2010/02/21
”みんなでおいしく、いただきます!”という福岡こども病院。
オリンピックに外れて、
こんな形で病院を食い物にする
というのはいかがなものでしょう。
こども病院移転問題の本質とは(1)3つの施策の裏にある思惑福岡県民新聞 [2010年1月18日 14:14更新]
(09年12月号掲載)
http://www.fk-shinbun.co.jp/2010/01/1-47.html福岡市立こども病院(中央区、写真)の人工島移転問題。多くの患者とその家族、医療関係者らの反対にもかかわらず、行政上の手続きは着実に進められている。
本紙はこれまでにも何度かこの問題を取り上げてきた。読者の関心は高いが、同時に「複雑で分かりにくい」との声も寄せられている。
そこで今回、病院移転に絡む施策の本当の思惑を本紙取材を元に再度指摘、移転問題の本質についてまとめた。
移転事業の柱となる施策は次の3つである。
(1)移転先は人工島(福岡市東区)しかありえない(2)移転後に独立行政法人化(独法化)する(3)PFI事業を導入する 以下では、各施策の狙いについて考えてみたい。
数字のマジック=行政の常套手段
まず最初に指摘すべきなのは、人工島への移転が最良とする数字的根拠が極めていい加減であることだ。
福岡市はこれまで、人工島移転は
1.広い土地を確保できる
2.土地取得費が他と比べて安くすむ─などのメリットがあると説明してきた。
だが、現在地で建て替えた場合の費用の見積もり額を、市がゼネコンに再見積もりを依頼し約1.5倍にして発表していたことが明らかになった。
また移転後の新病院運営の事業収支を試算するため市が設定した前提条件では病床利用率90%、1日の外来患者数420人と設定し、関係者からは「現実的でない」との指摘が。
これらはすべて目的を正当化するための「数字のマジック」。行政の常套手段である。
事業に融資した銀行団のため
ではなぜこのようなことをしてまで移転先を変更しない、いや、出来ないのか。
人工島事業は簡単に言えば、市が銀行などから資金を借りて博多湾を埋め立て、出来た土地を売って返済に充てるというもの。行政が不動産デベロッパー役を担う完全な「バブル期の発想」である。
だが出来上がった時にはすでに好景気は吹っ飛び、土地売却は当初の予定通りには進まない。返済が滞れば当然、融資した銀行団側も困る。
こうした状況の中、こども病院などの公的施設を人工島に移す案が浮上したのは山崎広太郎前市長時代。広大な土地を処分でき、一義的には市が購入するため銀行団も安心して回収計画を立てられる「名案」である。
だがここへ来て白紙撤回してしまえば、融資金回収計画はゼロからやり直し。それだけは許されない─これこそが福岡市、そして銀行団の本音である。
こども病院移転問題の本質とは(2)銀行団とPFI事業者の食い物に福岡県民新聞 [2010年1月20日 10:01更新]
(09年12月号掲載)
http://www.fk-shinbun.co.jp/2010/01/2pfi.html次に、こども病院(写真)と市立病院の独法化。目的について市は「行政から運営を切り離し、施設や職員数を充実させてより良いサービスを提供するため」などと説明しているが、本音は違うだろう。
土地の購入費や施設建設費などは市が起債して支払うのだが、それらはすべて新病院が市に返していく。
また最新医療機器などの費用も新病院負担。つまり最初から多額の借金を抱えてスタートする上、設備を充実させればさせるほど新病院の負担が増える(08年12月号で既報)。
こうした前提がある以上、移転先を考える際に重要となるのは、いかに多くの患者に来てもらえるか-要するに、利便性と収益性を第1に考えるべきなのは明らかである。だが人工島移転案ではこの点を犠牲にせざるをえない。
先述の通り、事業の収支見通しの根拠はいい加減な数字ばかり。想定通りに収益が上がる可能性は極めて低い。もし新病院の経営が破綻した場合、市の責任が追及されるのは確実だ。
08年夏に開かれた市民への説明会で市は「責任を持って素晴らしい病院にする」などと明言。ところが土地購入のための議案が議会を通過するとまもなく「新病院経営は独法の責任でやっていただく」「破綻した場合は民間委譲もありえる」とあっさり前言を翻した。
経済界を巻き込む
最後に、現在進行中のPFI事業。新病院運営について民間資金を導入する手法のことで、市は施設建設など計8業務について民間から事業者を募る。導入の目的について市は「経費を削減した上で民間の質の高いサービスを提供出来る」としてきた。
だがこのほど、PFIする業務を縮小。このため経費削減効果も大幅に低減した。
公共工事が減少する中、事業への関心は高く、11月の説明会には39社が参加。ところがすでに事業者は決まっているとして地元有名企業K社の名前が囁かれている。
また保守系議員からの反発があった際も、事業参加をエサに封じ込めた(09年11月号で既報)。
以上で述べた点を踏まえ、3施策の裏にある市当局の思惑・本音について、まとめてみよう。
(1)人工島建設事業へ融資した銀行団のため、病院移転名目で福岡市が同島の土地を一定面積購入する。このことは一度決めた以上、絶対に変更できない(2)そうすると利便性を犠牲にせざるをえず、新病院は経営破綻する可能性が高い。その際の責任を新病院に押し付けるため独法化する(3)PFIで病院業務の一部を民間に「分け与える」ことで経済界を味方に付ける。また一部の議員らの反対も抑え込めるこれが本紙の考える移転事業、各施策の思惑である。
移転に反対する患者家族らが12月議会の会期に合わせ、福岡市天神地区で署名活動を行った。ある患者家族は「事業を止めるのは難しいかもしれないが、声を上げ続けるしかない」と話している。
相変わらず
どうしようもない
福岡こども病院。
時代遅れのPFIは
へたすりゃ
違約金という手切れ金が20億、
ということになっております。
銀行、市、経済界が
”みんなでおいしく、いただきます!”とナイフとフォークを手に
にっこり笑っている状況。
医療関係者と
患者さんがお料理。
煮ようが焼こうが、お気に召すまま。
そのとばっちりを食らうわけです。
福岡の方々に幸あれ。