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■逆に考えるんだ! 「がん10年生存率58% 定期的受診の指針に初のデータ」 治らないガンでも長期生存

 

ガンの10年生存率が出ました。

報道を見ていると、

なんだか分かったような

分かっていないような報道です。

「ガンは5年までの生存率で見ていましたが、

今回初めて10年生存率が出ました」


ふーん。

って感じです。





もちろん、

発表している先生方は本音のことなんか言えません。

建前論になってしまいます。


じゃあ、本音は?というと

「治らないガンはやっぱりある」

「でも、治ってなくても長期生存できるようになってきた」

ということではないでしょうか。







がん10年生存率58% 定期的受診の指針に初のデータ

毎日新聞2016年1月20日 00時00分(最終更新 1月20日 10時39分)
http://mainichi.jp/articles/20160120/k00/00m/040/144000c

 全国32のがん専門病院でつくる「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協)は、1999〜2002年にがんと診断され治療を受けた人の10年後の生存率が58.2%だったとする初の集計結果をまとめた。肝がんや乳がんなどは、治癒の目安とされる5年目以降も生存率が下がっており、長期にわたる定期的な受診が必要とされることがデータで示された。

 10年生存率は16施設の約3万5000の症例を基に算出。部位別の1〜10年目の経過や、ステージ(病期)ごとのデータも示した。
010e841f9e7f7a3127ff953f59d095965201bcb6.jpg

 部位別の10年生存率は▽食道29.7%▽胃69.0%▽大腸69.8%▽肝臓15.3%▽膵臓(すいぞう)4.9%▽肺33.2%▽乳房80.4%▽子宮頸(けい)部73.6%−−など。国内患者数が多い「5大がん」を見ると、胃がんや大腸がんは診断から5〜10年目の生存率が約70%で変わらず、5年後以降の再発の危険は低かった。

 一方、乳がんは5年後が約90%、10年後が80%と、直線的に下がっていた。千葉県がんセンターの三上春夫・がん予防センター部長は「何年しても再発の可能性があり、定期的な受診が大事」と解説する。肝がんも5〜10年の間で生存率が約3割から2割以下、肺がんも約4割から3割強に低下していた。ただ、これらは10年以上前の患者のデータで「今は治療法の選択肢も増えており、改善する可能性もある」(国立がん研究センター)という。
(以下略)






まずは、5年生存率と10年生存率が

あまり変わらないガン。

>胃がんや大腸がんは診断から5〜10年目の生存率が約70%で変わらず

これは

治るガンです。

言い方は悪いかもしれませんが、

「ガンで亡くなる人は5年まで」

丸5年でガンから卒業です。

おめでとう、患者さんたち!!

5年目以降での再発はほとんどありません。





では、

5年目から10年目で生存率が下がるガンは

>乳がんは5年後が約90%、10年後が80%と、直線的に下がっていた

>肝がんも5〜10年の間で生存率が約3割から2割以下

>肺がんも約4割から3割強に低下


これらのガンは、残念ながら今でもまだ治らないガンなのです。

治療が終了してガンが全く見えなくなっても

ずっとガンである可能性が消えません。

場合によってはガンが残ったまま長期に治療を行っている人も

大勢います。





今までは5年生存率で十分でした。

なぜならガンで5年生きることも大変だったからです。



数十年前までは

ガンは不治の病であり、

5年以上生存するなんて

かなり難しい状況だったのです。


「第3次対がん10か年総合戦略」について
厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/07/h0725-3.html
h0725-3e.gif


1960年代のガンの5年生存率は

惨惨たる有様です。

ほぼ全てのガンが現在の難治性ガンと

同じぐらいの生存率しかありません。



簡単に言うと、

当時は一部のガンをのぞいて

やはり「ガンは死の病」だったのです。



ガンの5年生存率は

特に1980年代以降に

ぐんぐん改善してきたわけです。



ガンの5年生存率の改善には2つの要素があります。

1) ガンを治療して治す

2) ガンが残っていても治療で押さえ込む



5年以上長生きしたら

ガンがあろうとなかろうと

5年生存率は改善するわけです。



この2つの要素が両方とも改善したので

5年生存率は改善したのです。



でも、2)の場合は

ガンが残っています。

治療で根治しない場合は

いつかガンに追いつかれます。



そのため5年で亡くなられるのではなく、

ガンになってから10年でガンで亡くなることが

起きるようになってきたのです。




だから、

難治ガンの場合は

ガンが残ってある状態(担癌状態)で

長期生存できるようになってきたのです。




本当に治るガンと、

治らないけど長く生きることが出来る可能性のあるガン

そんなことを10年生存率は教えてくれるのです。




私の身内は若くしてガンになり

2年と持ちませんでしたが、

それでも昔から比べると

かなり長く頑張ることが出来ました。

医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。





それなのに代替医療は

今でもいろいろと取り上げられています。

代替医療を希望される方は、

グラフの一番左端の1960年代か

それより悪い医療を選択しているわけです。





十分に理解して、納得して

現代医療を捨て去って

迷信に飛び込まれるのなら良いのですが、

そうでない人も大勢いるようです。

よくよくお考えください。




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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

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