2008/09/07
■「産科医療補償制度に「二の足」 医師側、負担増に警戒…3割が未加入」 助産所は50%以上未加入ですが、なにか(笑)?
問題点はいっぱいあります。
1.2000g以上の赤ちゃんのみが対象
2.在胎33週以上の赤ちゃんのみが対象
3.先天性の脳性まひの赤ちゃんは除外
ということで、
「医療事故」を前提とした
ものです。
>「医療事故による脳性麻痺の発生率は低い。本当に深刻な脳性麻痺は、事故もなく正常に産まれたが3か月たっても首がすわらないようなケースで、これが救済の対象にならないのが心配。超早産も蚊帳の外に置かれる。この制度で助かるのは、ほんの一部だろう」
(1)より
そして、
一部で皮肉られているように、
この3000万円を足掛かりにして
さらに大きな訴訟を起こされるのではないかと
心配している医師も多くいます。
脳性まひの訴訟では
1億6千万円もの判決が
出されたこともあり、
こんな状況では
「おいしいのは厚労省の天下りのみ」
という制度になり下がっています。
そこまで分かっているのに、
産科医師は律義に加入するのも
不思議です。
助産師さんなんて
「こんな制度、全く関係ない」
という方が半分以上のようです(笑)。
この記事だと、
病院が制度に加入していないような
書き方ですが、
実際は、
>病院・診療所が2046施設(加入率71.1%)、
>助産所が231施設(同48.9%)。
ってことで、
助産所はてんで
認識していないし、
この制度に入る気がない、
ということです(笑)。
まあ、
何かトラブルがあっても
病院へ丸投げして、
「いいことはみんな助産所、
トラブルは全部病院のせい」
という姿勢では
問題は解決しないと思います。
産科医療補償制度に「二の足」 医師側、負担増に警戒…3割が未加入
2008年9月5日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080905-OYT8T00249.htm
出産時の医療事故を巡り、来年1月に始まる「産科医療補償制度」(無過失補償制度)に加入申請した医療機関や助産所が、先月の締め切り時で7割に達していないことがわかった。
脳性まひとなった障害児に対し、医師の過失が証明できなくても補償金を払う仕組みだが、このままでは施設によって補償の有無という差が出てしまう。背景には、出産費の未払い問題などを抱える施設側の負担増への警戒感がある。制度を運営する「日本医療機能評価機構」は締め切りを延長し、全施設加入を呼びかけている。
この制度は、訴訟が長期化しがちな出産時の事故を早期解決し、被害者を救済するのが目的。訴訟リスクによる産科医離れに歯止めをかける狙いもある。お産を扱う施設が加入し、1件につき3万円の保険料を同機構を通じて民間保険会社に支払い、被害者は総額3000万円を受け取れる。
同機構は、全施設加入を念頭に7月から受け付けを始めた。締め切りは8月25日だったが、同月末時点でまとめたところ、申請があったのは、お産を扱う3350施設のうち2277施設で、68%にとどまった。
都道府県別に見ると、加入率は低い順に、長崎の6・3%、山梨30・0%、鹿児島46・7%、福岡52・7%、沖縄56・5%など。
加入に二の足を踏む一因は、保険料による負担増への不安だ。保険料は、医療機関が出産料金に上乗せすることを想定しており、健康保険から妊産婦に支給される出産育児一時金を保険料分だけ増額する予定だ。
しかし、最近は一時金を受け取りながら、生活費に充て、出産費用を踏み倒すケースが増えており、「医療機関の負担が増えるのではないか」(長崎県の産婦人科医)との懸念が強い。鹿児島県の開業医も
「この半年で飛び込み出産が2件あったが、いまだに一銭も支払われていない。保険料を国が直接払うような仕組みにできないか」と話す。
千葉県の産婦人科医は「趣旨はよいが、仕組みが複雑で煩わしく、忙しい先生たちは戸惑っている」。こうした声に対し、同機構は「医療機関や妊産婦の負担にならないよう配慮しながら、少しでも早く制度を導入することが重要」とした上で、「引き続きPRしたい」とし、締め切りを9月末まで延長することにした。
ふーん、
という内容。
CBニュースを見てみます。
産科補償制度、加入率68%
更新:2008/09/04 11:47 キャリアブレイン
http://cabrain.net/news/article/newsId/18038.html
分娩に関連して子どもが脳性まひになった場合、医師らの過失を立証しなくても速やかに補償金が支払われる新しい制度(産科医療補償制度)の8月末時点の加入率が68.0%であることが、財団法人・日本医療機能評価機構のまとめで分かった。同機構では、「この制度に加入していない施設で生まれたために、脳性まひ児が補償を受けられなくなってしまうことは避けたい。原則として、すべての分娩機関に加入してもらいたい」と呼び掛けている。
産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度脳性まひ児に対し、看護や介護のための補償金(総額3000万円)が支払われる制度で、来年1月からスタートする。同制度に加入している施設で生まれた重度脳性まひ児が補償の対象になった場合、一時金として600万円、看護や介護に必要な分割金120万円が20歳まで支払われる仕組み。
家族の経済的負担を軽減すると同時に、脳性まひの発症原因を分析し、再発防止や産科医療の質の向上につなげる。医師の過失の有無にかかわりなく補償することで、産科の訴訟リスクを減らし、産科医不足の解消につなげる狙いもある。
制度のカギを握るのは加入率で、同機構では担当者が全国で説明会を開催するなど、加入率100%を目指して活動。8月31日時点で集計したところ、全国の分娩を取り扱う3350施設のうち2277施設が加入済みで、加入率は68.0%だった。加入した施設の内訳は、
病院・診療所が2046施設(加入率71.1%)、
助産所が231施設(同48.9%)。
病院・診療所に比べて助産所の加入率が低い理由について、同機構では「助産所の場合、早産や未熟児を扱う件数が少ないからではないか」と分析している。
同機構では、分娩機関が制度に加入していないために脳性まひ児が補償を受けられない事態を防ぐため、すべての分娩機関に加入を呼び掛けており、来年1月からの補償開始に向けて、9月末まで加入を受け付けている。
加入に関する問い合わせは、同機構03(5800)2231まで。
詳しくは、同機構のホームページで。
http://jcqhc.or.jp/html/obstetric.htm#obstetric
ブログ記事では、
(1)みたいなことを
書かせてもらっており、
「こんな制度、
民間の保険会社と
厚労省天下りを
潤すだけ」(1)
ということになります。
さてさて、
さらなる産科破壊を助長するような制度が
スタートしてきましたが、
一体どうなることでしょう…?
(1) 関連記事
■産科補償制度、「助かるのは一部」 「厚労省の天下り組織が潤うだけ」
http://ameblo.jp/med/entry-10076232665.html
産科医療のこれから
新しく創設される産科医療補償制度の概要と課題
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/07/post-1341-63.html
(2)
財団法人日本医療機能評価機構
産科医療補償制度運営部
http://jcqhc.or.jp/html/obstetric.htm#obstetric
<医療従事者向け>
制度概要(PDF形式)
http://www2.jcqhc.or.jp/html/documents/pdf/obstetrics/obstetrics_seido.pdf