2009/07/27
■開業つれづれ:「たらい回し 治療5分に「1時間」」
また、どこぞの記者が救急外来に腹を立てて
記事を書きなぐっています。
たらい回し 治療5分に「1時間」
2009年7月24日付中日新聞三重版
http://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up41995.jpg.html
津市内で今月中旬の深夜、手をけがしたが、治療してくれる救急病院がなかなか見つからない「たらい回し」を経験した。
その間、一時間弱。
救急医療体制の未熟さを垣間見た"長い"時間だった。
午後十時四十五分ごろ、知人宅でカキの殻をむくナイフを指の間に突き刺した。出血したが救急車を 呼ぶほどではないと思い、まず頭に浮かんだのは、津市役所横の応急診療所。電話で症状を説明すると、 「うちはできない」。教えられたのは、津地域救急医療情報センターの電話番号。 同じように電話で症状を説明し、当直の外科医がいると告げられた二カ所の病院のうち、近い方にタクシーで行った。
傷を見せると、医師らしき人は「うちでは無理」。専門外なのだろうか。説明はない。タオルで押さえた手より 胸に痛みが走った。消毒の処置や他の病院を教えられることもなく、暗いロビーに取り残される。やるせない。
気を取り直して再びタクシーを呼ぶ。情報の不正確さに首をかしげながら、もう一カ所の病院へ。 ようやく整形外科医にたどりつくことができ、深さ数センチの傷を縫ってもらった。治療は五分だったが、 右往左往した分だけ時間も交通費も余計にかかり、理不尽さだけが残った。(大島康介)
![up41995[1]](https://blog-imgs-29-origin.fc2.com/m/e/d/med2008/20090727083401147.jpg)
夜の11時頃に
友人とカキを食って
ナイフを手に突きさして
救急外来、
というストーリー。
>その間、一時間弱。
世界的にも1時間で
専門医の治療を受けられるのは
滅多にないシステムだと思います。
アメリカでは数週間かかるのは
ざらです。
こういう方が結局
大学病院の三次救急希望、
ということになるんでしょう。
そして仮に大学救急に行ったら、
入院が必要ではなくて
5000円ぐらい別に取られて
また腹が立って記事を書く、
こういうことになるんでしょうね。
ひどい労働環境でも
救急をやっている医師が悪人になり、
専門外の治療をして
上手くいかなければ訴えられ、
専門外だから、といって
他の病院を紹介したら記事にされる。
これでは
救急をやる医師がいなくなるのは
当たり前ではないでしょうか。
医師としては
こんな記事が出るたびに
救急をする気がなくなっていくのは
当然のことなのです。
なぜかマスコミは
医師に対してだけは
”書かれた側がどのように感じるか”
ということを全く考えていないように
思えます。
こんな記事で
「救急外来を頑張ろう」と
医師が思うとでも思っているのでしょうか?
この記事でまた
「はー、またこんなこと言われて
こっちは夜勤代ももらっていないで
ボランティアで救急をやっているのに
割に合わないよな…」
と医師が救急をやめていくことの方が
ずっと可能性が高いと思いませんか?
すぐに診てもらって
未熟な医師に5分で縫われても
文句を言い、
熟練した医師に夜間、縫われても
文句を言い、
結果的に何かトラブルがあればまた文句を言う。
現場の医師に文句を言うではなく
行政のシステムに
文句を言うべき問題であります。
マスコミの好きなアメリカでは、
救急に入っただけで数万円、
数時間以上の待ち時間は当たり前、
後から来た交通外傷などが優先される、
というシステムですが、
そんなERシステムがいいのかな?
そして、過去10年間
「医療は無駄だらけ」という
マスコミの主張のように医療費は
削られ続けました。
ここに至って
医療は崩壊し、
金も出さずに
「いや~、腹立つ」
とは何ということなんでしょう。
マスコミのかたの
脊髄反射的な記事が
医療を崩壊させていることに
まだ気付かないのでしょうか?
時間外救急で診て
記事を書かれた病院はご愁傷様です。
三重県津市では
このまま同じことを続けていても
同じように文句を言われることと思います。
早期撤退をお勧めいたします。