2008/08/20
さて、
「公立病院の再編成を加速」を
社説で力説している
日経新聞さん(1)。
どうでしょう?
ご希望のように、
福島では産科が
激減しておりますが、
まだ、病院の閉鎖までは言っていないようです。
社説のように
各科の廃止だけでなく、
病院の閉鎖や
お話が進むと良いですね(笑)。
帝王切開死事件、産科医に無罪判決 福島地裁
NIKKEI NET 2008/08/20
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080820AT1G2000420082008.html 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、手術の執刀医で業務上過失致死罪などの罪に問われた産科医、K被告(40)を無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)とした。医療事故に対する刑事責任追及の是非が議論となる中、今回の判決で
専門的な医療事故に対する刑事捜査の限界を指摘する声が高まりそうだ。 この事故を巡っては、学会などが「標準的な医療行為をした医師を警察が逮捕するのは不当」と相次いで声明を発表、医師不足が指摘される中、特にリスクが高い産科医離れを加速したと非難し、注目された。
医療界の強い抗議は、警察ではなく医療の専門家が医療事故の原因を究明する「医療版事故調査委員会」を創設する議論を前倒しするきっかけにもなった。厚生労働省は臨時国会で設置法案の提出を目指しているが、調査結果を警察に通知するかどうかで紛糾している。今回の判決はこうした議論に影響を与えそうだ。(10:11)
大野病院事件20日判決 帝王切開死に疑問解けぬ父NIKKEI NET 2008/08/20
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080820AT1G1901M19082008.html 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した事件で業務上過失致死罪に問われた執刀医(40)の判決公判が20日、福島地裁で開かれる。公判などで事実は明らかにされつつあるが、女性の父親(58)が抱く
「なぜ娘が死ななければならなかったのか」という疑問は解けないままだ。
「娘は実験台になったのではないか」。女性が大野病院で帝王切開手術を受け、第2子となる女児を出産後に大量出血し、亡くなったのは2004年12月17日。事故直後から父親は「そもそも1人しか産科医のいない病院で行う手術ではなかったのではないか」との思いを強めている。
女性が第2子の出産前、子宮口を胎盤がふさぐ前置胎盤の疑いで入院したのは手術の約1カ月前。決して緊急手術ではなかった。実際に執刀医は手術前に先輩医師などに相談。手術当日も、緊急時には帝王切開で第1子を出産した病院のベテラン産科医に駆けつけてもらうよう依頼している。(07:00)
医師の免許更新性も
強く希望している
日経新聞さん(1)。
>専門的な医療事故に対する刑事捜査の限界を指摘する声が高まりそうだ。”刑事捜査の限界を指摘”
って、どういう意味でしょう?
「刑事捜査には限界があって、
本来なら有罪になるはずの被告が
無罪になってしまった」
という意図なのでしょうか?
日経産は相変わらず、
おかしな論旨を展開されております(笑)。
まあ、医師を叩いて悪者にしておけば
いろいろな場面で
”経済的には得”ですもんね(爆)。
さて、
産経さんは大量に記事をあげてきています。
社説でいきなり
>「無制限に医師の裁量を認めるものではない」
などというのは
どうしたものでしょう?
完全な免責の上で、
事故調査が行われるのは
「事故調査委員会」
の鉄則であり、
海難事故や航空事故は
このようなルールにのっとって行われます。
仮に、
システム上の問題があっても
事故の責任を
「個人責任」
として追及されるのなら、
口を閉ざさなくてはいけない部分も
多くあるに違いありません。
「医療だけは別」
とする根拠は何なのでしょう?
「中途半端な免責では、
逆に真実は明かされない」
というのが
国際的なルールになっています。
産経さんは
あくまで医師は叩くもの
という姿勢に変わりはないようです。
妊婦失血死事件無罪判決 捜査幹部、逮捕妥当性を強調gooニュース 2008年8月20日(水)15:55 (産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20080820003.html 「われわれは患者の目線で捜査しているんだ」。現役の医師が逮捕、起訴された県立大野病院事件。医療関係者の間で広がった批判に、当時の捜査幹部は語気を強めた。福島県警や福島地検は捜査の妥当性を繰り返し強調した。
福島県は平成17年3月、県立大野病院の女性死亡が医療ミスだったと公表した。これを端緒に県警は捜査に着手。「事故を警察に届けておらず、証拠隠滅の恐れがある」として翌年、
異例の逮捕に踏み切った。
過去にも医療事故で医師が逮捕されたことはあるが、無謀な手術など悪質さが際立つケースがほとんど。地検は逮捕の理由について「遺体もなく、身柄を確保した上で関係者の話を聞く必要があった」とした。
一方で医療界からの激しい反発には
「想定外だった」と戸惑いも。公判にかかわった検察関係者は
「捜査当局と医療側の対立という、招くべきではない事態を招いた」と当時の判断に疑問も示した。
「逮捕は正当」 県警と地検がコメント 大野病院事件産経ニュース 2008.8.20 19:57
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808202001014-n1.htm 福島県立大野病院事件で無罪判決が言い渡された20日、捜査に当たった
福島県警と
福島地検は重苦しい空気に包まれた。
県警の佐々木賢刑事総務課長は「県警として捜査を尽くした。判決についてはコメントできる立場にない」と言及を避けた。また、K医師を逮捕したことについても「法律と証拠に基づいて必要性を慎重に検討し、正当な手続きを経て逮捕した」と話すにとどめた。
一方、福島地検の村上満男次席検事は「当方の主張が認められず残念。今後は判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対処したい」とする談話を発表した。
県警の捜査に対しては、「証拠隠滅や逃亡の恐れはなく、逮捕は不当だった」と、医療界が強く反発。また、
捜査に当たった富岡署に
県警本部長賞が贈られ、
「有罪が確定していないのにおかしい」などという声を上がっていた。
ある捜査幹部は「この事件で、医師の注意義務や説明責任を喚起できたことは無駄ではなかったと思う。しかしその代償はあまりにも大きすぎた。医師の責任を問うことの難しさを痛感した」と振り返った。
死亡女性の父親が会見 「非常に残念」 大野病院事件
産経ニュース 2008.8.20 19:50
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201957013-n1.htm 死亡した女性の父親、渡辺好男さん(58)も20日の判決後、福島県庁内で記者会見に臨み、「非常に残念。今後の医療界に対して不安を感じざるをえない」と無念の表情をみせた。
終始固い表情の渡辺さんは「
私が本当に知りたいのは、手術中の詳細なやりとりではなく、(K医師が)どうして態勢の整った病院に娘を移さなかったのかということだった。裁判では明らかにされず悔しい。命を預かっている以上、
すべての不安を取り除いて臨んでほしかった」と、不満をあらわにした。
渡辺さんはこれまで、匿名で取材に応じてきたが、この日は実名を公表。「実名で声明を発表することで、多くの人に医療事故をより身近に感じてもらえると思った。これを機に、医療も良い方に変わってもらえたら」と理由を説明。また、国が進めている“医療版事故調”設置については「真実を説明してもらえる機関になってもらいたい」と要望した。
一方、捜査機関に対しては「自分1人ではここまでこられなかった。裁判になったおかげで分かったことがたくさんあった」と感謝の気持ちを口にした。
無罪の加藤医師が会見 「ほっとした」 大野病院事件
産経ニュース 2008.8.20 19:36
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201948012-n1.htm 無罪判決を受けたK医師(40)は20日午後、福島市内で記者会見し、「ほっとした」と胸の内を率直に語り、「今後は、地域医療の現場で患者にできることを精いっぱいやっていきたい」と、現場復帰の意思を明らかにした。
K医師は会見の冒頭、涙を浮かべながら、死亡した女性に「信頼して受診してもらったのに、亡くなるという最悪の結果になり、申し訳ありませんでした」と謝罪した。
K医師は逮捕からの月日を「何もしたくないという日々。長く嫌な2年6カ月だった」と振り返った。無罪判決については「裁判所にしっかりした判断をしていただいた」と少し表情を緩ませ、「今後は僕のような人が出ないことを祈りたい」と語った。
さらに、「子供をあやす顔が忘れられない」
「きちんとした罰を受けてほしい」と公判で意見陳述した
遺族の言葉にも触れ、
「グサッときた。生涯忘れられない言葉」と神妙な面持ちで話した。
主任弁護人の平岩敬一弁護士は判決を評価するとともに、「医師に不安が広まったことや、産科医の減少といった悪影響がなくなればいい」と話した。
日本生殖医学会も歓迎 大野病院事件無罪判決
産経ニュース 2008.8.20 14:47
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201446006-n1.htm 大野病院事件の無罪判決について、全国約4900人の産婦人科や泌尿器科の医師らで構成する「日本生殖医学会」(岡村均理事長、東京)は20日、「極めて適切な判断と考え、歓迎する」との声明文を公表した。
声明文では「医療提供者には常にベストを尽くして治療する義務がある」とした上で「全力を尽くしても、治療結果は個別で異なり、最終的に最悪の結果になる場合がある。これは社会の常識で、法律上も正しいと判断された」などとしている。
大野病院事件「妥当な判決」 日産婦学会が声明
産経ニュース 2008.8.20 12:44
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201248005-n1.htm 福島地裁の無罪判決を受け、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は20日昼、記者会見し「実地医療の困難さとリスクに理解を示した妥当な判決」と判決を評価。「控訴しないことを強く要請する」と、検察側に控訴断念を求めた。
争点となった癒着胎盤について吉村理事長は「極めてまれな疾患であり、診断も難しく、最善の治療についての学術的議論は現在も学会で続けられている」とし、加藤克彦被告に対しては「専門医としていった医療の水準は高く、まったく医療過誤と言うべきものではない」と、同学会の声明を読み上げた。
同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」と訴えた。
帝王切開死亡事故で医師に無罪判決 「医療過誤なかった」
産経ニュース 2008.8.20 11:52
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201156003-n1.htm 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われた。鈴木信行裁判長は、医療行為と患者死亡との因果関係を認めたうえで、措置自体は一般的な医療行為で過失はなかったなどと判断し、K被告に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。子宮に胎盤が強く癒着する「癒着胎盤」という珍しい症例に対し、
胎盤を剥離(はくり)する行為を続けた医療行為は適切だったのか
▽危険は予見できなかったのか
▽警察に届け出なかったことは医師法違反に該当するのか
-などが争われていた。
判決では、胎盤剥離開始後の大量出血の大部分は、子宮内壁の胎盤を剥離した部分からであり、被告の剥離行為と女性の死亡に因果関係があったと認定。大量出血自体も予見は可能だったとした。
その上で、最大の争点だった、癒着胎盤と認識した後も剥離を継続したK被告の医療行為の是非については、検察側の「子宮摘出を行うべきだった」とする主張に対し、「一部の医学書や検察側証人の主張にすぎず、一般性を欠いている」と指摘。胎盤剥離を完了させて子宮の収縮を期待しながら、止血操作を行い、その後子宮を摘出したK被告の行為は「臨床上の標準的な医療措置」と認め、過失はなかったと判断した。
医師法違反については、「診療中の患者が診療を受けている当該疾病で死亡した場合は(異状死の届け出義務の)要件を欠く」とし、「(今回は)癒着胎盤という疾病を原因とする過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果と言わざるをえず、異状に該当しない」と判断した。
帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島
産経ニュース 2008.8.20 10:22
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201022000-n1.htm 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、K被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。判決言い渡しは午後3時ごろまでに終わる見込み。
手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽医師法違反に該当するのか-などが争われていた。
執刀医の逮捕・起訴については、「診療が萎縮(いしゅく)する」として、日本産科婦人科学会をはじめ多くの医療関係者が反発、第三者の立場で医療死亡事故を究明する“医療版事故調”設置の議論を加速させる要因にもなるなど、国の医療政策にも大きな影響を与えた。
論告などによると、K被告は平成16年12月17日、子宮と胎盤が異常な形で癒着した「癒着胎盤」の症例だった女性の帝王切開手術を執刀。子供は無事に生まれたが、女性は子宮から胎盤をはがす際に大量出血し、死亡した。また女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった。
検察側は、「剥離(はくり)を中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」と主張。これに対し、弁護側は「剥離を始めれば、完了させて子宮の収縮による止血作用を期待するのが産科医の常識であり、臨床現場では、検察側が主張するような措置を取った例はない」として、検察側に反論していた。
また、検察側は「事故後、自分の過失で失血死させた可能性を被告自身が述べており、異状死と認識していたことは明らか」として、異状死を届けなかった医師法違反を指摘。一方、弁護側は「被告は異状死と認識していなかったうえ、上司と相談して届け出なくていいと指示されていた」と主張していた。
大野病院事件無罪判決 裁判以外の解決策を
産経ニュース 2008.8.20 11:46
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201148002-n1.htm 薬剤の誤投与など
明らかな医療ミスではない医療事故をめぐって医師の刑事責任が問われた大野病院事件で、20日の福島地裁判決は、医師の裁量を認め、無罪とした。医療行為の是非をめぐる刑事責任追及の難しさを改めて示したといえる。
産科医の減少、相次ぐ産科の閉鎖…。
事件は医師不足を加速させ、特に地域医療に深刻な打撃を与え、国の医療政策にも大きな影響を与えた。 「通常の医療行為に刑事司法が不当に介入した。医療が萎縮(いしゅく)する」。医師の逮捕後、日本医学会など、
100を超える医療関連団体も相次いで抗議声明を発表。困窮する実情を受け、医療界は、医師に病死以外の異状死の届け出を義務付けた医師法21条の見直しや、警察以外の第三者機関による死因究明制度の設置を国に要請した。
国は、産科の人材や機能の集約化を打ち出し、医師に過失がなくても患者を補償する「無過失補償制度」の設置を決定するなど対応をとってきた。
医療界は判決に胸をなでおろす結果になったが、今回の事故の遺族は「なぜ亡くなったのか」と、やりきれない気持ちを抱えたままだ。
多くの医療事故の遺族は、必ずしも負担の大きい裁判を起こさずに事故の真相を知りたいと考えている。
昭和大学医学部の岡井崇教授は
「刑事責任を問うことで、医療事故の再発防止や真相を究明することにはならない」と指摘する。
国は、公平な立場で医療の専門家が事故を分析し、死因究明を行う国の新組織「医療安全調査委員会(仮称)」の創設を急いでいる。事件は刑事、民事を問わず、裁判での医療紛争解決の難しさを浮き彫りにした。裁判以外での患者と医療界の不信感を埋め、解決手法のあり方が求められる。(神庭芳久)
無罪判決に産科医、身じろぎせず 遺族は涙 (1/2ページ)
産経ニュース 2008.8.20 11:35
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201140001-n1.htm 手術中の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われた福島県大熊町の県立大野病院で発生した妊婦死亡事件。病院の調査委員会が報告書を作成し調査を終えた後の逮捕・起訴に医療界からは「通常の医療行為で逮捕されれば現場が萎縮(いしゅく)する」などと強い反発の声があがっていた。全国で産科医の不足や過酷な労働状況が指摘される中、福島地裁が下したのは、医師の裁量を認めた「無罪」判決。法廷内ではさまざまな感情が渦巻いた。
午前10時過ぎにダークグレーのスーツを着て入廷したK被告。裁判官に向かって一礼をした後、傍聴席の被害者家族が座っている方向に向け、深く頭を下げた。
鈴木信行裁判長に名前などを確認されている間は、緊張からか、せわしなく両手を動かしていたが、「無罪」の主文が言い渡されると、身じろぎせず聞き入った。
K被告は女性が死亡した後も大野病院ただ一人の産婦人科医として勤務し、平成18年2月18日の逮捕時にも、約10人の入院患者と20~30人の外来患者を抱えていた。
妻も第一子の出産間近で、K被告は自分で子供を取り上げる予定だったという。 しかし逮捕で状況は一変。妻の出産に立ち会えず、患者のケアも不可能になった。保釈後も現場に復帰せず、休職を続けていた。
主任弁護人の平岩敬一弁護士は加藤被告の近況について「謹慎に近い状態で、医学博士の学位を取るために自宅で研究を続けていた」と話す。
今年5月に開かれた最終弁論では、加藤被告は「もし再び医師として働けるなら、もう一度地域医療の一端を担いたい」と希望を述べていた。
一方、被害者女性の家族もまた、「無罪」を言い渡した裁判官を見据えながら判決に聞き入った。女性の父親は、祈るような形で手を組み合わせたまま、唇をかみしめ、判決理由に耳を傾けた。
女性の父親や夫は1月の意見陳述で「この事件で、閉鎖的だった医療界が国民の関心の的になった。事件が開かれた医療のあり方や臨床の実態を考えるきっかけになることを願う」と希望した。
同時に、「幼くして母を失った子供を見るとふびんになる」「夜中、突然目が覚めるという状態が続いている」「わが家の生活から笑顔が事件以来、無くなってしまった」などと、事件後に家族の生活が様変わりした苦しみを吐露し、K被告に対して厳罰を望んでいた。
判決の朗読が始まって5分ほど経った後、うつむいた父親が突然涙をこぼし始めた。感情を抑えられない様子で、ハンカチを取り出しては、涙を何度もぬぐっていた。
【視点】無制限に医師の裁量を認めるものではない 大野病院事件産経ニュース 2008.8.20 20:37
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808202041015-n1.htm 手術中に医師が最良と判断した手法で患者が死亡した場合、医師個人は刑事責任を問われるべきか-。福島県立大野病院事件で、福島地裁は、臨床の場で通常行われる水準で医療措置をしていた場合、罪は問えないとの判断を示した。
判決は、医療行為を「身体に対する侵襲を伴うものである以上、患者の生命や身体に対する危険性があることは自明」と表現。結果責任だけが問われる医療関係者から上がる「リスクの高い医療はできない」などの切実な叫びをくみ取った結果が、今回の無罪判決といえる。
だが、
判決は、K医師の医療行為と女性死亡の因果関係を認めた。大量失血も予見できたとしたうえで、検察側が指摘した通り、癒着胎盤の剥離を中止して子宮を摘出していれば、最悪の結果を回避できた可能性を指摘した。
公判で弁護側の証人に立った産婦人科の権威らが
「一切過失はない」と言い切る姿は、
国民に「医者のかばい合い」と映ったに違いない。 今回の事件を契機に、医療事故調査専門の第三者機関、いわゆる医療版事故調を設置しようという機運が高まっている。だが、医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、事故調が事故原因究明や公正な判断を下せなくなるのでは、と懐疑的な見方が出てきても仕方あるまい。
今回の判決は「適切な手術」という前提付きで、医師の裁量を認めた。医療界は、なおいっそうの注意義務と医療を受ける患者、家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。(小野田雄一)
(1)
■日経社説 「患者第一の医療へ効率化を推し進めよ――医療・介護の再生に向けて」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-323.html