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■福島大野事件 2008年8月20日判決 まとめ


今回の福島大野事件では

大量の情報が流れております。

当ブログでも

現時点で

1日6記事をアップしております。




とりあえず、

本日8月20日のまとめです。




■速報 福島大野事件 無罪 「帝王切開で死亡 医師無罪判決」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-325.html

■福島大野事件 「遺族の感情を優先して考える風潮を戒める判決」 「地域医療守れる」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-326.html

■福島大野事件 読売新聞 「「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-327.html

■福島大野事件 キャリアブレイン 「傍聴には多くの医師の姿」 NHK 「突然の逮捕から2年6か月、何もできない、何もしたくない、もんもんとした日々でした」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-328.html

■福島大野事件 産経 「無制限に医師の裁量を認めるものではない」 捜査幹部「われわれは患者の目線で捜査しているんだ」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-329.html

■福島大野事件 2008年8月20日判決 まとめ
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-330.html






また、カテゴリーとしては

■福島大野事件
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-category-24.html

を独立させました。




今年3月以降の関連過去記事も

こちらにありますので

よろしくお願いいたします。









関連記事

■福島大野事件 産経 「無制限に医師の裁量を認めるものではない」 捜査幹部「われわれは患者の目線で捜査しているんだ」

さて、

「公立病院の再編成を加速」を

社説で力説している

日経新聞さん(1)。




どうでしょう?

ご希望のように、

福島では産科が

激減しておりますが、

まだ、病院の閉鎖までは言っていないようです。



社説のように

各科の廃止だけでなく、

病院の閉鎖や

お話が進むと良いですね(笑)。








帝王切開死事件、産科医に無罪判決 福島地裁

NIKKEI NET 2008/08/20
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080820AT1G2000420082008.html

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、手術の執刀医で業務上過失致死罪などの罪に問われた産科医、K被告(40)を無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)とした。医療事故に対する刑事責任追及の是非が議論となる中、今回の判決で専門的な医療事故に対する刑事捜査の限界を指摘する声が高まりそうだ。

 この事故を巡っては、学会などが「標準的な医療行為をした医師を警察が逮捕するのは不当」と相次いで声明を発表、医師不足が指摘される中、特にリスクが高い産科医離れを加速したと非難し、注目された。

 医療界の強い抗議は、警察ではなく医療の専門家が医療事故の原因を究明する「医療版事故調査委員会」を創設する議論を前倒しするきっかけにもなった。厚生労働省は臨時国会で設置法案の提出を目指しているが、調査結果を警察に通知するかどうかで紛糾している。今回の判決はこうした議論に影響を与えそうだ。(10:11)





大野病院事件20日判決 帝王切開死に疑問解けぬ父

NIKKEI NET 2008/08/20
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080820AT1G1901M19082008.html

 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した事件で業務上過失致死罪に問われた執刀医(40)の判決公判が20日、福島地裁で開かれる。公判などで事実は明らかにされつつあるが、女性の父親(58)が抱く「なぜ娘が死ななければならなかったのか」という疑問は解けないままだ。

 「娘は実験台になったのではないか」
。女性が大野病院で帝王切開手術を受け、第2子となる女児を出産後に大量出血し、亡くなったのは2004年12月17日。事故直後から父親は「そもそも1人しか産科医のいない病院で行う手術ではなかったのではないか」との思いを強めている。

 女性が第2子の出産前、子宮口を胎盤がふさぐ前置胎盤の疑いで入院したのは手術の約1カ月前。決して緊急手術ではなかった。実際に執刀医は手術前に先輩医師などに相談。手術当日も、緊急時には帝王切開で第1子を出産した病院のベテラン産科医に駆けつけてもらうよう依頼している。(07:00)





医師の免許更新性も

強く希望している

日経新聞さん(1)。




>専門的な医療事故に対する刑事捜査の限界を指摘する声が高まりそうだ。




”刑事捜査の限界を指摘”

って、どういう意味でしょう?

「刑事捜査には限界があって、

本来なら有罪になるはずの被告が

無罪になってしまった」

という意図なのでしょうか?





日経産は相変わらず、

おかしな論旨を展開されております(笑)。

まあ、医師を叩いて悪者にしておけば

いろいろな場面で

”経済的には得”ですもんね(爆)。






さて、

産経さんは大量に記事をあげてきています。







社説でいきなり

>「無制限に医師の裁量を認めるものではない」

などというのは

どうしたものでしょう?




完全な免責の上で、

事故調査が行われるのは

「事故調査委員会」

の鉄則であり、

海難事故や航空事故は

このようなルールにのっとって行われます。





仮に、

システム上の問題があっても

事故の責任を

「個人責任」

として追及されるのなら、

口を閉ざさなくてはいけない部分も

多くあるに違いありません。








「医療だけは別」

とする根拠は何なのでしょう?



「中途半端な免責では、

逆に真実は明かされない」

というのが

国際的なルールになっています。




産経さんは

あくまで医師は叩くもの

という姿勢に変わりはないようです。









妊婦失血死事件無罪判決 捜査幹部、逮捕妥当性を強調

gooニュース 2008年8月20日(水)15:55  (産経新聞)

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20080820003.html

 「われわれは患者の目線で捜査しているんだ」。現役の医師が逮捕、起訴された県立大野病院事件。医療関係者の間で広がった批判に、当時の捜査幹部は語気を強めた。福島県警や福島地検は捜査の妥当性を繰り返し強調した。

 福島県は平成17年3月、県立大野病院の女性死亡が医療ミスだったと公表した。これを端緒に県警は捜査に着手。「事故を警察に届けておらず、証拠隠滅の恐れがある」として翌年、異例の逮捕に踏み切った

 過去にも医療事故で医師が逮捕されたことはあるが、無謀な手術など悪質さが際立つケースがほとんど。地検は逮捕の理由について「遺体もなく、身柄を確保した上で関係者の話を聞く必要があった」とした。

 一方で医療界からの激しい反発には「想定外だった」と戸惑いも。公判にかかわった検察関係者は「捜査当局と医療側の対立という、招くべきではない事態を招いた」と当時の判断に疑問も示した。





「逮捕は正当」 県警と地検がコメント 大野病院事件

産経ニュース 2008.8.20 19:57
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808202001014-n1.htm

 福島県立大野病院事件で無罪判決が言い渡された20日、捜査に当たった福島県警福島地検は重苦しい空気に包まれた。

 県警の佐々木賢刑事総務課長は「県警として捜査を尽くした。判決についてはコメントできる立場にない」と言及を避けた。また、K医師を逮捕したことについても「法律と証拠に基づいて必要性を慎重に検討し、正当な手続きを経て逮捕した」と話すにとどめた。

 一方、福島地検の村上満男次席検事は「当方の主張が認められず残念。今後は判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対処したい」とする談話を発表した。

 県警の捜査に対しては、「証拠隠滅や逃亡の恐れはなく、逮捕は不当だった」と、医療界が強く反発。また、捜査に当たった富岡署
県警本部長賞が贈られ、
「有罪が確定していないのにおかしい」
などという声を上がっていた。

 ある捜査幹部は「この事件で、医師の注意義務や説明責任を喚起できたことは無駄ではなかったと思う。しかしその代償はあまりにも大きすぎた。医師の責任を問うことの難しさを痛感した」と振り返った。




死亡女性の父親が会見 「非常に残念」 大野病院事件

産経ニュース 2008.8.20 19:50
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201957013-n1.htm

 死亡した女性の父親、渡辺好男さん(58)も20日の判決後、福島県庁内で記者会見に臨み、「非常に残念。今後の医療界に対して不安を感じざるをえない」と無念の表情をみせた。

 終始固い表情の渡辺さんは「私が本当に知りたいのは、手術中の詳細なやりとりではなく、(K医師が)どうして態勢の整った病院に娘を移さなかったのかということだった。裁判では明らかにされず悔しい。命を預かっている以上、すべての不安を取り除いて臨んでほしかった」と、不満をあらわにした。

 渡辺さんはこれまで、匿名で取材に応じてきたが、この日は実名を公表。「実名で声明を発表することで、多くの人に医療事故をより身近に感じてもらえると思った。これを機に、医療も良い方に変わってもらえたら」と理由を説明。また、国が進めている“医療版事故調”設置については「真実を説明してもらえる機関になってもらいたい」と要望した。

 一方、捜査機関に対しては「自分1人ではここまでこられなかった。裁判になったおかげで分かったことがたくさんあった」と感謝の気持ちを口にした。




無罪の加藤医師が会見 「ほっとした」 大野病院事件

産経ニュース 2008.8.20 19:36
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201948012-n1.htm

 無罪判決を受けたK医師(40)は20日午後、福島市内で記者会見し、「ほっとした」と胸の内を率直に語り、「今後は、地域医療の現場で患者にできることを精いっぱいやっていきたい」と、現場復帰の意思を明らかにした。

 K医師は会見の冒頭、涙を浮かべながら、死亡した女性に「信頼して受診してもらったのに、亡くなるという最悪の結果になり、申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 K医師は逮捕からの月日を「何もしたくないという日々。長く嫌な2年6カ月だった」と振り返った。無罪判決については「裁判所にしっかりした判断をしていただいた」と少し表情を緩ませ、「今後は僕のような人が出ないことを祈りたい」と語った。

 さらに、「子供をあやす顔が忘れられない」
「きちんとした罰を受けてほしい」
と公判で意見陳述した遺族の言葉にも触れ、
「グサッときた。生涯忘れられない言葉」
と神妙な面持ちで話した。

 主任弁護人の平岩敬一弁護士は判決を評価するとともに、「医師に不安が広まったことや、産科医の減少といった悪影響がなくなればいい」と話した。






日本生殖医学会も歓迎 大野病院事件無罪判決

産経ニュース 2008.8.20 14:47
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201446006-n1.htm

 大野病院事件の無罪判決について、全国約4900人の産婦人科や泌尿器科の医師らで構成する「日本生殖医学会」(岡村均理事長、東京)は20日、「極めて適切な判断と考え、歓迎する」との声明文を公表した。

 声明文では「医療提供者には常にベストを尽くして治療する義務がある」とした上で「全力を尽くしても、治療結果は個別で異なり、最終的に最悪の結果になる場合がある。これは社会の常識で、法律上も正しいと判断された」などとしている。






大野病院事件「妥当な判決」 日産婦学会が声明

産経ニュース 2008.8.20 12:44
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201248005-n1.htm

 福島地裁の無罪判決を受け、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は20日昼、記者会見し「実地医療の困難さとリスクに理解を示した妥当な判決」と判決を評価。「控訴しないことを強く要請する」と、検察側に控訴断念を求めた。

 争点となった癒着胎盤について吉村理事長は「極めてまれな疾患であり、診断も難しく、最善の治療についての学術的議論は現在も学会で続けられている」とし、加藤克彦被告に対しては「専門医としていった医療の水準は高く、まったく医療過誤と言うべきものではない」と、同学会の声明を読み上げた。

 同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」と訴えた。






帝王切開死亡事故で医師に無罪判決 「医療過誤なかった」 
産経ニュース 2008.8.20 11:52

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201156003-n1.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われた。鈴木信行裁判長は、医療行為と患者死亡との因果関係を認めたうえで、措置自体は一般的な医療行為で過失はなかったなどと判断し、K被告に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。子宮に胎盤が強く癒着する「癒着胎盤」という珍しい症例に対し、

胎盤を剥離(はくり)する行為を続けた医療行為は適切だったのか
▽危険は予見できなかったのか
▽警察に届け出なかったことは医師法違反に該当するのか

-などが争われていた。

 判決では、胎盤剥離開始後の大量出血の大部分は、子宮内壁の胎盤を剥離した部分からであり、被告の剥離行為と女性の死亡に因果関係があったと認定。大量出血自体も予見は可能だったとした。

 その上で、最大の争点だった、癒着胎盤と認識した後も剥離を継続したK被告の医療行為の是非については、検察側の「子宮摘出を行うべきだった」とする主張に対し、「一部の医学書や検察側証人の主張にすぎず、一般性を欠いている」と指摘。胎盤剥離を完了させて子宮の収縮を期待しながら、止血操作を行い、その後子宮を摘出したK被告の行為は「臨床上の標準的な医療措置」と認め、過失はなかったと判断した。

 医師法違反については、「診療中の患者が診療を受けている当該疾病で死亡した場合は(異状死の届け出義務の)要件を欠く」とし、「(今回は)癒着胎盤という疾病を原因とする過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果と言わざるをえず、異状に該当しない」と判断した。




帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島

産経ニュース 2008.8.20 10:22
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201022000-n1.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。判決言い渡しは午後3時ごろまでに終わる見込み。

 手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽医師法違反に該当するのか-などが争われていた。

 執刀医の逮捕・起訴については、「診療が萎縮(いしゅく)する」として、日本産科婦人科学会をはじめ多くの医療関係者が反発、第三者の立場で医療死亡事故を究明する“医療版事故調”設置の議論を加速させる要因にもなるなど、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 論告などによると、K被告は平成16年12月17日、子宮と胎盤が異常な形で癒着した「癒着胎盤」の症例だった女性の帝王切開手術を執刀。子供は無事に生まれたが、女性は子宮から胎盤をはがす際に大量出血し、死亡した。また女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった。


 検察側は、「剥離(はくり)を中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」と主張。これに対し、弁護側は「剥離を始めれば、完了させて子宮の収縮による止血作用を期待するのが産科医の常識であり、臨床現場では、検察側が主張するような措置を取った例はない」として、検察側に反論していた。

 また、検察側は「事故後、自分の過失で失血死させた可能性を被告自身が述べており、異状死と認識していたことは明らか」として、異状死を届けなかった医師法違反を指摘。一方、弁護側は「被告は異状死と認識していなかったうえ、上司と相談して届け出なくていいと指示されていた」と主張していた。





大野病院事件無罪判決 裁判以外の解決策を

産経ニュース 2008.8.20 11:46

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201148002-n1.htm

 薬剤の誤投与など明らかな医療ミスではない医療事故をめぐって医師の刑事責任が問われた大野病院事件で、20日の福島地裁判決は、医師の裁量を認め、無罪とした。医療行為の是非をめぐる刑事責任追及の難しさを改めて示したといえる。

 産科医の減少、相次ぐ産科の閉鎖…。事件は医師不足を加速させ、特に地域医療に深刻な打撃を与え、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 「通常の医療行為に刑事司法が不当に介入した。医療が萎縮(いしゅく)する」。医師の逮捕後、日本医学会など、100を超える医療関連団体も相次いで抗議声明を発表。困窮する実情を受け、医療界は、医師に病死以外の異状死の届け出を義務付けた医師法21条の見直しや、警察以外の第三者機関による死因究明制度の設置を国に要請した。

 国は、産科の人材や機能の集約化を打ち出し、医師に過失がなくても患者を補償する「無過失補償制度」の設置を決定するなど対応をとってきた。

 医療界は判決に胸をなでおろす結果になったが、今回の事故の遺族は「なぜ亡くなったのか」と、やりきれない気持ちを抱えたままだ。

 多くの医療事故の遺族は、必ずしも負担の大きい裁判を起こさずに事故の真相を知りたいと考えている。

 昭和大学医学部の岡井崇教授は「刑事責任を問うことで、医療事故の再発防止や真相を究明することにはならない」と指摘する。

 国は、公平な立場で医療の専門家が事故を分析し、死因究明を行う国の新組織「医療安全調査委員会(仮称)」の創設を急いでいる。事件は刑事、民事を問わず、裁判での医療紛争解決の難しさを浮き彫りにした。裁判以外での患者と医療界の不信感を埋め、解決手法のあり方が求められる。(神庭芳久)






無罪判決に産科医、身じろぎせず 遺族は涙 (1/2ページ)
産経ニュース 2008.8.20 11:35

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201140001-n1.htm

 手術中の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われた福島県大熊町の県立大野病院で発生した妊婦死亡事件。病院の調査委員会が報告書を作成し調査を終えた後の逮捕・起訴に医療界からは「通常の医療行為で逮捕されれば現場が萎縮(いしゅく)する」などと強い反発の声があがっていた。全国で産科医の不足や過酷な労働状況が指摘される中、福島地裁が下したのは、医師の裁量を認めた「無罪」判決。法廷内ではさまざまな感情が渦巻いた。

 午前10時過ぎにダークグレーのスーツを着て入廷したK被告。裁判官に向かって一礼をした後、傍聴席の被害者家族が座っている方向に向け、深く頭を下げた。

 鈴木信行裁判長に名前などを確認されている間は、緊張からか、せわしなく両手を動かしていたが、「無罪」の主文が言い渡されると、身じろぎせず聞き入った。

 K被告は女性が死亡した後も大野病院ただ一人の産婦人科医として勤務し、平成18年2月18日の逮捕時にも、約10人の入院患者と20~30人の外来患者を抱えていた。妻も第一子の出産間近で、K被告は自分で子供を取り上げる予定だったという。

 しかし逮捕で状況は一変。妻の出産に立ち会えず、患者のケアも不可能になった。保釈後も現場に復帰せず、休職を続けていた。

 主任弁護人の平岩敬一弁護士は加藤被告の近況について「謹慎に近い状態で、医学博士の学位を取るために自宅で研究を続けていた」と話す。

 今年5月に開かれた最終弁論では、加藤被告は「もし再び医師として働けるなら、もう一度地域医療の一端を担いたい」と希望を述べていた。

 一方、被害者女性の家族もまた、「無罪」を言い渡した裁判官を見据えながら判決に聞き入った。女性の父親は、祈るような形で手を組み合わせたまま、唇をかみしめ、判決理由に耳を傾けた。

 女性の父親や夫は1月の意見陳述で「この事件で、閉鎖的だった医療界が国民の関心の的になった。事件が開かれた医療のあり方や臨床の実態を考えるきっかけになることを願う」と希望した。

 同時に、「幼くして母を失った子供を見るとふびんになる」「夜中、突然目が覚めるという状態が続いている」「わが家の生活から笑顔が事件以来、無くなってしまった」などと、事件後に家族の生活が様変わりした苦しみを吐露し、K被告に対して厳罰を望んでいた。

 判決の朗読が始まって5分ほど経った後、うつむいた父親が突然涙をこぼし始めた。感情を抑えられない様子で、ハンカチを取り出しては、涙を何度もぬぐっていた。




【視点】無制限に医師の裁量を認めるものではない 大野病院事件
産経ニュース 2008.8.20 20:37

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808202041015-n1.htm

 手術中に医師が最良と判断した手法で患者が死亡した場合、医師個人は刑事責任を問われるべきか-。福島県立大野病院事件で、福島地裁は、臨床の場で通常行われる水準で医療措置をしていた場合、罪は問えないとの判断を示した。

 判決は、医療行為を「身体に対する侵襲を伴うものである以上、患者の生命や身体に対する危険性があることは自明」と表現。結果責任だけが問われる医療関係者から上がる「リスクの高い医療はできない」などの切実な叫びをくみ取った結果が、今回の無罪判決といえる。

 だが判決は、K医師の医療行為と女性死亡の因果関係を認めた。大量失血も予見できたとしたうえで、検察側が指摘した通り、癒着胎盤の剥離を中止して子宮を摘出していれば、最悪の結果を回避できた可能性を指摘した。

 公判で弁護側の証人に立った産婦人科の権威らが「一切過失はない」と言い切る姿は、国民に「医者のかばい合い」と映ったに違いない。

 今回の事件を契機に、医療事故調査専門の第三者機関、いわゆる医療版事故調を設置しようという機運が高まっている。だが、医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、事故調が事故原因究明や公正な判断を下せなくなるのでは、と懐疑的な見方が出てきても仕方あるまい。

 今回の判決は「適切な手術」という前提付きで、医師の裁量を認めた。医療界は、なおいっそうの注意義務と医療を受ける患者、家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。(小野田雄一)






(1)
■日経社説 「患者第一の医療へ効率化を推し進めよ――医療・介護の再生に向けて」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-323.html




関連記事

■福島大野事件 キャリアブレイン 「傍聴には多くの医師の姿」 NHK 「突然の逮捕から2年6か月、何もできない、何もしたくない、もんもんとした日々でした」

NHKでは

判決後の医師の記者会見を載せております。







帝王切開で死亡 医師無罪判決

NHK 8月20日 13時24分
http://www.nhk.or.jp/news/t10013603541000.html

 4年前、福島県立大野病院で行われた帝王切開手術で、無理な処置で女性を死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科の医師に、福島地方裁判所は「処置は医療現場で行われていた標準的なものだった」として無罪を言い渡しました。

 福島県大熊町にある県立大野病院の産婦人科の医師、K被告(40)は、4年前の平成16年12月に当時29歳の女性に帝王切開手術を行った際、子宮に癒着していた胎盤を無理にはがして大量出血で女性を死亡させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われていました。

 裁判で、検察側が禁固1年、罰金10万円を求刑したのに対し、弁護側は「処置は適切だった」と無罪を主張していました。

 20日の判決で、福島地方裁判所の鈴木信行裁判長は「医療行為で刑罰を科すのはほとんどの医師が従っているような一般的な医学的基準に反した場合」との判断を示しました。

 そのうえで、今回のケースについては「出血のおそれが予測でき、ほかの処置を取ることも可能ではあったが、複数の医師の証言から胎盤をはがすのを途中でやめることは医療現場では一般的とは言えず、続けたのは標準的な医療措置だった。中止しなければならない具体的な危険性があったとも言えず、刑事責任は問えない」として無罪を言い渡しました。

 判決を受けて、亡くなった女性の父親の渡辺好男さんは「真実を知りたくて、病院で何が起こったのかを追及してきました。娘が戻ってくるわけではありませんが、判決のとおり大量出血のおそれがあることを予測できた可能性があるのならば、これからの医療界で生かし、再発防止に努めてもらいたいです」と話しました。

 また、K医師に対しては「病院で何があったのか十分に説明してほしい」と話しています。

 一方、判決のあと記者会見したK医師は、「亡くなった女性に信頼していただいていたのに申し訳なく思っています。ご家族に対しては大変つらい思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。裁判所には、きちんとした判断をしていただき、深く感謝しています」と述べて一礼しました。

 そのうえで「突然の逮捕から2年6か月、何もできない、何もしたくない、もんもんとした日々でした。判決はたくさんの人に支えられたおかげだと思います。今後は地域医療に貢献できるよう、また医師として精いっぱい働きたい」と話しました。

 判決を受けて、舛添厚生労働大臣は記者団に対し「行政の長として、個々の司法判断にコメントはできないが、厚生労働省としては今回の判決も参考にしたうえで、医師の声や真実を知りたいと願う家族の声のバランスを取りながら、今後の事故調査のあり方を検討してきたい」と述べました。

 そのうえで舛添大臣は、医療事故が起きた場合に死因や診療内容などを調査する権限を持つ第三者機関の設置について「よい形で事故の原因究明ができる委員会を作るために、党派を超えて国会で議論し案をまとめていきたい」と述べ、法案化を目指す考えを示しました。





キャリアブレインも

事件を報道しております。

傍聴に行った医師へのインタビューも

行っております。







傍聴には多くの医師の姿―大野病院事件判決

更新:2008/08/20 13:58   キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17733.html

 大野病院事件に対する医療界の注目度は高く、判決公判が開かれた福島地裁前には、25枚の傍聴券を求め、788人が列を作った。

 抽選に漏れた人たちの一部は、同地裁前で裁判を見守る。医療関係者の姿も多い。
 午前10時に公判が始まって間もなく、マスコミ各社の記者が速報を送る様子から、見守る人たちにも「無罪」判決が知れ渡った。
 神奈川県の川崎市立井田病院地域医療部長の鈴木厚医師は、無罪判決を聞き、「患者のために医師が行う本来の治療を本気ですることができる。医療者はこの判決を聞くまでは、腰が引けてしまって重症患者をほかの病院に送るなど、最善の治療を行うことから逃げざるを得なかった。今回は、彼が精一杯の治療を患者さんのために行ったことが不幸な結果になってしまった。しかし、この判決で、わたしたち医療者は勇気百倍になった。特に外科医療に携わる医師たちは、安心して医療ができるのではないか」と話す。

 同じ神奈川県の総合高津中央病院の小笠原加奈子医師は、被告のK医師と同じ産婦人科医長。「産科医の目から見て、同じ地域や状況にあったとしたら、私でも患者さんを助けることはできないだろう。30分で決着がついて不幸な結果になる。家族への説明がなかったとの指摘もあるが、あの状況では手を放すことなどできない。これで逮捕されるのでは、わたしたちは医療を続けることはできない」と語った。

 産婦人科勤務医の太田寛医師は、東京から傍聴に足を運んだ。「そもそも刑事事件になるような話ではなく、無罪判決は当然。産科に限らず、重篤な患者は救急などをしていれば目の前に来ることはある。今回のケースは本当に難しいケースで、悪質な医療過誤などとは同列に扱ってほしくない」と話す。
さらに、「この事件の影響で、福島県立病院に産科がなくなってしまった。もし加藤医師に間違いがあるとすれば、たった一人で(福島県立大野病院の)産婦人科で働き続けたことではないだろうか。これは行政システムに踏み込まないといけない問題だ」と指摘した。





大野病院事件、被告医師に無罪判決

更新:2008/08/20 10:05   キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17723.html


 福島県立大野病院で、帝王切開手術を受けた女性が2004年12月に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われたK被告(40)に対する判決公判が8月20日、福島地裁で開かれ、鈴木信行裁判長は無罪判決を言い渡した。今年3月の論告求刑公判で検察側は、禁固1年、罰金10万円を求刑していた。


「大野病院事件」をめぐる動き

 判決によると、K被告は04年12月に女性の帝王切開手術を執刀。その際、子宮と胎盤が癒着しており、K被告が胎盤をはがしたところ、女性は大量出血し、死亡した。

 鈴木裁判長は、女性の死亡が出血性ショックによる失血死であると認定。また、癒着を無理にはがせば大量出血やショックを引き起こし、母体死亡の原因になり得るとK被告の所有する医学書に記載されていることから、「剥離を継続すれば剥離面から大量出血し、女性の生命に及ぶ恐れがあると予見する可能性はあったと解するのが妥当」とした。

 ただ、大量出血を防ぐため、癒着を認めた時点で剥離を中止し、子宮摘出手術に移行すべきだったとする検察側の主張には、こうした医学的準則が「一般性や有用性を具備したものとまでは認められない」とし、胎盤剥離を中止する義務が加藤被告にあったとは認められないと結論付けた。

 さらに、診療を受けている当該疾病で患者が死亡した場合は、医師法21条のいう異状の要件を欠くとし、医師法違反の罪も成立しないとした。




「大野病院事件」をめぐる動き

更新:2008/08/20 10:00   キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17721.html

2004年
 12月14日 帝王切開既往の妊婦が福島県立大野病院に入院
    17日 帝王切開の手術中に妊婦が死亡

06年
  2月18日 福島県警と富岡署が業務上過失致死と医師法違反の容疑で加藤医師を逮捕
  3月10日 福島地検が業務上過失致死と医師法違反の罪で加藤医師を起訴
 10月11日 検察側、弁護側の公判前整理手続きで、初公判を07年1月26日に開くことを決定

07年
  1月26日 初公判で弁護側が無罪を主張

08年
  3月21日 論告求刑公判で検察側が禁固1年、罰金10万円を求刑
  5月16日 最終弁論で弁護側があらためて無罪を主張し、結審





















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■福島大野事件 読売新聞 「「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り」


>「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り




なぜ事故が起きたかを

検討するには

専門的な議論が欠かせません。





それを

「誰にでもわかる福島大野事件」

としなくてはいけないのでしょうか?








ご遺族はこのように言っています。



>なぜ事故が起きたのか、



「前置胎盤」+「癒着胎盤」

ほかにDICを起こしていた可能性を

示唆しています。



大野事件 第10回公判!
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/11/post_e68b.html

より。


>なぜ防げなかったのか。



このような病態では

防ぐこと自体が不可能な可能性があります。



>公判でも結局、何が真実かはわからないままだ



ご遺族のご希望される結果、

がご遺族のいう”真実”なら、

真実はわからないままかもしれません。






「真実」とは何でしょう?

>「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り

とは、

なにを目指して言っているのでしょう?










「帝王切開死」医師に無罪 福島地裁判決 胎盤の大量出血、回避義務認めず

2008年8月20日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080820-OYT8T00445.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。

 鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。

 判決によると、K被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。

 鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。

 だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。

 検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。

 産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、K被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。

 癒着胎盤 胎盤の一部または全部が子宮の内壁と強く癒着し、出産後に子宮が収縮しても自然にはがれない疾患。K被告の弁護団によると、発症頻度は出産1万件に2、3例という。大野病院で死亡した女性のように帝王切開の経験があり、さらに胎盤が子宮口をふさいでいる場合、発症リスクが高まるとされる。

[解説]逮捕の衝撃 産科医離れ

 無罪判決を受け、日本産科婦人科学会が歓迎する声明を出すなど、医療界は安堵(あんど)している。

 執刀医逮捕は、医療界に衝撃を与えた。読売新聞が2007年秋に行った調査では、06年4月以降に出産の取り扱いを休止した病院は全国で少なくとも127か所に上り、1年半で約1割減った。リスクの高い患者が、拠点病院に紹介される傾向も強まった。

 判決は、医療にリスクが伴うことを強調。医師の過失を問うには「より適切な方法が他にあることを具体的に立証しなければならない」と高いハードルを課した。とは言え、「医療行為による事故で刑事責任を問うべきでない」とする〈医師側の論理〉にお墨付きを与えたわけではない。

 遺族は病院側の説明に不信感を募らせている。公判では、助産師が被告に態勢の整った病院で手術するよう勧めたり、先輩医師が手術の危険性を指摘したりした事実が明らかになった。

 医療界は患者の声に耳を傾け、より安全・安心な医療の確立に向け、冷静な議論をする必要がある。(福島支局 藤原健作)

判決骨子

 ▽子宮に手を入れて癒着胎盤を認識した時点で、大量出血を予見できた

 ▽胎盤を最後まではがしたのは臨床現場の標準的な医療措置で、結果回避義務には反しない

 ▽医師の行為に過失はなく、異状死には当たらないため、警察への届け出義務はない






医療界挙げて被告の医師支援…帝王切開死判決

2008年8月20日14時38分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00414.htm?from=nwla

 帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われたK医師(40)に20日、無罪を言い渡した福島地裁判決──今回の公判では、産科の臨床医の権威が弁護側証人として出廷するなど、医療界挙げて被告を支援する形になった。

 背景には、1999年に東京都内の病院で起きた点滴ミス隠し事件などを契機に広がった医療不信の中で、難症例を扱った医師が逮捕され、深刻な医師不足を招いている現状への危機感がある。

 医療不信の広がりは、横浜市大病院で2人の患者を取り違えて手術した事件と、都立広尾病院で誤って主婦に消毒液を点滴して死亡させ、ミスを隠そうとした事件が99年に相次いで起きたことが契機になった。

 以後、遺族の処罰感情などを背景に捜査機関が医師個人の責任を問うケースが急増。2002年には東京慈恵医科大付属青戸病院で、経験のない医師3人が難度の高い腹腔(ふくくう)鏡下手術を行って患者を死亡させる事件も起きた。警察庁によると、警察から検察への送致件数は、99年の10件から00年は24件に増え、06年には98件になった。

 捜査とは別に、厚生労働省は05年9月、病理解剖学などの医療関係者と法律家で構成される医療版「事故調査委員会」を4都府県でスタートさせた。

 こうした状況の中、06年2月にK医師が逮捕された。その直後から日本産科婦人科学会など100近い団体が抗議声明を出したのは、
「わが国の刑事裁判史上かつてない」(弁護側)状況だった。

 事件で問われたのは、女性の胎盤に対する処置。女性は胎盤が通常より低い位置にある「前置胎盤」で、産道につながる子宮口を完全に覆っていた。さらに「癒着胎盤」を起こし、胎盤を無理にはがすと大量出血する恐れがあった。癒着胎盤の処置を巡り、公判では「子宮摘出に移るべきだった」とする検察側と、「最後まではがすのが標準的な医療」とする弁護側が激しい応酬を繰り広げた。

 弁護側は、周産期医療の権威とされる池ノ上克(つよむ)・宮崎大医学部長と岡村州博(くにひろ)・東北大教授を証人に呼んだ。2人は「被告の処置に間違いはない」と述べた。

 これに対し、検察側の立証は押され気味となった。検察側証人の田中憲一・新潟大教授「はがすのが難しくなった時点で、直ちに子宮摘出に移るべき」と証言したものの、どの時点で子宮摘出を決断するかについては、「そこは医師の判断」と断言を避けた。









帝王切開で29歳失血死、医師に無罪判決…福島地裁

2008年8月20日13時59分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00212.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。

 鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。

 判決によると、K被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。

 鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。

 だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。

 検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。

 産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、K被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。






「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り

2008年8月20日14時14分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00370.htm

 産科医不足を加速させたとして医療界が注目した「大野病院事件」に、無罪の司法判断が下った。

 帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われたK医師(40)に対する20日の福島地裁判決。

 K医師は落ち着いた表情で判決を聞き、傍聴席の最前列に座った遺族は顔をこわばらせ、無念さをにじませた。

 K医師は、白のワイシャツにグレーのスーツ姿で一礼して入廷し、直立不動で言い渡しを待った。

 「被告人を無罪とする」。主文が読み上げられた瞬間は、冷静な表情のまま、わずかに頭を下げた。

 判決理由の中で、帝王切開手術を再現し、経緯を検証する部分では、うっすらと浮かんだ涙をハンカチでふいた。後方に座っていた弁護士に顔をのぞき込まれ、声をかけられると、大丈夫というようにうなずき、冷静な表情に戻った。

 一方、亡くなった女性の父親、渡辺好男さん(58)は、最前列で傍聴した。主文読み上げの瞬間、驚いたような表情で鈴木信行裁判長を見上げた後、厳しい視線をK医師に投げかけた。

 K医師は、約2時間20分にわたった言い渡しの後、傍聴席の遺族の方を向き、深々と頭を下げた。

 渡辺さんは判決前、
「なぜ事故が起きたのか、なぜ防げなかったのか。公判でも結局、何が真実かはわからないままだ」と話した。

 あの日、妻(55)から「生まれたよ」と連絡を受けて病院に向かった。ハンドルを握りながら、娘に「もうすぐクリスマスとお正月。二重三重の幸せだな」と声をかけようと考えていた。

 病院に着くと悲報を聞かされた。1か月前、左足を縫うけがをした渡辺さんを、「体は大事にしなよ」と気遣ってくれた娘だった。

 帝王切開で生まれた女の子と対面した娘は、「ちっちゃい手だね」とつぶやいたという。これが最期の言葉になった。娘の長男が「お母さん起きて。サンタさんが来ないよ」と泣き叫んだ姿が脳裏から離れない。

 「警察に動いてほしかった」と思っていた時、K医師が逮捕された。

 「何が起きたのかを知りたい」という思いで、2007年1月から08年5月まで14回の公判を欠かさず傍聴した。証人として法廷にも立ち、「とにかく真実を知りたい」と訴えた。「大野病院でなければ、亡くさずにすんだ命」と思える。公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされたような思いがある。





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■福島大野事件 「遺族の感情を優先して考える風潮を戒める判決」 「地域医療守れる」

検察は過失があったとして

今回の福島大野事件は

刑事事件となりました。






しかし、私には

医学的な基本的な疑問があります。


「同じ状況が起きた場合、

本当に検察の言う通りにしたら

100%救命できるのか?」


という基本的な疑問です。








おなじ疑問は

奈良県大淀病院事件でも

あります。

(こちらは刑事事件ではありませんが)






マスコミの報道の暴走と、

医学的な解釈に大きなかい離があり、

医療関係者にとっては、

はじめから

何かが間違っている

印象を受けている裁判です。









47コラム
http://www.47news.jp/47topics/2008/08/post_129.php

 遺族の感情を優先して考える風潮を戒める判決が20日、福島地裁から出た。4年前、帝王切開で出産した女性が手術中に死亡し、それから1年以上たって担当した医師が業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕された事件。判決は無罪だった。

 医師不足に悩む地域医療。それに追い討ちをかけたのが、この福島の出来事だった。産科医たちの間に「こんな目にあうんじゃ、もうやってられない」と事なかれ主義を呼び起こした。産婦人科医を希望する医学生が減ってしまった。「産婦人科」の看板から「産」を削除し「婦人科」専門のクリニックに転進するドクターも増えた。この判決が、行き過ぎた医療ミス弾劾の流れを考え直すきっかけになればいいと思う。

 確かに遺族の落胆はある。法廷では、亡くなった女性の父親が、無罪と聞いて肩を落としハンカチで目元をぬぐったという。

 しかし、医師が善意の医療行為を尽くしても命を救えないことはある。「それを注意義務違反と言われて罪に問われる時代になったのか」「難しいお産は別の病院に回してしまったほうがいい」--全国の産科医の間に広がる事なかれ主義に歯止めをかけなければいけない。「萎縮医療」などという寂しい言葉は追い払わなければいけない。

 「そもそもメディアにも責任がある」。
医師たちの不信と戸惑いは、遺族感情に偏りがちな私たちの報道姿勢にも向いている。
(憲)






当たり前のことを書いている

メディアを初めて見たような気がします(笑)。

>そもそもメディアにも責任がある

(笑)






「地域医療守れる」 福岡県医師会 産科医無罪判決

=2008/08/20付 西日本新聞夕刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/42403

 福島県立大野病院事件で産婦人科医を無罪とした20日の福島地裁判決。医師会報で産婦人科医の逮捕について現場の声を中心に特集記事を掲載するなど問題点を指摘してきた福岡県医師会にも「妥当な判決」と安堵(あんど)の声が広がった。

 横倉義武会長は「地域医療を守るという立場から無罪判決に安心した」と話した。今回の事件がもたらした影響については「医療行為には不確実性があり、予期しないことが起きうる。正当な医療行為をしたのに力が及ばなかった場合に刑事責任を問うということになると現場を萎縮(いしゅく)させる。実際に今回の事件は地域医療に深刻な混乱をもたらした」と指摘。人為的なミスなのかどうかの判断については「専門家でないと難しい」とし、第三者の立場で死因を究明する「医療安全調査委員会」設置の議論を急ぐ必要性を訴えた。

 全国約1万2000人の産婦人科医でつくる「日本産婦人科医会」(寺尾俊彦会長、東京)は20日、大野病院事件の無罪判決を受け「正当な医療行為をしたが力が及ばなかった不幸な事例であり、当然の結果だ」との声明を発表した。





その声明はこちらです。

日本産婦人科医会の公式見解です。

http://www.jaog.or.jp/

のトピックスに載っております。


PDF形式です。
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/kenkai/20Aug2008.pdf




福島県立大野病院事件判決について

業務上過失致死罪:無罪
医師法違反(21 条に規定する異状死の届出義務違反):無罪

 本日、この罪に問われた産婦人科医の被告人に対して、福島地裁から、二件の容疑に関する無罪判決が下りました。これに関して、周産期医療を担う専門家集団である産婦人科医会としての見解を述べさせていただきます。

 先ず、この事件で、亡くなられた方に対し、改めて、心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

 本件は、帝王切開手術時の癒着胎盤剥離に伴う産婦の失血死により、平成18 年2 月に執刀医が業務上過失致死罪と医師法21 条に規定する異状死の届出義務違反容疑で逮捕、勾留、その後起訴されたものであります。

 本件は産科医療の基本的な日常診療のなかで、正当な医療行為をしたが、残念ながら力が及ばなかった不幸な事例であるとの見解から、刑事責任を問うことはできず、無罪以外の判決はあり得ないとの認識でしたから、当然の判決結果であると思います。

 さて、この事件は、産婦人科医だけでなく、医療界や、社会に大きな衝撃を与えました。
その理由は、

1. 帝王切開術による不幸な医療事故が発生してから、1 年以上が経過し、その間、地域の周産期医療を担い続けてきた医師が、逃亡や証拠隠滅のおそれは、全くないにもかかわらず、突然逮捕、勾留され、そして、直後に起訴されるという極めて不当な事件であったからです。

2. 医療事故の死因究明は、本来、医療の専門家である医師に委ねられるべきです。しかし、この事件は、産婦人科の専門医が判断すれば、『通常の医療行為の結果、不幸にして救命できなかった事例であり、刑事罰の対象にはなりえない事件である』にもかかわらず、刑事司法の判断によって、『医師の過失が重大である』とされ、刑事訴追されたからです。

 このように診療行為に伴って患者さんが死亡されたことを深く受け止め、再発防止に努めねばなりません。そのためには専門家集団による透明性のある事故調査が必要です。このような事例に刑事罰を適用することは医療現場を萎縮させるだけで、再発防止には繋がりません。

 以上の観点から、日本産婦人科医会は、日本医師会と日本医学会を中心に現在議論がなされている新たな死因究明制度における原因究明と再発予防に向けた取り組みを法制化し、医療の管理を今までのように刑事司法が行うのではなく、専門家集団である医師が行う仕組みの構築を全面的に支援していきたいと思います。

 今後、医療の専門家である医師は、医療事故発生の防止に努めるとともに、医療を受ける患者さん方と、真摯に向き合い、相互の理解に努め、医師・患者間の溝を埋めていくよう、一層の努力を払わねばならないと考えています。

平成20 年8 月20 日
社団法人日本産婦人科医会
会長 寺尾 俊彦






この事件に対して

多くの医療関係者は

「逮捕、勾留し、

刑事裁判すること自体が間違い」

と考えています。







今後の展開は

どのようになるのでしょうか?





検察の主張は、

「癒着胎盤ではすぐに子宮を摘出せよ」

「産科医師のクーパー(医療用ハサミ)の使い方が間違っている」

ということを立証することを

目指しているのですが、

もしも

検察の意図する通りになれば、

極端な話、

「トラブルがあるとすぐに子宮摘出」

「医療器具の使い方は検察に聞いてからでないと逮捕される恐れがある」

ということを検察は希望している、

ということなのです。






冗談ではなく、

本気で言っているのです。





検察がさらに裁判を続けるようなら、

医療に対して

検察がこのように考えており、

その考えは全く変わっていない、

ということです。







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■速報 福島大野事件 無罪 「帝王切開で死亡 医師無罪判決」

ネタ元は

demianさん
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-323.html#comment2174

demianさん、はやっ(笑)!!
いつも大変お世話になっております。



速報 
福島大野事件 無罪 
「帝王切開で死亡 医師無罪判決」



とりあえず速報です。

Yahoo!トップです。





大野病院事件、被告医師に無罪判決

2008年8月20日10時8分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080820-00000000-cbn-soci

 福島県立大野病院で2004年12月に帝王切開手術を受けた女性が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、K被告(40)に対する判決公判が8月20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は、無罪判決を言い渡した。


 起訴状などによると、K被告は2004年12月17日、女性の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるのに、子宮摘出術に移行するなどの危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させたとされた。
 また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われたが、鈴木裁判長は、検察側の主張を退けた。

 検察側は今年3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑していた。








帝王切開で死亡 医師無罪判決

(NHK 08月20日 10時13分)
http://www3.nhk.or.jp/news/t10013599661000.html

4年前、福島県立大野病院で行われた帝王切開手術をめぐり、無理な処置で
女性を死亡させたとして業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科の医師に対し、
福島地方裁判所は無罪の判決を言い渡しました。




帝王切開で女性失血死、医師に無罪判決…福島地裁

2008年8月20日10時12分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00212.htm?from=top

 福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術で女性(当時24歳)を失血死させたなどとして業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医K被告(40)に対する判決が20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。





産科医に無罪判決 帝王切開での女性死亡事故 福島地裁

asahi.com 2008年8月20日10時12分
http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY200808200054.html

 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、K被告(40)=休職中=に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)の判決を言い渡した。

 K医師の逮捕後、日本産科婦人科学会や日本医学界、地域の医師会などは「必要な医療が提供できなくなる」などと反発。手術部位を間違えるなどの単純ミスではなく、治療における医師の判断、手術法の選択にまで捜査当局が踏み込んだ事件として、判決が注目されていた。




大野病院医療事故:帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁

毎日新聞 2008年8月20日 10時16分(最終更新 8月20日 10時26分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20080820k0000e040014000c.html

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医(休職中)、K被告(40)に対し、福島地裁は20日、無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。手術中の医師の判断を問う裁判として注目されたが、判決は医師の裁量の範囲と認めた。

 起訴状によると、K医師は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させた。さらに、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとされた。

 医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出すなど、医学界を巻き込んで論議を呼んだ。公判では、検察側、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立っていた。【松本惇】




帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島

産経ニュース 2008.8.20 10:22
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201022000-n1.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。判決言い渡しは午後3時ごろまでに終わる見込み。

 手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽医師法違反に該当するのか-などが争われていた。

 執刀医の逮捕・起訴については、「診療が萎縮(いしゅく)する」として、日本産科婦人科学会をはじめ多くの医療関係者が反発、第三者の立場で医療死亡事故を究明する“医療版事故調”設置の議論を加速させる要因にもなるなど、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 論告などによると、K被告は平成16年12月17日、子宮と胎盤が異常な形で癒着した「癒着胎盤」の症例だった女性の帝王切開手術を執刀。子供は無事に生まれたが、女性は子宮から胎盤をはがす際に大量出血し、死亡した。また女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった。

 検察側は、「剥離(はくり)を中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」と主張。これに対し、弁護側は「剥離を始めれば、完了させて子宮の収縮による止血作用を期待するのが産科医の常識であり、臨床現場では、検察側が主張するような措置を取った例はない」として、検察側に反論していた。

 また、検察側は「事故後、自分の過失で失血死させた可能性を被告自身が述べており、異状死と認識していたことは明らか」として、異状死を届けなかった医師法違反を指摘。一方、弁護側は「被告は異状死と認識していなかったうえ、上司と相談して届け出なくていいと指示されていた」と主張していた。



帝王切開死で産科医に無罪 福島地裁、医療界に影響

2008/08/20 10:24 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008082001000155.html

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医K被告(40)に対し、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、無罪判決(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 「基本的な注意義務に反し過失は重大」とした検察側に対し、弁護側は「可能な限りの医療を尽くした」と無罪を主張、全面的に争っていた。

 医療行為の過失を問われ医師が逮捕、起訴された事件は医療界の反発を招き、全国の産科医不足に拍車を掛けたとされる。この日の司法判断は医療界に大きな影響を与えそうだ。

 公判では、子宮に胎盤が癒着した極めて珍しい症例をめぐり、被告が胎盤をはがす「はく離」を続けた判断の是非などが争点になった。

 論告によると、K被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術を執刀。子宮摘出など危険回避措置を怠り、クーパー(手術用はさみ)で癒着した胎盤をはがし、大量出血で死亡させた。「異状死」なのに24時間以内に警察に届けなかったとして医師法違反の罪にも問われた。






産婦人科医に無罪=医療ミスを否定-帝王切開死亡事故・福島地裁

時事ドットコム 2008/08/20-10:18
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008082000504

 福島県立大野病院(同県大熊町)で2004年、帝王切開手術で出産した女性=当時(29)=が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は被告の医療ミスを否定し、無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 執刀医による手術時の判断について刑事責任を否定した判決は、今後の医療過誤事件に大きな影響を与えそうだ。

 胎盤を子宮から剥離(はくり)した際に大量出血を予見できたかと、剥離を中止して子宮摘出に移る義務があったかが、最大の争点となった。

 被告側は、剥離中の出血は少なく、出血量の急増は予測できなかったと主張。「剥離を開始したら完了させ、それでも出血が止まらなければ子宮を摘出するのが、一般の医療水準だ」として、処置は適切だったと訴えた。検察側は、通常は使わないクーパー(手術用はさみ)を使い胎盤をはがしたことなどから、「出血で死亡する危険性が高いと予見できたのに、無理な剥離を漫然と継続した」と非難していた。









今は手術の合間で書いてます。




とりあえず

速報あげておきます。







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