2010/03/23
■開業つれづれ:「毎日新聞 日薬連・評議員に医療報道への「理解」求める文書」
すでにいろいろなところで取り上げられています。
毎日新聞、広告がなくて
「理解してください」
との話。
でも、物事は簡単。
誰が顧客なのかな?
新聞社の顧客は製薬会社。
製薬会社の顧客は医師。
新聞社が医師を丸叩きしました。
医師は怒って広告主に忠告。
広告主はびっくり、広告見合わせ。
これのどこに問題が?
そうでなくても今までのマスコミによる
医療報道はあまりに低俗で
医師叩きがひどすぎましたが、
一連の事件報道はあまりにひどすぎます。
■ 毎日新聞 日薬連・評議員に医療報道への「理解」求める文書
Risfax【2010年3月19日】
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=31501
毎日新聞社が自社の医療報道に理解を求める朝比奈豊社長名の文書を、日本製薬団体連合会の評議員に配布した。
(以下は某掲示板から)
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1266625383/163
複数の関係者によると、数年前の医療報道で一部医師から強い批判の声があがり、現場MRへの忠告、あるいはネットへの書き込み、電子メールの送付などで、同社への広告出稿をけん制する動きが活発化。
製薬企業のほとんどが出稿を停止し、
いまだ半数以上、停止状態
が続いているという。
文書によると同社は06年8月、奈良県で意識不明になった妊婦を転送する病院が見つからず、大阪府内の病院で死亡した事故を、産科救急の不備、周産期医療の現状と課題などを交えて報じたところ、一部医師の間で「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判が起きた。
複数の関係者によるとこれを皮切りに、同社に広告出稿する製薬企業にも、批判の矛先が向くようになり、10社程度あった製薬企業の毎日新聞への広告のほとんどが出稿を停止。
いまも数社を除いて出稿停止
が続いている。背景には、現場MRに対する直接の忠告、2チャンネルなどネットの書き込み、電子メールの送付などで、広告出稿をけん制する動きがあったという。
毎日新聞社は今回の文書で、「医療態勢が崩壊していた現実を報道したのであって、報道が崩壊させたわけではない」と説明する一方、
「医療報道をさらに充実させ、毎日新聞の医療に向けた姿勢をより鮮明にするよう心掛けてきた」
と強調。奈良県の医療事故報道に対する批判を
「謙虚に受け止め、医療報道を深化」
させた結果、「低医療費政策」と「医師数抑制策」の問題点を強く訴える報道で、成果を出したと訴えている。
文書配布は日薬連の木村政之理事長に毎日新聞社の役員らが要請、木村理事長が竹中登一会長に相談したうえ、認められた。
「広告出稿の障害をできるだけ取り除きたいという思いがある」(毎日新聞関係者)
という。
毎日新聞、広告出稿は
>製薬企業のほとんどが出稿を停止し、
>いまだ半数以上、停止状態
ということで、
>いまも数社を除いて出稿停止
…
現在、数社は出稿しているようです。
へー。
2006年8月以降、
>「謙虚に受け止め、医療報道を深化」
したそうです。
なるほど。
その後、毎日さんには
こんな記事が載っております。
2008年3月の記事です。
■バカにするにもほどがある 「恐怖の医師不足 /宮崎 」毎日新聞 こんな程度で医師を叩くマスコミ
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-47.html
より。
だれやみ日記:恐怖の医師不足 /宮崎
毎日新聞 2008年3月24日
http://mainichi.jp/area/miyazaki/archive/news/2008/03/24/20080324ddlk45070237000c.html
県医師会とマスコミとの勉強会で先日、衝撃的な数字を示された。
医師不足が「まさかこれほど深刻とは」と驚いた。
医師の数は増えているのに、なぜ地方では医師不足なのか。要因の一つに新医師臨床研修制度がある。新人医師には2年以上の臨床研修が04年に義務づけられた。ただし研修先は出身大学でなくても良いため、最新機器も医療スタッフもそろう都市部の民間病院に研修者の人気が集中した。
ところが地方の医学部卒業生が、こぞって都会を目指した結果、母校の大学病院に欠員が生じてしまった。困った大学医局は、これまで卒業生を派遣してきた郡部の医療機関から勤務医を引き揚げ始めた。つまり宮崎大の卒業生は都会を目指し、穴の開いた大学医局は郡部から勤務医を引き揚げ、郡部からは医師が消えてしまうのだ。
急ピッチの高齢化で県内の年間救急搬送は、この10年で約2万3000人から1万人も増えた。一方、県内の医師は約2550人と10年前から1割増えたが、高齢化の速度に追いつかない。10年前に一晩平均50人だった宮崎市夜間救急センターへの搬送は、現在65人に増えた。医師が比較的多い宮崎市内でさえ、若い医師が足りず、40代の医師が月に4、5回の当直をこなさざるを得ない。しかも20代の医師は10年前から33%減り、30代も12%減った。新人医師が地域医療を見限って都会へ出て行くため、県内では医師の高齢化と激務化が進み、ますます敬遠される職場になる。急患の「たらい回し」も防げない。10年先の状況を想像するとゾッとする。
医師会側の説明が終わると、会場はしんとしてしまった。
「だから記事で県民に危機を訴えて下さい」
と筆者も言われたが
「ホラー(恐怖)記事になりそうです」という言葉しか出てこない。
いや、人命がかかっている。道路建設以上にどげんかせんといかんのだが。
いやいや、
われわれにとって、
こんなに無知なまま記事を書かれることの方が
「ホラー記事」
なんですが、ずーっとこのレヴェルの
報道が現在も繰り返されているわけです。
ま、躍動感で
「世の中、動いたと実感」
しているようですから(1,2)、
賞も受賞されたようで
返上もされてないみたいです。
医療界からは
ひどいことだと非難噴でしたが
完全無視。
顧客の顧客を無視し続けました。
>「世の中、動いたと実感」
世の中を動かしたのですから
消防法も変わったし、
救急のあまりのひどさから
医師も続々と最前線から
離脱せざるを得ませんでした
(私自身、医師叩きの
新聞報道が激化したちょうど2006年に決意し、
2008年に開業しました)。
いい方向か悪い方向か知りませんが、
世の中変えたぐらいですから
広告の数もまた変わりますよね。
広告主の顧客の頭、
殴っておいて、謝りもせず、
「深化させました。理解してください」
ということが
どれだけの意味を持っているのか
理解されているのでしょうか?
(1)
■開業つれづれ:「妊婦転送死亡:発生3年 「世の中、動いたと実感」遺族、産科医療改善望む /奈良」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1014.html
(2)
■新聞労連 毎日新聞報道が特別賞で表彰される 「躍動感」で奈良県南部 産科消滅
http://ameblo.jp/med/entry-10024207652.html