2009/07/30
■開業つれづれ:常在戦場=埼玉県の医師?「ドクターヘリ:県が新たな運用開始 夜間も待機、24時間体制に /埼玉」
>戦場を飛ぶ戦闘機パイロットと同程度
のリスクが
埼玉県の医師に
課せられるようです。
つねに戦場にいるようなものです。
兵士は訴訟のリスクはないと思いますが(笑)、
医師には、訴訟リスクもあるので
戦場リスク+訴訟リスク
という恐ろしい職場になってしまいました。
夜間ヘリの危険性がどれほどのものか
みなさま理解されているのでしょうか?
医師不足と言いますが
埼玉の医師は
さらに過酷な勤務条件を
課せられるようです。
ドクターヘリ:県が新たな運用開始 夜間も待機、24時間体制に /埼玉
毎日新聞 2009年7月29日 地方版
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20090729ddlk11010287000c.html
県は28日、防災ヘリに医療スタッフを乗せ、夜間から早朝にかけて「ドクターヘリ」として救急現場に派遣する新たな運用を始めた。既に専用のドクターヘリ1機があるが、医療スタッフやパイロットの確保に膨大な費用がかかるため、日中の運用に限られていた。夜間も待機する防災ヘリを活用することで、24時間体制となった。
県医療整備課によると、防災ヘリのドクターヘリとしての運用は、日没30分前から翌午前8時半まで。要請を受けると、川島町の県防災航空センターを出発し、日高市の埼玉医大国際医療センターで医療スタッフを乗せて目的地に向かう。夜間の着陸可能場所は両センターを含め12カ所。ドクターヘリは、08年度は137回、今年度は今月27日までに52回出動している。【山崎征克】
こちらが夜間ヘリ、
ドクターヘリの危険性を書いた記事です。
最も危険な職業
西川 渉、『日本航空新聞』2007年9月20日付け掲載
http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/stup071002.html
アメリカで最も危険な職業は何か。大統領である。そうでなければ、あんなに大勢のシークレット・サービスが厳重警護しているはずがない、というのは半分冗談で半分は本当だが、最近の米「フォーブス」誌は危険な職業について次のように書いている。
危険な職業の典型として、普通はよく鉱山労働者が上げられる。しかし最近は法律がととのい、安全設備も充実してきたので、10位以内にもランクされなくなった。
では1位は何か。漁業である。2006年の統計では、これもアメリカの話だが、10万人あたりの死者は142人であった。ただし絶対数は51人である。死亡の原因は、アラスカの海などで難破したり、船から転落したり、漁労器具が故障したり、漁網がもつれて巻き込まれたりするためだ。それに沖合い遠くの事故が多いから、怪我をしてもすぐには治療を受けられない。したがって命を落す結果になりやすいというのである。
第2位は、矢張りパイロットである。これには航空機関士などの搭乗勤務者も含まれるが、地上勤務者は含まれない。10万人当りの死者は88人に上り、絶対数では101人であった。特にヘリコプターのパイロットは危険な仕事が多い。重量物の吊下げ輸送や農薬散布、種まきなどで、こういう作業は飛行場以外の場所で離着陸しなければならず、それだけ危険性も増す。
第3位は山の木こりである。10万人あたりの死者は年間82人であった。彼らは山の中でチェーンソーをもって大きな樹木を伐り倒し、枝をはらって、木材として切りそろえ、トラクターで運び出す。それをトラックへ積みこむときはクレーンの操作もしなければならない。こうした作業をする山林労働者たちを襲うのは強風、足もとの隠れた根こぶ、上から落ちてくる枝、あるいは重たいチェーンソーの故障などである。この場合も大けがをすると、山の中だから救護に時間がかかり、命を落すことにもなる。
以下10位まで、下表のような危険な職業が列挙されている。
順 位
職 業
10万人当り死亡者
死者の絶対数
1 漁船乗組員
142
51
2 飛行従事者
88
101
3 山林労働者
82
64
4 鉄鋼労働者
61
36
5 廃品回収業者
42
38
6 牧畜業者
38
291
7 電気工事人
35
38
8 屋根職人
34
82
9 運転者(トラック等)
27
940
10 農作業者
22
158
ところで、これは別のところで読んだ報告だが、アメリカの救急ヘリコプターの事故が増えたことから、今や救急飛行は最も危険な職業になってしまったというのである。それによると、アメリカの救急ヘリコプターは1998年から2005年までの8年間に89件の事故を起こした。これは毎月およそ1件に相当し、うち31件が死亡事故で、死者は75人であった。
したがって救急機に乗る人びと――パイロットはもとよりドクター、フライトナース、パラメディックなどの危険度は、普通の職業についている人の6倍も高く、鉱山で働く人の2倍で、戦場を飛ぶ戦闘機パイロットと同程度という。
アメリカの救急飛行は夜間飛行が3分の1を占め、法的な基準も異なる。したがって日本とは条件が違うが、新しいドクターヘリ特別法が実現した今日、その普及が期待される折から、ドクターヘリが決して危険な職業にランクされることのないよう、いっそう気を引締めてゆかねばなるまい。
どんどん危険な領域に
突っ込んでいく救急医療。
しかし
それに対する危険性を
誰も検討せず、
誰もフォローせず、
保障すらないままに
医師は”戦場”に赴くわけです。
ある意味、戦争より悪いです。