2010/11/30
■開業つれづれ:「専門医が語る新型インフル第2波への対処法」
皆さんのところではいかがですか?
うちでは何人かインフル陽性の方が
出ています。
今年はイナビル、ラピアクタなど
新製品も出ています。
どちらも1回投与、
イナビルは吸い込むタイプ、
ラピアクタは点滴と
なっています。
専門医が語る新型インフル第2波への対処法
医療介護CBニュース 2010年11月29日(月)12時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101129-00000002-cbn-soci
【第133回】渡辺彰さん(東北大加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門教授)
今年もインフルエンザの流行シーズンに突入した。昨年、世界で大流行し、国内でも約2000万人が感染したとみられている新型の第2波が懸念される中、今シーズンはA香港型の流行が目立っており、ほとんどを新型が占めていた昨シーズンとは流行状況が異なっているという。一方、治療面では今年、第一三共のイナビルや、塩野義製薬のラピアクタといったインフルエンザ治療薬の新製品が相次いで登場した。こうした状況の変化を踏まえ、今シーズンはどのようにインフルエンザに対応すべきか―。日本感染症学会で新型インフルエンザ対策ワーキンググループの座長を務める渡辺彰氏(東北大加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門教授)に話を聞いた。(津川一馬)
―昨シーズン、大流行した新型インフルエンザですが、当初の大騒動が「感染しても症状は軽い」などと、日を追うごとにトーンダウンしていった経緯がありました。果たして新型インフルエンザはどんな疾患だととらえればいいのでしょう。
一言で言えば、“普通のインフルエンザ”ですね。混乱の原因は、鳥インフルエンザと混同してしまったことにあります。致死率が高いといわれている鳥インフルエンザに対する対応策を練ってきたところに、“普通のインフルエンザ”が新型として出てきてしまい、鳥インフルエンザへの対応策を当てはめてしまったので、おかしくなってしまったわけです。
ただ、新型は通常の季節性インフルエンザに比べ、20-50歳代の死亡者数が2-5倍に上りました。一方で60歳以上の死亡者数は極めて少なかったため、全体としては死亡率が低く収まりました。60歳以上の患者の被害が少なかったのは、今回の新型インフルエンザが過去に流行したスペイン風邪などとほぼ同じウイルスだったことから、免疫を持っていたためです。当然、若い人たちは免疫がなかったため、被害が大きくなりましたが、これに対応できなかったことも混乱の原因と言えます。
―その一方で海外と比較すると、日本は新型インフルエンザによる死亡者数が少数にとどまりました。その理由はどのように分析されますか。
まずは、安価で良質な医療を、国民が等しく受けられる国民皆保険体制が整っており、しっかりとした医療をすぐに受けられるフリーアクセスという強みがあったことが挙げられます。
もう一つは、日本が培ってきたインフルエンザに関する臨床現場の経験が生きたということです。日本は「タミフルの使用量が多過ぎる。世界の半分以上を使っている」などと批判されることがあります。タミフルの使用量が多いことで、タミフル耐性ウイルスも日本から出てくるだろうという声もありましたが、実際に最初に出現したのはタミフルをほとんど使わないノルウェーでした。タミフルを使えば耐性ウイルスが出るという単純な問題ではなく、使い方の問題だということです。
日本では、発症後48時間以内にタミフルやリレンザを投与しなければ、効きが悪くなることは医師だけでなく、国民も分かっています。しかし、海外の死亡例を見てみると、発症後9日で投与されていた事例もあるなど、投与のタイミングが遅かったことが見て取れます。
―ずばり、新型インフルエンザの第2波は来るのでしょうか。
新型インフルエンザが過去に1シーズンだけの流行で終わったことは一度もありません。スペイン風邪や香港風邪も2ないし3波は来ています。日本よりも半年早く流行が起こった南半球では、昨年と比べ若干小規模ですが、流行が起きています。日本もこれと同様の傾向になるとみています。ウイルスにほとんど抗原変異が起こっていないことから、昨年と同様に若年層、その中でも昨年かからなかった人が感染の中心と考えられます。
ただ、今シーズンはA香港型の流行が散発的に起こっています。こちらはむしろ高齢者が感染の中心となることから、むしろ新型よりも被害が大きくなり、死亡者数は昨年を上回る可能性もあります。
―A香港型の流行など、昨シーズンと流行状況が異なることによって、医療機関での対応は変わってくるものなのでしょうか。
それは変わりません。予防として、きちんとワクチンの接種を受けてもらい、症状が出たら医療機関を受診し、治療を受ける。これまでの通常の季節性インフルエンザと同様に対応することが必要です。
臨床現場では、新型とA香港型の区別はつきません。区別するためにはPCR検査が必要ですが、いちいちやることはありません。症状も似ていますし、区別する意味がありません。
―今シーズンを前に、第一三共のイナビル、塩野義製薬のラピアクタと新規のインフルエンザ治療薬が相次いで登場しました。それぞれの特長を教えてください。
まず、新薬はどちらも1回投与なので、服薬コンプライアンスが確実であるという特長があります。このメリットはすごく大きいと思います。
これに加えて、ラピアクタは点滴静注なので、昨シーズン、重症例で見られたような嘔吐、下痢がひどくて、内服や吸入ができない患者にも使用可能です。また、厳密な比較試験ではありませんが、ハイリスク群ではラピアクタの治療効果が高いことが示されています。
イナビルについては、吸入による1回投与ということで、コンプライアンスが高くて手軽という意味では、ユニバーサルな需要に対応できますよね。
これに対し、タミフル、リレンザは共に5日間服用することが必要です。投与2、3日目で熱が下がり、具合が良くなったとしても、インフルエンザウイルスの排出が止まっていない人が2-3割はいます。その状況でやめてしまうと、ウイルスが排出される期間が延びてしまい、周りが感染する危険性も高まります。
―タミフルやリレンザとの使い分けはどのようにお考えでしょうか。
新薬はまだエビデンスが少ないという問題があります。特に重症例についてのエビデンスです。ラピアクタとイナビルが今後、臨床で用いられ、データがきちんと出て来るまでは、「ハイリスクだからすぐにラピアクタを処方」というわけにはいきません。まずはエビデンスの構築が求められます。
ただ、何でもかんでもタミフル、リレンザとは言いません。患者さんの病態、重症度に応じて使い分けることが必要です。普通の軽症、中等度の患者さんに対してはタミフル、リレンザで全然構わないし、重症例、ハイリスクなどについては、ラピアクタの方が確実です。
―新型の第2波以降の展開をどのようにお考えですか。
わたしの個人的な見解ということでお聞きください。
新型インフルエンザウイルス自体は、これまでのところ若年層を中心に広がっていますが、行き渡ってしまうとそれ以上流行を広めることができないため、ウイルスは少し姿を変える必要があります。これがいわゆる「抗原変異」ですが、ウイルスは現時点で、ほとんど抗原変異を起こしていません。
ウイルスは少し姿形を変えると、別の人たちに流行を起こす力が出てきます。つまり、感染の中心がだんだんと高齢者に移ってくることになります。新型も恐らく2、3年で普通の季節性インフルエンザのパターンと同じようになる可能性が高い。つまり、2、3年すると、感染の中心が若年層から高齢者や乳幼児に移り、昨年、今年よりも被害が大きくなる可能性があります。
第1波、第2波の流行が大きければ大きいほど変わり身は早いはずです。皆が免疫を持ってしまうので、早く姿形を変えないと、ウイルスが生き延びることができなくなるためです。
最終更新:11月29日(月)12時36分
ワクチンの方も真っ盛りだと思いますが
これからいよいよインフルもシーズンイン。
皆様ご注意ください。