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■「帝王切開死」無罪判決 安堵の医師、泣く遺族

ネタ元は

demianさん
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-347.html#comment2327


いつもありがとうございます。




福島大野事件での、

マスコミの議論は常に

「医療安全調査委員会」

の設立へと

収束し結論付けています。







それでいいのでしょうか?

多くの医師は

この「医療安全調査委員会」

に対して疑問を持っています。







これは、

本当の飛行機や海難事故のような

「事故調」

ではありません。





一般の「事故調」は

責任を問わないという

前提で事故の真相を追及していきます。

そして

システムを改善しようとします。




一方、

設立を検討している

「医療安全調査委員会」は、

なんらかの問題があった場合、

●警察、検察に届け出をされ、医師個人の責任を問う
(=協力することで逆に逮捕される可能性がある)

●医師に黙秘権は認められていない

●厚労省による病院の処分権を強めるだけ

など、

官僚のうまみばかりがあって

現場の医師は

逆に今まで以上に

過酷な状況にすら

なる可能性があります。











「帝王切開死」無罪判決 安堵の医師、泣く遺族

2008年8月28日(木)0時0分配信 読売ウイークリー
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/yw-20080828-01/1.htm

 福島県大熊町の県立大野病院で、帝王切開の手術中に患者の女性を死亡させ、医師が業務上過失致死などの罪に問われた「大野事件」で、この医師に無罪判決が下された。「医療現場の崩壊を招く」と反発した医療界はとりあえず安堵したが、事件の影響はそう簡単に払拭できそうもない。そして、遺族には一層の無念と悲しみをもたらした。

 産科医療の崩壊を助長したとして、医師らの強い反発を招いた大野事件の判決が8月20日、福島地裁で言い渡された。猛暑の中、25枚の傍聴券を求めて788人が並んだ。そして、開廷直後の午前10時過ぎ、裁判所前で無罪を聞いた関係者は両手で丸をつくった。それを見て泣き崩れた女性は、遺族側だったのか。遺族と病院、捜査当局と医療界、大きな対立をもたらした「事件」が、一つの区切りを迎えた瞬間だ。

 事件と判決の概要はこうだ。福島県大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開の手術を受けた29歳の女性が、子宮に癒着した胎盤をはがされた際の大量出血により死亡した。

 1年2か月後、福島県警は、執刀した産婦人科医の加藤克彦医師(40)を逮捕、医療界に大きな衝撃が走った。癒着胎盤で大量出血の可能性があり危険を避ける義務があったのに、胎盤をはがしたことで女性を死亡させたとする業務上過失致死の罪と、異状死なのに警察への届け出を怠ったとする医師法違反の罪に問われたのだ。

 鈴木信行裁判長は、加藤医師が胎盤をはがし続ければ、大量出血により女性の生命に危機が及ぶことを「予見する可能性があった」と指摘したが、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、過失を否定した。さらに、医師法違反についても、死亡は癒着胎盤という疾病が原因で、過失のない診療でも「避けられなかった結果と言わざるを得ない」として退けた。結果的に弁護側の主張がほぼ受け入れられた形となった。

 医療界はこの刑事裁判が「産科医療の崩壊に拍車をかけた」と激しく反発していた。加藤医師は判決後の記者会見で大野事件が全国の産婦人科にもたらした影響を問われると、しばらく黙り、

 「これからまた働き始めて、いろんな人から話を聞いて、改めて感じることと思う。現時点ではコメントできないです」

 と言葉を選びながら話した。

負のスパイラルが加速

 図のように医師の総数は一貫して増加にあるのに、産婦人科、または産科医の人数は1990年以降、2000人以上も減少している。厚生労働省によると、全国の妊産婦死亡数は2000年以降、年に50~80人だ。遺族にとっては、生命の誕生の喜びから一転して、死という悲しみに突き落とされるため、産婦人科医が民事で訴えられる確率は全診療科平均の3倍を超えるというデータもある。こうした訴訟リスクを背負いたくないという医者が増えているというのだ。名古屋医療センター産婦人科医師の野村麻実さんは、こう語る。

 「(訴訟リスクの少ない)楽な医療しかやらない医者が多くなった。そのしわ寄せもあって、私たちは過酷な勤務状況にあり、切羽詰まった状況におかれる。(産科医不足で)私と研修医の2人だけで対応するということもありました」

 医療界は大野事件について、
(1)医師不足で産婦人科医が過酷な勤務状態に陥り、医療ミスが生じやすい環境を生み出す
(2)訴訟リスクを回避しようとして産婦人科医が更に減少する
――という「負のスパイラル」を加速させたと見る。千葉県鴨川市の病院で産科部長を務める鈴木真氏は、

 「通常の医療行為で、ほかの刑事事件と同じように逮捕されたという事実が、過酷な勤務にある医師たちの頑張りを一気に崩壊させた。このようなことが通用すれば、産婦人科はどんどんやめる。それが医療現場が疲弊することにつながり、さらには患者にも不利益をもたらしかねない」

 と警告する。福島県では事件後、11病院でお産を受け付けなくなり、10月にも1病院が撤退を予定している。福島、郡山、いわき、喜多方の各市医師会調査ではお産を取り扱う病院、診療所が05年に計42か所あったのが、今年は29か所に激減している。また、神奈川県産科婦人科医会の調査では、大野事件を契機にお産を中止することを決めた施設が1か所、同様の事件で医師が逮捕される事態があれば中止すると答えた施設がなんと29か所もあった。

利益なき裁判結果

 そのような状況で、加藤医師はとりあえず無罪判決を勝ち取った。だが、これで医療崩壊に歯止めがかかるかといえば、そうでもないようだ。加藤医師の恩師の佐藤章・福島県立医科大教授は、

 「お産に携わる人が少なくなるなか、それに拍車をかけたという影響がなくなればいいですが、実際のところは(産婦人科の)医療現場が委縮するのが少し食い止められたぐらいではないでしょうか。ただ、『有罪になったら今後手術ができなくなる』というプレッシャーがなくなり、ほっとしました」

 と総括する。大野事件を受け、厚労省は、独立した第三者機関によって医療事故原因を究明する医療版「事故調査委員会」を設置する方針だ。前出の鈴木氏も、

 「無罪だけでは(大野事件で)失ったものは埋まらない。医療関係者、患者、司法、事故調のそれぞれが対話や説明のできるシステムが必要なのです」

 と述べる。

 遺族にとっては一層の深い悲しみと傷跡を残した。女性の父親の渡辺好男さんは判決後の記者会見で、「残念です。今後の医療に不安を感じざるを得ない」と悔しさをにじませた。渡辺さんは、「(裁判では)手術中の様子を時間の経過に従って聞くことができた。娘が『大丈夫』と話していたとか、娘の言葉が聞けました。本当に生きていたんだなあと思って」と裁判を振り返ったうえで、「(解明していない点は)病院が前向きな姿勢になってくれればいいが、現状ではこれ以上の解明は難しいと思う。一生、真実を求めていきたい」と述べた。裁判で娘がなぜ死に至ったのか、十分納得できる答えを得ることができなかったのだ。

 大野事件とは何だったのか。医療にも詳しい東大の樋口範雄教授(英米法)は、

 「このような事案を刑事裁判で争うこと自体が不適切と思います。刑事裁判は有罪か無罪かに焦点が集中され、弁護側は『問題がなかった』と言わざるを得なくなり、検察側としても有罪の立証に力を注ぐ。対立することしかない刑事裁判というシステムの中で、議論が法律論に集中することは、遺族の悲しみを和らげることにはならないのです。判決文を見る限り、裁判所が『この件を本当の意味で解決する場は刑事裁判ではない』と暗に訴えている印象を受けました」

 と見る。大野事件は、同様の事件で裁判所がどう判断するか一定の筋道をつけた点では意味のあるものだったかもしれない。しかし、それで失われたものを取り戻すのは容易ではない。 
(本誌 瀬川大介)







こんな現状でも

警察、検察は、

「医療に対しては謙抑的に対応している」

と言います。




謙抑的

っていうことは、



>けん‐よく【謙抑】
>[名](スル)へりくだって控えめにすること。

(大辞泉より)


「本当は、

もっとガンガン逮捕するはずだけど、

あんまりうるさいし

かわいそうだから

自主規制してやっている」、

ということです(笑)。





世論の

医療関係者への

同情が減れば、

さらに逮捕者は

増えるかもしれません。





そして、

官僚も政治家も

”医師の首に縄をつけるような組織”

を作って徹底的に管理するように

入れようとしてます。





「オツベルと象」の

ように(笑)。





官僚はマスコミに情報を流します。



「医療安全調査委員会」

がベストです。

第三者機関が医療事故を調べます。

どうです、すばらしいでしょ?





しかし、

この組織の実態は、

下手な発言で医師は逮捕され、

発言しない権利すらない。

報告をしなければ厚労省の厳罰がくる。

報告をしても厚労省の行政処分が飛んでくる。






一体

現場の医師は

どうしたらいいのでしょう?





福島大野事件も最低ですが、

このまま

「医療安全調査委員会」

が、そのまま設立されるのも

本当に最低の流れです。




…現場の医師はそう考えてます。




















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コメント

帝王切開した医師の無罪確定へ 福島地検が控訴を断念
http://www.asahi.com/national/update/0829/TKY200808290220.html

福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた執刀医を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、「控訴しないことを決めた」と発表した。これにより、執刀医で同病院の産婦人科医、加藤克彦医師(40)=休職中=の無罪が確定する。

「患者の女性を死亡させ、医師が業務上過失致死などの罪に問われた」→「患者の女性が死亡し、医師が業務上過失致死などの罪に問われた」

「胎盤をはがされた際の大量出血により死亡した」→「胎盤をはがした際の大量出血により死亡した」

でしょう。読売の記者は日本語の使い方すら知らないのか。少なくとも裁判で「過失とはいえない」と認定されたのに、いまだに「加藤医師がミスをした」が前提の書き方を続けている。
故意の「殺人犯」ではないのだから、少なくとも表現には注意を払うべきではないのか>読売よ。

あらら。

あの裁判所前の修羅場取材で、
誰に何を取材されたか不明なまま、
こんなところに載っていたのですね!
びっくしでございます。

明日買ってきます!

>野村麻実さん、ご苦労様です

いつも大変お世話になっております!

本当に先生のご活躍はすごいですね。いろいろな雑誌や新聞、ネット上に載っておりますね。

うちのブログは陰ながら応援させていただきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします!!



題名にも悪意が

帝王切開死って・・・・。
別に帝王切開したから死んだ訳じゃなく、病死でしょ。
どこぞで流行の「自然なお産」とかなら100%死亡。
家族も立ち会わせるようなところなら
家族の目の前で血を噴き出しながら死んでいったわけで
それがのぞみだったのでしょうかね。

医師を憎むのでなく、病気を憎み
「この病を診断する技術がうまれ、命が救われることを望む」とかならわかるのですが・・・。

白い巨塔でいけば、財前が「定期的に検査を勧めなかった里見を恨む」とか
「ちゃんと手術しなかった東教授を憎む」とか言い残したら台無しでしょ。

  当ブログで記載された判決当日の各誌報道記事では、『医師患者間の不信感あるから、余計にモメるんだ。 だから事故調は必要だ!』ってな感じで、マトメをしていたマス●ミが多い印象を受けました。 …でも、今までセンセーショナルに不信を煽ってきたのは、イッタイ誰?? 結局、台本どうりに事態が進行して行くしかないのでしょうか。
  …苦しいです、サンタマリア。(当時、『サタンマリア』(ビック●マン)だと思ってしまった苦い記憶が・・・)
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