生活保護の母子加算の段階的廃止
・雇用保険国庫負担比率引下げ

08年度
・診療報酬0.82%引下げ
・後期高 齢者医療制度 ・後発医療品普及

09年度
・後発医療品普及


(国民新党、じみ庄三郎 HPより)
http://www.jimisun.com/news.htm#iryou







自民党は

医療費を

下げて、下げて、

下げまくっているわけです。






「いやー、2002年からずっと

下げすぎちゃったよね。

医療費。

今年は絶対あげるからさ」

ジャイアンのような姿勢が見え隠れします。

困ったから泣きついているだけですね。




(民主党)

>医師養成数の増加目標を現状の1・5倍

>医療者側の過失の有無にかかわらず補償が受けられる無過失補償制度を、出産以外の医療事故全般に拡大した公的制度の設立も盛り込んだ。




単純な医師数の増加は

医師のレヴェル低下と

医療に従事しないペーパー医師の増加を

意味します。




教師のように免許はあるけど

実際に教壇に立っていない人がいっぱいいる、

という状況で

いったい日本の教育は向上したでしょうか?




労働環境を改善しない限り

”無効造血”

として、単純に都市部に医師が増えるとか

医師の労働環境が悪化するとか

そういうことになってしまうでしょう。




現時点で

うまく機能していない

無過失補償制度を

一気に拡大することは

あまりお勧めできるのものではありません。




別な仕組みを考えるべきではないでしょうか。





(公明党)

>後期高齢者医療制度は維持

>救急医療体制の確立も打ち出し、将来的には、24時間すべての患者を受け入れるER型救命救急センターを全国400か所に整備するのを目標としている。


公明党の政策が

一番、現状では良くないです。



後期高齢者医療制度は

姥捨て山制度といわれ、

年齢で区切ってしまうという

とても荒い制度です。



ERセンターについても

アメリカ最高!

という盲目的な思想であります。



日本の救急は地域によって

モザイク状であり、

大都市は同じような規模の病院が乱立し、

逆に地方都市は主体となる病院が1,2あり

全体を統制しています。



場合によっては

主体となる病院が崩壊している場合もあります。



それなのに

全国一律にERセンターを

導入したなら、

医師の奪い合いや役割分担など

既存の病院との関係は

大変難しいものになるでしょう。






ちなみに当ブログは

特定の政治団体を支持するものではありません。

ご参考になりましたら幸いです。










(1)
■「三次救急は「吹きだまり」」…そのとおりです(爆) 二次救急 「いじくれば壊れる、ガラス細工のような状態」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-311.html









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コメント

参考になりました。ありがとうございます。麻生さんがまたやりましたね。「傷跡」を「しょうせき」と読みました。痛みのない世界にいる方にはわからない言葉なんでしょうね。自民党がこれまで破壊してきた医療はちょっとやそっと報酬を上げたところで焼石に水です。自民党総裁が知らない傷・・現場で、日本を支えてきた高齢者の涙を毎日拭う身としては 少なくとも傷跡の本当の意味がわかる政党に入れます。

どこもおなじ

医療に関しては、個々の議員の動きはともかくとして、党として考えればどこも同じように見えますねえ。

口当たりの良い事は言いますが、結局はあまり関心が無く、実質は官僚に丸投げ政策ではないでしょうか。

共産党が単独政権をとらない限りは、医療崩壊は既定路線でしょうね。

ぴのさんへ
>少なくとも傷跡の本当の意味がわかる政党に入れます。

こんな政党、あるのでしょうかね。  社民党?(笑)

No title

 ブログ主さんに薦められる書籍等を順次購入している私です。(さすがに、snapscanは高い!)

 なるほど、無効造血ですか。言い得て妙です。

 さてさて、マスコミの無責任さにはほとほとあきれ果てています。

 映画 The Longest Day で、敵陣方向にパラシュート落下した軍医が味方に「どこ行ってたんだ!」と責められたときの言葉
 ”Everyone make mistakes."
 と言う言葉がすきです。
 軍医はそういうと平然と負傷者の治療を開始していました。

 職責を果たしておれば、読み間違いの一つや二つ、鬼の首を取ったように報道する意味があるのかな?

No title

24時間ER400か所整備って…
あれは、一般診療が完全予約制でしかも保険会社に牛耳られているアメリカだからこそ成立するわけで。
24時間ER400か所整備するだけで、1万人近くの医師が必要になりますよ(完全3交代、診療領域を考えると、1か所あたり20人くらい必要になるでしょうから)
もちろん、昼間は普通に病院も診療所もやってますが、そちらは使わずにすべてERに吸引する、ということでしょうか。
病診連携とか、現場が必死になって整備してきた体制をぶっ壊すだけなんですね。

まあ、自民党は金の出元がわかっている唯一の党だから、主張できますし、民主もそれなりに勉強してますが、それ以外は理念だけで話をしているのが丸わかり。
少なくとも、なんでも無料化、というのは賛成できません。
負担を減らすのは賛成ですけど、今の日本の「医療を受ければ絶対大丈夫なはず」という意味不明のコンセンサスの中、ただ無料化すれば、どうせ負担に耐えかねて診療報酬が削られるのは目に見えてますから、現場の崩壊をさらに広げるだけですよ。

選挙の時は誰もがいいことしか言いませんが、ちゃんといいことの裏には悪いこともあるんだ、ということをマニフェストにいちゃもんをつけるのではなく、ちゃんと主張してくれないとね。
「うちのマニフェストはこうです。でも、こうすると、〇〇なデメリットもあります」ってちゃんと主張した方が、有権者に訴えられると思うんですけどね。

せめて5%でも

高齢者の医療費って結構かかるわけでしょう
でも負担はしたくないって言われても
だれが最終的に負担するのっていうとワーキングプアの若年層ですよね
5%でも高齢者のみなさんに負担してもらって自分がどんな医療を受けているのかきちんと理解してもらう事が重要だと思うのですが・・・

高齢者に負担を求めることは間違っていますか?

No title

マスコミさまが取り上げる「年金だけで生活して、医療費にも困っている高齢者」というのは実際にどれくらいの割合でいるんでしょうか。
毎度高齢者の話になったら、みのさんが「こんなに困っている人がいるのに、負担を増やす!」と怒ってますが、そういう人たちよりも実際には社会保障に対する自己負担が無理なくできる世帯の方が圧倒的に多いと思うんですが。

まあ、選挙権のない子供に金をかけるより、選挙権のある老人を相手にした方がいいのはわかりますが、老健施設が足りない、と言っている反対に、有料老人ホームはむしろ毎週のように入居者募集のチラシが入っています。
日本における個人資産の50%以上が高齢者の所有です。

本当に日本の老人は貧乏なのか?
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中間管理職: このブログの管理人。
ID上、ブログではmedさんとも呼ばれてます。

某大学医学部を卒業
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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


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