2011/05/07
■開業つれづれ:「臓器移植:20代の長女に母の腎臓移植 親族優先を適用」
親族優先の移植が
始まりました。
これも
新しい移植のひとつの形になることでしょう。
臓器移植:20代の長女に母の腎臓移植 親族優先を適用
毎日新聞 2011年5月7日 14時03分(最終更新 5月7日 15時53分)
http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20110507k0000e040054000c.html
日本臓器移植ネットワークは7日、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)で脳血管障害のために死亡した40代女性の片方の腎臓が、20代の長女に提供されたと発表した。改正臓器移植法で認められている親族優先の提供を適用した。親族優先をめぐっては角膜移植のみ2件あるが、腎臓は初めて。移植は社会保険中京病院(名古屋市)で実施されている。
移植ネットによると、女性は腎臓のみの臓器提供と親族優先提供の意思を臓器提供意思表示カードに記載した。移植を受ける予定の長女は先天性腎臓病で、生体腎移植を受けた。その後、再度人工透析が必要になり、待機患者として登録された。
提供者の女性は4月下旬に脳死と思われる状態になった。家族が長女への腎移植を希望したため、主治医が親族優先には提供者の意思表示が必要と説明。家族が探し、自宅でカードを見つけた。
女性は脳死での臓器提供の意思も示していたが、家族の「一緒に過ごす時間をとりたい」との意向を尊重。7日午前1時50分に心停止し、2時18分に摘出を始めた。女性の夫は「娘への移植は、妻の死を認めることになり葛藤があった」とコメントした。
女性のもう片方の腎臓は、別の待機患者に移植される予定。厚生労働省は「生前の意思が尊重される仕組みができた。今後は適切に運用していくことが大切だ」と述べた。【比嘉洋、藤野基文】
心配なのは
以前に一度、生体腎移植をして
多分、拒絶反応で
再度、透析になってしまったことがある
ということでしょう。
今回は心停止後の
腎摘出のようですので、
移植の意思がはっきりして
冷却液を脳死状態ですでにいれて
還流していたことと思いますが、
もしも
心停止後に全てがスタートということなら
急性尿細管壊死を起こして
再度、うまく機能しない可能性もあります。
心停止後の腎臓提供では
急性尿細管壊死をおこして
1-4週間ほど透析をしないと
おしっこがでない場合も多くあります。
今後も
いろいろな移植の形が
出てくることでしょう。
日本は臓器提供数が
先進国では最低レヴェルになっています。
日本の移植の治療成績は
かなり高いにも関わらず、
システム的な問題や
社会的な壁があって
移植医療は極めて特殊な医療になっています。
海外に臓器移植に渡航することを
美化するのではなく、
きちんと自国でいろいろな形で
臓器提供を受けられる可能性がある、
というのが日本の医療としてあるべき姿ではないでしょうか。