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■開業つれづれ:「番組きっかけの乳がん検診 TBSに医師らが中止要望」

週刊文春(7月8日号)『TBS「乳がん検診キャラバン」は即刻中止せよ』

http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/adv/100708.htm

という記事がありましたので、

取り上げてみます。



いったい何が問題なのでしょう?


こちらが朝日新聞の記事。





番組きっかけの乳がん検診 TBSに医師らが中止要望

asahi.com 2010年6月10日1時44分

http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY201006090607.html


TBSの乳がん検診キャラバン車。10月まで続く予定だ=東京都中央区

 乳がんのため24歳で亡くなった女性を取材した番組「余命1カ月の花嫁」をきっかけに、TBSが展開している20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書を、医師や患者ら38人が9日、同社に提出した。20~30代への乳がん検診の有効性に科学的根拠はなく、不必要な検査につながるなど不利益が大きいと指摘している。

 要望書を提出したのは、中村清吾・昭和大教授や上野直人・米MDアンダーソンがんセンター教授ら、乳がん治療の第一線で活躍する医師のほか、がん経験者、患者支援団体のメンバーら。

 「科学的根拠のない検診を、正しい情報を発信すべきテレビ局が行うことは倫理的に問題が大きい」

として、検診の中止を含め活動の見直しを求めた。また検診を20~30代女性に限定している理由などを問う公開質問状も内容証明郵便で送った。

 国は指針で、乳がん検診は40歳以上を対象に、マンモグラフィー(乳房X線撮影)検査と、医師が胸の状態を診る視触診の併用を推奨している。要望書は、20~30代女性への検診は、放射線被曝(ひばく)やストレスを増やし、がんを見逃す場合もあると指摘。メディアの役割は、異常を感じたら医療機関へ行くべきと呼びかけることだとした。

 TBSは2008年から検診を実施。これまでに約7千人がマンモ検診を受けた。今年も、15日から舞台で上演されるのと連動し、東京や大阪などでエコー(超音波)検診を実施している。(岡崎明子)

     ◇

 TBSのコメント 要望書で指摘されている点は、現在の医学界の基準的な考え方で、反論するところはない。ただ、40歳未満の乳がん罹患(りかん)者は年々増えており、あくまでも自己責任・自己負担で検査を受けることは意味があると考えている。




こちらが内容見直し側のHP。

要望書の全文がのっております。

http://www.cancernet.jp/kenshin/



まあ、TBSのやっていることに

メリットがなくて

問題点ばっかりじゃないですか、

という内容です。


「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の
内容見直しを求める要望書

http://www.cancernet.jp/kenshin/#con2

の全文です。






2010年6月9日

株式会社東京放送ホールディングス
代表取締役社長 財津 敬三 様

「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の
内容見直しを求める要望書
謹 啓

向暑の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。貴社の乳がん・若年性乳がんに対する継続的な啓発活動への取り組みに、深い敬意を表します。

さて、貴社が2008年から開始した「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」が、2010年も実施されると、キャラバン事務局のホームページに掲載されています。

キャラバンの開始以来、対象は20代・30代の女性限定とされ、2008年・2009年のマンモグラフィー検診に続いて、今年は超音波(エコー)検診が行われるとのこと。その内容に、われわれ、乳がん経験者、患者支援団体、医療関係者などからなる有志一同は

深い懸念を抱いています。

20代・30代の若年者を対象とした検診目的のマンモグラフィー検査および超音波検査には、

有効性を示す科学的根拠がありません。

また、検診は必ずなんらかの不利益を伴うため、

有効性が不明な検診は不利益だけを増大させる

恐れがあります。

科学的根拠のないこうした医療活動

を、本来視聴者、ならびに国民に対する正しい情報の発信を責務としているはずのテレビ局が行うことは、倫理上きわめて問題が大きいと考えます。

若年性乳がんに対する有効性の確認された検診方法はいまだなく、乳がんの治療方法についてもさらなる進歩が期待されるなか、研究開発の推進が今後不可欠です。貴社の乳がん啓発プログラムがこれらに一層貢献、寄与されることをわれわれ一同は切に望んでおり、そのための協力は惜しまない所存です。

つきましては貴社が行う乳がん検診キャラバンの内容を見直し、検診実施の中止を含め、活動内容を再検討いただきたく、ここに強く要望いたします。また、別紙に質問状を添付いたしますので、ご回答をたまわりたく、よろしくお願い申し上げます。

末筆ながら貴社のますますのご繁栄をお祈り申し上げます。

謹 白




代表連絡先
NPO法人キャンサーネットジャパン内
「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の内容見直しを求める要望書提出担当者
〒113-0034 東京都文京区湯島1-6-8 中央自動車ビル7F
電話:03-5840-6072 ファックス:03-5840-6073
E-mail:kenshinyoubou @ gmail.com



青谷 恵利子(北里大学臨床薬理研究所 臨床試験コーディネーティング部門 部門長)
有吉 寛 (愛知県がんセンター愛知病院 名誉院長/悪性リンパ腫サバイバー)
池田 正 (帝京大学医学部外科学 教授)
岩瀬 哲 (NPO法人キャンサーネットジャパン 理事長)
岩本 ゆり(医療コーディネーター 看護師)
上野 直人(The University of Texas MD Anderson Cancer Center, MDアンダーソンがんセンター教授/悪性組織性繊維球腫サバイバー)
植村 めぐみ(がん患者会シャローム 代表)
内田 絵子(NPO法人ブーゲンビリア 理事長/乳がんサバイバー)
大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科生物統計学 教授/NPO法人メディカルライター協会 理事長)
勝俣 範之(国立がん研究センター中央病院腫瘍内科)
唐澤 久美子(順天堂大学医学部放射線医学講座 先任准教授)
川上 祥子(NPO法人キャンサーネットジャパン 理事)
久保井 摂(福岡県弁護士会(九州合同法律事務所) 弁護士)
古賀 眞美(Patient Advocate Liaison 代表)
後藤 悌 (東京大学大学院医学系研究科呼吸器内科学)
小西 敏郎(NTT東日本関東病院 副院長/胃がん・前立腺がんサバイバー)
西條 長宏(近畿大学医学部腫瘍内科 特任教授)
桜井 なおみ(NPO法人HOPEプロジェクト 理事長/KMaCS/乳がんサバイバー)
佐治 重衡(東京都立駒込病院乳腺外科 非常勤医員)
清水 哲 (地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター乳腺内分泌外科 部長)
鈴木 育宏(東海大学外科学系乳腺・内分泌外科 准教授)
下妻 晃二郎(立命館大学総合理工学院生命科学部生命医科学科 教授)
滝口 裕一(千葉大学大学院呼吸器内科学 准教授)
田嶋 ティナ 宏子(白百合女子大学文学部 准教授)
田所 多佳子(日本癌医療翻訳アソシエイツ/KMaCS)
円谷 彰 (神奈川県立がんセンター消化器外科 部長)
坪井 正博(神奈川県立がんセンター呼吸器外科)
寺田 真由美(KMaCS(もっと知ってほしい「がん検診」のことプロジェクト)/乳がんサバイバー)
鳥集 徹 (ジャーナリスト)
中村 清吾(昭和大学医学部乳腺外科 教授/昭和大学病院 ブレストセンター長)
南雲 吉則(医療法人社団ナグモ会ナグモクリニック 総院長)
野村 久祥(杏林大学医学部付属病院薬剤部 がん指導薬剤師・がん専門薬剤師)
増田 美加(女性医療ジャーナリスト/乳がんサバイバー)
向井 博文(国立がん研究センター東病院化学療法科)
柳澤 昭浩(NPO法人キャンサーネットジャパン 事務局長/KMaCS)
山崎 多賀子(美容ジャーナリスト/乳がんサバイバー)
吉田 和彦(東京慈恵会医科大学外科学教授・青戸病院副院長、外科部長)
渡辺 古志郎(横浜市立市民病院 名誉院長)

(以上、計38名)








TBS「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の
内容見直しを求める要望書提出について


2010年6月9日、TBSが20代・30代の女性を対象に行っている乳がん検診キャラバンについて、

その年代の女性に対するマンモグラフィー検診ならびに超音波(エコー)検診は有効性が確認されていない

とし、内容の見直しを求める要望書を同社に送りました。

要望書を送ったのは、乳がん経験者、医療関係者、がん患者支援者、ジャーナリストなどからなる有志38名です。TBSにキャラバン実施内容の再考を求めると同時に、今後若年性乳がんと闘う人々の希望につながるような研究・開発、啓発活動が展開されることを願って、質問状を添えた要望書を提出させていただきました。

このホームページはその内容と、TBSからいただく予定の回答を、広く皆さまにご覧いただくために開設したものです。


2010年6月9日

「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」に関する公開質問状

「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」が、20代・30代の女性を限定に乳がん検診を行っている問題をめぐり、以下の4点について質問させていただきたく存じます。

1.2008年から20代・30代の女性を対象にマンモグラフィー検診を行ってきた科学的根拠と、医学的助言・監修の取得先をお教えください。

2.2010年も当初はマンモグラフィー検診が行われる予定でしたが、5月25日頃、突如マンモグラフィー検診の記述が削除され、すべて超音波(エコー)検診に変更されました。マンモグラフィー検診を取りやめた理由と、20代・30代の女性を対象に超音波検診を行う科学的根拠をお教えください。

3.今後はどのような活動を行っていくのか、これからもマンモグラフィー検診および超音波検診を続けるのか、20代・30代の女性にどのような情報とメッセージを発信していくのか、将来的な活動展開に対するお考えをお聞かせください。

4.今後も何らかの医療活動を継続される場合、科学的根拠に基づいて情報を提供していくのか、また、医学的なアドバイザリー・ボードを置く予定はあるか、その場合どのような方を指名なさるか、お考えをお聞かせください。

以上4点につきまして、7月9日までにご回答いただきたく、お願い申し上げます。

なお、この質問状と要望書の内容、ならびにいただいたご回答は、以下のホームページにて公開させていただきます。

http://www.cancernet.jp/kenshin/index.html

以 上





2010年6月9日

添付資料:要望の根拠について

1.がん検診の有効性とは

がん検診は、それによって、がんが他臓器に転移するなど進行してしまう前に早期発見し、がんで亡くなる人を減らせる(死亡率が低下する)ことが証明されたとき、その有効性が確立されます。早期にたくさん見つけられる(発見率の増加)だけでは、必ずしも亡くなる人が減るとは限らず、検診として有効とは言えません[1]。

ある検査方法が検診として有効かどうか判断するのにもっとも信頼がおけるのは、大規模なランダム化比較試験の結果です。検診を受けるグループと受けないグループに分けて比較し、本当に亡くなる人が減るかどうか、長期間にわたって追跡調査して検証します[2]。それによって証明される利益が、不利益を上回る場合、その検診は推奨されます。

2.がん検診の不利益とは

いかなる検診も不利益を伴います。検査を受けることによって生じる不安やストレスのほか、検査によっては苦痛や合併症、放射線被曝のリスクを伴うものもあります。また、いかに優れた検査でもがんを見逃してしまうこと(偽陰性)は避けられません。

さらに、結果的に不必要な検査や治療を受ける可能性もあります。

1つは、検診の結果精密検査が必要とされて再検査や生検などを受けたものの、がんではなかった場合(偽陽性)です。

もう1つは、過剰診断のケースです。近年の研究で、がんの中には生涯命を脅かさない無害なものや自然退縮するものがあること、およびがん検診でそれらの無害ながんをも見つけてしまう場合があることが明らかになってきました。

しかし今の医学では無害ながんと普通のがんを区別できないため、がんが見つかれば、ほとんどの場合、手術などの治療を行わざるをえなくなります。こうして、検診でしか見つかりようのないがんの発見により、過剰治療が行われることになります[3] [4]。

3.マンモグラフィー検診の対象年代ごとの有効性の違い

マンモグラフィーは、しこりが手には触れない乳がんをも写し出す有用な診断ツールです。よって検診にも有効ではないかと期待され、過去に海外でランダム化比較試験が複数行われました[5]。その結果、特に50歳以上の女性について、乳がんで亡くなる人を減らす効果、すなわち有効性があるとされています[6] [7]。

ただし40代では、50歳以上の場合に比べて死亡率減少効果が小さく、むしろ偽陽性や過剰診断などの不利益が大きいことが取り上げられ、2009年11月に米国政府委託機関である予防医学作業部会(USPSTF)は、マンモグラフィー検診の対象を50歳以上とし、40代は個別に検討するべきと推奨内容を変更しました[8] [9] [10]。

一方、20代・30代の一般的な若年女性については、マンモグラフィー検診は有益ではないというのが世界的な見方です。乳腺密度が高い若年者対象の場合、「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」のホームページ[11]にも記載があるとおり、乳房全体が白く写ってしまいます。乳がん自体も白く写るため、しこりなどの病変を検出しづらく、まるで「雪原で白いウサギを探すようなもの」と言われます。

そのため若年者については、検診だけでなく、すでに症状が自覚されている「診療」の現場においてすら、十分な注意が必要とされています[12]。

4.マンモグラフィー検診に伴うさまざまな不利益

若年者の乳がんをマンモグラフィーで見つけるのがこれほど難しいにもかかわらず、病変を見つけようとしても、不利益ばかり増大する恐れがあります。たとえば、がんではないのにがんと疑われ、場合によっては生検を受けることになったり(偽陽性)、逆にがんが見逃される可能性もあります(偽陰性)。また、乳がんの危険因子にも数えられる医療被曝の問題もあります[13]。

さらには、浸潤癌にならないケースが相当数あるとされる非浸潤性乳管癌(DCIS)の症例が増加し、過剰診断・過剰治療が増える恐れもあります。米国では1973年から1990年代後半にかけてDCISの症例が7倍以上に増え、マンモグラフィー検診導入との関連が指摘されています[14] [15]。

5.超音波検査による検診も時期尚早

超音波(エコー)検診については、若年女性に対してマンモグラフィーより病変を発見しやすいと考えられていますが、乳がんによる死亡率を下げるという科学的根拠はまだありません。現在、40代の女性を対象に、マンモグラフィー検査単独と、超音波を組み合わせた場合との大規模ランダム化比較試験「J-START」が、国内で行われている最中です[16]。

がんではない良性の腫瘍を多く見つけてしまう恐れ(偽陽性)もあるなか、有効性を示す根拠もないのに「サービス」として検査の機会を提供しても、受診者の利益は保証されません。

6.自己触診の有効性も証明されていない

「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」では、自己触診(セルフチェック)の方法も指導されていますが、早期発見のための定期的な自己触診も有効性は証明されていません。

確かに自分の体、自分の乳房に関心を持ち、異常がないか注意を払ってもらうことは重要です。しかし、毎月決められた方法でチェックするよう指導しても、死亡率の低下は見込めないことが、大規模な2件のランダム化比較試験の結果示されました。むしろ定期的な自己触診の実施によって、女性たちがより頻回に病院を訪れるようになり、生検を受ける人が増加したと報告されています[17]。定期的な自己触診にも、実施に伴う不利益が存在するとの認識が必要です。

7.若年性乳がん患者のためにできること

全体から見て数は少ないとはいえ、若くして乳がんになる人がいるのは事実です。若いゆえに、仕事・結婚・出産・育児などの問題もからんで、つらい思いをしている乳がん患者が大勢います。そのような苦しみを味わう人が一人でも減ってほしいと、私たちも心から願っています。

しかし、この年代に有効な検診方法がない限り、むやみに検診受診を促しても、利益を得られることがないばかりか、大きな不利益を与えてしまう恐れがあります。

若い女性の健康を守りつつ、若年性乳がんの患者を支え、支援するには、若年者に有効な検診方法の科学的根拠を作るか、あるいは罹患リスクが高いとされる家族性乳がんの研究、有効な治療方法の開発、治療格差の是正を進めること、ならびに患者の治療生活・社会復帰を支える活動こそが重要だと思います。

特に、日本での罹患年齢のピークは50歳前後であることを考えると[18]、若い女性に焦点を当てると同時に、彼女たちの母親に対してこそ、警鐘をならすことが有効と考えます。

また、罹患リスクの高い人が定期的に検査を受けることは意味があるかもしれませんが、それは乳腺専門医に相談の上、検討するべきことと考えます。さらに、個人が医療機関で任意で検診を受けるとしても、死亡率減少効果が証明されていないことや、その検診による不利益について、十分な説明が行われる必要があります[19] [20]。

8.がんの啓発はがん検診がすべてではない

乳がんで亡くなる人を減らすと同時に、乳がんになる人や乳がんが疑われる人をむやみに増やさず、今健康な人にできる限り害を与えないことを目指すとき、20代・30代の女性に対して言えるのは、「自分の体に関心を持って、異常を感じたら病院へ行って」「あれ?と思ったら婦人科ではなく乳腺外科へ!」ということであり、これぞメディアが発信するべきもっとも重要なメッセージではないでしょうか。

若い女性に限らず、あらゆる年代の男性・女性にとって、「異常を感じたら受診する」ことこそ健康管理の基本で、検診は、その有効性が確かめられた年代・条件の人に勧められるべきオプションです。がんの啓発活動とは、そうした知識を伝えることであり、すべての年代の人に検診受診を勧めることではないはずです。

1000人が検診を受けると、がんが見つかる人は平均2~3人と言われます[21]。残りの大多数の健康な人に与える不利益の影響を軽んじることは、きわめて危険で、社会に大きな不利益を与えかねないという認識を持つべきと考えます。

国民に広く情報を発信する立場にあるテレビ局として、科学的根拠の観点から現在の医療活動を今一度見直していただき、今後一層の啓発活動に取り組まれることを、心より願っています。







(引用文献は割愛させていただきました)



と、激しくつっこまれたTBS。



こっちが

TBS『「余命1ヶ月の花嫁」乳がん検診キャラバン』検診キャラバン

のHP


http://www.tbs.co.jp/hanayomecaravan/caravan/




で、こちらには質問状に関する

TBSの見解がのっております。






朝日新聞の記事に対する見解
2010年6月10日

 2010年6月10日付けの朝日新聞にて、「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の中止を医師や患者らが求めるよう要望書をTBSに提出した、との記事が掲載されました。TBSは朝日新聞の取材に対して詳細な回答をいたしましたが、部分的な引用となっておりますので、ここで改めて私どもの見解を示します。

 TBSは6月9日付けで医療関係者・乳がん経験者ら38人の方より「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の内容見直しを求める要望書、及び質問状をファックスにて受領しました。
 要望書等の内容に関しては、NPO法人「キャンサーネットジャパン」のホームページ内に掲載されていますが、

指摘している様々な点については、現在の医学界における基準的な考え方であり、

私どもとして反論するところはありません。

乳がんの検査には早期発見につながる可能性があるというメリットと同時に、

放射線被曝や病変の見落としなど、様々デメリット

があることも同キャラバンの運営チームは把握しており、キャラバンの会場ではまさに指摘されたような内容をすべての受診者に詳しく説明した上で、

あくまでも自己責任で検査を受けてもらっています。

また、ホームページにも情報を記載しています。

 当キャラバンの目的は「検査を受けたくても受診費用が高額であるなどといった様々な理由で受診機会が得られない女性に対して、安価で受診できる機会を設けること」です。また「キャラバンを通して、自分の体により関心をもってもらい、定期的に自己検診を行うことや、将来的に異変を感じた際には躊躇せずに専門の医師に相談することなど、

乳がん対策の基礎とも言うべき啓発を行うこと

」も目的です。

 マンモグラフィの有効性(検診による死亡率の低下)は特に50歳以上で認められていますが、日本では40歳以上の女性に2年に1回のマンモグラフィ受診を国が呼びかけています。一方で、40歳未満の女性の乳がん罹患者も年々増えており、あくまでも自己責任・自己負担で40歳になる前に検査を受けることは意味があると考えております。なお、ピンクリボン運動に熱心に取り組んでいる朝日新聞社もホームページ上で「マンモグラフィや超音波検査では、触診ではわからない小さながんを発見できます。より小さな早期のがんを発見するためにも、できれば30歳には乳がん検診に対する認識をもち、自分で機会を作って乳がん検診をスタートするようこころがけてください」と謳っています。(※asahi.com「乳がん特集・早期発見マンモグラフィ」より引用http://www.asahi.com/health/cancer/pink/manmo.html)
 当キャラバンはこれまでに何人もの乳がん発見につながりました。また、今年から実施しているエコー検査においても、がんと疑われる所見が見つかり、経過観察に入っている女性もいます。様々なリスクを考慮した上でも、当キャラバンが受診機会を提供したことは一定の成果があったのではないかと考えております。
 今回の指摘については、第三者の立場、しかもがんに関する深い知識のある方々から文書の形でまとめて指摘していただいたことを、非常にありがたく感じており、許可が得られればこの内容を当ホームページにも掲載し、一般の方々に検査のより深い知識を提供したいと考えております。








結局は、

「根拠はないけど雰囲気で」

「啓発活動だからメリットなくてもいいでしょう」

という回答のようです。






啓蒙とか啓発、

というと

「アフリカには一銭も行かないアフリカ貧困活動」

ホワイトバンド問題

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20080923/Cyzo_200809_post_969.html

が連想されちゃいます。





ほかにも「環境問題」など、

面と向かって反論しずらい

「大義名分」がある活動には

最終的に何の意味がなくても

「啓蒙」とか「啓発」のための活動

と言い逃れできてしまいます。






TBSがこの年代に限定した

乳がん検診をしていることに対する

回答は結局は「啓発活動」という

事だけのようですが、

マスコミが何のメリットもない検診を

おこなってデメリットをばらまいているのは

単なる”宣伝活動”と受け取られても

仕方ありません。





より一層の「正しい医療知識」の「啓発」

をマスコミは行う必要があるのではないでしょうか。








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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
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大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
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田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
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