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■開業つれづれ:女もすなるオリンピックといふものを ロンドン、北京、えーと シ、シドニー?

 




 オリンピックが始まった、らしい。
 クリニックの院長室で、なぜここにいるのかよく分からないが、外科医の悪友、塩見君が管理人めどの隣でテレビに向かって吠えた。
「うをー。八木かなえ頑張れ!!」
「ええと、誰?」
 塩見君はとてもとてもオリンピックが好きだ。というかW杯、世界陸上は言うに及ばず、初詣や近所の花火大会も含めて、お祭りが好きだ。そして、いつも女性あるいは女子選手に視線が釘付けだ。
「八木かなえ(なぜか呼び捨て)は、すごい天才で体操もすごかったのに、高校ではじめた重量挙げでいきなり全国制覇して、国際大会まで行っちゃったんだ」
などとフンフン鼻息を荒くしながら解説をする塩見君。こういうところは学生の頃から全然変わらない。学生時代におんぼろ車で2人でドライブしていたとき、近くの大学の陸上部が練習をしていた。
「見たか、めど。あの先頭のランナー美人だな」
あのときの鼻息とあまり変化がないような気がする。三回目の結婚で彼の何かが改善あるいは進歩したのかと思ったが、変化はないような気がする。というか、オリンピック級でなくていいから、人としてもう少し進歩しろよ。
で、彼が吠えているのが天才重量挙げの八木選手。
「じゃあ、若いんだ」
「当たり前だ、1992年生まれだ」
勝ち誇る塩見君。ええと、君の子供でもおかしくないぐらいの年齢だよね、きっと。

 一方、管理人は、オリンピックの何たるかを知らない。「選手」とキーボードを打ったら「腺腫」と出るぐらいあまり興味がない。塩見君はノン気な管理人をしばし凝視し、塩見君の何らかの思考回路がピコーン!とお知らせをしたのかもしれない。こう言い放った。
「めど、わかった。お前は男性更年期だ」
おいおい、的外れもいいところだ。塩見君、外科医だろ。直感ではなく、ちゃんと診断しないとダメだろ。
「じゃあ、めどは誰が好きだ」
「は?」
塩見君、小学生の男子の会話じゃないんだから。ボキャブラリーが少なすぎ。
「サッカーのきれいな人かな」
「あー、残念だったな。川澄(やはり呼び捨て)?彼氏いるって噂だぞ」
はいはい。いい年したおじさんが、オリンピックの女子選手に彼氏がいたら残念なのか。
「それとも、澤か!?渋いな」
澤選手だけは呼び捨てでも違和感がないのはどうしたものか、有名だからか、女性的フェロモンが少ないせいなのか、などと考えてみながら良性発作性頭位めまい症になったことを思い出した。
「時どき、めまいするらしいから、点滴してあげたら喜ばれるかも」
「そして、十年後にテレビでこんな回想シーンが流れるんだな。(田口トモロヲ氏風)『澤は迷った。こんな見知らぬ医師の点滴を受けていいのかと。しかし、それが勝利への第一歩だったのだ。プロジェクト、エッッッッックス』」
「ネタ古いな」
「古いからこそ、これ以上古くならないという神話的な叙述方法だ。覚えておけ」
「いや、単に古いな」
「古いからこそ、記憶に残るものもある」
と言って、会話の方向性が分からないまま塩見君はオリンピックの昔話をはじめた。なんだか無駄にテンション高いが、ちなみに我々はここまで完全にシラフ。多分、いろいろな脳内物質が出まくっているに違いない。
「めど。貴様にオリンピックの何たるかを教えてやろう。オリンピックの開催地って、覚えているか?」
塩見君は急に偉そうに聞いてきた。でも、なぜ貴様呼ばわりだ?
「すまん、全然分からん。ええと、今回はロンドンだよな。その前は北京。更に前って、アメリカにいたから全然記憶にないんだよな。えーと シ、シドニー?」
「残念。ロンドン、北京、その前がアテネだ。更に前がシドニー。アトランタ、バルセロナ、の順番に古くなっていく」
どうだ、と言わんばかりの塩見君。
「更に前がロス五輪、あのふらふら女子ランナーのアンデルセンが出たのがこの大会」
「あー、あれってそんな昔か」
「1984年。だって体操の森末とか柔道の山下の時代だから」
「若い人は絶対に知らないね」
「知るはずもない。あえて言わないが、それが人格者としての重みとして外ににじみ出してくるのだ」
塩見君のいう人格者が、自分自身に当てはまっているかどうかは敢えて言わないでおこう。理想と現実とはかくも距離があるものなのだ。
「単に年を取ってだけだけどな。ロス五輪のときは、八木選手も全然生まれてないじゃないか」
「1992年生まれだから、生まれる気配すら無いな」
「そんな子供が今やオリンピック選手だよ」
「2000年生まれは12歳だし、平成生まれはもう普通の大学(医学部生は6年間なので4年生大学をこう言う)を卒業か」

 年齢の話しをするとなんだか切ない年頃になってきた。切ないと言うより救いようがないと言った方が正しいのか。彼の目はテレビに吸い付けられていた。ボー、と画面を見ながら体操の田中選手に見とれていた。
「田中理恵っていいよな」
八木選手の次は田中選手か。なんだかベクトルが全然違う気がするが、彼の頭の中ではかみ合っているらしい。三回結婚男の思考回路は複雑で分かりづらい。
「田中理恵は、努力の人なんだよ。おれDVD持ってるけど、貸すか?」
そ、そこまで好きなのか。

 そんな馬鹿話をしていたら、急に携帯が鳴り響いてびっくり。当然と言えば当然で、三人目の奥様である工藤君からの着信が鳴り響いた。
「いやー、今帰ろうと思っていたんだけど、めどの話しが長くてさ。いや、うん。うん。そうなんだ。なんだか重要な話しって言っていたんだけど。いや、いや。うん、うん。いや、帰ってから話しするね。そう、そう。すぐ帰るよ。じゃ」
そう言うとすぐに塩見君は立ち上がる。
「悪いな、めど」
「今の話しだと、俺が悪者か」
「まあ、なんだ。よろしく頼む」
ニヤッと塩見君が笑う。
「工藤君に体操の田中選手のDVDのこと話しするぞ」
「まあ、待て。うちのかみさん(工藤君)が田中選手のファンなんだ」
とすっとぼけたことを言う。
「じゃあ、確認してみるか」
「ああ、うそ、うそ。ごめん。ええと、どうしたらいい?」
そんな簡単なウソつくと、工藤君にはすぐばれるぞ、と忠告をする。時差のあるロンドンオリンピック。塩見君はこれからしばらくは子供のように夜中にテレビ漬けになるに違いない。
「ああ、これかみさんが」
塩見君は帰り際にビニール袋に入った長ネギを差し出した。彼女の実家では本式に畑を持っていて、大量の野菜を収穫しているのだ。たまにお裾分けしてもらう野菜は、新鮮でとてもおいしい。
「ありがとう。奥さんによろしくな」

 ロンドンオリンピックが開催されました。一般の人間には想像もつかないような競技の世界の祭典。人間の限界に挑むアスリートたち。選手の皆さんのご健闘をお祈り致しております。


追記:

その後すぐに塩見君から電話があった。
「めど、めど、ソウルを忘れた。ロス五輪の次はソウルだった。いやあ、すっかり忘れていたよ」
とてもうれしそうに声を弾ませている塩見君には、どうでもいいよ、なんて言えない管理人だった。



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■開業つれづれ:「寿司をもっと軍艦らしく! 芸大生が作った勇ましすぎる「軍艦巻き」が話題に」

あらやだなにこれ。





寿司をもっと軍艦らしく! 芸大生が作った勇ましすぎる「軍艦巻き」が話題に

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1203/05/news088.html


 愛知県立芸術大学デザイン科の学生・中村真由香(@maureka_7)さんによる卒業制作「軍艦巻き」がTwitterなどで話題になっている。軍艦巻きとは一般的に海苔で巻いた酢飯の上にイクラやウニなどを乗せた寿司を指すが、中村さんの軍艦巻きは「もっと軍艦らしい軍艦巻き」だ。

 「戦艦 金剛」「航空母艦 鳳翔」「駆逐艦 雪風」など11種類の軍艦を、寿司で再現した。楕円形のよくある軍艦ではなく、本物の軍艦っぽい形をしており、ご飯を敷き詰めた甲板が広がっている。海苔で作った砲撃台っぽいものも付いていて、勇ましく、無骨な感じに仕上がっている。

 中村さんは「お寿司の軍艦巻きは『軍艦』という名がついていながら、勇ましくもないし、そもそも軍艦に似ていると言えるのだろうか?」と疑問に思い、制作したという。「おいしい制作のおかげで体重がすこし増えた」ものの「自分らしいアホな作品になった」と満足しており、「軍艦に興味がない人にも『にやっ』としてもらえれば」とブログでコメントしている。

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雪風とガリの対比がかわいい。

雪風の小ささが分かる、ガリのでかさですね。

鳳翔のガリって、鳥の形だ。



ご本人のブログはこちらのようです。

卒業制作「軍艦巻き」
http://ethermn.exblog.jp/17464746/








■開業つれづれ: おでん殺人未遂事件



うっかり

塩見君と結婚することになった工藤くん、

うちの看護師であるが、

実は才色兼備、

おまけに出しゃばらず

めど氏としては

非のうちどころがないのであるが

難点はあまり多くを話さないことである。










正直、何を考えているのかよく分らない。

ただ、患者さんとはよく話をするので

音声学的に欠陥があるとか

失語などではない。






もしかしたら

単にめど氏が嫌われているだけかもしれない。

単なる話嫌いなのかもしれないが、

めど氏限定で

話嫌いなのかもしれない。







しかし

そちらの方が確率が高い割に

そう思いたくないのは

人間関係を俯瞰で見るべき経営者たる

めど氏が

すでに客観性を失っている証拠である。










というわけで

めど氏は時々錯乱し、

ときどき嫌われたと思いこんだり、

ありもしない勝手な人間関係を考えたりして

大変苦労するのである(自分ひとりで)。






クリニックで最後の患者さんを診終わり、

ひとり悶々としていると、

私の携帯に電話があった。






「う~、めど~」

「ええと、どちら様ですか?」

「おれ~」

おれ、というやつに

ろくなやつはいないと思いながら

ふと耳から離して携帯の画面を見てみると

ウワサの塩見君だ。





一瞬、またなにかバカなことをやっていて

そのお誘いかと思って

脊髄反射的に携帯を切ろうかと思った

(塩見君はしょっちゅうそういうことをする)。






しかし、彼の訴えは沈痛である。

「調子悪いんだ。吐いて吐いて」

「そうか、ご愁傷様。工藤君に看病してもらえ。

点滴16ゲージ(信じられないぐらい太い針)で入れてもらえ。

なんならおしおきでIVH入れようか?

(注:めちゃくちゃ太い針で絶食していても大丈夫な点滴。めど氏が唯一得意な手技)」





「…いや、心配しているのは食べ物なんだが」

「?」

「お前からもらったやつ~」







あっ!

何の因果か、休日に

おでんをつくりながら

塩見君の結婚話を聞いためど氏であったが、

何の気なしに

作りかけのおでんを

渡したを思い出した。








でも、めど氏はピンピンしている。

めど氏の家族もピンピンしている。

塩見君、

きみ、おでん傷んでたんじゃないの?








「お、おでんって、痛みやすいのか?」




当たり前だ。

もしかして直箸しただろ!?

何日前のを食べたんだよ、

なんで工藤君に聞かないかな~、もう。




「いま、まだ、工藤くんとは一緒に暮らしてないから」

あら、そうなんだ。





「おれはてっきり

新人看護師をおれが取ったから、

クリニック経営者として怒り心頭のおまえが

おれを殺そうかと思って、

おでんに毒を入れたのかと思った」






なんぼなんでも

おでんに入れてそんなに手間と時間のかかる

遅効性の毒があるか!ぼけ!!

おまえ、

薬学とか中毒学苦手だったもんな。








「うう、どうにかしてくれ~」





うーん、うちのクリニックから

工藤君に点滴持たせるから、

それぶっすり刺してもらえ。

消毒用のアルコール綿とかも

持たせるから。







これが

塩見君のミステリー、

お騒がせ「おでん殺人未遂事件」(ついでに結婚報告)の

全貌である。







動機はめど氏が一番濃厚。

で、ぶつ(おでん)も

めど氏が提供した。






しかし

真犯人は

思いもかけず塩見君本人。

方法は「直箸」による

未来の自分を狙い撃ちした

細菌混入テクニック。




共犯者はめど氏(おでんを提供した)。





唯一、ひととして、

そして

医療関係者として、

有効に機能したのは

工藤くんだけだった(点滴して看護した)。







なお、

塩見氏が激しい下痢と腹痛に

数日さいなまれ、

病院で非常に顰蹙を買いながら

勤務だけはなんとかこなした

(代わりが全くいなかった)

ということだけは

ここに明記しておこう。





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■開業つれづれ:めど氏、神になったのち負ける(注:一度も勝っていない)




さてさて、

3度目の結婚を決めた塩見君と

そのお相手となった工藤君。

工藤君は看護師さん。






で、しがないクリニック院長であり

「勤務医 開業つれづれ日記」とかいう

ごくマイナーな分量の多いブログ管理人である

めど氏は、工藤君を雇用している。



寵愛はしていない。

単純な雇用関係であり、

ことさらに言い訳すると

さらに事態がこじれるので

これ以上言わないが、

単に雇用関係であると断言しておこう。

そうでないとシャイなめど氏は

どんどん深い穴を掘っていくに違いない。





つまりは

奇妙な三角関係

ではなく、

単純な雇用関係に

奇妙な同級生

(厳密な意味では

塩見君は留年してきており真正同級生ではないが、

仮性同級生という単語があるかどうかは

管理人もとんと知らない)

と院長の同級生の”妻”になるという、

天変地異的な

絶大なパワーバランスの変化があった。




それは例えば

昨日まで

看護師としてまじめに働いてた工藤君に

仮にも

「この腐れ医者どもが!!」

などと暴言を吐かれても

めど氏も塩見君も

一言も返す言葉がない

立ち位置にかわったわけだ。






塩見君は当然3回目の結婚だから

「一度や二度の失敗は人生の肥やし」

という成功哲学の本にある起業の話と

結婚の話はおのずと違ってきて、

三度目にブレイクするのが人生だ、

などということはなく、

すっかり新妻に大事なポイント

(どこの部分かはめど氏にはまったくわからない)

をしっかりと握られてコントロールされている様子。







めど氏はめど氏で

学生の頃から数少ない悪友であった

塩見君から

余計な情報が駄々漏れになっている

可能性が十分すぎるほどあり、

いろいろな場所でいろいろなことを

あれは塩見君と一緒だった、

あのときも塩見君がいた、

などと無限の不毛な記憶力ゲームに

時間を費やすのであった。








さらには

時々見せる工藤くんの笑顔にも

何かの意味を勝手に見つけては

戦慄を覚えるほどであった。






などと妄想を強くしていても

工藤君はきちんと働いているし、

まったく今までと変わった様子はない。

変わったのはめど氏と塩見君だけである。





塩見君は

2度の離婚という男性的な竜戦士から

3度目の首輪をつながれた駄犬に

坂を転げるように転落した。




そしてめど氏は

スタッフ雇用している自分は

素晴らしい経営者でえらい、

という

美しい妄想の日々から

おそるおそるミスがないか心配ながら

周りを気にしながらひっそりと仕事をする

刑務所の作業場の労働者へと

姿を変えた。







そのあまり変わらない工藤君が、

仕事が終わった後、

「院長、あのお話があるんですが」

という申し出があるのは

十分承知していたこととはいえ、

やはりドキッとする。






では、

といいながら

院長室にきてもらう。







突然の展開に

他のスタッフは興味津々だが、

わざと素知らぬ風をよそおっている。








院長めど氏は

「また退職か。トホホ」

という落ち込みようである。






なぜならめど氏のクリニックは

最近、結婚や妊娠おめでたで

職員が続々と辞めている職場なのである。

いや、それ自体は問題ないし

大変におめでたいのであるが、

これほどまでに妊娠率と結婚率が高くては

まるで日本ではなくどこか別の国のようだ。

いや、あえて言うなら日本の

旧高度成長時代か。




そういうならクリニックの院長としても

少しは納得がいく。

そう、

”クリニックが成長しているから結婚も妊娠も仕方がない”。

素晴らしい理論だ。

少なくともめど氏にとっては。







めど氏は無理にこじつけているが、

これこそ病院経営の本を

斜め読みにしているだけの

素人経営者の限界であった。







現実は、クリニックに勤めているスタッフが

最初から腰かけで

結婚や妊娠が決まるまで

辞めずらい大病院ではなくクリニックで

外来勤務をこなしてフェードアウト、

という巧妙な作戦があることに

めど氏は幸か不幸か気づいていない。






などと

妙な高度成長クリニック理論を

ぶつぶつ呟いていると

噂の工藤君が

院長室に入ってきた。






院長室と入っても

大学病院のそれとはまるで異なり

狭い部屋に置き場所のない大量の物品が重なっている

息苦しい空間である。





「あの、院長、今度結婚することになりまして」

「ああ、うん、おめでとう。塩見君から話は聞いているよ」

工藤君は目を潤ませながら

「結婚で有休を」

そこまで言って、めど氏はすぐに理解した。

幸い、有給のタイミングは悪くなさそうだ。

しかし、

そのあとの話にちょっと驚いた。

いや、正直、びっくりした。

「できれば結婚後もこのクリニックに勤務させてもらいたいのですが…」





なに~!?

こうきたか、

こんな手はいままで考えたことがなかった。





すっかり工藤君の退職モードになっていた

めど氏は

頭の中でハローワークと

新聞広告と、求人誌に広告と

全部でいくらになるか、などと

計算していたものだから、

一瞬、諸経費がかからなくなったので

ニヤリとした。







そして

その直後に自分の考えが

浅はかだったことに気づいたのであった。



そうだ、

塩見君の妻となった工藤君が

クリニックに常駐するとなると

なんだか

塩見君の監視にさらされているようで

かなり困る。



第一、仕事上、何かあっても

工藤君を叱ることが

出来なくなってしまうではないか。







「めど氏は患者さんを一人診るたび、ため息をつきます」

とか

「今日はあわてて靴下が左右違うのに診療してました」

とか、あまつさえ

「ブログの内容を話して、延々と患者さんに医療政策の愚痴を垂れてました」

などといわれた日には

すべての脳内情報が駄々漏れで

自分の行動範囲がほぼすべて

手に取るように分かってしまうに違いない。






それはすべてが筒抜けで、

ある意味めど氏にとって

神が出現するようなものだ。




別な意味では

お母さんの再来だ。




「めど!勉強しないでバカな小説ばっかり読むんじゃないよ」

などと母親に

まだ小説を読む前から怒られていためど氏は

管理されたり監視されたりするのが大嫌いだ。





よって自分のことも管理していない。

だから管理するな、

という素晴らしい三段論法を

一瞬思いついたが

それがなんの役に立つというのだろう。






お母さんと神が

並列しているのは

年だけとって

人生経験が極端に不足している

よくある「医者は頭でっかちだから」

というマスコミのフレーズそのままである。






逆に言うと

3度目の結婚をする塩見君は

並はずれた人生経験者で

マスコミ的には素晴らしい医師に違いないが、

はたから見るとかなり凡庸な一外科医にしか見えない。








めど氏は著しく錯乱し、苦悶した。





この工藤君が

塩見君と結婚して

そのうえ看護師として

お母さん 兼 神

としてクリニックに降臨することが

はたしてめど氏にとって

プラスなのかマイナスなのか

まったく理解できない。







乏しい想像力と

3人しか友人のいない

フェイスブックしか知らない

めど氏の人間の相関関係の

キャパシティをはるかに超えている。






「えー、考えさせてください」

めど氏が出した回答は

単なる先送りだけだった。




そして、

実はめど氏は気付いていないが

すでに対応が敬語になっている時点で

負けだったのだ。








日本酒を痛飲しながら、

「ちくしょー、キャピュレット家め」

などと

数少ないシェイクスピアの知識を

口にするが、

いったい誰がロミオで

誰がジュリエットなのか

まったくよくわからない。

ようは雰囲気で口から出ただけだ。

まるでこのブログのように。







太初(はじめ)に言(ことば)あり、

言(ことば)は神と偕(とも)にあり、

言(ことば)は神なりき。

なんと素晴らしい。





私はことばを書く限り

ブログの神であり、神とともにあり、

神=言葉であるのだ。





そして神になっためど氏にとって

明日からお母さん兼神が

降臨するという

違和感を振り払うように痛飲し、

したたか酔って

翌日深く後悔した。
















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実は、さらに不本意ながら続く。

















■開業つれづれ: 荒れた休日(個人的に)

当ブログの管理人である中間管理職、

別名めど氏は時々錯乱する。




いや、ときどき正常化し、

それ以外は錯乱している、

という方が正しいのかもしれないが、

それは自分ではなかなか判断がつかない。







単にブログを見るだけでも

この大量さ。

潔いほどの大量さである。




医療ブログ黎明期に

うちのブログは

「絶対に複数人でやっているブログだ」

とか

「某機関の陰謀ブログだ」

なんてことまで言われた。

陰謀なら、すでに更新をやめているところだが

非効率的な個人のブログであって

単に好きでやっているのだから

やめようがない。










ほぼ月平均30-40本の記事を書きつつ、

「量は質を凌駕する」、

などと言いながら

しょこたんブログに

量で圧倒的に負け、

ときどき悔し涙にくれながら

しょこたんブログをのぞきに行って

手前勝手な対抗意識を燃やすのである。




ぎりぎりと奥歯をかみしめていると、

「それで、何の話?」

とつぶやく声がある。





めど氏の数少ない友人である塩見君が

常時、錯乱しているのをみかねて訪ねてきた、

というわけではなく、

単に古くなったスキーを譲り受けに来たのである。




そのときの交換条件ではないが、

なんとなくうだうだと非建設的な話をしながら

医療ブログの不毛的闘争と

しょこたんブログの輝かしい

月産500前後という生産性を

比べながら悔し涙を流していたのである。





現に、今日の晩御飯はおでんだ、

といきなり思いつき、

ダイコンや卵の下ゆでをしつつ

日本はTPP参加すべきか

あるいは医療ブログのメンツと引き換えに

しょこたんの軍門に下るべきか、

という非生産的で正解のない理不尽な

二択を突き付けられているのだ。








塩見君は運動神経抜群、頭脳明晰で

あげくに

遊びの方が一番優秀だったものだから

大学のとき

上の学年から転げ落ちるように

ほとんどすべての単位を落として

同学年になった苦労の人である。

その原因の99%は自分が招いた災いであるが。






「優秀なきこりにはひとつだけ傷がある」

なんてわけのわからにことを言いながら

大量の酒を飲み

優秀な頭脳を無駄に消費しながら

彼は外科医になった。




で、何十年振りかに近くに勤務が移り、

ときどきふらりと遊びに来るわけである。






めど氏が

おでんをつくりつつ

医療におけるTPPへの対策と

しょこたんブログの生産性を

右脳と左脳で必死に考えている時に

塩見君は言った。






「おれ、結婚することになったから」



えええ?

ええと、君、何度目?

たしか3回目だよね、

などと思い返し、

それなら

古い友人からスキーなんてもらってる場合じゃないだろ、

…いや、結婚も3回目だから

逆に段取りがすべて良く分っているのか、

私は1回しか知らないし、

この場合、塩見君に気を使うべきなのか、

逆に彼に気を使われているのか、

などと

いろいろなことが頭の中を駆け巡る。




かろうじて

「そうか、おめでとう。よかったな」

とリアクション。

いいぞ、大人だぞ、めど。







塩見君は

なんだか伏し目がちで

まるで宿題を忘れたことを

言えない小学生のような

素振りを見せながらこういった。





「相手は、おまえのところの工藤さんだから」


えええ?

おまえ、うちの看護師のなかで

一番若手の子だぞ。

よりによってうちの看護師か。





「…そっか、とりあえずおめでとう」






取り敢えず

後で連絡を入れるからとか

なにか会話をした記憶があるが

正直、すでにめど氏の

脳内は次の看護師求人に

完全に切り替わっていた。





「ちくしょう、この時期は本当に

看護婦さん、いないんだぞ」








塩見君が

スキーを口実に会いにきた、

ということに理解が及んだのは

かなりおでんも煮込まれて

はんぺんを入れるぐらいの

段階だった。










というわけで

また当ブログが

非生産的でローカルなネタを

提供してしわうわけだが

管理人であるめど氏が

錯乱の上に錯乱を重ねているのは

こういった事情が

深く絡んでいるか、

あるいは妄想をひとりふくらませて

ひとり笑いしているかどちらかなのである。








塩見君、

おめでとうございます。

今度、

おでんでも食べに来てください。






できれば、

代わりの看護婦さんも

見つけてくれ。







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注: 不本意ながら続く


















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中間管理職: このブログの管理人。
ID上、ブログではmedさんとも呼ばれてます。

某大学医学部を卒業
 ↓
医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
 ↓
大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
 ↓
さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


中間管理職 

Author:中間管理職 
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