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■「肝内胆管癌について」の経過報告





いつも勤務医 開業つれづれ日記・2に来ていただき

誠にありがとうございます。

管理人の中間管理職です。



ちょっと話題になっている当ブログ記事について

書きたいと思います。


■肝内胆管癌について「“とんでもない医者”との出会いも……川島なお美、がん手術決意するまでの葛藤明かす」「川島なお美さん、手術後は抗がん剤治療拒み民間療法」:追記、追々記あり
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-2455.html

この記事の反響が大きかったので

一応現状報告を。




投稿直後からあまりのアクセスで

なにか間違ったかな

とか、

大炎上しちゃったかな

思いましたが、

好意的なご意見も多く、管理人としては一安心です。





某ガジェット通信からも寄稿の依頼がありましたが、

今回は故人について書かせてもらっている記事の性格上、

寄稿はお断りさせていただきました。




なんだかんだで過去に

読売新聞や朝日新聞(……だったっけ?忘れた)から

依頼があったときもお断りしてましたが、

決してマスコミ禁止ではありません。

一応ね。

興味がある方はご連絡ください。






コメント欄は荒れ放題ですが、

理性的なコメンテーターが管理人がいなくても

交通整理してくれていて感謝感激です。

数年に一度ぐらい、うちのブログは大荒れになるので

「またその時期が来ましたね」

ぐらいの気分でしたが、

今回のはスーパー台風並みの規模でびっくりしました。





こっそり管理人の心配をしていただいている方も

多数いらっしゃいまして、

本当にありがたい事です。

睡眠不足以外はいたって健康です。

時間がなくて夜の2時3時にお返事書いてました。

外来患者さんに直接悪口言われると

すぐしおれてしまう

豆腐メンタルなんですが、

メンタル面は全然大丈夫です。






アクセス数ですが、



2015/09/27 (日) 17824

2015/09/28 (月) 14915

2015/09/29 (火)  5008

2015/09/30 (水)  1913


となっていて、順調に減っております。

まあ、一週間もしたら平常運転になるかと思いますので

常連の方は今しばらくお待ち下さい。



いいね!が1.1万になってしまいましたが、

最初、壊れたのかと思いました。

こんな数字あんまり見たことないですよね……。

拍手が233、ツイート3365です。




そして、はじめて当ブログに来られたり、

何年ぶりかに来られた方。



特に医療崩壊系の記事の時には

かなり来訪者がいらっしゃいましたので

当ブログは

医療関係者はちら見ぐらいした事あるかも知れません。




当ブログ来訪、本当に感謝したいと思います。

読んでくださる皆さんがいてこそのブログです。

ありがとうございます。





これも何かのご縁ですから

「ああ、なんかいろいろ言ってる医者のブログあるな」

ぐらいに思ってもらえましたら幸いです。




いつもここでぐだぐだ言ってますので

お暇がありましたらお立ち寄りください。

ブログ書いて9年目になりました。




今後も医師という立場から情報発信したり、

いろいろな趣味や雑事について

少しずつ記事を書いて行きたいと思います。



では、またお会いしましょう!





ご参考になりましたら幸いです。

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■肝内胆管癌について「“とんでもない医者”との出会いも……川島なお美、がん手術決意するまでの葛藤明かす」「川島なお美さん、手術後は抗がん剤治療拒み民間療法」:追記、追々記あり

 


川島なお美さんの死去が

いろいろ報道されております。



ご冥福をお祈りいたします。



医療関係者の方は

どうお感じでしょう?



レトロスペクティヴな

お話になってしまいますが

(つまりは後出しジャンケン的な検討です)、

ちょっと考えてみたいと思います。



肝内胆管癌は肝臓の中の胆管にできた癌です。

胆管の解剖学的な分類は3つ

1. 肝臓の中を走る胆管は肝内胆管

2. 肝臓の外に出てから乳頭部の手前までを肝外胆管と呼びます。肝外胆管は、さらに2つに分けます。
a) 肝門部から 胆のう管の手前までの肝門部領域胆管
b) 胆のう管がつながって いるところから乳頭部の手前までの遠位胆管







医療関係者的に注意すべき点は

以下の通りです。

1. 肝内にできるため「肝内胆管癌」の分類は「原発性肝癌」になる。

2. 原発性肝癌の約4%が肝内胆管癌である。

3. 「肝内胆管癌」と肝外の胆管癌は別。「肝内胆管癌」は通常の胆管癌より予後が悪い。



ネットでも間違っている情報が大量にあります

のでご注意してください。









第18回全国原発性肝癌追跡調査報告(1)では、

肝内胆管癌の累積生存率は

3年生存率28.5%

5年生存率20.3%

とかなり悪い状況です

(ちなみに最新データは第19回になりますが、今回は閲覧容易な18回を基本にします)。




肝切除症例(手術した症例)でも

3年生存率43.9%

5年生存率31.3%

となっています。





まずは2014年3月の記事です。





“とんでもない医者”との出会いも……川島なお美、がん手術決意するまでの葛藤明かす
RBB TODAY 2014年3月27日(木) 21時00分
http://www.rbbtoday.com/article/2014/03/27/118281.html

 今年1月に肝内胆管がんの手術を受けていたことが明らかになった女優の川島なお美が、手術を決意するまでにはさまざまな葛藤があったことを自身のブログで明かしている。

 27日に更新したブログで、自身が受けた手術について詳細をつづった川島。状況によって開腹手術に切り替わる可能性があると事前に言われていたそうだが、川島の希望通りに腹腔鏡での手術が行われ、12時間という長時間に渡る手術になったという。

 そんな手術を終えた川島を待ち受けていたのは、突然坊主頭に変身した夫でパティシエの鎧塚俊彦氏の姿。術後の妻を笑わせようと手術中に頭を丸めたという夫の変わり果てた姿に驚きながらも、「旦那はんの愛を感じました」と感激。夫やスタッフなど周囲の人々から支えられて手術を乗り越えられたことに、「励ましてくれた夫 秘密を守り仕事を続けさせてくれたマネージャー アドバイスくれた大切な友人たちには感謝しかありません」との思いをつづった。

 無事に手術を終えた川島だが、腫瘍が発見された当時は舞台や映画の仕事が入っていたため、手術を決意するまでには半年間悩みぬいたという。「医者任せではダメ」との思いから、まずは自身で生活習慣を改めたり、「自分のかかった病をよく研究し戦略をじっくり練りベストチョイスをすべき」と、民間療法を試みるなどして慎重に事を運んだという。

 「『この人になら命を預けられる』そう思える先生と出会うまで手術はしたくありませんでした」という川島。今回は幸いにも自身の命を預けられる医師と出会えたことを感謝したが、その医師と出会うまでには、“とんでもない医者”にも出会ったことを明かす。

 がんが良性か悪性であるかの結果も待たず、「とりあえず切りましょう」「抗がん剤で小さくしましょう」と勧めてくるだけの医者に驚いた川島は反論。「悪性と決まってないのに?仕事が年末まであるのでそれもできません」と事情を説明するも、挙句の果てには「ならば仕事休みやすいように悪性の診断書を書いてあげましょう」と勧めてきたという医師に「もうここには任せられない!!」とあわてて逃げ出したという。

 しかし、そうした経験も今となっては「本当にいろいろなこと勉強になりました」と前向きにとらえている様子の川島。手術報道後、同じ境遇の人たちから多くのコメントが寄せられていることについて、「私が元気でいることが少しでも励みになるなら嬉しいです」との思いをつづっている。《花》



まずは、

手術を決意するまでには半年間悩みぬいた

この段階でかなり厳しいものがあります。




がんが良性か悪性であるかの結果も待たず、「とりあえず切りましょう」「抗がん剤で小さくしましょう」と勧めてくるだけの医者に驚いた川島は反論。

これは医師的にも患者さん的にも

かなり困った展開です。



肝内胆管癌は早期に見つかること自体が難しいのですが、

もし早期で見つかったのならチャンスを逃してはいけません。




肝内胆管癌の特徴は、

1. 肝臓の中にあるので症状が出づらい。

2. 早期発見できても深いので確定診断をつけづらい

3. 肝内胆管癌は浸潤することも多いのですべて切除できてないことも多い

ということで、

疑わしいなら確定診断のために手術をして

腫瘍をとった上で、最終的に病理検査で確定診断、

というのが本来は望ましい方向でしょう。



なのに、

患「悪性って決まってないじゃない」

医「だから、悪性かどうかすぐに手術したほうがいですよ」

患「とんでもない医者だ!納得できない」

医「悪性の可能性高いから、手術したほうがいいですよ。そういう診断書書いてもいいですよ」

患「もうここには任せられない!!」 → 逃げ出す

自分で生活習慣改善、民間療法

と、ここまでくると

医療関係者としてもなかなか介入が難しいわけです。







「自分のかかった病をよく研究し戦略をじっくり練りベストチョイスをすべき」

民間療法を試みるなどして

慎重に事を運んだという。


この段階で

すでに残された時間を

使い切ってしまった可能性が

高いと思われます。



医師としては

せっかく早期発見して

改善の可能性があるのに、

半年も民間療法やって

「ようやく納得しました」

「慎重に判断しました」

って言われてもね、

と思ってしまいます。



>「自分のかかった病をよく研究し戦略をじっくり練りベストチョイスをすべき」

いやいや、

じっくり判断するべきではなかった、

のではないでしょうか?






これをマスコミが

あたかも”いい判断”であるかのような

報道の仕方はいかがかと思います。





川島なお美さん、手術後は抗がん剤治療拒み民間療法
日刊スポーツ 2015年9月26日6時26分
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1543986.html

 今月24日に胆管がんで亡くなった川島なお美さん(享年54)は、副作用で女優の仕事に支障が出る可能性がある抗がん剤治療を拒み、14年1月の手術後からは、都内にある民間療法の治療院に通っていた。

 同院関係者は「仕事の合間に多い時で週に2、3度、来られていました」と明かした。最後に川島さんが来院したのは今月中旬で、16日に公演先の長野県伊那市で体調を崩す直前だったという。

 また同関係者は、川島さんへの治療内容を「『ごしんじょう療法』という純金製の棒で、患部や体全体をさすったり、押さえたりするものです。気の力で病気の根源となる邪気を取り除いてました」と説明。難病にも効果が見られるとし、「(川島さんは)『舞台に立ちたい』と言っておられました。仕事への情熱、気迫がものすごかった」と振り返った。





純金製の棒で、患部や体全体をさすったり、押さえたりするもの

じゃあ、

金のインゴットを取り扱っている業者さんは

長命の方が多いのかな?




多分、この民間療法も

マスコミで取り上げたから

一時的に流行っちゃうんでしょう。



普通のクリニックでも

金の延べ棒、

購入したらいいかもしれません(ヤケ)。




結局は

肝内胆管癌になった時点で

病気自体が非常に厳しいので

いろいろと難しい点が多かったのは

事実だと思います。





でも

医学的には

民間療法は生命予後を改善しません。

早期の診断と手術が

最大でほぼ唯一の

有効手段です。







また、

こういう科学的根拠のない民間療法を

難病にも効果が見られる

とか書いてしまうマスコミも

どうかと思います。




記事を書いた方が

実際に自分の家族が難病で

金の延べ棒でこすってもらって

喜んでいたら

満足されるのでしょうか?





金の延べ棒療法で

5年生存率改善とか

疾患の改善率とか

論文やデータがあったら教えてください。





仕事への情熱、気迫がものすごかった

そのエネルギーがあるのなら

もう少しやりようがあったのでは?

と思ってしまうのは

私だけでしょうか?




あくまでマスコミの情報だけで判断する

個人的な意見ですが、

以上の経過を診察でお話されたら

かなりトンデモな患者さんの部類に入ると思います。




これを美談にしてしまうマスコミは

いかがなものかと思います。





早期診断



納得できないので逃げ出す。半年、生活習慣の改善と民間療法でじっくり戦略を練る



納得できました。手術します。でも開腹はナシ!



術後も民間療法続けます





「川島なお美さんもやっていたんですよね、

新聞にも載ってましたし

藁にもすがる思いで来ました」

という患者さんが大量に

金の延べ棒でこすってもらいに

行くことでしょう。





その中に自分の家族や

知人がいませんか?

胸を張って堂々とお勧めできる治療ですか?





みんなが納得出来るなら

それでいいです。





でも、

せっかく早期で発見されたのに

腕が象の足のようにバンバンに

腫れるまで民間療法に入れ込んだ方や、

新興宗教で全く食べられなくなった方が、

病院の前に捨てられるように

置き去りにされることがありました。




そんな患者さんが病院内で

自殺をしたり

放火(未遂)したりと

いろいろなことが医療現場では

あるわけです。





そういうことを全部分かっていて

金の延べ棒で

こすってもらうならいいです。







以上、あくまで

純粋に医学的な判断からすると

いまの報道は

少々ズレがあるのでは、

というお話です。



一医療関係者としては

このケースを推奨されるのは

ちょっと違う、という違和感を

ぬぐえませんでしたので

記事にさせてもらいました。




故人を中傷する意図は全くありません。









合掌









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原発性肝癌取扱い規約


臨床・病理 胆道癌取扱い規約(第6版)







追記:

本ブログ記事が

大勢の方に見てもらっているようです。

こんな極北のブログに来ていただき

大変ありがたい事です。






いろいろなご意見があると思いますが、

おおむね好意的なご意見のようです。

ありがとうございます。




また、

反対の意見もあって当然だと思いますし、

「うちの商売邪魔するな!」

という人もいるかもしれません。

それもありです。否定しません。

皆さん、納得しているならいいんです。

ゴマでも、イワシの頭でも、インゴットでも。

でも、代替医療はトラブルが多すぎます。




私個人の意見では、

現時点では

「自分の家族に勧められる代替医療は無い」

ということだけ、言わせてもらいたいと思います。





癌取扱い規約とか

専門書だけご紹介してましたが、

かなり一般の方が見ていらっしゃいますので

現代医学の視点から見た

代替医療に興味がある方は

この2冊がお勧めです。



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代替医療解剖 (新潮文庫)

NATROM氏による代替医療に対する考察です。一読の価値あり、だと思います。

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!



追々記:

当ブログ記事を批判的に受け止めている方に

化学療法および放射線治療について

誤解が多いようですので一言。




当ブログでは

肝内胆管癌の抗がん剤治療および放射線治療を推奨しているわけではありません。

勧めていない、わけじゃないです。

勧めている、わけでもないです。


……分かってください。

現時点では

手術以外に決定的な治療がないのです。



肝内胆管癌の化学療法は

いまのところ奏功率が10−20%だと思います。

ですので、肝内胆管癌では

「抗がん剤治療をしないから悪い」

とは、うちのブログでは言いません。



症例によっていろいろと違ってくるでしょうし、

今後、多くの治療法が開発されるでしょうから

いい意味でこの文章が過去のものになるといいのですが、

現時点では

「肝内胆管癌は、早期の手術のみが生命予後に関係する」

と考えられています。




肝内胆管癌は

できるだけ早く、

できるだけ広く確実に、

内視鏡手術にこだわらず、

肝胆膵の手術経験豊富な施設および術者に手術してもらう、

ということが最重要です。





きっといろいろなことがあるでしょう。

・がっちり切られたのに良性だった

・がっちり切られて合併症が出た

・内視鏡手術にすればよかった

・がっちり切ったのに癌が残った

・がっちり切って癌も残さず取れたのに再発した

・がっちり切って癌も残さず取れたのに転移した

……それはもう、本当にいろいろなケースがあるでしょう。

やってみなければ分かりません。




そして医療関係者は

それぞれの分かれ道の分岐を予測し

枝分かれした迷路のような道を説明しようとします。

「この道は危ないけど、ここだけが向こうに抜けることができます」

「あちらの道は辛くないけど、いずれ行き止まりになります」

「その道は最近初めて開通しましたが、思っているより険しい道です」

そして医療データという不完全なGPSを駆使して

どうにかゴールにたどり着こうとします。



たまに

いきなり医師の差し出したGPSを放り出して

道の脇の藪の中に飛び込んで、

「自分の道を行く!自由にさせてくれ!!」

「いやいや、待ってください。そっちは道がないですよ」

「とんでもない。あなたの勧める道はひどい、ってみんな言っている!」

と叫んで視界から見えなくなる人がいます。

それもありです。

勧めはしませんが。





肝内胆管癌はその分かれ道が

本当に早くきます。

現時点では

分岐は1箇所しかありません。





多くの人は肝内胆管癌が見つかった段階で

すでに分岐点を過ぎてしまっています。




運良く分岐前に肝内胆管癌を見つけても

すぐに分岐点がきます。



繰り返しますが、

肝内胆管癌の場合、

選択肢は一つしかありません

手術をするか、しないか、

です。



藪の中に飛び込んで逃げても、

真正面から進んでも、

ごく早い時期に分岐点がくるのです。

当ブログでは

その分岐点のことをお話ししているつもりです。




川島なお美さんは

知らないうちに

治療できる分岐点を超えてしまったのでは?

と思っています。




そして、マスコミが

「手術の前にいろいろ民間療法とかやって、納得したからいいよね」

という誤った美談を流して、

本当に決断しなくてはいけない分岐点を前にして

決断しないまま民間療法に走って治療ができなくなった悪い前例を

あたかも美談のように報道しているのではないですか?

といいたいのです。






肝内胆管癌では

残念ながら分岐点を過ぎた後は

抗がん剤を使わなかった、とか

放射線治療を行わなかった、とか

それは問題になりません。

当ブログでも問題にするつもりはありません。



手術の後、治療せずに

余命を仕事に向けるもありですし、

一筋の望みにかけて

放射線治療や化学療法にかけてみるのもありでしょう。




さらに当ブログとしては

福島に行ったとか、

ワインが好きとか、

ダイエットしすぎたとか、

そんなこと全く問題にする気はありません。

これらはみな、

「現時点では医学的な因果関係は否定的」だからです。




ただ私個人は、

全てが終わった後に

「ああ、もっと手術の前に、本当に決定的な分岐点があったかもしれない」

とレトロスペクティヴに、懐古的に思うのみです。





ご逝去を悼み、

謹んでお悔やみ申しあげます。






(1)第18回全国原発性肝癌追跡調査報告
Table21 肝内胆管癌の累積生存率(194~ 205)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/51/8/51_8_460/_pdf






ご参考になりましたら幸いです。

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■開業つれづれ:「妊娠出産の基礎知識検定(仮称)、始めます!」公益社団法人に認定


ネタ元は

助産院は安全?
妊娠、出産に検定が必要なのか?

http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/20110216/1297874154

です。

いつも大変おせわになっております。



日本誕生学協会

うぁ。

しかもこれ

公益社団法人に認定

なんかされちゃているし。






妊娠出産の基礎知識検定(仮称)、始めます!

タイトル見て

びっくりです。








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2011年02月15日

妊娠出産の基礎知識検定(仮称)、始めます!

テーマ:大葉ナナコからのメッセージ


http://ameblo.jp/peacefulbirth/entry-10802510662.html



雪が美しい、バレンタインデーでしたね!寒い中、アツアツ?

さて、嬉しいお知らせをさせて下さい。
先週、内閣府からお知らせをいただき、2005年に設立した日本誕生学協会が、公益社団法人に認定されました!!

公益団体として、幸せなお産や嬉しい誕生を増やすプロ集団として、いっそう尽力致します。

生まれてきて良かったと言える社会、「しまった」ではなく「よかった」で始まる妊娠、また産みたいと思える出産・育児を支えていきたいと思います。

かねてから誕生学協会の事業計画にありました「妊娠出産検定」(仮称)を2011年度は実現してまいります!

誕生学は「生まれてきた力、産みゆく力、つなぎたい」と使命感を持ち、子どもたちへの自己肯定感をはぐくむ機会、学生への性の健康教育、20代への子宮頚がん予防の知識や妊娠出産育児を幸せに迎えると意識や知識の普及を行政や企業と連携してまいります。

検定を高校生のうちから、受けてくれたら、人と命と未来を守れる人が増えますよね~。

まもなくアフリカ出張。
日本も世界も、幸せないのちの誕生が増えますように…。

(nanako)







こういう団体が

公益社団法人に認定

されちゃうって

なんだか。





【答申】一般社団法人日本誕生学協会〔公益認定申請〕
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=120&gyouseiNo=00&contentsNo=00011&syousaiUp=0&procNo=toushindetail&renNo=1&contentsType=&houjinSerNo=&oshiraseNo=&bunNo=&meiNo=&seiriNo=1000123286&edaNo=9&iinkaiNo=undefined&topFlg=0


妊娠・出産・育児の現状と課題 ~IT化で満足度と安心感を高めるために
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/tokubetu/kaisai_h20/dai2/siryou2.pdf


見ていて

何か感じる違和感。

プロフィールを見てみるとなんだか

その正体がわかった気がします。








大葉ナナコプロフィール・活動実績

本名:大社由美(おおこそゆみ)

1965年 東京生まれ。女子美術大学付属中高短大で「意匠」を8年学ぶ。

1981年 高校1年より雑誌取材記者。1985年外務省親善大使などで8カ国訪問。

1991年 広島県立生涯学習センター提供の育児番組「子育て探検隊」(中国放送)で企画、リサーチ、記者として2年間レギュラー出演。以後テレビ制作に従事。

1997年「妊娠前からの出産準備教室」を桜美林大学オープンカレッジ等で開始。

2001年 NHKドラマ部「出産シーン」指導監修。以後NHK8本民放送3本監修。

2003年 有限会社バースセンス研究所設立。出版、講演、研修講師活動を開始。厚生労働研究北村邦夫班「親子のコミュニケーションスキル向上に関する研究」メンバー。東京都専門研修指導員として「ベビーマッサージ」東京都保健師に指導。神奈川ゆめコープ理事(学識担当:育児情報)

2005年 有限責任中間法人日本誕生学協会設立。世代別の性と生命のライフスキル教育を誕生学と名づけ「出産リテラシー」プログラム製作と汎用化に従事。小中学校を中心にゲストティーチング活動、海外プログラムとの提携事業。

2006年 第27期東京都青少年問題協議会委員に就任。「若者を社会性を持った大人に育てるための方策について」2008年11月に意見具申し任期終了予定。

2006年~都内2区より週末両親学級プログラム業務委託、運営システム構築、実施。

2007年~大手百貨店マタニティ用品担当者研修プログラム構築、教育研修実施。現在財団法人東京都助産師会館評議員。朝日新聞「育児ファイル」連載中

20歳18歳15歳10歳6歳の2男3女の母親。著書12冊・訳書2冊。






一度もきちんとした

医学、産科教育をされていない、

その上

マスコミに密着した活動をされている、

というところが

このスライドからにじみ出る

”胡散臭さ”

につながっているのでしょうか。






以前から当ブログは

医学教育を

義務教育の一部にあてるべき

と主張してきておりますが、

こんな偏ったものではなく

きちんとした学問的にも

一般的に受け入れられるものであるべきで、

断じてこのようなものではありません。









「妊娠出産ソムリエ」


とか

「妊娠検定1級」

とか

冗談ではなく

本当に出てきそうです。



しかも

内閣府のお墨付き

です。








マスコミがもてはやしたら

本気でみんな受験したりして。





なんだか

涙でてきました。
















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■開業つれづれ:「脱線事故負傷者らに統合医療 JR西と阪大研究へ」



鳩山元首相が言い放った

統合医療プロジェクトチーム(1)。





徐々に

こういうものもOKなんだ、

という認識に

変わっていくのでしょうか?








脱線事故負傷者らに統合医療 JR西と阪大研究へ 

神戸新聞 2011/01/13 10:32

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003734687.shtml



 尼崎JR脱線事故の負傷者や遺族が抱える後遺症を和らげるため、JR西日本が大阪大とともに、漢方やはり・きゅうなどと西洋医学を組み合わせた「統合医療」の共同研究に乗り出す見通しであることが12日、関係者の話で分かった。

 事故の加害企業が研究機関と共同で、被害者の後遺症ケアに本格的に取り組むのは初めてとみられる。早ければ4月にも始める方向で、JR西は大阪大側と最終調整している。

 脱線事故では107人が死亡、562人が負傷。負傷者の中には治療が終わり「症状固定」とされた後も痛みを感じたり、心身の不調を訴えたりする人も多い。JR西は主治医が認めたケースなどを除き統合医療を補償対象としておらず、改善を求める声が出ていた。

 関係者によると、共同研究の窓口は、大阪大大学院医学系研究科で補完代替医療の臨床研究を進めている講座。被害者の症状に応じて統合医療による治療を進めるとともに、データを蓄積して統合医療の有効性を検証する狙いもあるという。

 大阪大側では医学系研究科のほか人間科学研究科も協力し、臨床心理士らによるカウンセリングなども検討されている。

 事故から5年以上が経過し、JR西は8割超の負傷者と示談し、遺族とも示談交渉を進める。一方で被害者のニーズは多様化しており、JR西は将来にわたって対応する方針を示している。

 昨年12月の被害者説明会で佐々木隆之社長は、医療情報を提供したり、高齢化した遺族の生活相談に応じたりする新たな窓口を今春にも社外に設置すると表明。関係者によると、この場でJR西側は、統合医療による後遺症ケアを「前向きに検討したい」としていた。

■統合医療 「補完代替医療」と呼ばれる漢方やはり・きゅう、食事療法、アロマセラピーなどと、西洋医学を組み合わせ双方の利点を生かす医療。補完代替医療は、西洋医学だけでは治療が困難とされる症状の緩和などに一定の効果が期待されるが、一方で科学的根拠が乏しく、大半は健康保険が適用されず患者に大きな負担がかかるなど問題も指摘される。厚生労働省は昨年2月、統合医療を推進するため、効果や安全性などを検討するプロジェクトチームを設置した。





話題になった

ホメオパシーも統合医療の一つであり、

催眠療法とかチベット医学、

断食療法や瞑想、磁気療法、オゾン療法、気功

も対象になるとしたら

大変なことです。




一体どうなるんでしょう?

阪大の先生方、

有意差のあるデータが

えられると思っているんでしょうか。








(1)
■開業つれづれ:「首相、医療改革も“宇宙人流”瞑想、催眠療法に保険適用!?」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1298.html


(2)
■ホメオパシー、統合医療問題 記事一覧
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-category-80.html



















■開業つれづれ:朝日「話題の「ホメオパシー」新入門セミナー」 「「ホメオパシーで長女死亡」助産師と母親和解 山口地裁」





朝日新聞で、

話題の「ホメオパシー」新入門セミナー 
由井 寅子JPHMA会長が1月10日(月・祝)全国7会場同時中継講演!

www.asahi.com/business/pressrelease/ATP201101070010.html

という記事が一瞬流れました。





話題の、

って悪い意味で

話題なんですが、

なんでも飯のタネになるのは

すごいことです。








報道関係者各位
プレスリリース
2011年01月07日

カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー

話題の「ホメオパシー」新入門セミナー 

由井 寅子JPHMA会長が1月10日(月・祝)全国7会場同時中継講演!


カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(学長:由井 寅子、以下 CHhom)は、ホメオパシー(同種療法)における治癒のメカニズムや活用法、魅力などを解説する入門セミナー講演を札幌、東京、名古屋、京都、大阪、福岡、沖縄のCHhom各校で1月10日(月・祝)TV同時中継いたします。

セミナー詳細サイト: http://www.homoeopathy.ac/11reserve/20110110.php


“「ホメオパシーは荒唐無稽、非科学」と断定”。日本学術会議が異例の会長談話を発表し、医療現場でのホメオパシーの活用にモノ申しました。
今、話題になっているホメオパシーとは・・・?これまで、一般にはあまり知られていなかったホメオパシーが、日本では急に報道で取り上げられ、ポピュラーになりました。今回、国際的にも著名なホメオパスとして活躍中の由井 寅子(日本ホメオパシー医学協会会長)が、ホメオパシーでどのように自然治癒力が触発され、どのように心や体の様々な不具合や病気を克服していくのか、その治癒のメカニズム、その活用法や魅力などを、1月10日(日)の新春講演にて、初心者の方にもわかりやすく解説します。

本講演を皮きりに春の講演を順次開催し、1月15日(土)には、ドイツ シュスラー博士発見の生命組織塩のホメオパシー講演を全国で実施します。
(詳細はCHhomウェブサイト http://www.homoeopathy.ac/ にて)


【セミナー概要】
講師  : 由井 寅子 CHhom学長
タイトル: とらこ先生のホメオパシー入門
開催日時: 2011年1月10日(月・祝) 10:00~12:30
開催場所: 札幌、東京、名古屋、京都、大阪、福岡、沖縄のCHhom各校(TV同時中継)
参加費 : 一般 2,000円 / とらのこ会員 1,500円
参加方法: 事前予約制 ※必ずご予約が必要となりますのでご了承ください。
お申込み: http://www.homoeopathy.ac/11reserve/20110110.php
講演内容: 1.由井のホメオパシーとの出会い
      2.ホメオパシー誕生の歴史
      3.同種療法の起源
      4.バイタルフォースとは
      5.人間とは何か
      6.希釈震盪の技術
      7.ホメオパシーの安全性
      8.2つの病気 急性病 / 慢性病の違い
      9.慢性病の好転反応と治癒の方向性
      10.ホメオパシー症例集

≪由井 寅子(ゆい とらこ)~講師紹介~≫
1953年生まれ。英国で潰瘍性大腸炎きっかけにホメオパシーと出会う。たった4粒の砂糖玉で症状が完治し、これをきっかけで、ホメオパシーを勉強、日本人で初めて英国ホメオパシー医学協会(HMA)のホメオパスとなり、以後、英国で開業後、日本でのホメオパシーの普及に尽力。今やインナーチャイルド、発達障害などの難治疾患への応用では世界から注目されるホメオパシー療法家、カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(CHhom)学長として、またホメオパスとして療法、教育、学術交流、執筆活動など行う。


【ホメオパシーについて】
ホメオパシーは、心、体を癒すホリスティックな健康法の代表で、物質的な副作用もなく、国際的に老若男女を問わず広く利用されています。2001年には WHOから広く世界的に利用されている医療法と認められ、主な統合・補完・代替医療の一つと認知されるホメオパシー。インドではマハトマ・ガンジーが唱導、現代医学、アユルヴェーダと並び第1医学とされました。欧州では1億人以上が健康法として愛用しているホメオパシー。なぜ、日本の科学界や医療界が、ホメオパシーが欧米のように広がることを恐れ、今のタイミングで一斉に叩いたのか。その背景を知るには、まずホメオパシーそのものが何かを知らなければなりません。
欧州のオーガニック農法では、ホメオパシーはハーブ療法とともに動物のケアへのファーストチョイスです。ペットなど動物の健康ケアでもポピュラーです。ドイツで発祥後、200年の歴史と実践を持ち、世界へ普及した事実と動物ケアでポピュラーな療法となっている事実を知れば、ホメオパシーがプラシーボ以上の療法であることは明らかです。


≪カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー 2期生募集中!≫
現在CHhomは、2期生を募集中です。
入学・入試・学校案内についての資料請求を承っています。
CHhomウェブサイト: http://www.homoeopathy.ac/

≪オープンキャンパス≫
1月9日(日)10:00~13:00は、由井学長講師で動物コースオープンキャンパス開催予定。













助産師も大量に加わっている

ホメオパシー。




新興宗教にも似た

危うい構図が

ここにあります。







年末にこんな和解がありました。

和解したら

すぐに行動、

なるほどね。








「ホメオパシーで長女死亡」助産師と母親和解 山口地裁

asahi.com 2010年12月22日8時10分

http://megalodon.jp/2010-1222-1914-55/www.asahi.com/national/update/1222/SEB201012210082.html


 生後2カ月の長女が死亡したのは、ホメオパシーという民間療法をする助産師が適切な助産業務を怠ったためだとして、山口市の女性(33)が助産師を相手取り、約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、助産師側が女性に和解金を支払うことで合意したことが21日、分かった。和解金は数千万円とみられる

 同日、山口地裁で双方の代理人弁護士と裁判官が話し合い、和解が決まった。関係者によると、和解には「内容を口外しない」との条件が含まれており、和解の理由や金額について、双方の代理人は「話すことはできない」と答えた。

 訴状によると、女性は2009年8月、この助産師の指導のもと自宅で長女を出産した。しかし助産師は長女に、出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。

 女性は、助産師が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄「投与した」とうその記録をしていたことや、K2シロップを投与しない場合の危険性を説明しなかったとし、「助産師の過失により長女は死亡した」と主張した。助産師側は、K2シロップの代わりに、ホメオパシーで飲み薬のように使われている特殊な砂糖玉「レメディー」を与えていたと説明していた。(伊藤和行)






かなり早い段階での

和解になったわけです。




数千万払ってでも

止める意味がある、

と思ったんでしょうか。





(1)にあるように

半ば公然とビタミンK2を否定し

砂糖玉を与えることを

奨励している団体です。





信じている方々は

ぜひ200年前の医療レヴェルで

治療を行っていてもらいたいものです。




その際には

信じていない人を巻き込まないことと、

現存の医療機関にトラブルを持ち込まないこと

が大原則です。





先日、

うちにもひとり来ましたが、

「西洋医学の薬はダメです!」

と言い放ちました。





…じゃあ、我々にどうしろと?

きっと治らないので

本人が混乱したまま受診したのだと思いますが、

こちらとしては

混んでいる外来での

西洋医学とホメオパシー問答は

大迷惑でした。











(1)
■開業つれづれ:「「ビタミンK与えず乳児死亡」母親が助産師提訴」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1472.html


■開業つれづれ:ホメオパシーではやはりビタミンK投与を勧めていない
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1523.html









■開業つれづれ:「オカルトか? 奇跡の医療か? ホメオパシー事件と代替医療の正当性」


ホメオパシー騒動。

いろいろな意見があるとは思いますが、

私自身は

まったく信じることができません。





オカルトか? 奇跡の医療か? ホメオパシー事件と代替医療の正当性

サイゾー 2010年12月3日(金)17時37分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101203-00000301-cyzoz-soci


──昨年発生した山口県の女児死亡事件をめぐる報道で、にわかに耳目を集めた“ホメオパシー”。実は、ホメオパシーを含む代替医療への批判は、 2000年代を通じてインターネット上の論戦テーマであり続けてきた。「砂糖玉を飲めば病気が良くなる」という治療法を、なぜ人は信じてしまうのだろうか?女性誌や育児雑誌などでは特に批判もなく各種代替医療が取り上げられている現状で、この問題に対し、社会が取り得る対策を考える。

 2009年10月、山口県で生後2カ月の女児がビタミンK欠乏性出血症に陥り、呼吸不全で亡くなるという事故が発生した。原因は出産を担当した助産師が女児にビタミンKを投与しなかったこと。新生児や乳児はビタミンKを十分に生成できないことがあるため、定期的な投与が必要となる。ところが、助産師は「自然治癒力を促す」という錠剤しか女児に与えていなかった。

 母親は今年7月、乳児死亡の原因は助産師の過失として山口地裁に提訴。これを機にメディアは同事件の報道を開始した。当初は「助産師が女児に自然療法で使用する錠剤を与えて死亡事故を招いた」という報道に留まったが、次第にその錠剤が「レメディ」と呼ばれるホメオパシーで使われる"薬"であることに注目が集まり、「ホメオパシーによる死亡事故」という文脈で報道されるようになった。

 ホメオパシーとは、前述の「レメディ」と呼ばれる砂糖を固めた粒を摂取することで心身の不具合を治療しようとするものだ。一般的には、効果に科学的根拠がないとされる「代替医療」に分類される。生理学的に治療効果があるとは考えにくいことを理由に、メディアの多くはホメオパシーに対して批判的なスタンスを取った。中でもラディカルな報道を展開したのが朝日新聞。7月31日付の朝日新聞東京本社朝刊「be」では「問われる真偽 ホメオパシー療法」と題し、「海外の研究機関から、ホメオパシーは治療効果がないという報告が相次いでいる」と紹介。また8月5日付朝刊では、「ホメオパシーは科学的根拠がない療法であり、山口県の乳児死亡事故のようなトラブルがほかにも起きている」と指摘。さらに編集部のブログで、「効果は疑わしく、国民は医療の選択に注意深くなってほしい」という主旨の記事も展開した。

 この反ホメオパシーキャンペーンに対し、くだんの助産師が所属する「日本ホメオパシー医学協会」は反論声明を出した。しかし、世間の懐疑的な視線はまったく覆らない。それどころか、待っていたのはさらなる追い打ち。8月24日、内閣府の特別機関のひとつである日本学術会議が「ホメオパシーは科学的な根拠はなく荒唐無稽。この療法を続けることで、本来受けるべき治療の遅れを誘発する危険がある」という主旨の会長談話を発表。日本の科学分野における最高機関から"お墨付き"を頂戴し、世間的にホメオパシーは疑似科学という認識で落ち着いてしまった。


■『水からの伝言』を端緒にニセ科学批判は始まった


「克服すべき問題はあるが、統合医療(西洋医学と代替医療の統合による、患者中心の医療)については真剣に検討して、推進していきたい」

 年初の所信表明演説での鳩山由紀夫元首相の発言である。ホメオパシー騒動の余波により不名誉な形でクローズアップされた代替医療だが、今夏までは有用な医療として政府内でも注目されていた。そこで、代替医療という存在をあらためて問い直してみたい。

 代替医療の解釈はさまざまあるが、基本的には前述した通り、「生理学的に治療効果があるとは考えにくいとされる医療」を指す。具体例を挙げると、伝統医療、ヒーリング、マッサージ、食事療法、エネルギー療法などがそれに当たる。現在、日本をはじめ世界の多くの国では西洋医学を通常医療とし、こうした独自の理論体系を持つ医療を代替医療と呼ぶ。両者の違いは次の点。西洋医学はいわゆる「エヴィデンス」と呼ばれる、特定の臨床実験で出た効果を科学的根拠としているのに対し、代替医療は独自の実験においては治療効果を示しているものの、西洋医学的な科学的根拠には裏付けられていない。そのことから、代替医療は疑似科学の一種といわれるが、あくまで西洋医学的な裏付けがないだけで、完全に効果のない医療であるかどうかは意見が分かれる。だが、今回のホメオパシーについては、西洋医学的見地から効果がないことが批判の寄りどころとなった。特にネット上の批判は辛辣で、朝日新聞などより厳しい意見が当たり前のように飛び交っていたりする。これはある種ネット特有の文化であり、ネット上では以前から代替医療、ひいては疑似科学全般に対するバッシングが継続的に行われていた。

 そうした風土ができるきっかけのひとつとなったのが、江本勝の著作『水からの伝言』(波動教育社)へのバッシングだ。1999年発売の同作は、水に感謝の言葉をかけるときれいな結晶ができ、罵声を浴びせると汚い結晶になるというスピリチュアルな写真集で、国内外で大ベストセラーとなり、一部小学校では教材として導入された。しかし、水が音楽や言葉の内容に反応するという科学的な根拠がまったくないことから、ネット上では疑似科学やオカルト本のたぐいとして徹底的に叩かれたのだ。これを契機に、00年以降、「ゲーム脳」「マイナスイオン」「海洋深層水」など、さまざまな疑似科学がネット上でターゲットになった。そんな中で、代替医療も批判の的となってきたのだった。

 ネット上に集まる代替医療批判の端緒は、試したものの効果がないといった不満や病気が悪化したなどの被害報告。これらの単発記事が点々とあるうちは批判的ムーブメントとしての規模は比較的小さい。しかしひとたび、学者をはじめ疑似科学に懐疑的な専門家が主張を始めると、批判ムードが一気に拡大することがある。例えば大阪大教授の物理学者・菊池誠氏はホメオパシー批判の急先鋒として、数年前から自身のブログ「kikulog」にて「ホメオパシーは由緒正しいニセ科学」といった発言を繰り返していた。すると、一連のエントリーには賛同コメントが多く集まるだけでなく、菊池氏の主張に共鳴したネットユーザーがそれらのエントリーを引用して、個人ブログで代替医療、疑似科学を懐疑的に取り上げ、批判的視点が拡散。さらにネット上で代替医療の批判ムードが強まると、肯定派はその良さを伝えようと過剰に宣伝するあまり、それぞれのサイトがどんどん胡散臭くなっていった。

 昨今、一部の代替医療は健康雑誌やファッション誌で取り上げられることも増えているが、愛好家の生の意見が最も反映されるのはネット上。そこが極端な肯定と否定ばかりになっていれば、代替医療を試そうかと考え、調べてみた人が興味を失ってしまう可能性は高いように思われる。だが、実際は代替医療にハマってしまう人が後を絶たない。一体なぜだろう? ホメオパシー医である板村論子氏は、次のように説明する。

「代替医療を求める人の多くは、現代医療で症状が治らなかった人。一般の病院に通院しても、短い時間で精密な診療が受けられないことが多い上、処方される薬で病状が改善しないこともある。このような状況にある人が代替医療を試して、実際に効果が出たとなれば、当然続けようと思いますよね」

 効果に科学的根拠がないと批判される代替医療だが、患者にしてみれば現代医療で治せないものが代替医療で治ったのが何よりの証拠。自身の経験により、代替医療への信仰心を篤くしているようだ。

 そして一度でも奇跡的な体験をすると、その良さを布教したくなる。沢尻エリカもホメオパシーについて、ファッション誌「グラマラス」(講談社)5 月号のインタビューで「本当にいいものだから、みんなに知って欲しいんですよ」と語っていた。そのほか有名なところでは、サンプラザ中野くんが傾倒しており、ホメオパスの民間資格を取得して“サンプラザ・ホメオパス・中野”名義で『平和なカラダ』(ユビキタスタジオ)なる本まで出している。

 しかし、先のホメオパシー騒動以降、あまりの批判の強さに、彼女たち愛好者の心境にも変化が訪れつつあるのかもしれない。実は今回、市井のホメオパシー利用者数名に、利用するに至った経緯を伺う取材を申し込んだのだが、「ホメオパシーの良さは伝えたいが、今は曲解されてしまう危険がある」と言われ、実現しなかった。

 今回は事件化したためホメオパシーが批判の対象となったが、このような状況に陥る可能性はその他の代替医療すべてが抱えている。今年に入り、政府主導で代替医療推進を目指していたが、これも騒動後は無形化している。果たして代替医療と社会はどのようにかかわっていくべきなのか? 我々国民のほうでも一度じっくり考えてみたい。
(取材・文/下元 陽 BLOCKBUSTER)









ホメオパシー。

実際に死亡に関連している可能性もあり、

それについてどのように説明するというのでしょう?


















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中間管理職: このブログの管理人。
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某大学医学部を卒業
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医師免許取得: 医師にはなったけど、医療カーストの一番下でした。
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大学院卒業(医学博士): 4年間、院生は学費支払って給料なし。
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さらにアメリカの大学勤務: 激安給料
 ↓
日本の大学病院勤務: 労働基準法が存在しない。

フルコースをこなしたため貧乏から抜け出せず。
 ↓
大学から地域(僻地ともいう)の救急医療で疲弊しました。
 ↓
田舎で開業、借金は天文学的数字に。


今は田舎で開業して院長になりました。
でも、教授に内緒で開業準備していたころのハンドルネーム”中間管理職”のままでブログを運営してます。

ブログは主に
日本の医療制度(医療崩壊)、僻地医療事情、開業にまつわる愚痴と、かな~り個人的な趣味のトピックスです。

よろしくお願いいたします。


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Author:中間管理職 
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