2010/11/17
■開業つれづれ:中国人優先医療 「日光の観光医療、中国人ら月40人受け入れ」
中国人の人間ドックを最優先します、
という観光医療。
あはは。
>地域医療は不採算
ということで
観光医療に結び付くわけです。
言い方を変えると、
僻地で日本人を診ると赤字
観光医療で人間ドックで中国人を診れば黒字
という医療体制になっているわけです。
診療報酬は国が決めている
”国定料金”なわけですから、
国が日本人を診察すると赤字になるような
設定にしているわけです。
日光の観光医療、中国人ら月40人受け入れ
2010年11月16日 読売新聞
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=33346
栃木県日光市内の温泉ホテルと提携し、外国人旅行者向けの人間ドックを行おうと準備している独協医科大日光医療センターが、11月末にも中国・台湾人を中心に、受け入れを本格的に開始する。
近く大手旅行会社と契約し、1か月に最大約40人を受け入れる態勢とする。同センターは住民の診療を優先するため、外国人には当面、治療は行わない方針だが、県内の医療関係者からは「地元患者の診療が後回しにされないか」といった懸念の声もある。
同センターが外国人向けに行う人間ドックは1泊2日。血液検査や胃内視鏡検査など標準的な人間ドックを行う「スタンダードコース」、全身のがんを調べる陽電子放射断層撮影(PET)も加えた「プレミアムコース」など4コースを設け、料金は8万4000~27万3000円に設定した。
料金は日本人の人間ドックよりそれぞれ1、2万円高いが、中国人看護師による通訳や、中国語で検査結果の書類を作成する必要経費と、旅行会社の仲介手数料の分だという。中元隆明・同センター院長は「外国人から過大な料金を取れば利益主義と批判されかねないので、日本人とほぼ同じ料金にした」と強調する。
外国人の受け入れは月曜~水曜に限り、人数は1週間で最大9人の予定。受診者に治療が必要と診断された場合は、同センターが連携する上海の同済大学付属同済医院などを紹介する。
外国人向け人間ドックを始める理由について、中元院長は「日光の観光振興に医療機関も協力すべきと考えた」と話す。これに加え、非都市部での病院経営の厳しさも背景にある。
同センターは、2005年度に廃止された国立の珪肺(けいはい)労災病院から土地・建物を委譲され開設。観光客が多数訪れる日光に救急医療機関を残すため、県などが独協医大に要請した。しかし地域医療は不採算の場合が多く、同医大は病院を維持していくため、人間ドックと観光を結び付けた事業を開始。10月9日には国際観光医療学会も発足した。
一方、日本医師会は医療ツーリズムは医療のビジネス化が進む恐れがあるとして、反対の立場だ。県医師会の太田照男会長も「病院が経営維持のために医療ツーリズムに取り組むのはやむを得ないが、懸念もある。MRI(磁気共鳴画像装置)やPETは、検診より一般患者の診断を優先すべきで、倫理観をもって行ってほしい」と話している。同センターには今後、年間400人以上の外国人が人間ドックを受けに訪れる可能性もある。地域医療との両立の可否が注目される。
日本の観光医療については
いろいろな問題があります。
特に
「医療資源に限りがあるのに
それを観光業界に言われて
観光のオプションにするのは間違っている」
という点と、
「実際に人間ドックで疾患を見つけても
それを治療できる体制なのか」
というのが問題と私は考えています。
治療についてはあまり報じられていませんが、
どのように考えているんでしょう。
観光日程に入っている検診。
中国人のツアーに
救急車の概念はありませんから、
「救急搬入、吐血で臨時ファイバーで検診が遅れます」
とか通じないでしょう。
観光日程が
日本人の救急患者を押しのける
という形になるわけです。
それを推し進めているのが
観光業界。
昨年の新型インフルでも観光業界の力は
実証済みです。
昨年、新型インフルで
修学旅行のキャンセルが続出すると
瞬く間にキャンセル代を
国がフォローすることにしました(1)。
恐ろしいほどの観光業界の力です。
一方、
未知の新型インフルに対して
懸命に努力する医療に対しては
財務省は一切金を出さない、
と言いました(2)。
つまりは
「修学旅行の方が医療よりも大事」
「日本人の治療より、中国人の人間ドックの方が大事」
「病院の都合より旅行代理店の都合」
というわけです。
当然、救急車が入ったからと言って
旅行代理店にとって
中国人観光客の日程は”死守”すべきものでしょうから
限られた医療は観光客に優先的に割り当てられる
わけです。
観光医療を推進、
地域医療は採算割れ、
というのは
日本人を診ると赤字、
と同義になっていることに
誰が気づいているでしょう?
こうして限られた医療は
観光客に優先的に使われることになるようです。
(1)
■開業つれづれ: 医師より修学旅行 「新型インフル、2次感染医師に休業補償 政府、秋以降に交付」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-885.html
■開業つれづれ: 休業補償なんか全くない 「新型インフル感染拡大 受診急増、対応に苦慮」 ボランティアで診療、見つけたら強制休業、補償なし
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-846.html
(2)
■マスコミはこういうのを報道したら? 「新型インフル、予算面で新しい措置講じなくても対応可=杉本財務次官」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-826.html